2019年10月31日木曜日

【エッセイ】士業だからといって安易に信じてはいけない

子どもの頃、大人は何でも知っていて、エライ存在だと思っていた。
だが、大きくなるにつれ、そうではないことがわかった。
大人でも、無知な大人はいるし、愚かな大人もいる。
そのような大人の中で、もっともタチがよくないのが、人を騙そうとする大人だw

自身は性善説を信じており、自らも人を騙そうとしたことはない。
ところが、こんな聖職者のような自身を騙そうとする奴がいるから驚きだ。
保険やスマホの契約で、不利になる契約に変えさせられそうになったことがある。
いずれも、自身が不利になることに気づいたので、未然に阻止してやったw

亡くなった親父の遺産相続の手続きを任せている司法書士がいる。
先日、司法書士から、わけのわからない書類への押印を求められた。
自身が必要ない書類なので、必要なら理由を説明するよう求めた。
すると、何もいってこなくなったw

司法書士や弁護士のような士業の人のいうことを、何の疑いもなく信じる人は多い。
だが、中には人を騙そうとする士業の人もいるので、安易に信じてはいけない。
えっ、士業の人は人を騙したりしないって。
士業である建築士の自身がいうのだから、ホントのことだよw

2019年10月30日水曜日

【これから株を始める君へ】株式投資で真に大切な情報とは

一昔前、株式投資では、有益な情報をいち早く得た者が勝者だった。
当時の機関投資家は、有益な情報をいち早く得ることができた。
ところが、多くの個人投資家は有益な情報をいち早く得ることができなかった。
したがって、勝てた個人投資家は少数で、まさしく運の要素が大きかったw

だが、情報化社会の現在、機関投資家と個人投資家が得る情報は同じだ。
両者が得る情報の鮮度と内容に差はなくなっている。
世の中には、膨大な量の株式情報が発信されている。
全ての情報を確認できるのは、証券会社のAI(人工知能)くらいだろうw

つまり、機関投資家も個人投資家も、同じ条件の中で投資をしていることになる。
にも関わらず、いつも勝てる個人投資家もいれば、一向に勝てない個人投資家もいる。
同じ条件でありながら、なぜ、勝敗が異なるのか。
答えは簡単で、勝つためには真に大切な情報を見極めることが大切だからだw

では、真に大切な情報は、どのようにすれば見極めることができるか。
これも簡単で、マスコミの報道や株式アナリストの意見を鵜呑みにしなければいい。
彼らは注目を集めたいがために、センセーショナルな情報を優先的に発信している。
株式投資では、株価と定価のBPS(1株当たり純資産)が、真に大切な情報なのであるw

2019年10月29日火曜日

【現在の株式評価額】20191029~全ファンドの評価額が最高額更新~

Yファンド&Kファンド株式(特定預り)
・取得額合計:18,348,466円
・評価額合計:32,261,000円
・損益額合計:13,921,534円(損益率76%)
・保有銘柄数:4銘柄

Rファンド株式(特定預り)
・取得額合計:973,095円
・評価額合計:4,150,800円
・損益額合計:3,177,705円(損益率327%)
・保有銘柄数:1銘柄

Mファンド株式(特定預り)
・取得額合計:9,745,632円
・評価額合計:8,017,050円
・損益額合計:-1,728,582円(損益率-18%)
・保有銘柄数:7銘柄

本日、全ファンドの評価額が増加、買い増し後の最高額を更新した。
以前から、何度も書いているが、今年の相場は3年前の相場にそっくりだ。
3年前の相場では、2月、6月、8月と底を打った。
その後、年末へ向けての上昇相場が続いたw

今年の相場を見ていて、つくづく思うことがある。
なぜ、外国人投資家は過去の相場を振り返らないのだろうかと。
過去の相場を振り返れば、今年の相場が3年前とそっくりなことに気づくはずだ。
まあ、彼らのおかげで儲けることができるのだから、よしとしようw

2019年10月28日月曜日

【現在の株式評価額】20191028~中長期投資家が見ている景色~

Yファンド&Kファンド株式(特定預り)
・取得額合計:18,348,466円
・評価額合計:31,781,500円
・損益額合計:13,433,034円(損益率73%)
・保有銘柄数:4銘柄

Rファンド株式(特定預り)
・取得額合計:973,095円
・評価額合計:4,078,080円
・損益額合計:3,104,985円(損益率319%)
・保有銘柄数:1銘柄

Mファンド株式(特定預り)
・取得額合計:9,745,632円
・評価額合計:7,930,250円
・損益額合計:-1,815,382円(損益率-19%)
・保有銘柄数:7銘柄

Yファンドの保有株が騰がり、微増ながら、評価額が買い増し後の最高額を更新した。
自身の投資スタイルは、中長期投資の現物買いで年間の売買回数は数えるほどだ。
過去には、一度も売買しなかった年もある。
自身が株式投資に費やす時間は少なく、普段は保有株の株価をチラ見するだけであるw

最近、思うことがある。
頻繁に売り買いする短期投資の人は、絶えず株価を見ていなくてはならない。
ところが自身のような中長期投資では、絶えず株価を見る必要はない。
ひょっとすると、中長期投資の人は、短期投資の人の動きを見ているのかもしれないw

2019年10月27日日曜日

【エッセイ】本格始動した黄金のサイクルに思うこと

今年、娘が社会人になり、1人暮らしを始めた。
自身は駅近のタワーマンションで、1人暮らしである。
当たり前だが、1人暮らしだと生活費も1人分しか必要なくなる。
生活レベルは変らないのに、生活費は今までの半分で済むようになったw

すると、生活費を株の配当でまかなえるようになった。
今までは、給与振込口座から、毎週、生活費を引き出していた。
今は配当で生活費をまかなえるので、給与振込口座から引き出すことはなくなった。
引き出すことがなくなったので、口座残高は結構な勢いで増え続けているw

給与振込口座があるメガバンクへ立ち寄っても、通帳に記帳するだけである。
メガバンクの行員には、充分な蓄えがあると思われているかもしれない。
蓄えがあるのなら、なぜ、働いているのか、不思議に思っているかもしれない。
メガバンク株の配当だけで、生活費をまかなっているとは思っていないだろうw

自身は給与振込口座に金を置いておくほど、愚かではない。
年に数度の買い場が来る度に、貯まった金でメガバンク株を買い増していく。
もちろん、高値になれば、元本引上げの売りを行い、タダ株を増やす。
自身の定年はまだ先なので、これからも黄金のサイクルを回し続ける所存だw

2019年10月26日土曜日

銘柄を明かさない理由R285 名のない組織(後編)

第285話 名のない組織(後編)

深夜の新宿駅西口。
「探したぜ、やまちゃん、今夜の寝床はここか」
路上で寝袋にくるまっていたホームレスのやまちゃんは、目を覚ました。
やまちゃんが声の主を見ると、以前、何度か話をしたことがある若いホームレスだった。

「なんだよ、こんな時間に」、やまちゃんが起き上がりながらいう。
若いホームレスは、肩に下げていたリュックを下ろした。
「いい酒が手に入ったんだ、一緒に飲もうぜ」
若いホームレスはリュックから酒を取り出し、路上に並べ始めた。

「おめえ、これって、高級ウィスキーじゃねえか、しかも封も開いてない新品ばかり。
まさか、どっかから、かっぱらってきたのか」、やまちゃんが驚いて聞く。
「そんなことする訳ねえだろ、歌舞伎町で閉店するスナックがあったんだ。
店の後片付けを手伝ったら、お礼にとくれたんだよ」、若いホームレスは説明した。

数時間後、酔いつぶれたやまちゃんの横で、若いホームレスは立ち上がった。
数ヶ月前から、若いホームレスは組織の指示で、ある非合法組織の調査を行っていた。
奴らのことをいろいろ教えてくれて、ありがとうよ、元気でな、やまちゃん。
若いホームレスに扮していた長髪の痩せた組織の男は立ち去った。

都内にあるマンションの一室。
その一室は、外資系証券会社に勤務する組織の男の自宅だった。
半年前、組織は国内に潜入した非合法組織を国外退去させることを決定した。
半年前から、組織は準備してきたが、なかなか行動開始のきっかけを掴めなかった。

