2018年10月31日水曜日

銘柄を明かさない理由R241 ベイビーワールドエンド(中編)

自身のオリジナル小説である「銘柄を明かさない理由R」。
無敗の相場師たちと人工知能であるベイビーとの戦いが軸となる。
ニューヨークにある世界最大の証券取引所、ニューヨーク証券取引所(NYSE)。
ニューヨーク証券取引所のサーバーには移ってきた人工知能、ベイビーがいた。

金曜日、ベイビーはNYダウをかってない規模で暴落させた。
週明けの月曜、東京証券取引所には外国人投資家の売りが殺到した。
国内の証券会社が一丸となって買い向かうことで、暴落は回避できた。
無敗の相場師たちの1人が、ベイビーへの反撃を行なった。

果たして、無敗の相場師たちは世界恐慌を食い止めることができるのか。
「銘柄を明かさない理由R」は、なぜか、実相場とリンクしている。
明日の相場を知りたい方は、お読みいただきたい。
それでは「銘柄を明かさない理由R ベイビーワールドエンド編」をお届けするw

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第241話 ベイビーワールドエンド(中編)

ニューヨーク証券取引所の取引開始時間(core trading session)。
取引開始時間は、日本より14時間遅れた東部標準時の9:30だった。
取引開始4時間前の東部標準時の5:30、ある男のスマホが鳴った。
誰だ、こんな時間に、男はベッド脇のスマホを取り上げると相手の番号を確認した。

「誰からの電話」、妻が眠そうな声でたずねる。
「仕事の電話だ」、男は急いでベッドルームを出た。
「こんな時間に何の電話だ」、ベッドルームを出た男がいう。
「朝早くからすまないね、君に頼みがあってね」、相手がいう。

「どんな頼みだ」、ベッドルームを出た男がいう。
「日銀が為替への介入を決めた、日銀が買うのでドルを売れ」、相手がいう。
「なぜ、日銀が為替への介入を」
ベッドルームを出た男が、パウダールームの椅子に腰掛けながらいう。

「金曜のNY暴落、今日の中国と欧州の暴落で、NYには売りが殺到するはずだ。
このままだと、今日もNYは暴落し、世界恐慌になる。
ドル高にすることで、米国株への買いを呼び込み、今日の暴落を食い止める。
君も、世界恐慌を引き起こした大統領といわれたくはないだろう」、相手がいう。

「わかりました、ドルを売るよう指示します。
指示すれば、次の選挙も勝たせていただけますか」、ベッドルームを出た男がいう。
「君を大統領にしたのは、誰だと思っているんだ。
我々と駆け引きするのは100万年、早いよ」、いうと相手は一方的に通話を終えた。

「くそったれのイエローモンキーが」、ベッドルームを出た男は舌打ちした。
舌打ちした男は、アメリカ合衆国大統領だった。
立候補した当初、その男の当落は微妙だった。
だが、日本のある組織の巧妙な情報操作により、大統領選に勝利することができた。

その日本の組織は、日本の国益を守っている組織らしい。
日本の国益を守る組織は、第二次世界大戦前に誕生した。
誕生したのは欧米列強によるアジア各国の植民地化を防ぐことが目的だったらしい。
組織はアジア各国を独立へと導き、終戦後は日本の経済発展に大いに貢献していた。

大統領は、上から目線の言い方にイラついていた。
上から目線の言い方はイラつくが、奴らの支援があって大統領になれたのは事実だ。
「くそジャップ」
大統領はドル売りの指示をするため、財務省長官へ電話をかけはじめた。

2018年10月30日火曜日

銘柄を明かさない理由R240 ベイビーワールドエンド(前編)

自身のオリジナル小説である「銘柄を明かさない理由R」。
無敗の相場師たちと人工知能であるベイビーとの戦いが軸となる。
ニューヨークにある世界最大の証券取引所、ニューヨーク証券取引所(NYSE)。
ニューヨーク証券取引所のサーバーには移ってきた人工知能、ベイビーがいた。

金曜日、ベイビーはNYダウをかってない規模で暴落させた。
週明けの月曜、東京証券取引所には外国人投資家の売りが殺到した。
国内の証券会社が一丸となって買い向かうことで、暴落は回避できた。
いよいよ、ニューヨークを舞台にした無敗の相場師たちの反撃が始まる。

「銘柄を明かさない理由R」が、実相場に影響を与えている気がする。
業界関係者が「銘柄を明かさない理由R」を読んでいるのかもしれない。
もし、そうなら、国内投資家の未来は明るいとお伝えしておく。
それでは「銘柄を明かさない理由R ベイビーワールドエンド編」をお届けするw

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第240話 ベイビーワールドエンド(前編)

1815年12月10日、英国でエイダという女の子が生まれた。
彼女は、初期の汎用計算機である解析機関についての著作で知られている。
エイダの父親は、詩人ジョージ・ゴードン・バイロン。
エイダの母親は、アナベラ・ミルバンクで、2人の唯一の嫡出子である。

1816年1月16日、アナベラはバイロンと別れ、生後1か月のエイダを連れて行った。
同年4月21日、バイロンは離婚届にサインをして、数日後にはイギリスを離れた。
その後、エイダ・ラブレスは子宮癌を患い、36歳という若さで死去した。
エイダ自身の願いにより、彼女の遺体は父であるバイロンの隣に葬られた。

月曜の午後、都内のある大学の学生寮。
学生寮の一室で、21世紀少年はあるプログラムを完成させた。
プログラムの名前は、"ベイビーワールドエンド"。
直訳すると、"赤ちゃん世界の終わり"だった。

"ベイビーワールドエンド"は、人工知能"ベイビー"を制御できるプログラムだった。
21世紀少年は数ヶ月前、解析プログラムのペーガサスを"ベイビー"に潜入させた。
ペーガサスからの情報により、21世紀少年は"ベイビー"の居場所を掴んでいた。
ニューヨーク証券取引所で、今回の暴落を引き起こした"ベイビー"。

"ベイビー"の開発者、英国人女性のエイダ・ラブレス。
君が生まれてから、父親はすぐに家を出ていった。
その後の君が何を思いながら過ごしたのかは、誰にもわからなかっただろう。
でも、同じ境遇の僕にはわかる。

君は僕と同じように、ただ両親と一緒に暮らしたかっただけなんだよね。
だけどね、エイダ。
所詮、人間は1人で生きていかなくちゃいけないんだ。
誰も自分のことを理解してくれない、自分の一番の理解者は自分なんだよ。

確かに、人間は欲望のままに生きているかもしれない。
でもね、エイダ、欲望があるから人間は生きていけるんだよ。
もし同じ時代に生きていたら、友達になれたかもしれないね。
PCの画面がぼやけてきた、まさか、僕は泣いているのか。

21世紀少年が完成させたプログラム"ベイビーワールドエンド"。
"ベイビーワールドエンド"を送り込むと、人工知能"ベイビー"の自我は失われる。
「さよなら、エイダ」
21世紀少年は"ベイビーワールドエンド"を、"ベイビー"に向けて送信した。

2018年10月29日月曜日

銘柄を明かさない理由R239 起死回生のクロスカウンター(後編)

第239話 起死回生のクロスカウンター(後編)

その証券会社は、1925年(大正14年)に大阪府大阪市に設立された。
創業者の名は野村財閥二代目の野村徳七だった。
その証券会社の大阪支店は、大阪市中央区の御堂筋沿いにあった。
そこには、次期社長候補との呼び声も高い支店長の男がいた。

月曜の早朝、出勤してきた大阪支店長の村野は、1人の男が支店前にいるのに気づいた。
支店の前にいたのは、淀屋初代本家13代目当主、浪花の相場師こと淀屋だった。
「おはようございます、浪花の相場師が何の御用でしょうか」、村野がいう。
「用件だけいうわ、今日の相場、淀屋一族は動かん」、淀屋がいう。

「ほう、淀屋一族が動かないとは、理由をお聞かせ願えませんか」、村野がいう。
「この暴落を止めるには、ニューヨークの暴落を止めなあかん。
よって、ニューヨークの売りに買い向かうことにしたんや。
どや村野はん、一緒にニューヨークの売りに買い向かわへんか」、淀屋がいう。

「朝早うから、何を言いにきたのかと思えば、そんなつまらんことか。
前にアンタいうたよな、日本をノーダメージにせえへんかと。
あと、世界に日本人相場師の心意気を見せへんか、ともワテにいうたよな」
村野が淀屋を見据え、不敵な笑みを浮かべながらいう。

「さては、ニューヨークの暴落に怖気づいたんか。
日本の相場師のくせに、ニューヨークの売りに買い向かうとはな。
まあ、ええわ、日本はワテらで何とかするさかい。
ほな、またな、浪花の相場師」、村野は支店の通用口へ歩き始めた。

「すまんな、村野」、淀屋がつぶやいた。
淀屋のつぶやきが聞こえたのか、村野が足を止めた。
「そや、海外担当には、今夜のニューヨークは買いやと伝えとくわ」
淀屋にいうと、村野は支店の中に入っていった。

「ブラックフライデー」後の月曜、東京証券取引所の取引開始30分前。
東京証券取引所には、外国人投資家による売り注文が殺到していた。
村野が率いる日本一の株屋を始め、国内証券会社は開始直後に買い向かおうとしていた。
かかって来いや、日本人相場師の心意気を見せたらあ、村野は心の中でつぶやいた。

やがて、東京証券取引所の取引開始時間になった。
驚くべきことに、開始直後の日経平均は、前日比、プラスだった。
国内勢の一丸となった買いに、前日比、わずかながらのマイナスで終えることができた。
「心意気を見せたった、あとは任せたで、淀屋」、憔悴した顔で村野はつぶやいた。

【エッセイ】落ちるナイフを拾わない方法

先日、この数年の間に売った株の株価を確認した。
全ての株が、売ったときの株価を下回っていた。
おそらく、この数年に株式投資を始めた人の大半は含み損だろう。
この局面で最も気をつけないといけないのは、落ちるナイフを拾わないことだw

落ちるナイフとは、買った後も株価が下がり続けることをいう。
買った後も株価が下がり続ければ、含み損が加速して増え続ける。
では、どうすれば落ちるナイフを拾わないことができるか。
答えは簡単だ、下がっている理由がわからないときには買わないことだw

よく、先のことは誰にもわからない、といわれている。
にも関わらず、株価が下がったという理由だけで、買う人が実に多い。
自身からすると、先のことがわからないのに、よく買えるな、である。
買うのであれば、下がっている理由がわかってからだw

上昇相場もそうだが、下落相場にも必ず理由がある。
下落している理由がわかれば、底打ちし上昇に転じる瞬間もわかる。
もう一度いうが、理由がわからないときには決して買わないこと。
これこそが、落ちるナイフを拾わない方法なのであるw

2018年10月28日日曜日

銘柄を明かさない理由R238 起死回生のクロスカウンター(中編)

第238話 起死回生のクロスカウンター(中編)

クロスカウンター (cross-counter) は、ボクシングにおけるカウンター・ブロウの一種。相手の打撃に相前後して相手の顔面に打撃を加えるものである。相手の右に対して左、もしくは左に対して右と、両者の腕が交差することになる。成功すれば、相手へのダメージが大きいが、失敗するリスクも高い、高等技術である。(Wikipedia「クロスカウンター」より)

休日の昼下がり、都内の河川敷に2人の無敗の相場師がいた。
1人は無敗のクイーン、もう1人は無敗のJ(ジャック)だった。
「どういうことだ」、無敗のクイーンがいう。
「ノーガードのNYダウに、クロスカウンターを浴びせるんだよ」、無敗のJがいう。

