2023年6月18日日曜日

【小説】暴走している株ブログに思うこと~vol.174~

ある日の深夜、あるチャットスペースで会話が始まった。

X:お疲れ
Z:お疲れ
B:お疲れ
X:Yは来てないのか
Z:さっきまでいたわよ
X:あのバカ、俺が来るから逃げたな
X:おいおい、笑うとこだろ
X:何かあったのか
Z:Yの話がイヤな話だったの
X:どんな話だったんだ
Z:話してあげて、B
B:事故物件のサイトに嘘の投稿があったんだって
X:どんな嘘だったんだ
B:火事で誰も亡くなっていない物件が事故物件になってたらしい
X:間違えただけじゃねえのか
B:投稿されたのが火事が起きた5年後だったらしい
X:なら、わざとだな
B:その可能性が高いと思う
X:なんでYはそんなサイト見てたんだ
B:近くの物件が事故物件か確認してたらしい
X:誰が何のためにそんなことしたんだろうな
B:それはこれから調べるらしいよ
X:たしかに気分のいい話じゃねえな
Z:ホントにイヤな話よね
X:さてとそろそろ寝るわ、おやすみ
Z:私も寝るわ、おやすみ
B:おやすみ

彼らのネット歴は長く、法に抵触しない範囲で遊んでいた。
彼らは遊んでいたが、その遊びはいつも誰かのためだった。
そんな彼らが愛読しているのは「予告犯」というタイトルのマンガだった。
チャット画面を閉じた彼らは、ネタ探しのため、ネットサーフィンを始めた。

彼らのネット歴は長かったが、そんな彼らにも知らないことがあった。
彼らは、関わった一部の人から、「まとめ屋」と呼ばれていた。

同時刻、警視庁サイバー犯罪対策課
「さっきのYの話、確認しました」、1人の男がPCを観ている男の背後から声をかけた。
「どうだった」、声をかけられた男が振り返っていう。
「該当する火災はありましたが、亡くなった方はいません」、声をかけた男がいう。
出火原因は何だったんだ」、声をかけられた男がいう。
「居住者の火の不始末だったようです」、声をかけた男がいう。
「物件の所有者はわかったか」、声をかけられた男がいう。
「火事の翌年に、この会社に所有権が移っています」、声をかけた男がメモを手渡した。
「この会社に対する嫌がらせか」、声をかけられた男がメモを見ながらいう。
「サイトに対する嫌がらせの可能性もあります」、声をかけた男がいう。
「どちらにしても、明日の確認だな」、声をかけられた男がいう。
「了解」、声をかけた男はいうと、席を立った男と入れ替わりに席に座った。

「事故物件」は、不動産取引や賃貸借契約の対象となる土地・建物や、アパート・マンションなどのうち、その物件の本体部分、もしくは共用部分のいずれかにおいて、何らかの原因で前居住者が死亡した経歴のある物件。2020年6月、国土交通省は「事故物件」について、不動産業者が入居予定者らに伝えるべきかどうかの指針案をまとめている。
「予告犯」筒井哲也氏

0 件のコメント:

コメントを投稿