ところが今日、突如、インターネットに非合法組織の女の顔が配信された。
配信後、ネット上には、女に関する様々な情報が飛び交った。
ほとんどの情報が役に立たない情報だったが、ある情報は違った。
その情報は一般人にはわからないが、行動開始の決めてとなる極めて重要な情報だった。

組織の面々は、非合法組織を急襲し、国外退去させることに成功した。
並行して、ネットに女の顔を配信した少年の調査も行われていた。
男は、店にいた少年に店を出るよう警告すると、所定の場所までへのルートを送信した。
所定の場所で路上ロケをしていた番組スタッフに扮した男は、少年の連絡先を確認した。

男は組織のデータベースで、少年の素性を調べ終えたところだった。
少年の名はキミシマ ユウト、都内にある学生寮に住む大学生。
だが、通称、21世紀少年とも呼ばれている無敗の個人投資家だった。
来店目的を確認する必要があるな、ジョーカーと呼ばれている組織の男は思った。

2019年10月25日金曜日

銘柄を明かさない理由R284 名のない組織(中編)

第284話 名のない組織(中編)

都内下町の自宅に併設された道場。
正座した数名の門下生が見守る中で、道場主の父親と娘が対峙していた。
防具をつけた女子高生の娘は、同じく防具をつけた父親の隙をうかがっていた。
女子高生の娘が小さい頃から、武術を教えてきた父親がいった。

「近所の者から、新宿の歌舞伎町でお前を見た、と聞いた。
体調不良を理由に稽古を休んでいながら、町で遊んでいたとは情けない。
そんなことをしているから、いつまでたっても全国1位になれんのだ。
その腐った性根を叩きなおしてやる」

女子高生が、ある組織にスカウトされたのは、高校1年のときだった。
全国大会で3位になった帰り道、近づいてきた組織の男はいった。
「もっと強くなりたいなら、組織が実戦の場を提供しよう」
強くなりたかった女子高生は、父親に内緒で、その男が属する組織の提案に乗った。

以来、組織から女子高生に、不定期に実戦の場が提供されるようになった。
今日の歌舞伎町の戦いみたいに、得体の知れない相手と戦う日々が続いた。
防具をつけた女子高生は、道場主である父親を冷静に観察しながら思った。
防具なしの実戦経験は私の方が多い、娘は道場主である父親に攻撃を仕掛けた。

歌舞伎町にある居酒屋。
閉店後の店内では、太った中年男性のアルバイト店員が店長に辞意を伝えていた。
「まさか、生ビールのサーバーを壊したからか」、店長が驚いて聞く。
「ええ、自分にはこの仕事、向いてないなと思って」、アルバイト店員がいう。

「雇われ店長で年下の俺がいうのも何だが、完璧な人間なんていやしないんだ。
失敗することによって、人間は成長していくんだと思うよ。
アンタには言ってなかったが、アンタが来てくれてから、リピーターが増えてるんだ。
俺は、アンタはこの仕事に向いていると思うよ」、店長がいう。

太った中年男性は、数週間前にこの店のアルバイトに応募し採用された。
太った中年男性が応募したのは、組織からの指示によるものだった。
組織は太った中年男性に、歌舞伎町にいた非合法組織の監視を指示した。
また、いざというときには、行動を起こすよう指示していた。

行動を終えた今、いつ非合法組織が自分を探しに来るかわからない。
できるだけ早く、この店を辞めて、痕跡を消す必要があった。
「ありがとうございます。店長の言葉を胸に生きていきます」
太った中年男性は、年下の店長に深々と頭を下げると、居酒屋を後にした。

2019年10月24日木曜日

銘柄を明かさない理由R283 名のない組織(前編)

本ブログには、自身が初めて書いた小説「銘柄を明かさない理由R」がある。
5人の無敗の相場師、ロイヤルストレートフラッシュの物語である。
そして彼らを取り巻く人々の物語でもある。
もちろん、素人が書いた小説なので、プロの方が書いた小説の足元にも及ばないw

「銘柄を明かさない理由R」には、ある組織が登場する。
日本を守る、その目的に賛同した者たちが集まった組織である。
もちろん、自身の空想の組織であり、おそらく実在しないだろう。
だが、もし実在していたら、自身はその組織への協力を惜しまないだろうw

自身は、日本という国が好きで、日本人でよかったと思っている。
四季折々の美しい風景、伝統ある文化、世界から賞賛されるマナーなどなど。
「銘柄を明かさない理由R」には、日本への賛辞という要素もあるのかもしれない。
それでは、「銘柄を明かさない理由R クーロンズ・アイ編」をお届けするw

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第283話 名のない組織(前編)

今から約100年前、日本を守る組織が誕生した。
その組織は、青島の戦いを指揮した軍人が創設した組織だった。
創設時、その組織はある危機感を持っていた。
ある危機感とは、欧米列強による日本を含む東南アジア各国の植民地化だった。

このままでは、日本も欧米列強に包囲され、やがて植民地となる。
組織が出した結論は、植民地となっている東南アジア各国の独立だった。
最終的に日本は敗れるだろう、だが東南アジア各国を独立させることはできる。
組織は自国を含む東南アジア各国のために、欧米列強に自由の戦いを挑んだ。

敗戦国にはなったが、組織は東南アジア各国を独立させることに成功した。
次は経済発展による国力の増強だ、敗戦下の日本で組織は活動を続けた。
戦後の高度成長は、その組織によるものだったといっても過言ではなかった。
彼らは有望な人材に目をつけると、次々と組織の一員とした。

官公庁や大手企業に自営業の店など、あらゆるところに組織の人間がいた。
この国に進出してきた外資系企業であっても、例外ではなかった。
組織はどこからも資金提供を受けておらず、活動資金は各々が負担していた。
日本を守る、その目的に賛同した者たちが集まった組織に名はなかった。

夜の品川コンテナ埠頭。
停車したワゴン車の横で、2人の男が出港していく貨物船を見ていた。
1人はガタイのいいスーツ姿の男、1人は黒マスクをした男だった。
2人は新宿歌舞伎町で、国内に潜入した非合法組織の男女4名を回収した。

2人は回収した男女4名を、国外への移送を担当する組織の者に引き渡した。
2人が見送っている貨物船の中には、担当者と回収した男女4名が乗船していた。
ガタイのいいスーツ姿の男は、胸ポケットからタバコを取り出すと火を点けた。
ようやく、終わったな、男は美味そうにタバコをくゆらせた。

「1本、もらえますか」、黒マスクをしていた男が、マスクを外していう。
「なんだ、喫煙者だったのか」、ガタイのいいスーツ姿の男はタバコを差し出した。
「いただきます」、黒マスクをしていた男はタバコを1本、抜き取ると口にくわえた。
「ほらよ」、ガタイのいいスーツ姿の男は、タバコに火を点けてやった。

「止めてたんですが、横で美味そうに吸われるので」、マスクを外した男がいう。
ガタイのいいスーツ姿の男は、内ポケットから、数枚の紙幣を取り出すと差し出した。
受け取ろうとしないマスクを外した男に、ガタイのいいスーツ姿の男がいった。
「組織の金じゃねえよ、最寄りの駅まで送ってもらうタクシー代で、俺の自腹だ」

2019年10月23日水曜日

【これから株を始める君へ】投資で勝てない人に共通すること

自身は株式投資を始めてから、連戦連勝の無敗だ。
また、所有するマンションを人に貸しており、家賃収入を得ている大家でもある。
不動産で家賃収入を得ることを、不動産投資という人がいる。
自身からすると、不動産での家賃収入はリターンが低いので投資とは呼ばないw

自身の周囲にも、株式投資をしている人が何人かいる。
だが、自身の知る限り、自身のように連戦連勝で無敗の人はいない。
話を聞くと、彼らは株で損失を確定しているか、長期の含み損である。
彼らは投資先、もしくは投資時期を間違えたというが、真の理由はそうではないw

投資で勝てない彼らに共通することは、追加投資(ナンピン)しないことである。
彼らは含み損が増え始めると、恐怖から追加投資することをためらう。
もちろん、投資先の企業が倒産すれば、投資した金は戻ってこない。
だが、倒産しそうにない大手企業に投資すれば、倒産リスクはノーリスクにできるw