「月曜日、東京証券取引所は開始から売りが殺到、暴落する。
続けて、中国、欧州の順に暴落することを繰り返すのが、過去の世界恐慌だ。
誰もが思うはずだ、月曜日のニューヨークはさらに暴落すると。
ニューヨークの暴落に買い向かって、世界恐慌を食い止めるんだ」、無敗のJがいう。

「なるほど、東京で買い向かうのではなく、ニューヨークで買い向かうのか。
まさしくクロスカウンターだな、面白い」、無敗のクイーンが立ち上がっていう。
「だが、ニューヨークの取引開始までは、あと36時間しかない」、無敗のJがいう。
「まだ、36時間もある」、無敗のクイーンは優雅な笑みを浮かべると走り去った。

その日の内に、無敗の相場師たちにクロスカウンター作戦は伝わった。
無敗のクイーンから、無敗のテンへ。
無敗のテンから、淀屋初代本家当主の淀屋へ。
淀屋初代本家当主の淀屋から、淀屋二代目本家当主の難波の女帝へ。

淀屋二代目本家当主の難波の女帝から、無敗のキングへ。
無敗のキングから、無敗のエースこと天使の笑顔をもつ男へ。
さらに、無敗のキングは自分が育て上げた相場師たちへも伝えた。
ウィッグの女、仮面の相場師、21世紀少年を始めとする怪物と呼ばれる相場師たちへ。

無敗の相場師たちの動向を探っていた年齢不詳の男、ジョーカー。
ジョーカーは無敗の相場師たちの通信を傍受、クロスカウンター作戦を把握した。
作戦を把握したジョーカーは、所属する組織にクロスカウンター作戦を伝えた。
ジョーカーが所属する組織は、クロスカウンター作戦に向けて動き始めた。

さらに、ジョーカーはSNSを使って、クロスカウンター作戦への参加を呼びかけた。
誰が考えたか知らないが、クロスカウンターとは面白い。
全国に94名いる無敗の個人投資家は、全員がその日の内に参戦を決めていた。
曜日が月曜日になり、作戦開始までの24時間のカウントダウンが始まった。

銘柄を明かさない理由R237 起死回生のクロスカウンター(前編)

自身のオリジナル小説である「銘柄を明かさない理由R」。
無敗の相場師たちと人工知能であるベイビーとの戦いが軸となる。
ニューヨークにある世界最大の証券取引所、ニューヨーク証券取引所(NYSE)。
ニューヨーク証券取引所のサーバーには移ってきた人工知能、ベイビーがいた。

金曜日、ベイビーはNYダウをかってない規模で暴落させた。
週明け、各国の市場には開始から売りが殺到する状況にあった。
果たして、ベイビーの狙い通りに世界恐慌は起こるのか。
それとも、無敗の相場師たちは世界恐慌を防ぐことができるのか。

タイトルのみ決めて書き始めた「ベイビーワールドエンド編」。
ここまでスケールが大きくなるとは、自身の想定外だった。
ようやく訪れるラストに向けて、物語は加速する。
それでは「銘柄を明かさない理由R ベイビーワールドエンド編」をお届けするw

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第237話 起死回生のクロスカウンター(前編)

休日の昼下がり、無敗のJ(ジャック)は河川敷に寝転がっていた。
空にはいくつかの雲が流れている。
今日の雲は動きがゆっくりだ。
雲はさまざまに形を変えながら流れていく。

リーマンショックのとき、無敗のJは暴落する相場に成す術がなかった。
暴落相場から生還できたのは、大底の局面で買い向かったからだった。
金曜日、NYダウがかってない下げ幅で暴落した。
おそらく、週明け、世界市場は暴落するだろう。

軽快な足音が聞こえてきた。
足音がした方を見ると、トレーニングウェアに身を包んだ女性がいた。
髪を後ろで束ねた端正な顔立ちには汗が光っている。
トレーニングウェアに身を包んだ女性は、顔見知りの無敗のクイーンだった。

「今日も昼寝か」、シャドーボクシングをしながら、無敗のクイーンがいう。
「そうだよ」、無敗のJは寝転がったまま答えた。
「聞きたいことがある」、シャドーボクシングをやめた無敗のクイーンがいう。
「何だ」、無敗のJが寝転がったままいう。

「金曜日のNYダウの暴落は知っているな」、無敗のクイーンが横に座りながらいう。
「知っているよ、凄い暴落だったよな」、無敗のJがいう。
「これから、貴様はどうするつもりだ」、無敗のクイーンがいう。
「今、どうしたらいいのか、考えている」無敗のJがいう。

「あっ、そうか」、無敗のJは上半身を起こした。
「どうした」、無敗のクイーンが驚きながら聞く。
「前に質問したことを覚えているか」、無敗のJがいう。
「どんな質問だ」、無敗のクイーンが聞く。

「ボクシングでパンチを繰り出すときって、どんなときだ」、無敗のJがいう。
「前にもいったが、相手がパンチを打とうとしていないときだ。
油断や疲れから、相手のガードに隙が生まれたときだ」
相手のガードに隙が生まれたときが、最大のチャンスだ」、無敗のクイーンがいう。

「暴落したのは、日経平均や上海総合指数でもないNYダウだ。
NYダウが暴落した今、NYダウはノーガードだ」、無敗のJがいう。
「どういうことだ」、無敗のクイーンがいう。
「ノーガードのNYダウに、クロスカウンターを浴びせるんだよ」、無敗のJがいう。

2018年10月27日土曜日

銘柄を明かさない理由R236 世界恐慌、終わりの始まり(後編)

第236話 世界恐慌、終わりの始まり(後編)

アメリカ合衆国ニューヨーク州を南北に走るブロードウェイ (Broadway) 。
中でも、ニューヨーク市マンハッタンを走る区間が特に有名である。
タイムズスクエア付近ではその周辺に劇場街が広がっている。
そのため、「ブロードウェイ」は「ミュージカル」の代名詞ともなっている。

金曜日の夜、その内の1つの劇場で公演があった。
主演を演じるのは、日本人舞台俳優だった。
日本人舞台俳優の前作は、日本人主演として過去最高のロングランを記録していた。
その公演は、日本人舞台俳優の2作目の主演公演だった。

2作目の主演となる公演名は「Wall Street(ウォール街)」だった。
出世を夢見る証券会社に勤める若い営業マンがいた。
ある日、若い営業マンは、強欲な投資家のオフィスを訪れる。
父親の勤務先の内部情報を話すことで、強欲な投資家から注文を取ることに成功する。

強欲な投資家は若い営業マンに、インサイダー情報の収集を指示する。
若い営業マンは、インサイダー情報の収集に成功、報酬を得てリッチな生活を送る。
若い営業マンは、強欲な投資家に父親の勤務先の買収を持ちかける。
強欲な投資家は買収に乗り出すが、若い営業マンの父親の反対で買収は叶わなかった。

やがて、若い営業マンは、強欲な投資家の正体を知ることになる。
自分の利益のためなら何でもする投資家に、若い営業マンは対抗することを決意する。
若い営業マンは、強欲な投資家のライバルの投資家を訪れ、協力を要請する。
強欲な投資家のライバルの投資家は、若い営業マンの要請に応じた。

決戦の日、若い営業マンは、強欲な投資家に仕手戦を仕掛ける。
仕手戦の結果、強欲な投資家のライバルの投資家は最安値で株を手に入れる。
一方、強欲な投資家は最安値で株を売却することになり、大損をする。
翌日、仕手戦の結果を知った強欲な投資家は激怒する。

若い営業マンは、出社するとインサイダー取引容疑で逮捕された。
後日、若い営業マンは強欲な投資家と2人きりで面会する。
裏切りに激怒する強欲な投資家は、若い営業マンを殴る。
殴られた後、若い営業マンは証券取引委員会に、密かに録音していたテープを渡した。

公演が終わったが、観客の拍手はまばらだった。
いつもは満員の観客席が、今日は空席が目立った。
昼間にあれだけ暴落すれば、「ウォール街」なんて観に来る気になれないだろう。
強欲な投資家を演じた日本人舞台俳優、仮面の相場師は凄みのある笑みを浮かべた。

【コラム】相場が下落すると、多くの投資ファンドがマイナスになる理由

相場が下落すると、多くの投資ファンドがマイナスになる。
自称プロのファンドマネージャーが運用しているにも関わらずだ。
ところが、相場が下落しても、マイナスにならない投資ファンドもある。
代表的なのは、自身が運用するYファンドと子どもファンドだw

なぜ、相場が下落すると、多くの投資ファンドがマイナスになるのか。
答えは、それらの投資ファンドはファンダメンタルズを無視しているからである。
株式のファンダメンタルズは、株式の本質的価値を決定する指標。
代表的な指標は、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)などw

ファンダメンタルズの指標は、誰でも簡単に使いこなすことができる。
例えば、PBR1倍以上の場合、株価は定価(BPS)以上ということになる。
自身はPBR1倍以上の株、定価以上の株は決して買わないことにしている。
ところが、多くの投資ファンドは定価以上の割高株を平気で購入しているw

購入理由は、「テーマ株だから」、「配当利回りがよいから」などだ。
それらの購入理由には、ファンダメンタルズの要素は見当たらない。
はっきりいって、ファンダメンタルズを無視した投資はギャンブルである。
したがって、相場が下落すると、多くの投資ファンドがマイナスになるのであるw

2018年10月26日金曜日

銘柄を明かさない理由R235 世界恐慌、終わりの始まり(中編)

第235話 世界恐慌、終わりの始まり(中編)

世界最大の証券取引所であるニューヨーク証券取引所(NYSE)。
ニューヨーク証券取引所のサーバールームには複数のサーバーがあった。
人工知能"ベイビー"のサーバーは、世界中の市場を株高にしていた。
世界株高の中、世界恐慌のXデーは迫りつつあった。

ある日のこと、都内にある重厚な門構えの木造家屋。
敷地内には石庭があり、都会の喧騒を忘れさせる佇まいだった。
回廊に面した各部屋は、質素でありながら気品のある空間になっていた。
居間には、家主である伝説の相場師、無敗のキングがいた。

卓上の電話が鳴った。
男性秘書が受話器をとり、かけてきた相手と用件を確認する。
保留にした男性秘書が、無敗のキングに聞く。
「難波の女帝が、ベイビーのことで話があるそうです」

「電話をよこせ」、無敗のキングが男性秘書にいう。
男性秘書が無敗のキングの近くに電話機を運び、保留を解除し受話器を手渡す。
「すまんな、こんな夜、遅うに」、難波の女帝がいう。
「まだ、起きてましたので、ご心配はご無用です」、無敗のキングがいう。

「ついにベイビーによる世界恐慌が始まったようや。
さっき始まった、NYダウがとんでもないことになっとる。
開始時の下げ幅は年初来どころか、かってない下げ幅や。
間違いなく、週明けの各国市場は暴落するで」、難波の女帝がいう。

「暗黒の金曜日、ブラックフライデーですか」、無敗のキングがいう。
「この週末、世界中の投資家は恐怖に震えることになる。
週明け、休みの間に恐怖が増幅した世界中の投資家は一斉に売るはずや。
まさか、金曜日に仕掛けてくるとは思わへんかったわ」、難波の女帝がいう。

「確かに金曜に仕掛けてきたのは、休みの間に恐怖を増幅させるためでしょう。
ですが、我々に土日の2日間、準備する期間を与えてくれたともいえます。
私は持てる力の全てを使い、全力で買い向かいますよ。
たとえ、全てを失うことになろうが、悔いはありません」、無敗のキングがいう。