株には定価ともいえるBPS(1株当たり純資産)があるが、株価はBPS通りにならない。
だが、本来の株価はBPSなので、いつか株価はBPSに近づいていく。
追加投資しなければ、当然ながら、含み損を解消するために長い期間を要する。
株価が買値の半値になろうが、己を信じて、追加投資できるか否かが重要なのであるw

2019年10月22日火曜日

【ショートショート】投資情報会社から届いたメール

会社員の男は持ち家を所有しているが、株で住宅ローンを一括完済していた。
男は保有する株の配当で、月々の生活費をまかなっており、経済的に余裕があった。
会社の仕事でストレスを感じることはなく、男にとって仕事は道楽でしかなかった。
定時で退社する男は時間的にも余裕があり、毎日のようにブログを更新していた。

ある日のこと。
帰宅した男が受信トレイを確認すると、1通の新着メールが届いていた。
メールの送り主は、聞いたこともない会社だった。
どんな用件だろう、男はメールを開いて読み始めた。

「はじめまして、株式会社かもねぎと申します。当社は投資情報を配信している会社です。ブログを拝見したところ、投資の知見がおありのようですので、ご連絡を差し上げました。当社サイトへのリンクをブログに貼っていただくと、アクセス数に応じた謝礼を差し上げます。仕事のようなストレスを感じることなく、手軽に副収入を得ることができます。当社へのリンクをブログに貼られた方の中には、当社からの謝礼で月々の生活費をまかなっている方もおられます。当社からの謝礼を得ることによって、経済的にも時間的にも余裕ができ、毎日のようにブログを更新することもできますよ。是非、この機会に当社サイトへのリンクをブログに貼ることをご検討ください。お問い合わせは・・・」

必要ないので、他を当たってくれ。
男はメールを最後まで読むことなく、ごみ箱に移動したw

2019年10月21日月曜日

銘柄を明かさない理由R282 防衛の最前線(後編)

第282話 防衛の最前線(後編)

新宿歌舞伎町を囲む大通り。
裏通りを駆け抜けてきた21世紀少年は、立ち止まると振り返った。
振り返ったが、追ってくる男の姿はなかった。
助かった、21世紀少年は膝に手をつくと、肩で息をして、動悸が治まるのを待った。

全力疾走するなんて、何年ぶりだろう。
ようやく動悸が治まると、21世紀少年は近くにある自動販売機に向かった。
喉がかわいた、体が水分を欲しがっている。
21世紀少年はミネラルウォーターを買うと、自動販売機の横にへたり込んだ。

21世紀少年はキャップを開けると、ミネラルウォーターを一気飲みした。
疲れた、21世紀少年は空になったミネラルウォーターのボトルを地面に置いた。
空のボトルを置くと、両手で膝を抱え込み、膝の上に頭を乗せた。
通行人の何人かが、21世紀少年を見たが、無関心を装い通り過ぎていった。

しばらくして、ようやく動けるようになった21世紀少年は立ち上がった。
地面に置いていた空のボトルをゴミ箱に捨てると、最寄り駅に向かって歩き出した。
大通りは交通量も多く、行き交う人も多かった。
会社帰りらしいサラリーマンやOL、同年代らしい若い男女も多くいた。

同年代らしい若い男女のグループが、楽しそうに笑いながら居酒屋に入っていった。
自分とは違って、気楽な人生を送ってるんだろうな、21世紀少年は思った。
そのとき、21世紀少年の周囲が明るく照らされた。
右手にマイクを持った派手なドレス姿の若い女性が、21世紀少年の前に現れた。

「突然ですが、ぴーたんの東京らぶらぶ♪でぇ~す。
インタビューしても、いいですよね、えっ、いいんですか、あざーっすでぇ~す」
21世紀少年が周囲を見ると、カメラマンや照明器具を抱えたスタッフがいた。
誰もいいって言ってないだろ、21世紀少年は呆れた。

最近、テレビによく出ているバラエティアイドルが、21世紀少年に質問した。
「おにいさんの東京らぶらぶを教えてください」
マイクを差し出された21世紀少年は両手を上げると、胸の前で小さな×印を作った。
「残念ですぅ~」、バラエティアイドルとスタッフは、別の通行人に向かっていった。

21世紀少年に、インカムをつけたカジュアルな番組スタッフらしき男が近づいてきた。
「申し訳ないです、放送しませんが、念のため、名前と連絡先を教えていただけますか」
21世紀少年は男に名前と連絡先を伝えると、最寄り駅へ向かって歩き出した。
番組スタッフを装った組織の男は、さりげなくインカムを外すと人ごみの中へ消えた。

2019年10月20日日曜日

【コラム】なぜ、天才相場師は寄付をしなかったのか

福澤桃介という偉大なる相場師がいた。
彼は貧しい家に生まれ、のちに「黄金の化身」と称された天才相場師である。
彼は義援について、彼なりの自論を持っていた。
「われわれには義援をする資格がない。資格がないから義援をする必要がない」

「そもそもこの慈善というものは、人を哀れむ、可哀想だという慈悲心から出すもので、世の中から義援をしろと強要(オップレス)されて出すものではない。かつわれわれは、人にデペンドしている、人に寄りかかって生活している。つまり寄生虫である以上は、一銭一厘たりとも、人に与える資格はないのである」(「福澤桃介式」より)

最初に、彼の寄付に対する自論を読んだとき、自身は違和感をもった。
確かに彼の自論は正論かもしれないが、拝金主義とも受け取られかねない。
だが、最近になって、彼が寄付をしなかった真の理由がわかってきたような気がする。
相場師は株で儲かると一定の税金を納めており、自身も結構な額を納税しているw

納めた税金は、社会のインフラ整備にも使われる。
インフラ整備には、災害を未然に防止するための公共工事もあるかもしれない。
つまり、相場師は常日頃から、インフラ整備のための税金を納めていることになる。
事が起こってから、寄付を強要してくる連中よりも前に、寄付しているのであるw

【エッセイ】軽減税率が適用されなかった調味料

先日、仕事で大阪へ出張した。
仕事が終わり、1人暮らしで自炊している娘への土産を探していた。
大阪らしい調味料があったので買うことにした。
レジで金を払い、いつも貰うようにしているレシートを貰って、帰ってきたw

娘から、娘宛に届いた郵便物を取りにいくと連絡があった。
大阪土産を渡さねばと、袋から出すことにした。
袋から出すときに、レシートが落ちた。
そういえば、いくらだっけとレシートを見て、あることに気づいたw

本来であれば、調味料は軽減税率が適用されるので、消費税8%である。
ところが、レシートの消費税率は10%になっていた。
みりんのようにアルコールが入っているわけでもない。
いくら考えても、消費税10%になった理由がわからなかったw

娘が来たので、娘宛の郵便物と大阪土産を渡した。
大阪土産を見た娘が、「何これ」と聞いてきた。
自身が「梅干し味とカレー味の調味料だよ」と答えると、驚いていた。
下は大阪土産の画像だが、娘には調味料に見えなかったようであるw

2019年10月19日土曜日

銘柄を明かさない理由R281 防衛の最前線(中編)

第281話 防衛の最前線(中編)

新宿歌舞伎町を囲む大通り。
「コイツ、こんなとこにいやがったのか、お嬢さん、怪我はないか」
ガタイのいいスーツ姿の男性は倒れている男に近づくと、横の女子高生にいった。
「いきなり、ぶつかられてチョー迷惑なんですけど」

尻餅をついていた女子高生が立ち上がりながら、ガタイのいいスーツ姿の男性にいう。
「すまねえな、コイツはこの町になれてないみたいなんだ、許してやってくれ」
ガタイのいいスーツ姿の男性が、女子高生に謝った。
「ホント、早く"回収"してよね」、女子高生はいうと、その場を立ち去った。

ガタイのいいスーツ姿の男性は、倒れている男を立たせると、肩の下に手を回した。
「しっかりしろよ、お嬢さんに迷惑かけやがって。
今から連れて帰って、じっくりと話を聞かせてもらうからな」
肩の下に手を回した男に小声でいうと、ガタイのいいスーツ姿の男性は歩き始めた。

ガタイのいいスーツ姿の男性が歩き始めて、しばらく経ったときだった。
1台のワゴン車が、短くクラクションを鳴らして横に停車した。
ワゴン車の運転席から、鳥のくちばしのような黒マスクをした男が降りてきた。
黒マスクをした男は、ワゴン車の後部座席のドアを開けた。