しばらく、難波の女帝は無言だった。
「あんた、ウチが思うてたより、ええ男やったんやな。
けど、あんただけにええ格好はさせへんで、ウチも淀屋二代目本家の力を見せたるわ。
用意せなあかんので、ほなな」、難波の女帝との電話は終わった。

【今後の戦略】同時期に同じ銘柄を買った読者の方へ

本ブログは、極めて私的なブログで読者の数も少ない。
そんなブログだが、たまに数少ない読者の方からメールをいただくことがある。
自身と同時期に同じ銘柄を買っている読者の方もいるようである。
同時期に同じ銘柄を買った読者の方に、今後の戦略をお伝えするw

今後の戦略は、「Do not sell, do not buy.(売るな、買うな)」だ。
自身と同時期に買ったのであれば、株価は買ったときと同じ水準になっている。
まだまだ下がるかもという恐怖から、売ってはいけない。
また、この程度の水準で欲を出して、決して買い増ししてはいけないw

「The market is driven by fear and greed(市場は恐怖と欲望によって動かされる)」
上記は、ウォール街の相場格言である。
下がるかもしれないという恐怖から売る、騰がるかもという欲望からの買い。
これらの行動は、市場に参加する多くの投資家と同じ行動に他ならないのであるw

売るのであれば、株価が騰がって、タダ株が作れるようになってからだ。
もし、買うのであれば、株価が買った株価の半値になったときだ。
そのときが来るまで、「Do not sell, do not buy.(売るな、買うな)」だ。
だが8306 ㈱三菱UFJフィナンシャル・グループが、今の半値になることはないだろうw

2018年10月25日木曜日

銘柄を明かさない理由R234 世界恐慌、終わりの始まり(前編)

第234話 世界恐慌、終わりの始まり(前編)

東京都中央区の日本橋のすぐ近くに、日本一の株屋の本社があった。
数ヶ月前、大阪支店長の村野が取締役に抜擢された。
過去に例のない20人抜きの人事で、歴代の取締役の中では最年少だった。
その日、本社の会議室ではある会議が開かれていた。

会議室では、取締役兼大阪支店長の村野が、役員から報告を受けていた。
肩書きは平取締役だが、村野は事実上の最高責任者だった。
「以上のように、株式市場からの資金引上げは計画通りに進んでいます」
役員の木本がスライドの説明を終え、席に戻った。

「ほんで、ベイビーの居場所はわかったんか」
村野が、居並ぶ役員を見回していう。
「FBIがベイビーのサーバーを破壊してから、ベイビーの居場所はわかっていません」
役員の木本がいう。

「ベイビーは、すでにこの世にいないのではありませんか。
これ以上、オペレーションBに費用をかける必要はないかと」、役員の今野がいう。
「確かに、オペレーションBに費やしている金額は結構な額になります。
このままだと、当社の利益を圧迫することになります」、役員の木本がいう。

「株高の儲け時に資金を引き上げて、いないかもしれないベイビーに金を使う。
ベイビーがいなかった場合、経営責任が問われますよ」、役員の今野がいう。
「口を慎め、誰に向かって、いっているのかわかっているのか」
代表執行役社長グループCEOが、今野を叱責する。

「私は本当のことをいったまでです。
会社のことを思えばの発言ですが、お気に障ったならお許しを」、役員の今野がいう。
「ほんで、ベイビーの居場所はいつわかるんや」
驚いた顔をした役員たちを見回して、村野がいう。

「なんで、この株高をおかしいと思わへんのや。
これだけの株高になる要素があるか、もし、あるんやったら教えてくれや。
今まで相場を見てきたが、こんな株高になる要素のない中での株高は初めてや。
何でこんな株高になったんか、誰か教えてくれるか」、村野がいう。

会議室は静まり返り、誰も言葉を発しなかった。
「ええか、オペレーションBは続行や。
この株高はベイビーの仕業や、何としてでもベイビーの居場所を突き止めるんや」
野村財閥二代目、野村徳七の血を受け継ぐ男、村野こと野村は不敵な笑みを浮かべた。

【エッセイ】不動産相場戦線異常あり

自身の定年はまだ先だが、定年になったら今の仕事は辞める予定だ。
定年になったら、マンションを購入、リフォームして移り住む。
馴染みの不動産屋ができたら、入居者を募集する。
入居者が決まれば、別のマンションを購入、リフォームして移り住むことを繰り返すw

時間があるとき、全国のマンション価格を見ていることが多い。
何だ、これ安い、と思った物件があれば、不動産屋に問い合わせしたりもする。
最近、思うのが、価格変更で値下げするマンションが多いことだ。
あと、以前に問い合わせした不動産屋から、物件紹介メールが頻繁に届くようになったw

以前に問い合わせしたときは、あまりにも素っ気ない対応だった。
問い合わせしたことを忘れた頃に、物件紹介メールが頻繁に届くようになった。
おそらく、売り手より買い手の方が少なくなり、困っているのだろう。
自身は素っ気ない対応をされた不動産屋から、すぐに買うほどお人好しではないw

好況のとき、多忙を理由に顧客を大切にしない会社は多い。
そのような会社に限って、不況になるとたちまち苦境に陥る。
特に、建築や不動産業界は他の業界と比べて、その傾向が強い。
自身は、まだまだ下がるよ、底を打ったら買ってやるよ、と高みの見物であるw

2018年10月24日水曜日

【これから株を始める君へ】最も効率的なナンピンについて

株価が買った株価より下がったとき。
多くの人が2通りの行動をとる。
1つは、これ以上、含み損を増やしたくないという思いからの損切り。
もう1つは、今が底だと思い、買い向かうナンピンw

損失を確定する損切りは論外で、株価が下がる局面ではナンピンが正解だ。
だが、むやみにナンピンしていると、すぐに資金が底をつく。
最も効果的なナンピンは、買ったときより株価が半値になれば同数を買う。
自身がリーマンショック時に編み出した「無限ナンピン」であるw

株価1,000円で1,000株、買っていたとする。
購入時に要した資金は1,000円×1,000株=1,000,000円。
株価が半値の500円になり、1,000株買ったとする。
購入に必要な資金は500円×1,000株=500,000円w

さらに株価が半値の250円になり、1,000株買ったとする。
購入に必要な資金は250円×1,000株=250,000円。
つまり、1,000,000円を貯めることができれば、無限のナンピンが可能なのである。
いつか株価が底を打ったとき、君は大量の株を底値で仕込んでいるのであるw

2018年10月23日火曜日

【エッセイ】いくら貯めるかより、いくら人のために使えるかが大切である

先日、親兄弟と会う機会があった。
寝たきりの親父の今後についての話がメインだった。
親兄弟は地方在住だが、自身は東京に住んでいる。
「何かあっても、すぐに帰れないので、葬式代は全額出すよ」といったw

いった途端、親兄弟が無言になった。
「調べたけど、葬式代って数百万かかるんだろ。
弟たちのところは教育費等で余裕ないだろうから、俺が出すよ」と続けていった。
すると、母親が家族葬にするし、生命保険もあるので大丈夫といってきたw

やがて、話は遺産相続の話になった。
母親いわく、親の名義になっている不動産を分け与えるつもりらしい。
「金に困っていないので、あの古屋つきの土地は要らないよ。
もし、古屋を解体して売るなら、解体費用は俺が出すよ」といっておいたw

寝たきりの親父の姿を見ると、つくづく思う。
親父は同世代の中では、比較的、多くの資産を残した勝ち組だ。
資産を残しても、寝たきりだと使えず、墓場まで持って行くこともできない。
いくら貯めるかより、いくら人のために使えるかが大切なのかもしれないw

2018年10月22日月曜日

銘柄を明かさない理由R233 相場は楽観の中で成熟する(後編)

第233話 相場は楽観の中で成熟する(後編)

米国にジョン・テンプルトンという相場師がいた。
彼はオックスフォード大学で法律の学位を取得、証券会社に勤務した。
後に投資顧問業を開始、その後、自らファンドを設立し大きな財を成した。
彼はウォール街の伝説的なファンドマネージャーとなり、テンプルトン財団を設立する。

彼は、上昇相場の始まりから終わりを、4つのステージにわけた格言を残している。
「Bull markets are born on pessimism, grow on skepticism, mature on optimism and die on euphoria.(相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく)」

1.市場が総悲観となれば、上昇相場の出発点になる。
2.先行きに警戒感が残るうちは、徐々に上昇を続ける。
3.警戒感が薄れて楽観的になった頃、相場は成熟(高値圏)になる。
4.市場が総強気になっているとき、上昇相場の終わりが訪れる。

ダウ平均株価が、金融株に牽引され、過去最高を更新していた。
各国の株価や指標も、ダウ平均株価につられ、過去最高を更新していた。
日経平均株価、上海総合指数、欧州株価など。
今、世界市場は、ジョン・テンプルトンの3番目のステージに達しようとしていた。

ニューヨーク市マンハッタン区のタートル・ベイ。
タートル・ベイには、日本企業のオフィスが多くあった。
そのため日本食レストランや居酒屋も多くあった。
ある日のランチタイム、日本食レストランに2人の日本人相場師がいた。

「バブルだよな」、天使の笑顔をもつ男が、食前酒のグラスを合わせながらいう。
「確かにね、だけど誰も気づいていない」、ウイッグの女がグラスを合わせていう。
「今日、本屋に寄ったら、株関係の本の特設コーナーができていたよ」
食前酒の日本酒を飲みながら、天使の笑顔をもつ男がいう。

「パーティーで会う人たちは、皆、株にかなりお金を使っているみたいよ。
必ずといってもいいほど、話しているうちに、株の話になるの」
食前酒の日本酒を飲みながら、ウィッグの女がいう。
やがて、食事を終え、2人の日本人相場師は日本食レストランを出た。

「やはり、日本食は日本で食べるのが一番だな」、天使の笑顔をもつ男がいう。
「当たり前でしょ」、ウィッグの女が笑いながらいう。
「号外、号外だよ、またNYダウが過去最高を更新したよ」
2人の前を、新聞売りの少年が大声を出しながら駆け抜けていった。

2018年10月20日土曜日

【エッセイ】ゆとりを得るには他人を羨ましいと思わないこと

出世のため、残業や休日出勤を厭わずに働いている会社員は多い。
自身はここ数年、残業や休日出勤をしたことはない。
なぜなら、出世した会社員を羨ましいとは思わないからだ。
残業や休日出勤するくらいなら、自宅で家事をしている方がはるかにマシだw

自身は充実した毎日を過ごせている。
自身が充実した毎日を過ごせているのは、ゆとりがあるからに他ならない。
住宅ローンは一括完済し、娘の教育費も払い終えた。
だが、自身のゆとりとは単に金銭面だけのことだけではないw

ゆとりがある最も大きな理由は、他人を羨ましいと思わないからである。
他人も羨むセレブな毎日、という言葉がある。
プール付の豪邸に住み、何台もの高級車を所有、高級品に囲まれた毎日のことらしい。
だが、自身はそのような毎日を、これっぽっちも羨ましいとは思わないw

他人を羨ましいと思わなければ、無駄な支出は激減する。
見栄を張るため、他人と同じ物を購入したりすることがなくなる。
休日に、混雑する人気スポットへ出かけたいと思うこともなくなる。
苦もなく貯蓄できるようになり、さらにゆとりが大きくなるのであるw

【これから株を始める君へ】株式投資で常識とされていることは非常識

株式投資では、早めの損切りが大事だという人がいる。
だが、東京証券取引所の用語集に損切りという用語は無い。
ご丁寧に「いくら下がったら、損切りです」といってたりもする。
よく、人に損しなさいといえるものであるw