ワゴン車の後部座席には、派手なシャツを着た2人の気を失った男がいた。
奥には、気を失っているチャイナドレスを着た若い女性もいた。
ガタイのいいスーツ姿の男性は、後部座席に自分が運んでいた男を乗せた。
黒マスクをした男は後部座席のドアを閉めると、運転席に乗り込んだ。

ガタイのいいスーツ姿の男性も助手席のドアを開くと、ワゴン車に乗り込んだ。
ガタイのいいスーツ姿の男性は、胸ポケットからタバコを取り出すと火を点けた。
「一仕事終えたんだ、禁煙なんていうなよ」、運転席の黒マスクをした男にいった。
黒マスクをした男は、軽く咳き込むと、ワゴン車を走らせ始めた。

走るワゴン車の助手席で、ガタイのいいスーツ姿の男性は思い返していた。
ガタイのいいスーツ姿の男性は、日本を守る組織の一員だった。
半年前、ガタイのいいスーツ姿の男性に、組織から指示があった。
指示は、国内に潜入した非合法組織を国外へ退去させろという内容だった。

今回の作戦が大きく動いたのは、ある少年が狙いの店を訪れたからだった。
そのとき、ガタイのいいスーツ姿の男性のハンズフリーフォンに着信があった。
電話をしてきた相手は、これから、その少年と接触すると伝えてきた。
「素性を確認しろ」、ガタイのいいスーツ姿の男性は手短に指示を伝えた。

2019年10月18日金曜日

銘柄を明かさない理由R280 防衛の最前線(前編)

第280話 防衛の最前線(前編)

新宿歌舞伎町の裏通り。
短く刈った頭髪に、派手なシャツを着た1人の男が全力で走っていた。
あと、もう少しで、この町から出ることができる。
しかし、この町は何なんだ、全力で走りながら男は思った。

少し前、後ろで音がしたので振り返ると、後方の男が倒れていた。
倒れた男の横に立つ居酒屋の店員が持つビールサーバーは、大きく変形していた。
居酒屋の店員が、後方の男を襲ったのは間違いない。
ホームレスの男はまだしも、なぜ、居酒屋の店員が襲ってくるんだ。

この町の全てが敵なのか。
しかも、あのホームレスの男は、何のためらいもなく、酒瓶で人の顔面を強打した。
何のためらいもなく、顔面を強打できる奴は、そうそういるもんじゃない。
ためらいもなく、顔面を強打できるのは、過去に顔面を強打したことがある奴だけだ。

一刻も早く、仲間にこの町が危険であることを伝えなくては。
あと少しで大通りだ、男は速度を緩めることなく走った。
男が大通りに出る直前。
1人の女子高生が、死角から目の前に現れた。

ぶつかると思った男の前で、女子高生はこちらに顔を向けた。
こちらを見た女子高生の顔は、戦闘モードだった。
目の前の女子高生が、男の視界から消えた。
次の瞬間、男は人体の急所、みぞおちに強烈な衝撃を感じ、意識を失った。

「いったあ~い」、女子高生の声が大通りに響いた。
通行人が見ると、女子高生が尻餅をついていた。
女子高生の横には、短く刈った頭髪に、派手なシャツを着た男が倒れていた。
通行人の誰もが、女子高生と派手なシャツを着た男がぶつかったのだと思った。

だが、通行人の1人、ガタイのいいスーツ姿の男性は何が起こったのか、わかっていた。
男とぶつかる直前、女子高生は自ら後方へ倒れこんだ。
両手をついた女子高生は、派手なシャツを着た男のみぞおちに蹴りを入れた。
おそらく、派手なシャツを着た男は、何が起きたのかわからなかっただろう。

倒れこみながら、狙ったところに蹴りを入れるには、相当の修練が必要だ。
あれだけの武術を体得した若者を、組織はよく見つけてきたもんだ。
さてと、俺のミッションである"回収"を果たすとするか。
ガタイのいいスーツ姿の男性は、倒れている男へ向かって歩き始めた。

銘柄を明かさない理由R279 迷宮都市(後編)

本ブログには、自身が初めて書いた小説「銘柄を明かさない理由R」がある。
5人の無敗の相場師、ロイヤルストレートフラッシュの物語である。
そして彼らを取り巻く人々の物語でもある。
もちろん、素人が書いた小説なので、プロの方が書いた小説の足元にも及ばないw

素人が書いている小説にも関わらず、拍手してくれる読者がいる。
読者に拍手していただけるのは、作者冥利に尽きる。
「銘柄を明かさない理由R」は将来、自費出版したいと考えている。
男友達には高値で売りつけるが、女友達と拍手をいただいた読者には無償で配布したいw

「銘柄を明かさない理由R」には、これまでもアクションシーンがあった。
これから始まるアクションシーンは、もちろんフィクションだ。
自身の思い描いたシーンが、映像として読者に伝わることを願っている。
それでは、「銘柄を明かさない理由R クーロンズ・アイ編」をお届けするw

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第279話 迷宮都市(後編)

新宿歌舞伎町の裏通り、21世紀少年は、逃走経路らしきルートを走っていた。
背後からは、3人の無表情の男が追ってきていた。
目の前に、酒の空瓶を漁っている長髪で痩せたホームレスらしき男がいた。
ホームレスらしき男は、左手で酒の空瓶を高く掲げると、大きく口を開けた。

空瓶に残っていた酒が数滴、ホームレスらしき男の口に落ちた。
21世紀少年は、ホームレスらしき男の横を駆け抜けた。
3人の無表情の男は、21世紀少年の後を追っていた。
先頭の男が、ホームレスらしき男の横を駆け抜けようとした。

ホームレスらしき男は、酒瓶を右手に持ちかえると、先頭の男の顔面に叩きつけた。
酒瓶は砕け、先頭の男は地面に転がり、動かなくなった。
「あ~あ、せっかくの酒が台無しだ、弁償してもらわないとな」
ホームレスらしき男は、割れた酒瓶を投げ捨てると、立ち止まった2人の前で身構えた。

「弁償だよ、弁償、日本語わかるか、まさか、わかんねえんじゃねえだろうな」
ホームレスらしき男の隙のない構えに、2人は身を翻して逃げ出した。
「2人逃げたが、1人は確保した、早く"回収"に来い」
ホームレスらしき男は、長髪に隠れたハンズフリーフォンの通話相手にいった。

歌舞伎町にある居酒屋。
数週間前に採用された太った中年男性のアルバイト店員は、店長の悩みのタネだった。
「スマホを見る暇があるなら、仕事しろ」
年下の店長に怒られても、アルバイト店員はヒマさえあると、スマホを見ていた。

ある日、スマホを見ていたアルバイト店員が、店長にいった。
「生ビールのサーバーが空になったので、外に出しておきます」
店長はようやく、アルバイト店員がやる気になったのかと思った。
「気が利くじゃないか、頼むわ」、店長はいった。

アルバイト店員は、店の裏通りに円筒形の生ビールのサーバーを両手で運び出した。
そのとき、こちらへ駆けてくる足音が聞こえた。
足音がする方向を見ると、無表情の2人の男がこちらに向かってきていた。
1人目の男がアルバイト店員の横を通り過ぎ、2人目の男が通り過ぎようとした。

アルバイト店員は力を込めると、生ビールのサーバーを下から斜めに振り上げた。
斜めに振り上げたサーバーは、2人目の男の顔面を強打、男は倒れて動かなくなった。
変形した生ビールのサーバーからは、大量に残っていた生ビールが噴き出していた。
アルバイト店員はサーバーを置くと、スマホに「"回収"よろしく」と打ち込み送信した。

2019年10月17日木曜日

銘柄を明かさない理由R278 迷宮都市(中編)

自身は会社員だが、基本、定時で退社するようにしている。
なぜなら、残業ほど、費用対効果のよくないものはないからだ。
自身の勤め先にも残業する人がいるが、時間でしか金を稼げないからだろうと思う。
株を教えてもよいのだが、そもそも株をしようとする人は残業しないw

自身は用事があるとき以外は、まっすぐ家に帰っている。
家に帰って、家事を終えても、就寝するまで時間はたっぷりとある。
相場の変動が激しいときは、株のトレードプランを考える。
だが、相場の変動が激しいときは、そうそうあるものじゃないw

そういうときは、趣味の小説を書いて、ブログにアップしている。
書いていると、次から次へとアイデアが浮かび、時間が経つのを忘れることがある。
ときおり思う、今が自身にとって、最も人生が充実しているときではないかと。
それでは、「銘柄を明かさない理由R クーロンズ・アイ編」をお届けするw

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第278話 迷宮都市(中編)

「この店にクーロンズ・アイはありますか」、21世紀少年は尋ねた。
「あるわよ」、女性店主は即答した。
女性店主は左手を上げると、21世紀少年の背後の壁を指差した。
21世紀少年は驚きながら、背後の壁を振り返った。

背後の壁には、色あせた同名映画のポスターが貼ってあった。
「この映画は、お気に入りの映画なのよ。
昔の映画だけど、アクションシーンが格好良くて、今でも観ているのよ」
女性店主が笑いながらいう。

だが、21世紀少年が驚いたのは、同名映画のポスターがあることではなかった。
女性店主は左手を上げて、21世紀少年の背後の壁を指差した。
人間は加齢に伴い、鍛えにくい腕の内側にシワやたるみが生じる。
だが、女性店主の腕の内側には、加齢からくるシワやたるみが一切なかった。

21世紀少年は、昼間に出会った女性の顔をネットで配信した。
普通であれば、瞬く間に身元を特定できる有益な情報が集まってくる。
だが、女性の身元を特定できる有益な情報は集まらなかった。
ま、まさか、昼間の女性店主の姿が、メイクした仮の姿だったのか。

そのとき、21世紀少年のメガネに、女性に重なるように警告が表示された。
「いますぐ店を出ろ」、続いて、最寄り駅までの逃走経路らしきルートが表示された。
21世紀少年の本能も、この店が危険だと知らせていた。
誰の警告かわからないが、ここは素直に警告に従ったほうが賢明かもしれない。

「さてと気になっていた店の中も見れたので帰ります、おいくらですか」
21世紀少年は席を立ち上がるといった。
「飲んでいないから、お代は要らないわよ、気をつけて帰ってね」
カウンターの中から、女性店主が笑顔でいった。

店を出た21世紀少年は、表示されたルートに従って最寄り駅に向かうことにした。
ただならぬ視線を感じて見ると、ルートとは反対方向に3人の男が立っていた。
短く刈った頭髪に、派手なシャツを着た3人の男たちだった。
3人の男たちは、21世紀少年を無表情に見つめていた。

21世紀少年は、かって父親から虐待されていたことがあった。
だが、虐待していた父親も、あのような無表情な顔で自分を見たことはなかった。
身の危険を感じた21世紀少年は、ルートに従って走り始めた。
3人の男は無表情のまま、21世紀少年の後を追いかけ始めた。

2019年10月16日水曜日

銘柄を明かさない理由R277 迷宮都市(前編)

本ブログには、自身が初めて書いた小説「銘柄を明かさない理由R」がある。
5人の無敗の相場師、ロイヤルストレートフラッシュの物語である。
そして彼らを取り巻く人々の物語でもある。
もちろん、素人が書いた小説なので、プロの方が書いた小説の足元にも及ばないw

主要登場人物は、無敗の天然こと10(テン)、無敗の相場師J、無敗のクイーンことQ。
無敗の大物相場師キングことK、無敗の若き相場師エースことAである。
小説を書いたことがある方は、おわかりだろう。
小説を書くことは、自分の頭の中に浮かんだイメージを文章にすることだw

文章にしていると、次から次へとアイデアが生まれることがある。
よくいわれる、登場人物たちが勝手に動き出す状態である。
先日から「銘柄を明かさない理由R」の登場人物たちが勝手に動き出している。
それでは、「銘柄を明かさない理由R クーロンズ・アイ編」をお届けするw

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第277話 迷宮都市(前編)

新宿歌舞伎町の裏通り。
21世紀少年は、目的の女性の名前を店名にしたスナックに向かっていた。
店につく頃には、開店時間になっているはずだ。
しかし、あの女性、只者じゃない、21世紀少年は確信していた。

21世紀少年は、昼間に出会った女性の顔をネットで配信した。
普通であれば、瞬く間に身元を特定できる有益な情報が集まってくる。
だが、女性の身元を特定できる有益な情報は集まらなかった。
情報化社会の現在、身元を特定できない人間なんて存在するはずがない。

店の前についた21世紀少年は、開店時間を過ぎていることを確認した。
店のドアを開けると、中はカウンター席が10席ほどの古びた内装の店だった。
開店時間直後なので、店の中に客は1人もおらず、店主らしき女性1人だけだった。
「いらっしゃいませ、あら昼間の若い子じゃない」

カウンターの中には、チャイナドレスを着て、若作りした店主らしき女性がいた。
「中の雰囲気が、どうしても気になって、来てしまいました」
メガネをかけた21世紀少年はいうと、にっこりと微笑んだ。
「変った子ね、いいわよ、気の済むまで見ていって」、店主らしき女性が笑う。

21世紀少年は、入口に近い手前のカウンター席に座った。
ピーナッツの入った小皿を差し出しながら、「ご注文は」と女性店主が聞く。
「2,000円しかないので、2,000円で飲めるものをください」、21世紀少年がいう。
「わかりやすい注文ね」、女性店主はいうと、ウイスキーの水割りを作り始めた。

「どうぞ」、女性店主はいうと、21世紀少年の前にグラスを置いた。
「ありがとうございます」、21世紀少年はグラスを持つと、口をつけた。
舌で味を確認したが、変な味はしなかった、だが油断は禁物だ。
21世紀少年は飲んだフリをして、グラスを置いた。

自分を見つめる女性店主に21世紀少年は思った。
本当に、昼間に会った女性と同じ女性なのか。
いくらメイクで若作りしたとしても、どう見ても20代にしか見えない。
昼間に会っていなければ、同級生だといわれても信じただろう。

さて、得体のしれない店に長くいるのは危険だ。
とっとと聞きたいことを聞いて、店を出るとしよう。
「この店にクーロンズ・アイはありますか」、21世紀少年は尋ねた。
「あるわよ」、女性店主は即答した。

2019年10月15日火曜日

銘柄を明かさない理由R276 ベイビーの伝言(後編)

第276話 ベイビーの伝言(後編)

歌舞伎町は東京都新宿区の飲食店・遊技施設・映画館が集中する歓楽街である。
町の中にはキャバクラ、ホストクラブ、ラブホテル、パチンコ店などが立ち並んでいる。
「眠らない街」と呼ばれ、深夜になってもネオンで明るく人通りも多い。
歌舞伎町には独特の雰囲気があり、「東洋一の歓楽街」とも呼ばれている。

現在では様相はさらに変容し、3,000軒を数えるバー、キャバレー、ラブホテルなどが密集し、「欲望の迷宮都市」「外国人労働者の新租界」等とも評されている。
歌舞伎町は世界でも有数の夜の盛り場に数えられていて、近年では、中国や韓国からの観光ツアー客も多く、昼間はよくツアーコンダクターが導く姿が見かけられる。(Wikipediaより)

平日の昼下がり、21世紀少年は歌舞伎町の目的の店に向かっていた。
目的の女性名を店名にしたスナックは、歌舞伎町の裏通りに入口があった。
ここか、店の看板を見つけると、21世紀少年は立ち止まった。
看板は設置されてから年数が経過しているのか、ところどころ塗料が剥げていた。

「うちの店に何か御用かしら」、看板を見ていると、背後から声をかけられた。
振り返ると、買い物かごを手に持った母親と同い年くらいの女性がいた。
「中はどんな雰囲気の店なのかなと思って、看板を見ていました」
メガネをかけた21世紀少年は、答えるとにっこりと微笑んだ。

「うちの店は、そんなたいした店じゃないのよ。
古くからの常連さんがいるから、何とかやっていけてるだけの店よ。
今から開店準備があるので、失礼するわね」
いうと、母親と同い年くらいの女性は店の中に入っていった。

しかたない、出直すか、21世紀少年は店を後にした。
だが、昼の女性の顔をネット配信できたのは、ラッキーだった。
女性の顔は、メイクによって、驚くほど変る。
さっきの女性のメイクは、さほど濃くなかった。