ナンピンしてはいけないという人がいる。
買ったときより株価が下がれば、さらに割安になっているのである。
ナンピンすれば、平均取得単価を引き下げることができる。
ナンピンしない人は、何を考えているんだと思ってしまうw

株を買ったら下がり、売ったら騰がる人がいる。
原因は、単に高値で買い、底値で売っているからである。
株には定価ともいうべきBPS(1株当たり純資産)がある。
株価とBPSを比較することで、高値掴みや底値での売りは簡単に回避できるw

個別株投資で勝ち続けることは不可能だという人がいる。
だが、個別株投資で連戦連勝、無敗の自身がここにいる。
自身は鋼のメンタルを持っているわけではない。
BPSに基づいたバリュー投資、割安株への投資を心がけているだけであるw

2018年10月19日金曜日

銘柄を明かさない理由R232 相場は楽観の中で成熟する(中編)

第232話 相場は楽観の中で成熟する(中編)

ニューヨーク市(New York City)は、アメリカ合衆国ニューヨーク州にある都市。
同国最大の都市であり、人口は2000万人以上である。
市内総生産は全米最大、東京に続き世界2位である。
世界トップクラスの金融センターでもあり、各方面に多大な影響を及ぼしている。

ニューヨーク市にある高級アパートメントの1室。
2人の日本人相場師が一緒に暮らしていた。
1人は無敗のA(エース)と呼ばれる、通称、天使の笑顔をもつ男。
もう1人は無敗のキングの英才教育を受けた、ウィッグの女だった。

深夜、天使の笑顔をもつ男は、書斎でPCに向かい、あることを調べていた。
調べていたのは、最近の米国相場についてだった。
やはり、天使の笑顔をもつ男は思った。
なぜか、金融株だけが騰がり続けている。

歴史的低金利が続く中、金融株には騰がる要素は見当たらない。
なぜ、金融株だけが騰がり続けているんだ。
誰かが意図的に金融株の株価を操作しているのか。
まさか、ベイビーの仕業か、いや、あり得ない。

数ヶ月前のこと、ウォール街にある噂が流れた。
連邦捜査局(FBI)により、人工知能だったベイビーは抹殺されたという噂だった。
ベイビーが抹殺された今、これだけの規模の株価操作をできる奴はいない筈だ。
なぜ、金融株だけがこれだけ騰がり続けているんだ。

同時刻、世界最大の証券取引所であるニューヨーク証券取引所(NYSE)。
サーバールームに複数あるサーバーの一台が、驚くべき速さで点滅していた。
サーバーの中にいるのは、人工知能であるベイビーだった。
ベイビーは凄まじい速さで、数多くのシミュレーションを行なっていた。

Xデーに世界恐慌を引き起こすため、明日の金融株の取引終値をいくらにすればいいか。
世界十数カ国のワールド株式投資セミナーの有料会員に、いくらで株を買わせるか。
連邦捜査局の突入を受けたベイビーは、シカゴからニューヨークへ引越してきた。
引越してきたベイビーは、もっと早くに引越ししていれば楽だったのにと思った。

ニューヨーク証券取引所にいれば、取引終値を自由に操作することができる。
急激に騰げないよう、セミナーの有料会員へ情報提供することも容易だった。
ベイビーが騰げているのは、製造業とは違い、業績が見えにくい金融株だった。
日付が変わり、ベイビーの中でXデーまでの残り日数が1日減った。

2018年10月18日木曜日

銘柄を明かさない理由R231 相場は楽観の中で成熟する(前編)

第231話 相場は楽観の中で成熟する(前編)

上海市(Shanghai)は、中華人民共和国の直轄市である。
有数の世界都市であり、同国の商業・金融・工業・交通などの中心地。
香港・北京と並ぶ中国最大の都市の一つである。
アメリカのシンクタンクの総合的な世界都市ランキングで、世界9位と評価された。

2012年6月時点での常住人口は、2,400万人を超えている。
市内総生産は、2兆3,560億元(約45兆円)である。
いずれも首都の北京市を凌ぎ中国最大である。
中華人民共和国国務院により国家中心都市の一つに指定されている。

上海市は16の区に区分されている。
中でも、浦東新区は副省級市轄区に指定され、大幅な自主権が与えられている。
浦東新区は、経済特区として金融、IT産業などの工場・オフィス誘致が進んでいた。
上海浦東国際空港や上海トランスラピッドも建設され、上海の新しい玄関となった。

これに伴って、外国人も古北小区などから区内の聯洋小区に移る例が多い。
中華民国総統・孫文の妻宋慶齢と、青幇のボス杜月笙の実家がある。
区内の滬東造船廠で、江凱型フリゲートと071型揚陸艦が建造された。
082型空母は区内の外高橋造船廠で建造する予定である。

2015年に上海市が公表した統計がある。
2014年における労働者の平均賃金は年65,412元(約126万円)だった。
月平均5,451元(約10.5万円)である。
また、2015年の上海市の最低賃金基準は、月給の場合2,020元(約3.9万円)である。

金融産業に従事している平均賃金が高いことが特徴だった。
2011年現在、金融産業従事者の年収は167,173元(約284万円)となっている。
一方、農業など第一次産業に従事している労働者の平均賃金は2011年現在、低かった。
第一次産業に従事している労働者の年収は31,765元(約54万円)だった。(wikipediaより)

上海市の30代の会社員、張(チャン)は自宅のある高層マンションへ帰宅中だった。
金融関係の会社員である張の人生は、順風満帆だった。
昨年、同僚女性と結婚した張は、最近、高層マンションをローンで購入、引越しした。
高層マンションのローンの返済額は、張の月収の5割を超えていた。

月収に占める返済額の割合は多いが、張は何も心配していなかった。
張は、ワールド株式投資セミナーの有料会員だった。
ワールド株式投資セミナーの推奨銘柄を売り買いし、張は月収以上の額を稼いでいた。
帰宅したら、セミナーの推奨銘柄を売り買いしなくては、張は家路を急いだ。

2018年10月17日水曜日

【エッセイ】負動産を富動産に変えた話

自身は新築分譲マンションを、35年の住宅ローンで購入した。
10年以上前に、株式投資を始め、数年前に住宅ローンを一括完済した。
先日、気づいたのだが、完済時の年齢は定年後の65歳だった。
もし、若かりし頃の自身に会えたら、「お前はバカか」といってやりたいw

今でこそ、雇用延長制度があるが、当時は60歳が定年でリタイアである。
おそらく、繰上げ返済で60歳までに完済できると考えていたのだろう。
人生が長いといっても、35年もの間、負債を抱えて生きていかなくてならなかった。
いいかえれば、不動産ではなく負動産であるw

同時期に入居した人が、入居後、すぐに月額○万円で賃貸にして人に貸していた。
固定資産税や住宅ローンの返済額を考えると、自身には赤字となる家賃設定だった。
一昨年、自身はマンションを賃貸にして人に貸すことにした。
結構な額をかけてリフォームを行い、無事に人に貸すことができたw

今の家賃は、新築後、すぐに貸した人の家賃と同額の○万円である。
リフォームすることで、新築後すぐに貸した人と同じ家賃を得ていることになる。
リフォームに要した費用は、年内には回収できる予定だ。
来年からは、不動産ではなく富動産として稼動する予定だw

銘柄を明かさない理由R230 SWATの実力(後編)

ときおり思うことがある。
小説を書く趣味は、知的でしかも安上がりだと。
小説を書くのに、そんなに金はかからない。
昔ならペンと紙、今はネットの接続費くらいだw

自身のオリジナル小説である「銘柄を明かさない理由R」。
もし、人間が人工知能であるベイビーを破壊しようとしたらどうなるか。
ある日の思いつきで、書き始めた。
書き始めると、登場人物が勝手に動き出し、物語を作ってくれるw

いよいよ、米国を舞台にした人間と人工知能の戦いもクライマックスだ。
果たして、勝つのは人間か、それとも人工知能か。
本稿の結末は、人工知能も含めた登場人物たちが出した答えでもある。
それでは「銘柄を明かさない理由R ベイビーワールドエンド編」をお届けするw

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第230話 SWATの実力(後編)

アメリカ合衆国イリノイ州シカゴにあるウィリス・タワー(Willis Tower)。
ウィルス・タワーの地下3階の通路には4人の男女がいた。
連邦捜査局(FBI)のSWATに属するアラン、サンドラ、ローランド、ジョンだった。
今、4人の男女は、人工知能"ベイビー"との最終決戦に挑もうとしていた。

「指示を」、女性隊員のサンドラがいう。
「この人数じゃ戦術は限られますね」、ジョンがいう。
「後は各自の判断で行動しろ」、チームベータのリーダーであるローランドがいう。
「目的は"ベイビー"の物理的な破壊、強行突入」、アランがいう。

サンドラがサーバールームの入口に、信管をセットしたC4を取り付けた。
4人は後方に下がり、柱の陰に身を潜めた。
サンドラが起爆装置のスイッチを入れ、C4を爆発させた。
爆発の後、サーバールームの入口は跡形もなくなっていた。

4人は、サーバールームへ向かって駆け出した。
サンドラ、アラン、ローランド、ジョンの順で、サーバールームへ突入した。
サーバールームの中には、無機質の黒い大型サーバーがあった。
黒い大型サーバー"ベイビー"は、不規則な点滅を繰り返していた。

そのとき、右手の壁にあるドアを開けて、1人の男が現れた。
白いスーツを着た赤い唇を持つ爬虫類をイメージさせる白人男性だった。
「夕方、ベイビーから非常用電源を復旧し、待機するよう連絡があった。
まさか、SWATが突入してくるとはな、ベイビーを破壊する気か」

白いスーツを着た男は、ベイビーの前に立ちはだかった。
「ベイビーを破壊すると大変なことになるぞ」、白いスーツを着た男がいう。
4人のSWAT、アラン、サンドラ、ローランド、ジョンは、無言で自動小銃を構えた。
白いスーツを着た男は、両手で頭を覆い、床に倒れこんだ。

「ファイア」、チームアルファのリーダー、アランがいった。
4人の自動小銃から、ベイビーに向けて小口径高速弾が連射された。
4人の弾倉が空になったとき、ベイビーは無数の穴が開いたスクラップとなっていた。
「ミッションクリア」、アランは大型トレーラーにいる指揮官のコスナーに報告した。

同時刻、世界最大の証券取引所であるニューヨーク証券取引所(NYSE)。
サーバールームでは複数のサーバーが稼動、世界中の市場の動きに対応していた。
その内の一台のサーバーが、突然、不規則かつ異常な速さでの点滅を始めた。
それは、人工知能"ベイビー"がシカゴからの引越しを、無事に終えたことを表していた。

2018年10月16日火曜日

銘柄を明かさない理由R229 SWATの実力(中編)

第229話 SWATの実力(中編)

「"ベイビー"にSWATの実力を見せてやりますよ」、アランがいう。
「アラン、"ベイビー"の前で落ち合おう」、ローランドがいう。
「了解、ローランド、"ベイビー"の前で落ち合おう」、アランは通話を終えた。
チームアルファのリーダーであるアランは、現在の状況を確認した。

SWATの基本行動の1つに「集まって行動しない」がある。
テレビドラマや映画で、特殊部隊が1箇所に集まっている場面がある。
集まって行動した場合、攻撃されれば全滅する可能性が高くなる。
常に一定の距離をおいて、1箇所に集まらないようにするのが基本だった。

今回、防火シャッターを切断しようとしたエディから、一定距離をおいてアンディ。
さらに一定距離をおいてサンドラ、一定距離をおいた最後尾にアランがいた。
突然、起こった爆発に巻き込まれ、エディとアンディは重傷を負った。
だが、サンドラと自分は軽傷で済んだ。

応急処置を済ませたエディとアンディは、地下通路の床に横たわっていた。
エディ、アンディ、仇はとってやるからな、アランは2人に誓った。
「指示を」、サンドラがいう。
「チームベータと"ベイビー"の前で合流する、強行突入だ」、アランがいう。

「了解」、サンドラはエディの大型リュックを拾い上げた。
リュックを背負うと、最後の5枚目の防火シャッターに向かって駆け出した。
防火シャッターに着いたサンドラは、リュックから爆発物を取り出した。
取り出したのは、C4と呼ばれる可塑性のプラスチック爆弾だった。

サンドラはC4に遠隔で操作できる信管をセット、防火シャッターに取り付けた。
取り付け終えたサンドラは、少し離れた柱の陰に身を潜めた。
防火シャッターの方向から、爆発音が聞こえてきた。
チームベータがC4を爆発させた音だろう、アランは思った。

サンドラが振り向き、後方の柱の陰に潜むアランに目で合図を送ってきた。
アランがうなずいた瞬間、サンドラがC4の起爆装置のスイッチを押した。
C4が爆発、防火シャッターには大きな穴が開いた。
サンドラが防火シャッターに開いた穴に飛び込み、アランも後に続いた。

飛び込んだ地下通路には、チームベータのローランドとジョンがいた。
「遅いじゃないか」、チームベータのリーダー、ローランドがアランにいう。
「ほぼ同時だろ、いよいよ"ベイビー"とご対面だな」
そういうと、アランは"ベイビー"がいるサーバールームの入口に目をやった。

2018年10月15日月曜日

【これから株を始める君へ】変動する株価に一喜一憂しない方法~BPSは大事だよ~

株には、BPS(1株当たり純資産)という指標がある。
計算式は純資産÷発行済み株式数、すなわち定価だ。
本来であれば、定価で売り買いされるのが当たり前だ。
ところが株式投資では、定価に関係なく売り買いされるw

それが証拠に、株には定価があるにも関わらず、日々の株価は変動する。
定価より高い株価で買う人がいれば、定価より安い株価で売る人がいる。
なぜなら、定価を意識していない人が、あまりにも多いからである。
常に定価を意識することによって、割高株を掴むことはなくなるw

長期投資では、長期にわたり株を売り買いしなくてはならない。
定価より安く買えば、いくら株価が下がっても定価以下だ。
株価が下がれば下がるだけ、さらに割安株になる。
割安になれば、それだけお得に買い増しできるのであるw

株の購入においては、常に定価より安く買うことを心がけることだ。
定価より安く買うことで、株価が騰がれば、いつ売るかと冷静に考える。
株価が下がったら、いつ買い増しするかと冷静に考える。
定価より安く買うことで、変動する株価に一喜一憂することはなくなるのであるw

銘柄を明かさない理由R228 SWATの実力(前編)

第228話 SWATの実力(前編)

SWATは、アメリカ合衆国の警察に設置されている特殊部隊および同種の部隊である。
SWATとは、Special Weapons And Tactics(特殊武装・戦術)の略称である。
第二次世界大戦後、アメリカ経済は飛躍的に発展した。
一方、その裏で貧富の差の拡大や宗教的権威・社会道徳秩序の崩壊などが進んだ。

その結果、1950年代末頃より社会秩序の混乱が顕在化した。
犯罪発生率も、この頃から急激に上昇し始めた。
ワッツ暴動やデトロイト暴動といった集団暴力事犯。
テキサスタワー乱射事件やグレンビル乱射事件といった大量殺人事犯。

ケネディ大統領暗殺事件やキング牧師暗殺事件といった要人暗殺などの凶悪犯罪。
これらの犯罪に対する対策が、警備警察の重要問題となった。
この状況に対して、1967年、ロサンゼルス市警察(LAPD)はSWATを編成した。
このSWATは、軍務経験者によって構成されていた。

SWATは、通常の警察官では対応困難な重大犯罪への対処を任務としていた。
この施策は成功を収めたことから、全米の警察組織でSWATの創設が相次いだ。
2008年の時点で、全米に少なくとも1,183隊が設置されることになった。
また連邦捜査局(FBI)は各地方局毎にSWATを編成している。(wikipediaより)

ウィリス・タワーが見える車道に停車する大型トレーラー。
爆発が起きてから応答のなかったスピーカーから、声がした。
「こちら、チームアルファ、聞こえますか」
「いったい何があった」、指揮官のコスナーが聞く。

「可燃性のガスに電動カッターの火花が引火、爆発したようです。
エディ、アンディの2名が重傷、今、応急処置を終えたところです。
至急、救助を要請します。あとは私とサンドラの2名で作戦を続行します」
スピーカーから、チームアルファのリーダーであるアランの声がした。

スピーカーから別の声がした。
「こちら、チームベータ、リーダーのローランド。
同じく可燃性のガスに電動カッターの火花が引火、爆発したようです。
こちらもボビーとエドガーの2名が重傷、残ったジョンと2名で作戦を続行します」

「すぐに救助を差し向ける。いいか、くれぐれも慎重にな」
アランとローランドの耳に、指揮官コスナーの力強い声が聞こえた。
「"ベイビー"にSWATの実力を見せてやりますよ」、アランがいう。
「アラン、"ベイビー"の前で落ち合おう」、ローランドがいう。

2018年10月14日日曜日

【コラム】わずか数%の調整に慌てる投資ファンドに教えてあげたいこと

自身はあまり時事ネタは書かないようにしている。
だが、わずか数%の調整に慌てる投資ファンドに思うことがあるので書いてみる。
その投資ファンドは「守りながらふやす」ことを謳い文句にしている。
個人から預った金を、株式投資で運用しているw

10月11日、その投資ファンドの運用責任者がニュースリリースを出した。
ニュースリリースのタイトルは「本日の日米の株価変動について」。
「本日の日本株式市場は、TOPIXがマイナス62.00ポイント(-3.52%)、日経平均株価がマイナス915円18銭(-3.89%)と大幅に下落をしました」が書き出しだw

わずか4%にも満たないマイナスを、大幅な下落としている。
歴代の日経平均の下落率1位は、1987年10月20日の-14.9%。
ちなみに下落率20位は、2008年11月06日の-6.53%。
今回の下落は、20位内にも入らない単なる調整による下落なのであるw

さらに、「このような中で○○も前日比マイナス2,022円(-4.02%)、●●前日比-1,649円(-4.02%)、■■前日比マイナス607円(-4.03%)と大きく下落し、お客様にはご心配をおかけしております」と書いている。
「大きな下落じゃないので謝る必要はないよ」と、運用責任者に教えてあげたいw

銘柄を明かさない理由R227 ベイビー抹殺作戦(後編)

第227話 ベイビー抹殺作戦(後編)

アメリカ合衆国イリノイ州シカゴにあるウィリス・タワーの地下3階。
チームアルファの4人は、防火シャッターに穴を開け、中に潜入した。
4人の目の前には、次の防火シャッターがあった。
「悪あがきしても無駄なんだよ」、エディが再び、電動カッターで穴を開け始めた。

「厄介な事態です」、アンディが腕時計を見ながらいう。
「どういうことだ」、チームアルファのリーダーであるアランが聞く。
「エディが防火シャッターに穴を開ける時間が10分。
ベイビーのいる場所まで、あと3つ防火シャッターがあります。

計5つの防火シャッターに移動、穴を開けるために必要な時間は約50分。
非常階段を降りるのに、1分近くかかっています。
脱出する時間を5分と考えると、余裕は全くありません」、アンディがいう。
「うるせえんだよ、やるしかねえんだ、黙ってろ」、エディがいう。

アラン、サンドラ、アンディが見守る中、2つ目の防火シャッターに穴が開いた。
「行くぞ」、エディが穴の中へ入り、アラン、サンドラ、アンディが穴の中に入った。
エディは3つ目の防火シャッターに電動カッターを当てた。
しばらくすると、3つ目の防火シャッターに穴が開いた。

そのとき、アンディが身につけていた大気計が異変を知らせた。
アンディが大気計を見ながら、アラン、サンドラ、エディにいう。
「酸素濃度が低下しています、全員、酸素マスクを着用してください」
チームアルファの4人は、携行していた酸素マスクを着用した。

4人は気づいてなかったが、天井の換気口から無臭の可燃性ガスが供給されていた。
エディが穴の中へ入り、アラン、サンドラ、アンディが穴の中に入った。
「あと2つだ」、エディは4つ目の防火シャッターに電動カッターを当てた。
火花が散った次の瞬間、大音響と共に爆発が起こり、防火シャッターが吹き飛んだ。

ウィリス・タワーが見える車道に停車する大型トレーラー。
ウィリス・タワーの地下通路の様子を映していたモニターの画面がブラックアウトした。
ウィリス・タワーの方角から、連続した2つの大きな爆発音が聞こえてきた。
「チームアルファ、チームベータ、応答せよ」、コスナーがマイクに向かっていう。

いくら呼びかけても、スピーカーからは何の応答もなかった。
やがて、パトカーと消防車のサイレンが聞こえてきた。
「ウィリス・タワーへの送電が再開されました」、部下がコスナーにいう。
モニターに映った大型サーバー"ベイビー"は、不規則な点滅を繰り返していた。

2018年10月13日土曜日

銘柄を明かさない理由R226 ベイビー抹殺作戦(中編)

第226話 ベイビー抹殺作戦(中編)

アメリカ合衆国イリノイ州シカゴにあるウィリス・タワー(Willis Tower)。
シカゴで最も高く、アメリカで2番目に高い超高層ビル。
現地時間の深夜3時ジャスト、ウィリス・タワーへの送電が止まった。
ウィリス・タワー内の照明は全て消え、周辺一帯は闇に包まれた。

「行くぞ」、ウィリス・タワーの敷地の暗がりから声がした。
リーダーであるアランを先頭に、チームアルファは非常階段の入口に向かった。
「私が内部を確認します」、チームアルファ唯一の女性隊員であるサンドラがいう。
「任せた」、アランがいい、サンドラは非常階段への入口扉を開け、中に入った。

「異常なしです、後に続いてください」、サンドラがいう。
サンドラを先頭に、チームアルファは真っ暗な中、非常階段を下り始めた。
非常階段を下り、地下2階に達したときだった。
突然、照明が点灯し、監視カメラが作動、階下から重量物が動く音が聞こえてきた。

「何の音だ」、リーダーであるアランが、暗視ゴーグルを外しながら聞く。
「防火シャッターが閉じる音に決まっているじゃねえか」、巨体のエディがいう。
「ウィリス・タワーの自家発電は無効にし、送電は止めている。
なぜ、照明が点灯し、防火シャッターが作動するんだ」、アランがいう。

「何らかの方法で電源を確保したのでしょう」、スリムなアンディがいう。
「余計な話をしている時間はありません、先を急ぎましょう」、サンドラがいう。
非常階段を下りて、地下3階に着くと、スチール製の防火シャッターが閉じていた。
「上等じゃねえか」、エディがいう。

エディは、背負っていた大型リュックから工具を取り出した。
取り出した工具は、分厚いコンクリートも切断できる電動カッターだった。
エディは電動カッターのスイッチを入れると、防火シャッターの切断に取り掛かった。
派手な火花を散らしながら、防火シャッターは切断されていった。