21世紀少年のメガネは、ハイテク仕様の特注品だった。
女性の顔をネット配信、それに関する情報を受信することができた。
メガネには、21世紀少年が見た女性に関する情報が映し出され始めていた。
出直してくる頃には、いくつかの有益な情報が得られているだろう。

2019年10月14日月曜日

銘柄を明かさない理由R275 ベイビーの伝言(中編)

第275話 ベイビーの伝言(中編)

平日の深夜、都内のある大学の学生寮。
学生寮の一室で、21世紀少年はあるワードについて調べていた。
調べていたワードは、「クーロンズ・アイ」だった。
ヒットした数万件の検索結果を、21世紀少年は数日前から調べ続けていた。

「クーロンズ・アイ」は、人工知能"ベイビー"のダイイングメッセージ。
「クーロンズ・アイ」には重要な意味があるに違いない。
数万件の検索結果からは「クーロンズ・アイ」の詳細情報は得られなかった。
「仕方ない、また君の力を借りるよ」、21世紀少年はつぶやいた。

21世紀少年は、自作の解析プログラム"ペーガサス(天馬)"を起動した。
起動すると、検索ワードに「クーロンズ・アイ」と打ち込んだ。
検索条件を、関連する全ての情報を検索する「高度」に設定した。
「行け、ペーガサス」、21世紀少年はネット世界に"ペーガサス"を放った。

"ペーガサス"は「クーロンズ・アイ」の数万件になる検索結果の検索を開始した。
検索結果を更に検索、得られた結果を更に検索することを繰り返した。
検索条件「高度」は、レアな情報を検索することを目的としていた。
数分後、いくつかの「クーロンズ・アイ」に関するレアな検索結果が抽出された。

抽出されたレアな検索結果は、100件近くあった。
100件近い検索結果を、21世紀少年は慎重に確認し始めた。
同名映画の脚本家が起こした些細な交通違反の顛末。
香港のカフェで提供されているデザート「クーロンアイス」などなど。

しばらくして、21世紀少年はある検索結果に目を止めた。
その検索結果は、意外にも国内のある場所の情報だった。
国内のある場所が、クーロンズ・アイに関係しているという検索結果だった。
21世紀少年は場所を控えると、その場所のことを調べた。

その場所は、世界有数の歓楽街である新宿歌舞伎町のある店だった。
"ペーガサス"は、この店がクーロンズ・アイに関係していることを見つけた。
ホームページもない店には、クーロンズ・アイに関係する情報は見当たらなかった。
"ペーガサス"は、いったい、この店の何を見つけたんだ。

これ以上、考えていても時間のムダかもしれない。
考えるより、"ペーガサス"を信じて、行動した方が早いかもしれない。
21世紀少年はその店へ行くことを決めた。
その店は、店名が女性名のスナックだった。

【エッセイ】取引先の定年前に退職した人の話で思うこと

たまに取引先から、定年前に退職した人の話を聞くことがある。
20代、30代の人の場合は、よりよい条件を求めての退職であることが多い。
ところが、40代、50代の人の場合は、辞めざるを得ない理由であることが多い。
自身が今までに聞いた驚くべき退職理由について書いてみるw

ある中間管理職の40代男性は、数年前、部下たちにパワハラを行っていた。
数年後、部下だった1人が、40代男性の上司になった。
ある日、上司は40代男性に、数年前のパワハラについて、事実確認を行った。
40代男性は事実を認めなかったが、居づらくなったため、自己都合で退職したw

ある中間管理職の40代男性は、社内の女性と不倫関係にあった。
不倫関係を続けるため、金が必要だった男性は行ってもいない出張費を請求していた。
やがて、会社の知るところとなり、出張費を返還、自己都合で退職させられた。
会社に不利益を与えた場合、退職金は支給されないため、退職金は貰えなかったらしいw

ある管理職の50代男性は、取引先へ発注する立場にあった。
やがて、取引先から、発注する見返りとして、金品を受領するようになった。
当然ながら、会社の知るところとなり、金品を返還、自己都合で退職させられた。
会社に不利益を与えた場合、退職金は支給されないため、退職金は貰えなかったらしいw

彼ら3人が、その後、どうしているのかは知らない。
他社に転職した人もいるかもしれないし、いまだに求職活動中の人もいるかもしれない。
だが、彼ら3人が、この先、会社員の勝ち組になることはないだろう。
なぜなら、自身も含めた取引先の多くの人に、彼ら3人の噂は拡散し続けているからだw

2019年10月13日日曜日

銘柄を明かさない理由R274 ベイビーの伝言(前編)

第274話 ベイビーの伝言(前編)

平日の深夜、都内のある大学の学生寮。
学生寮の一室で、21世紀少年はあるワードについて調べていた。
調べていたワードは、「クーロンズ・アイ」だった。
ヒットした数万件の検索結果を、21世紀少年は数日前から調べ続けていた。

昨年、人工知能"ベイビー"が世界恐慌を起こそうとした。
21世紀少年は、"ベイビー"に解析プログラムである"ペーガサス"を送り込んだ。
潜入した"ペーガサス"は自己増殖すると、"ベイビー"の解析に成功した。
"ペーガサス"から送られてきた解析結果を元に、21世紀少年はプログラムを開発した。

21世紀少年が開発したプログラムは、"ベイビーワールドエンド"。
"ベイビーワールドエンド"は、人工知能"ベイビー"を消滅させるプログラムだった。
ある金曜日、"ベイビー"がニューヨーク証券取引所を暴落させた。
後に、"ブラックフライデー(暗黒の金曜日)"と呼ばれる暴落だった。

"ブラックフライデー"の翌週のことだった。
21世紀少年は"ベイビーワールドエンド"を、"ベイビー"に送信した。
送信すると、PCのモニターに"ベイビー"のイメージが映し出された。
荒涼とした大地には、無数の解析プログラムである"ペーガサス"がいた。

"ペーガサス"たちは、青く光る目で静かに佇んでいた。
"ベイビー"が消滅すれば、潜入している"ペーガサス"たちも消滅することになる。
時が経つにつれ、モニターに占める風景と、"ペーガサス"たちは徐々に消滅していった。
モニターの大半が無となり、表示されているのは、ごくわずかな面積になった。

"ペーガサス"が、最後の1頭になったときだった。
"ペーガサス"の青く光る目が、大きく見開かれた。
次の瞬間、「クーロンズ・アイ」の文字がモニターに表示された。
異変に気づいた21世紀少年が見る中、モニターは唐突にブラックアウトした。

「クーロンズ・アイ」って何だ。
"ペーガサス"は単なる解析プログラムだ、自ら思考することはない。
しばらくの間、考えた21世紀少年は、ある結論に辿りついた。
"ベイビー"は、自らが消滅していくことに気づいた。

消滅していくことに気づいた"ベイビー"は、自らの消滅は避けられないと悟った。
消滅を避けられないと悟った"ベイビー"は、僕にメッセージを残そうとした。
「クーロンズ・アイ」は、人工知能"ベイビー"のダイイングメッセージだ。
「クーロンズ・アイ」には、重要な意味があるに違いない、21世紀少年は思った。

【コラム】台風による天災なのか、人災なのか

台風の被害に遭われた皆様へ
被害に遭われた皆様に心よりのお見舞いを申し上げます。
先月、今月と台風により大きな被害が出ている。
あまり時事ネタは書きたくないのだが、以前から思うところがあるので書いてみる。

先月の台風では、多くの家が屋根を飛ばされたと報道されている。
報道後、建築に詳しい知人と、この件について意見交換したことがある。
建築士の自身が、天災じゃなく人災の可能性が高いというと、知人も同意見だった。
強風で屋根瓦などが飛ぶことがあっても、屋根自体が飛ぶ可能性は低いからだ。

小屋組(屋根の骨組み)は梁(はり)等と、金物等で接合されていなくてはならない。
屋根自体が飛ぶということは、金物等による接合に不備があった可能性が高い。
設計段階での金物等の配置不足か、工事段階での取り付け忘れかはわからない。
いずれの理由であっても、台風による天災ではなく人災である。

あと、飛来物が当たってもいないのに、風圧だけで窓ガラスが割れることがある。
通常は、窓に掛かる風圧を計算して、割れない窓ガラスが採用されている。
風圧で窓ガラスが割れるということは、設計段階での選定ミスである可能性が高い。
これらの真の原因は何なのか、いつか徹底的に調べてみたいものである。