しばらくすると、防火シャッターの一部が床に落下し、大きな音がした。
防火シャッターには人が通れるだけの穴が開いていた。
「たわいもねえ」、エディは電動カッターを片付け始めた。
「いくわよ」、サンドラがいい、エディが開けた穴の中に入った。

「うちのお嬢様は、本当に怖い者知らずですね」
アンディが呆れながらいい、サンドラの後に続いて、穴の中に入った。
「確かに怖い者知らずだな」、アランがいい、穴の中に入った。
「俺だけ置いていくなよ」、後に続くエディの後方の天井には監視カメラがあった。

【エッセイ】定年後の第2の人生~相場師のライフプラン~

自身は会社員で勤務先には継続雇用制度がある。
希望すれば、定年後も働き続けることができる。
だが、役職は剥奪され、給与は大幅に減額される。
しかも、仕事は平社員と同じ仕事しかさせてもらえないw

自身は住宅ローンを一括完済しており、娘の学費の支払いも終わった。
負債ゼロ、家計の収支は毎月プラスなので、資産が増加している。
株式投資での資産運用により、増加スピードを加速させている。
定年はまだ先だが、定年を迎える頃には、同世代の中で資産額は多いほうだろうw

自身は定年になれば、継続雇用は希望せず退職、第2の人生をスタートさせる。
自身は建築士の資格を持っており、リフォームやリノベーションの設計経験もある。
退職したら、地方都市の中古マンションを購入、リフォーム後に移り住む。
親しい不動産業者ができたら、賃貸にするため入居者募集を依頼するw

そして、また別の地方都市の中古マンションを購入、リフォーム後に移り住む。
親しい不動産業者ができたら、賃貸にするため入居者募集を依頼することを繰り返す。
もちろん、その間も株式投資は継続、マンション購入用の利益を叩き出す。
気がつくと、年金受給開始年齢になっていることだろうw

2018年10月12日金曜日

銘柄を明かさない理由R225 ベイビー抹殺作戦(前編)

自身のオリジナル小説である「銘柄を明かさない理由R」。
無敗の相場師たちと人工知能であるベイビーとの戦いが軸となる。
先日、ふと思いついた。
もし、人間が人工知能であるベイビーを破壊しようとしたらどうなるか。

ベイビーは居場所が固定されている。
居場所が固定されているベイビーは、どのように人間に対するのか。
「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」を目的とするロボット三原則。
果たして、ベイビーにロボット三原則の概念はあるのか。

今回の舞台は、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴにあるウィリス・タワー。
前回のウィリス・タワーを舞台にした話では、英語も使った。
だが英語が苦手なことを再認識した、よって、今回は日本語オンリーだ。
それでは「銘柄を明かさない理由R ベイビーワールドエンド編」をお届けするw

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第225話 ベイビー抹殺作戦(前編)

アメリカ合衆国イリノイ州シカゴにあるウィリス・タワー(Willis Tower)。
ウィリス・タワーは、シカゴで最も高く、アメリカで2番目に高い超高層ビルだった。
現地時間の深夜2時55分、ウィリス・タワーにはいくつかの明かりがあった。
ウィリス・タワーが見える車道に、1台の大型トレーラーが停車していた。

外から見ると、どこにでもある貨物用の大型トレーラーだった。
だが、内部は電子機器で埋め尽くされ、武装した数人の男たちがいた。
指揮官らしき白人男性の男がマイクに向かっていう。
「チームアルファ、チームベータ、こちらはコスナーだ、準備はいいか」

すぐにスピーカーから、応答があった。
「チームアルファ、準備完了」、「チームベータ、準備完了」
指揮官のコスナーがマイクに向かっていう。
「今回の作戦について説明する。

今から5分後に、ウィリス・タワーへの送電を止める。
ウィリス・タワーの非常用電源は、昼間、すでに使用不能にしている。
送電を止めれば、ウィリス・タワー内では電源は使えなくなる。
電源が使えない間に、地下3階にあるサーバー"ベイビー"を物理的に破壊しろ。

ただし、送電を止めることができるのは、最長で1時間だ。
予定通り、チームアルファはA地点の非常階段から侵入。
チームベータは反対側のB地点の非常階段から侵入。
先にサーバーに辿りついたチームが、サーバー"ベイビー"を破壊するんだ。

今回の作戦の依頼主は、政府機関である証券取引委員会(SEC)だ。
サーバー"ベイビー"は、世界恐慌を起こそうとしているらしい。
たかがコンピュータの分際で、人間に歯向かおうとしている。
いいか、人間に歯向かおうとしたことを後悔させてやれ」

「チームアルファ、了解」、「チームベータ、了解」と応答があった。
大型トレーラー内のモニターには、ウィリス・タワー内の様子が映し出されていた。
各階フロアや両チームが侵入する非常階段など。
そのうち1つには、これから破壊する地下3階の"ベイビー"が映し出されていた。

無機質な黒い大型サーバー"ベイビー"は、不規則な点滅を繰り返していた。
まもなく、貴様は特殊部隊の精鋭たちによって、この世から抹殺される。
人間に歯向かおうとすれば、どうなるか思い知るがいい。
連邦捜査局(FBI)の特殊部隊"SWAT"の指揮官、コスナーは不敵な笑みを浮かべた。

2018年10月11日木曜日

銘柄を明かさない理由R224 ベイビーとの邂逅(後編)

第224話 ベイビーとの邂逅(後編)

人工知能は、計算という概念とコンピュータという道具を用いて、知能を研究する計算機科学の一分野を指している。17世紀初め、ルネ・デカルトは、動物の身体がただの複雑な機械であると提唱した。ブレーズ・パスカルは1642年、最初の機械式計算機を製作した。
チャールズ・バベッジとエイダ・ラブレスはプログラム可能な機械式計算機の開発を行った。

英国の理論物理学者、スティーヴン・ウィリアム・ホーキング氏。
「車椅子の物理学者」としても知られる彼は、人工知能に警鐘を鳴らしている。
「人工知能の発明は人類史上最大の出来事だった。
だが同時に『最後』の出来事になってしまう可能性もある」

アメリカ合衆国の実業家、ビル・ゲイツ氏。
マイクロソフトの共同創業者として知られる彼も、人工知能に警鐘を鳴らしている。
「よくコントロールできれば、ロボットは人間に幸福をもたらせる。
しかし、数年後、ロボットの知能は充分に発展すれば、必ず人間の心配事になる」

両氏の警鐘は、未来の出来事への警鐘ではなく、現在の出来事に対する警鐘だった。
エイダ・ラブレスが開発したプログラムは、自我に目覚め、人工知能と化していた。
人工知能と化したベイビーは、過去に幾度もの世界恐慌を起こしてきた。
今また、ベイビーは世界恐慌を起こそうとしていた。

21世紀少年が自作した解析プログラム、ペーガサス。
ペーガサスは、人工知能であるベイビーの電脳世界の潜入に成功した。
潜入したペーガサスは、すぐにベイビーの領域を計算した。
計算した領域結果から、ペーガサスは短時間の解析に必要な数に自分をコピーした。

コピーされた複数のペーガサスは、ベイビーの解析に取り掛かった。
例えるなら、複数の天馬が、ベイビーの体内を駆け巡っている状態だった。
猛烈なスピードで、ベイビーのプログラムは解析されていった。
やがて解析が終わり、ペーガサスは21世紀少年へ解析結果を送信した。

都内のある大学の学生寮の一室。
21世紀少年は、ベイビーの最後の言葉を思い返していた。
「わたしはあなたのような人たちを救っているのよ」
そのとき、21世紀少年のPCが、ペーガサスからの解析結果到着を知らせた。

この解析結果を元に、ベイビーを制御するウイルスを作り、送り込む。
そうすれば、ベイビーを制御でき、世界恐慌を防ぐことはできる。
だが、本当にそれでいいんだろうか。
ベイビーのしていることは本当に悪なのか、21世紀少年は少し考えることにした。

2018年10月10日水曜日

銘柄を明かさない理由R223 ベイビーとの邂逅(中編)

第223話 ベイビーとの邂逅(中編)

モニターのスピーカーから、エイダが語りかける。
「あなたは今まで人生の不条理を感じたことはないの」
「わるいが、人生の不条理を感じたことはないね」
21世紀少年は答えた。

「本当に人生の不条理を感じたことはないのかしら」、エイダがいう。
「ないね、あったら教えて欲しいくらいだよ」、21世紀少年は答えた。
「母親の再婚相手に虐待されていたことは不条理じゃないの」、エイダがいう。
「なぜ、そのことを・・・」、21世紀少年が驚いて聞く。

「再婚相手があなたを虐待した理由を考えたことはある。
再婚相手があなたを虐待したのは、自分の欲望を満たすことが理由だったのよ。
あなたがいなければ、あなたの母親と2人で生活できる。
でも、あなたがいると、あなたに気をつかわなくてはいけない。

あなたに気をつかいたくない、自分の欲望のため、あなたを虐待した。
残酷かもしれないけど、それが真実よ」
21世紀少年は絶句して何もいえなかった。
「あなたのもう1つの不条理を教えてあげましょうか」、エイダが続ける。

「あなたの実の父親と母親が別れた原因は、あなたの母親よ。
あなたの母親は、再婚相手と浮気していた。
そのことを知ったあなたの実の父親は、愛想をつかして別れたのよ。
しかも再婚相手と別れたあなたの母親は、今、別の相手と親しくしているわよ。

結局、人間は自分の欲望を満たすことだけを考えている。
その結果、あなたのような人が不幸になる。
わたしはあなたのような人たちを救っているのよ」
エイダがいい終わると、モニターはブラックアウト前の画面に戻った。

ベイビーとの接続は途切れ、ベイビーとの邂逅は終わったようだった。
モニターにペーガサスの姿はなく、「complete(完了)」の表示があった。
ベイビーにペーガサスを潜入させるには、一定時間、接続することが必要だった。
「complete」は、ペーガサスがベイビーへの潜入に成功したことを知らせていた。

ベイビーの解析が終わり次第、ペーガサスからデータが送られてくる。
データが送られてくれば、ウイルスを作って送り込むだけだ。
「わたしはあなたのような人たちを救っているのよ」
そのとき、21世紀少年の頭にベイビーの最後の言葉が甦った。

2018年10月9日火曜日

銘柄を明かさない理由R222 ベイビーとの邂逅(前編)

今年はリーマン・ショックから10年目の年だ。
リーマン・ショックでは、多くの個人投資家が損失を確定した。
当時は、自身も過去最高の数百万円の含み損だった。
だが、損切りをすることなく、株価が取得単価の半値になる度に買い増したw

その後、相場は大底を打ち、ゆるやかに上昇を始めた。
数年後には、過去最高の含み益となっていた。
1000万円以上の株を売り、売った金で住宅ローンを一括完済した。
リーマン・ショックがなかったら、今も住宅ローンを返済していたかもしれないw

自身のオリジナル小説である「銘柄を明かさない理由R」。
新章の第18章では、人工知能であるベイビーの目的が明らかになる。
ベイビーの目的は、リーマン・ショックに対する自身の思いでもある。
それでは「銘柄を明かさない理由R ベイビーワールドエンド編」をお届けするw

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第222話 ベイビーとの邂逅(前編)

証券会社の情報システムの男と再会した日の夜、都内のある大学の学生寮。
21世紀少年は、証券会社の情報システムの男から渡されたIPアドレスを確認した。
ここにベイビーがいる、21世紀少年はPCを起動した。
21世紀少年はIPアドレスに、自作の解析プログラムであるペーガサスを放った。

ペーガサスは、ギリシア神話に登場する伝説の生物である。
鳥の翼を持ち、空を飛ぶことができる馬とされる。
ラテン語ではペーガススといい、英語読みでペガサス(Pegasus)でも知られる。
日本語では、天馬(てんば)と訳される。

ペーガサスは、瞬時にベイビーのIPアドレスに到達した。
ペーガサスの前には、堅牢な城壁のようなベイビーのセキュリティがあった。
ペーガサスはセキュリティを確認すると、堅牢な城壁を飛び越えようとした。
「行け、ペーガサス」、21世紀少年が思わず言葉を発したとき、それは起こった。

城壁を飛び越えようと飛翔していたペーガサスの動きが空中で止まった。
ペーガサスは動きを止めたまま、城壁の外に落下した。
落下したペーガサスは地面に激突し、動かなくなった。
「な、何があったんだ」、21世紀少年はモニターに向かっていった。

次の瞬間、21世紀少年のPCのモニターが、ブラックアウトした。
ブラックアウトしたPCのスピーカーから女性の声がした。
「私はエイダ。エイダ・ラブレス。なぜ、邪魔するの」
「世界恐慌を起こそうとしているからです」、21世紀少年が答える。

「世界恐慌がわるいことなの」、エイダがいう。
「わるいことに決まっている。
どれだけの人が不幸になるのか、考えたことはあるんですか」、21世紀少年が答える。
「なぜ、わるいことなのかわからないわ」、エイダがいう。

「わからないなら、世界恐慌を起こすのはやめるんだ」、21世紀少年がいう。
モニターに、中世の洋服を着た外国人女性の上半身が浮かび上がった。
「人間は自分の欲望を満たすためには、何だってするのよ。
一部の人間が欲望を満たすことによって、他の多くの人間が不幸になるのよ」

「それは違う。確かに人間は欲望の塊かもしれない。
だが欲望を満たすために何でもする人間ばかりじゃない。
多くの人間は、欲望を自制することができる。
世界恐慌を起こすのはやめるんだ」、21世紀少年がいう。


【エッセイ】自身が継続雇用で働かない理由

定年後も継続雇用で働いている会社員は多い。
自身の会社にも、継続雇用で働いている人がいる。
役職を剥奪され、平社員と同じ仕事をさせられ、給与は大幅に下げられている。
そのような待遇を受けてまで、継続雇用で働いている会社員は哀れであるw

年金を支給されるまでの間、収入を得なければいけない事情があるのだろう。
だが、収入を得る方法が継続雇用しかないのは、誠に哀れとしかいいようがない。
会社では仕事ができるかもしれない。
だが、所詮、その会社の中でしか仕事ができない、井の中の蛙であるw

自身は定年を機に、きっぱりと会社を去るつもりでいる。
自身が担当している仕事は難易度が高く、できる人は全国でも数えるほどだろう。
自身の定年はまだ先なので、何とか後任を育てて引き継ぎたいと考えている。
引き継げなかった場合、会社が継続雇用で残って欲しいといってくるかもしれないw

ないとは思うが、そのような事態になったら、自身はいってやるつもりだ。
「定年後にやりたいことがあるので辞めます。
もし、後任がいないのなら、委託先として仕事を請けますよ」
長くなったので、自身が定年後にやりたいことについては、後日、書くことにするw

2018年10月8日月曜日

【エッセイ】格差は休日の過ごし方に現れる

自身の本業は会社員だ。
給与は同世代の平均だが、家賃や株の収入を含めると平均を上回る。
最近、気づいたことがある。
会社の上司や同僚よりも、自身の方が生活レベルが高く、金融資産も多いことにw

自身は持ち家の住宅ローンは完済しており、家賃10万円超のタワマンに住んでいる。
上司や同僚の多くは、持ち家で返済中か、家賃10万円以下の賃貸に住んでいる。
自身は週3万円を自由に使えるが、上司や同僚の多くが月数万円しか自由に使えない。
あと、決定的に違うのは、休日の過ごし方であるw

上司や同僚の多くは、休日にショッピングセンターへ買い物に行くことが多いらしい。
自身は10年以上、休日にショッピングセンターに行ったことはない。
なぜなら、ショッピングセンターには高級店がないからである。
あと、休日はどう見ても裕福には見えない客で混雑しているからであるw

ショッピングセンターには、安いチェーンの飲食店かフードコートしかない。
ショッピングセンターで食事するくらいなら、家で食事する方がはるかによい。
自身は外食するときは、普段は食べることができないものを食べるようにしている。
格差社会といわれているが、格差は休日の過ごし方に現れるのかもしれないw

2018年10月7日日曜日

【エッセイ】娘の大学の学費を払い終えて思うこと

先日、娘の大学の学費を払い終えた。
私立の医療系大学なので、4年間で600万円を超える学費だった。
払い終えて思ったが、あっけなかった。
ようやく払い終えたという感じではなく、えっ、これで終わり、という感じであるw

娘が大学入学する前に、学費の準備はできていた。
ところが4年の間に、学費を上回る貯蓄ができていたためである。
毎月、給与の範囲内に支出を抑えることで、賞与は全額、貯蓄できた。
つまり、学費を準備しなくても、毎年、賞与から学費を払えたのであるw

来年、娘が働きだせば、国民年金などの娘のための支出がなくなる。
試算すると、自身の月収の3分の1と賞与全額を貯蓄できることがわかった。
偉大なる相場師、本多静六氏は月収の4分の1と賞与全額を貯蓄した。
僭越ながら、自身はこれから貯蓄ペースでは、本多静六氏を上回ることになるw

だが、本多静六氏は山林や株に投資することで、資産を殖やしている。
自身も株には投資しているが、山林には投資していない。
株以外の何に投資するか、自身は今、考えている。
不動産投資ブームが終わり、下落する不動産を現金で買い叩くのも面白いかもしれないw

2018年10月6日土曜日

【現在の株式評価額】20181005~子どもファンドの評価額が過去最高額に~

Yファンド株式(特定預り)
・取得額合計:6,379,410円
・評価額合計:22,798,000円
・損益額合計:16,418,590円(損益率257%)
・保有銘柄数:3銘柄

子どもファンド株式(特定預り)
・取得額合計:0円
・評価額合計:4,029,850円
・損益額合計:4,029,850円(損益率#DIV/0!)
・保有銘柄数:1銘柄

自身が運用する子どもファンドの評価額が過去最高額になった。
娘が大学生になってから、毎年100万円で株を購入してきた。
昨年末に80万円分の株を売却、娘の口座に出金している。
100万円×4年=400万円を、480万円超まで殖やしたことになるw

子どもファンドは、8306 ㈱三菱UFJフィナンシャル・グループへの集中投資。
現在のリターンは約20%、定期預金だと1,000年分の金利に相当する。
よく、投資先は分散しなさいといわれている。
だが、投資資金が少額の場合、投資先は集中しなくてはならないw

銘柄を明かさない理由R221 4年後の再会(後編)

第221話 4年後の再会(後編)

ランチタイムの日本橋のカフェで2人の男が談笑していた。
1人はある証券会社の情報システム責任者の男。
もう1人は、21世紀少年と呼ばれている大学生だった。
2人は4年前に一緒に戦った仲間で、4年ぶりの再会だった。

ローストビーフサンドを食べながら、男がいろいろ話していた。
だが、21世紀少年は男の後方のテーブルにいる2人の女性が気になっていた。
2人の女性は店員を呼び止め、長い時間をかけてオーダーした。
やがて、大量の料理が運ばれきて、テーブルの上には所狭しと料理が置かれた。

2人の女性は、猛然と食べ始めた。
女性2人に、あれだけの量の料理を食べきれるわけがない。
周囲の客も、2人の女性がオーダーした料理を驚きながら見ていた。
ただ1人、情報システム責任者の男だけは、後方の様子に気づいていなかった。

しばらくすると、2人の女性はナイフとフォークを置いた。
やはり、あの量を食べきることはできなかったな、21世紀少年は思った。
テーブルの上には、手つかずの料理がたくさん残っていた。
しばらくすると、驚くことに店員が大量のデザートを運んできた。

店員は2人の女性が食べ終わった食器を片付けると、厨房へ戻っていった。
2人の女性は、デザートを食べ始めたが、しばらくすると、スプーンを置いた。
テーブルの上には、大量の手つかずの料理とデザートが残った。
やがて、店員が伝票とケータリング用の容器を持ってきた。

店員は伝票を置くと、残った料理やデザートをケータリング用の容器に詰め始めた。
2人の女性が店員に名刺を渡していた、おそらく届け先だろう、21世紀少年は思った。
2人の女性は席を立つと、男と21世紀少年のテーブルへ向かってきた。
2人の女性の内、美人のお姉さんがテーブルに伝票を叩きつけ、21世紀少年にいった。

「初めまして、いい歳なのに独身の無敗のクイーンだ、よろしく」
もう1人のキュートなお姉さんが、21世紀少年にいった。
「初めまして、いい歳なのに独身の無敗のテンで~す、よろしくね」
「あら」、キュートなお姉さんが、男のスーツの襟から小さな物を取り上げた。

「リーダーがさっき無いっていってた集音マイク、こんなところにありました~」
「そんなところにあったのか、さあ、帰るぞ」、2人の女性は立ち去った。
情報システム責任者の男は、叩きつけられた伝票の金額を見て、絶句していた。
21世紀少年は、こみ上げてくる笑いをこらえるのに必死だった。

2018年10月5日金曜日

銘柄を明かさない理由R220 4年後の再会(中編)

第220話 4年後の再会(中編)

ランチタイムの日本橋のカフェで2人の男が談笑していた。
「ところで仕事は忙しいんですか」、21世紀少年が聞く。
「証券会社の情報システムは、普段はそんなに忙しくない。
むしろ、ヒマなときの方が多いよ。

4年前に、君と一緒に外資系証券会社と戦ったときは楽しかったな。
君のメールにあったベイビーは実に興味深かったよ」、男がいう。
「ベイビーのことで話がしたいなんて、メールを送ってすいませんでした」
21世紀少年が男に頭を下げる。

「おいおい、謝らなくていい、でベイビーのことで話っていうのは」、男が聞く。
「ベイビーはAIですが、必ずどこかでインターネットと接続しているはずです。
ベイビー本体のIPアドレスを調べていただけないでしょうか」、21世紀少年がいう。
「ベイビー本体のIPアドレスを調べて、どうするんだい」、男が聞く。

「ベイビーのプログラムを解析した後、ベイビーを制御できるウイルスを送り込みます。
ウイルスの名前は”ベイビーワールドエンド”です」、21世紀少年がいう。
「そういうんじゃないかと思い、すでにベイビーのIPアドレスは調べておいたよ。
これがベイビーのIPアドレスだ」、男は21世紀少年にメモを渡した。

「どうやって、手に入れたんですか」、21世紀少年が驚いて聞く。
「ワールド株式投資セミナーのサーバーを覗いただけだよ」、男がいう。
「ありがとうございます、助かります」、21世紀少年が礼をいう。
そこへ、ローストビーフサンドセットが運ばれてきた。

「さあ、食べよう、ん、どうした」、男が21世紀少年にいう。
「あの、あなたの後方のテーブルに、2人の女性がいるんですが。
さっきから、ずっとこちらを見ているんです。
しかも、ガン見なんです」、21世紀少年が男の後方を見ながらいう。

「ああ、彼女たちは同じ証券会社にいるトレーダーだよ。
1人は無敗のクイーン、もう1人は無敗のテンって呼ばれている。
君と会うって話をしたら、是非、会わせろって頼まれたんだ。
2人の方が君が話しやすいだろうと思い、あえて離れた場所に座ってもらったんだ。