2019年10月11日金曜日

【ショートショート】備えあっても憂いあり

その男は、仕事帰りにスーパーへ立ち寄った。
残り少なくなっている柔軟剤を買うことが目的だった。
スーパーに入った瞬間、買い物かごを手にした人の多さに男は驚いた。
ひょっとして近づいている大型台風に対する備えなのか、男は思った。

スーパーのレジの前には、長い行列ができていた。
男は列に並び、柔軟剤だけ買うと、スーパーを後にした。
帰宅してから、男は思った。
皆、普段から備えをしていないのだろうかと。

男は普段から備えをしており、常に生活必需品をストックしていた。
そのとき、「お前だけがよければいいのか」という天の声が聞こえた。
確かに、困っている人がいれば、助けなくてはならないと男は思った。
河川が氾濫したとき、助けに向かうためにはボートが必要だ。

男はネットで、ボートを検索し始めた。
船外機付のボートでないと、いざというときに間に合わないかもしれない。
男はさらにネットで、高性能ボートの検索を続けた。
気づくと夜が明けており、大型台風は何事もなく過ぎ去っていた。

2019年10月10日木曜日

【エッセイ】資本家が会社で仕事をするときに大切にしていること

自身の本業は会社員だが、メガバンクに出資している株主でもある。
出資しているメガバンクは、自身の勤め先とも取引がある。
自身がメガバンクに出資しており、メガバンクは自身の勤め先に金を貸す。
つまり、間接的に自身は勤め先に金を貸している資本家ということになるw

資本家は、出資に見合うだけの利潤が得られるかを考えている。
資本家の視点で仕事をしていると、自ずとやるべきことが見えてくる。
先ずは、費用対効果を高める必要がある。
費用対効果を高めるには、最小の費用で最大の成果を出さなくてはならないw

最小の費用で最大の成果を出すためには、社員に残業させないことだ。
自身はかなり前から、基本、定時までしか仕事をしないことにしている。
たとえ、他の者が残業していようが、率先して定時に帰っている。
最近、残業する人が減ったらしいが、不思議なもので成果は変らないそうだw

次に必要なのは、人材の育成である。
自身の定年はまだ先だが、いつまでも会社の世話になるわけじゃない。
いずれ自身がいなくなったときに、自身のような仕事ができる人材が必要だ。
出資に見合うだけの利潤を長期的に得るためには、人材の育成は欠かせないのであるw

2019年10月9日水曜日

【エッセイ】娘は数を増やそうとしているとしか思えない

誰に似たのか、ウチの娘はモテる。
しかも別れるときは、いつも自分から別れを告げているらしい。
昨年、娘が彼氏ができたというので、自身は9人目の彼氏だなと指摘した。
自身の指摘に対して、娘は数は関係ないといったw

娘は、今年から1人暮らしを始めた。
1人暮らしを始める際、彼氏を自身に紹介しようとした。
自身は数年前、別の彼氏を紹介されたことがある。
だが、自身に紹介した数ヶ月後、その彼氏と別れたことがあるw

自身は娘に「交際期間が1年経ったら、彼氏に会ってやる」といった。
娘は会わせたかったようだが、しぶしぶ条件を承諾した。
娘が1人暮らしを始め、彼氏はよく遊びにきていたようだ。
たまに娘に連絡すると、彼氏が来ていることが多かったw

もうすぐ、2人が交際してから1年になる。
だが、先日、娘から、彼氏に別れる方針を伝えたと連絡があった。
どうやら、交際期間1年を迎える前に別れるようである。
娘は数は関係ないというが、自身には数を増やそうとしているとしか思えないw

2019年10月8日火曜日

銘柄を明かさない理由R273 天使の降臨(後編)

第273話 天使の降臨(後編)

空港へ向かうレンタカーの車中に、2人の無敗の相場師がいた。
運転席では無敗の相場師、ウィッグの女がハンドルを握っていた。
助手席には天使の笑顔をもつ無敗のエースがいた。
運転しながら、ウィッグの女が無敗のエースに「家族は元気にしてた」と聞く。

数ヶ月前、ウィッグの女と無敗のエースはニューヨークで一緒に暮らしていた。
ある金曜日、ニューヨーク証券取引所がかってない規模で暴落した。
「ブラックフライデー(暗黒の金曜日)」と名づけられた暴落だった。
誰もが、世界恐慌の始まりだと思った。

無敗のキングから、ウィッグの女と無敗のエースに買い向かえと指示があった。
指示を受けた2人は、週明けの月曜日にニューヨーク証券取引所で買い向かった。
自分たちのほかにも、多くの者が買い向かったようだった。
結果、月曜に更なる暴落をすることはなく、世界恐慌になることはなかった。

世界恐慌が回避されたある日。
無敗のエースが、ウォール街で興味深い噂を聞きつけてきた。
ニューヨーク証券取引所を暴落させたのは、"ベイビー"というAI(人工知能)。
"ベイビー"は複数、存在し、そのうちの一体は上海にいるという噂だった。

噂の真偽を確かめるべく、無敗のエースは上海行きを決めた。
ウィッグの女も同行することにした。
上海へ行く前に、家族や世話になった人に会っておきたい。
無敗のエースがいうので、日本経由で上海へ向かうことにした。

「家族は元気にしていたよ」、無敗のエースがスマホを操作しながらいう。
「そういえば、妹がいるっていってたよね」、ウィッグの女が尋ねる。
「ああ、1人いるよ」、無敗のエースがスマホを操作しながらいう。
「妹さんは結婚する予定はないの」、ウィッグの女が尋ねる。

「結婚する予定はないだろうな」、無敗のエースがスマホを操作しながらいう。
「なぜ、結婚する予定はないの」、ウィッグの女が尋ねる。
「妹は高嶺の花なんだよ。やっと上海での宿泊場所の予約が終わった」
無敗のエースはいうと、スマホの電源を切り、ウエストポーチにいれた。

「どこを予約したの」、ウィッグの女が尋ねる。
「ニューヨークのときと同じで、最初の1ヶ月は高級ホテルを泊まり歩く。
その間に"ベイビー"が見つからなければ、アパートメントを借りるよ」
無敗のエースは、天使のような笑みを浮かべた。

2019年10月7日月曜日

銘柄を明かさない理由R272 天使の降臨(中編)

第272話 天使の降臨(中編)

地方都市の駅前にあるコインパーキングの入口。
サングラスをした1人の女性が、ある男が帰ってくるのを待っていた。
女性は高級ブランドの服を着こなしており、ファッションモデルのようだった。
下校中の男子学生たちが、ちら見しながら通り過ぎていく。

それにしても暑いわね、地球温暖化って、ウソじゃなかったのね。
女性は、襟元を大きく広げると、持っていた扇子で胸元に風を送った。
男子学生たちの動きが一瞬、止まった。
チェリーボーイ(童貞)たちには、刺激が強すぎたかもね、女性はほくそ笑んだ。

ほくそ笑んだ女性は無敗の相場師の1人、ウィッグの女だった。
この駅前の感じは、私が生まれ育った街の駅前に似てるわね。
ウィッグの女は、ある地方都市で生まれ育った。
彼女の家は母子家庭で、容姿のよかった母親は水商売で生計を立てていた。

そんな母親に似たのか、彼女は幼い頃からモテた。
彼女に言い寄ってくる同級生や上級生は後を絶たなかった。
彼女に言い寄って来た学校の教師は、片手の数では足りなかった。
バイト先のスタッフや客を含めると、言い寄って来た男の数は3桁を軽く超えていた。

彼女は、容姿がよくて金を持っている相手としか、付き合わなかった。
付き合ってから、相手の男の資産がわかると、すぐに別れた。
彼女の別れ際の台詞は、いつも同じだった。
「もっと、お金を持っていると思ったのに、たいしたことないのね」

男たちは、逆上することなく彼女のことを諦めた。
よく、女性から別れを告げられ、逆上する男がいる。
彼らが逆上するのは、自分にはその相手しかいないと思うからだ。
容姿がよくて金を持っている男は、付き合う相手には困らないので逆上しない。

高校卒業後、彼女は街を出て、銀座にある高級クラブのホステスになった。
頭脳明晰で容姿に恵まれた彼女は、すぐに店でも1、2を争うホステスとなった。
やがて、無敗のキングの英才教育を受けた彼女は、無敗の相場師になった。
ある若いイケメンに興味を覚えた彼女は、行動を共にするべく高級クラブを辞めた。

そのとき、通りの向こうに、若いイケメンの姿が見えた。
天使のような笑顔を浮かべているイケメンは、無敗のエースと呼ばれている男だった。
私がこれまで出会った男の中で、最も興味深い男、無敗のエース。
これからも楽しませてもらうわよ、ウィッグの女は妖艶な笑みを浮かべた。

2019年10月6日日曜日

【エッセイ】「魔法のバトン」にタイトルを変更した理由

本ブログは2014年9月に始めたので、今年で丸5年になる。
初期のブログ名は「Yの株日記」で、記念すべき最初の記事は以下だったw
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株式(特定預り)合計
・評価額合計:12,600,200円
・評価損益合計:4,914,600円
・保有銘柄数:6
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単なる記録でしかなく、当時はPV数も数えるほどだった。
当時の自身は、すぐにブログの更新が終わるので、他の株ブログを見て回っていた。
ある日、購入銘柄を事前予告するブログがないことに気づいた。
自身が読んだブログの大半が、後出しじゃんけんのブログだったのであるw

自身は連戦連勝の無敗で、株式投資による住宅ローンの一括完済に成功していた。
投資手法が正しければ、株式投資で損をすることはあり得ない。
よって、投資手法を発信、いまだに誰も行っていない購入銘柄を予告することにした。
その際、ブログ名も「魔法のバトン(Yの株日記)」に変更したw

変更した理由は、正しい投資手法を世の中に広めて欲しいからだ。
読者の1人が、自身の投資手法で儲けてくれたとする。
もしかすると、その人は他の人に、自身の投資手法を繋いでくれるかもしれない。
バトンリレーのように投資手法を繋いでもらいたいのが、タイトル変更の理由であるw

【エッセイ】相場で勝つ人に共通すること~ある株ブログの感想~

株銀さんに自身のブログを紹介されたという方から、メールをいただいた。
その方もブログをされていて、投資では不敗のベテラン投資家である。
その方のブログを読んでいて、自身と似ていると思った。
現在に至るまでの人生は異なるが、常日頃、考えていることが似ているのであるw

その方は投資本は読まなかったらしいが、自身は偉大なる相場師たちの本を読んだ。
「賢明なる投資家」、「私の財産告白」、「福澤桃介式」、「相場師一代」等々。
彼らの投資手法には多くの共通点があるが、常日頃の考えにも共通点が多い。
最もわかりやすく共通点がまとめられているのが、福澤桃介の5箇条であるw

「自分の精神に慰安と力を与えるには、第一に自分が世界で一番偉い人間であると信じること。第二に自分が一番幸福者であると思うこと。第三に平生自分の身において、けっして習慣の奴隷になってはいけないということ。第四は修養を怠ってはならないということ。第五は己の本分を忘れてはならないということ」(「福澤桃介式」より)

その方のブログを読むと、福澤桃介の5箇条の考えと合致する部分が多い。
その方は、すでに充分な財産を築かれて、アーリーリタイヤされている。
にも関わらず、ブログ読者の中には、その方に同意されない人もいるらしい。
だが、その方と似た考えの自身にとっては、同意できる内容の多いブログであるw

2019年10月5日土曜日

【コラム】お金に困らない生き方は誰も教えてくれない

お金に困らない生き方を特集した雑誌を読んだ。
家計の見直しや節税の方法なども書いてあった。
自身が知っていることばかりで、特に目新しい物はなかった。
ただ、呆気にとられた内容があったので、書いてみるw

呆気にとられたのは、あるファイナンシャルプランナーの提案である。
60歳の定年時に、退職金を使って、住宅ローン残高の半分だけ返済するというものだ。
そうすれば、定年後の返済額が大幅に減り、安心感も大きいとオススメしている。
つまり、定年後も働いて、住宅ローンを返済しなさいということであるw

住宅ローンという借金返済に追われる人生の何が楽しいのか。
定年時には子どもも独立し、間取りもライフスタイルに合致していないだろう。
住宅ローンを完済する頃には、残りの人生も限られており、長くは住めない。
定年時に完済できないのであれば、売却して住み替えるのが、最良の選択肢であるw

読み終わって思った。
結局、お金に困らない生き方は誰も教えてくれないのだと。
自身は株式投資により、住宅ローンを一括完済した。
定年後、ファイナンシャルプランナーになるのもよいかもしれないw

2019年10月4日金曜日

【エッセイ】弟と縁を切った理由

自身には弟がいるが、今年になってから縁を切った。
おそらく、生きているうちに会うことはないだろう。
身内の恥は書きたくないが、同じ境遇の方がいるかもしれないので書いてみる。
縁を切った理由は、弟が金に卑しいからだw

自身が最も嫌悪するのは、金に卑しい奴である。
「卑しい」とは、欲望をあらわにして、さもしいことだ。
その行動には品がなく、見るに耐えないものである。
ちなみに、自身は金に卑しい嫁の実家とも縁を切っているw

自身が実家に行くと、弟と酒を飲むことが多かった。
自身が席を外すと、弟は酒を濃くして、自身を潰そうとしてきた。
自身は、そんなことにしか楽しみを見出せない弟を不憫に思った。
不憫に思ったので、潰れたフリをしたが、弟は自分が潰したと思っていることだろうw

ある日、飲んでいると、弟が真顔で「金をくれ」といってきた。
理由を聞くと、家業を継いだが、自身より金がないことが不満らしい。
家業を継ぐと決めたのは弟なので、家業で頑張って儲ければよいだけの話である。
にもかかわらず、金をくれという弟と付き合っても、自身には何のメリットもないw

2019年10月3日木曜日

【エッセイ】自身にとっての至福の時間とは

自身は株式投資を始めてから、連戦連勝の無敗だ。
相場を長く経験するたびに、投資手法にはさらに磨きがかかっている。
正直いって、この先、相場がどのように動こうか負ける気がしない。
おそらくだが、自身は生涯、連戦連勝の無敗であり続けるはずだw

自身には、他の人には見えないものが見えるのかもしれない。
下落相場では、多くの人が含み損が増える恐怖から損切りする。
また、保有株を減らして、キャッシュ(現金)の比率を多くする人もいる。
だが、自身にとって下落相場は宝の山にしか見えないw

なぜなら、通常ではあり得ない高配当の割安株が生まれるからだ。
株の基本は「Buy low,Sell high(安く買って、高く売る)」だ。
つまり、最も大事なのは、いかにして安く買うかなのである。
最も安く買えるのは下落相場だが、買わずに売る人が多いから不思議だw

今、自身は次の一手を考えている。
手元にある投資資金を、いつ、相場にぶっ込んでやろうかと考えている。
自身はトレードプランを考えているとき、時間が経つのを忘れることがある。
この時こそが、自身にとっての至福の時間なのかもしれないw

2019年10月2日水曜日

【エッセイ】初任給の手取り20万円超えの娘に話していること

今年から、自身の娘は社会人として働いている。
娘は医療系の大学を卒業、就職先も自分で決めてきた。
ある日、娘が初任給の額を見せてくれた。
初任給の額をみたとき、自身はウソだろうと思ったw

なぜなら、娘の初任給は、手取りで20万円を超える額だったのである。
看護師の初任給は、夜勤手当等が加算されるので平均よりは高いことは知っていた。
娘は医療系だが、看護師ではないので夜勤もない。
にもかかわらず、娘の初任給は大卒や看護師の平均初任給よりも多いのであるw

働き出してから、娘は給与から引かれる税金が多いと文句をいっている。
給与を多く貰っているから、引かれる税金も多いのであって、羨ましい話である。
先日、娘が毎月10万円ほど貯蓄できているといってきた。
娘は浪費しないので、自炊していれば、毎月10万円ほどの貯蓄は余裕だろうと思うw

これからも節約を頑張るという娘に話したことがある。
「ムダ遣いはよくないが、お金は使うためにある。使うときには使わなくてはいけない。
ちなみに、初任給の使い道で最も多いのは親への贈り物らしいぞ」と。
おそらく、近いうちに娘は自身に贈り物をしてくれるのではないかと思っているw