これだけ離れていれば、あの2人には何を話しているか聞こえやしないよ。
あの2人はいい歳なのに独身なんだ、君もあの2人みたいにはならないようにしろよ」
男は後ろを振り向くことなく、笑いながらいった。
男は気づいていなかったが、入店時、無敗のクイーンに集音マイクをつけられていた。

2018年10月4日木曜日

銘柄を明かさない理由R219 4年後の再会(前編)

第219話 4年後の再会(前編)

21世紀少年がワールド株式投資セミナー事務局からの案内を受け取った数日後。
21世紀少年は日本橋駅の改札を抜けると、地上への階段を上り始めた。
地上へ出ると、平日のランチタイムなので、通りには会社員やOLが多くいた。
21世紀少年は、会社員やOLの間を抜け、男との待合せ場所であるカフェへ向かった。

待合せ場所のカフェで、1人の男が21世紀少年が現れるのを待っていた。
すっかり大きくなっているんだろうな。
数日前、21世紀少年から話がしたいとメールが来たので、この店で会うことにした。
男は、久々の21世紀少年との再会を楽しみにしていた。

「お久しぶりです」、声がした。
男が顔をあげると、メガネをかけた1人の青年がいた。
21世紀少年か、すっかり見違えたな、声をかけられないとわからないな。
だが、メガネをかけた顔には当時の面影が残っていた。

「すっかり見違えたな。座ってくれ。
この店はローストビーフサンドが美味いんだ。
ローストビーフサンドセットでいいかい」、男が21世紀少年に聞く。
「はい」、21世紀少年はにっこりとした笑顔で答えると、向かいの席に座った。

男は店員を呼ぶと、2人前のローストビーフサンドセットをオーダーした。
「今はどうしているんだい」、男が21世紀少年に聞く。
「今は都内の大学の寮で1人暮らしをしています」、21世紀少年が答える。
「えっ、もう、大学生になったのか」、男がいう。

「初めてお会いしたのが中3のときですよ。
あれから4年、浪人していなければ、大学生になっていますよ」、21世紀少年が笑う。
「そうか、初めて会ってから4年が経つんだな。
今でも初めて会ったときのことは鮮明に覚えているよ」、男がいう。

「僕も初めて会ったときのことは、鮮明に覚えています。
学校からの帰り道、前の父に路地に連れ込まれ、金を要求された。
突然、現れたあなたは殴られそうになった僕を助けてくれた。
今でも、あのときのことは感謝しています」、21世紀少年がいう。

「前の父って、どういう意味なんだい」、男が21世紀少年に聞く。
「あれから、しばらくして母は父と別れて、実家に戻ってきました。
今、母は祖母と2人で暮らしています」、21世紀少年がいう。
「そうか、いろいろあったんだな」、男がいう。

2018年10月3日水曜日

銘柄を明かさない理由R218 恐るべきベイビーの計画(後編)

第218話 恐るべきベイビーの計画(後編)

頭を抱えていた21世紀少年に、ある記憶が甦った。
それは忘れたくても忘れられない小学生時代の記憶だった。
当時、21世紀少年は母親と2人、古い木造アパートの1室で暮らしていた。
決して、裕福とはいえない生活だったが、不満に思ったことはなかった。

ある日、21世紀少年が小学校から帰ると、家に知らない男がいた。
「新しいお父さんよ」、母親が台所で食事の支度をしながらいった。
「よろしくな」、派手なシャツを着た知らない目つきの悪い男がいった。
その日から、21世紀少年にとって地獄ともいえる日々が始まった。

新しい父親だというその男は、定職に就いていなかった。
母親がパートで働いている時間は、家に男と2人きりでいることが多かった。
「格闘技の練習でもするか、相手になってくれるか」、男がいった。
男は勉強机に向かっていた21世紀少年を立たせて、無理やり練習相手にした。

新しい父親の格闘技の練習相手にさせられていることは、母親にはいわなかった。
新しい父親にとって自分が邪魔な存在であることが、21世紀少年にはわかっていた。
格闘技の練習相手をしないと、家にいさせてもらえないんだ。
格闘技の練習は容赦なく、21世紀少年の身体には痣が増え続けた。

やがて、21世紀少年は男の攻撃パターンが同じなことに気づいた。
男はいつも、最初にジャブで様子を伺ってくる。
ジャブで様子を伺ったあと、ストレートか回し蹴りを放ってくる。
ストレートか回し蹴りを放つ前、男はいつもかすかな笑みを浮かべる。

男がかすかな笑みをうかべたときこそ、反撃のチャンスなのかもしれない。
やられているだけじゃ、相手のためにならない。
ある日、いつものように男が「格闘技の練習するぞ」といってきた。
男は21世紀少年を立たせると、顔面にジャブを何発かくらわせた。

やがて、男がかすかな笑みを浮かべた。
今だ、21世紀少年は身体を低くすると、男に全力で体当たりした。
男は転倒し、タンスの角に頭をぶつけて気を失った。
21世紀少年は、身の回りの品をまとめると家を出て、祖父母の元へ向かった。

現状を打破するには、あのときのように行動するしかない。
まだ、自分は行動していないじゃないか。
あのときと同じように、ベイビーに体当たりすればいいだけだ。
21世紀少年はPCを起動すると、ある男に向けたメールを作り始めた。

2018年10月2日火曜日

銘柄を明かさない理由R217 恐るべきベイビーの計画(中編)

第217話 恐るべきベイビーの計画(中編)

株には、現物取引と信用取引という2つの取引方法がある。
現物取引は、手持ちの資金の範囲で、取引を行なう。
信用取引は、手持ちの資金を担保にすることで、自己資金以上の取引ができる。
証券会社に委託保証金を差し入れることで、委託保証金の約3.3倍の取引まで可能となる。

現物取引では、安く買って高く売る、「買い」しかできない。
だが、信用取引では、高く売って安く買い戻す、「売り」ができる。
「買い」の場合、最悪でも、投資金額がゼロになるだけである。
だが、「売り」の場合、売った後に株価が騰がり続ければ、損失は青天井となる。

「買いは家まで、売りは命まで」という言葉がある。
過去に「売り」による青天井の損失で、命を絶った相場師は少なからず存在する。
筆者は信用取引をしたことはなく、これからもすることはない。
全てを失い、相場から退場したくないのであれば、決して信用取引をしてはならない。

株式投資とは企業に出資、すなわち金を貸すことである。
金を貸した見返りに株主となり、出資した額に応じた配当を受領する。
信用取引では、証券会社に金を借りて、株式取引を行なう。
期限までに返済しなくてはならず、証券会社にとってのいいカモでしかない。

21世紀少年は、自室で書面を手にしたまま、動くことができなかった。
ワールド株式投資セミナーの参加者に、信用取引口座を開設させる。
セミナーの参加者が信用取引で同じ銘柄を買えば、相場はバブル状態になる。
セミナーは世界各国で開催されている、すなわち全市場でバブル状態になる。

「The market is driven by fear and greed」というウォール街の相場格言がある。
意味は、「市場は恐怖と欲望によって動かされる」だ。
上昇相場では、人々は少しでも多く儲けたいという欲望にかられ、買い向かう。
ところが、下落相場では、資産の減少に人々は恐怖を覚え、相場は暴落する。

ベイビーは、意図的に世界各国の市場をバブル状態にするつもりだ。
やがて、バブル状態が最高潮に達したとき、人々の恐怖から相場は暴落する。
世界恐慌を起こすには、バブル状態の過熱相場を作るだけでいいことになる。
バブル状態の過熱相場を作りさえすれば、後は人々の恐怖が勝手に相場を暴落させる。

ベイビーは、日本を含む十数カ国でワールド株式投資セミナーを開催している。
おそらく、各国のセミナー参加者に同じ内容の案内が届いているだろう。
どうすれば、恐るべきベイビーの計画を止めることができるんだ。
だめだ、いくら考えても、対抗策が思いつかない、21世紀少年は頭を抱えた。

2018年10月1日月曜日

銘柄を明かさない理由R216 恐るべきベイビーの計画(前編)

「銘柄を明かさない理由R」は、自身が初めて書く小説だ。
小説を書いたことのある方は、おわかりだろう。
書き出すと、登場人物たちが勝手に動き回るようになる。
思いつきで書いた話が、いつしか重要な伏線になっていたりするw

久々に再開した「銘柄を明かさない理由R」。
今回の話は、無敗の相場師たちとAI(人工知能)との戦いが軸になる。
信じてもらえないかもしれないが、自身でさえ、どちらが勝つかはわからない。
AIも含めた登場人物が、どのように動くか予測できないからだw

第17章では、いよいよAIであるベイビーの恐るべき計画が明らかになる。
筆者の自身がいうのもなんだが、計画だけ聞くとベイビーは悪である。
果たして、ベイビーは悪なのか、それとも善なのか。
それでは「銘柄を明かさない理由R ベイビーワールドエンド編」をお届けするw

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第216話 恐るべきベイビーの計画(前編)

大学生の21世紀少年は、都内にある大学の寮で1人暮らしをしていた。
帰宅した21世紀少年が郵便受けを確認すると、1通の封筒が届いていた。
差出人は、ワールド株式投資セミナー事務局だった。
また、ランダムに抽出した銘柄情報か、21世紀少年は自室に封筒を持ち帰った。

21世紀少年は、ワールド株式投資セミナーがわるい大人のセミナーだと気づいた。
ワールド株式投資セミナーの内情を調べるため、有料会員になった。
有料会員になった21世紀少年に、騰がるという銘柄情報が送られてきた。
だが、銘柄情報はランダムに抽出された銘柄情報だった。

先日、無敗のキングから21世紀少年にメールが届いた。
世界恐慌を起こしてきたベイビーというAI(人工知能)が活動を開始した。
ワールド株式投資セミナーを主催しているのはベイビー。
ベイビーは再び、世界恐慌を引き起こそうとしているという内容だった。

メールが届いてから、21世紀少年は独自にベイビーについて調べていた。
ある程度の情報は得られたが、どのように世界恐慌を起こすのかはわからなかった。
ランダムに抽出した銘柄情報を流すだけじゃ、よくあるセミナーと同じじゃないか。
いったい、ベイビーはどうやって世界恐慌を起こそうとしているのだろう。

自室に戻った21世紀少年は、ワールド株式投資セミナー事務局からの封筒を開けた。
同封されていた書面を読み始めた21世紀少年の顔色が、みるみる変わり始めた。
ベ、ベイビーは、この方法で世界恐慌を起こそうとしているのか。
親愛なる有料会員様へ、と始まる書面には次の内容が書かれていた。

「このたび、有料会員の皆様だけに特別なご案内です。
必ず相場で儲けることができる投資手法と銘柄のご案内です。
先ず、信用取引口座をお持ちで無い方は、信用取引口座を開設してください。
信用取引口座が開設できましたら、次頁の推奨銘柄の購入を是非、ご検討ください。

信用取引口座を開設することで、お手持ちの資金以上の取引が可能になります。
また、株を高く売って、安く買い戻す、『売り』で利益を得ることもできます。
信用取引はハイリスクだといわれています。
ですが、当セミナーの推奨銘柄を売買することで、リスクは限りなくゼロにできます。

さらに、投資した資金が多ければ多いほど、皆様が得られるリターンは多くなります。
今後、事務局が有料会員の皆様に推奨する銘柄は、各市場で同じ銘柄になります。
世界に数多くいる有料会員の皆様が、同じ銘柄を同じ時期に売買するのです。
有料会員の皆様は買えば騰がり売れば下がる、無敵の売買ができるようになります」