2019年10月14日月曜日

銘柄を明かさない理由R275 ベイビーの伝言(中編)

第275話 ベイビーの伝言(中編)

平日の深夜、都内のある大学の学生寮。
学生寮の一室で、21世紀少年はあるワードについて調べていた。
調べていたワードは、「クーロンズ・アイ」だった。
ヒットした数万件の検索結果を、21世紀少年は数日前から調べ続けていた。

「クーロンズ・アイ」は、人工知能"ベイビー"のダイイングメッセージ。
「クーロンズ・アイ」には重要な意味があるに違いない。
数万件の検索結果からは「クーロンズ・アイ」の詳細情報は得られなかった。
「仕方ない、また君の力を借りるよ」、21世紀少年はつぶやいた。

21世紀少年は、自作の解析プログラム"ペーガサス(天馬)"を起動した。
起動すると、検索ワードに「クーロンズ・アイ」と打ち込んだ。
検索条件を、関連する全ての情報を検索する「高度」に設定した。
「行け、ペーガサス」、21世紀少年はネット世界に"ペーガサス"を放った。

"ペーガサス"は「クーロンズ・アイ」の数万件になる検索結果の検索を開始した。
検索結果を更に検索、得られた結果を更に検索することを繰り返した。
検索条件「高度」は、レアな情報を検索することを目的としていた。
数分後、いくつかの「クーロンズ・アイ」に関するレアな検索結果が抽出された。

抽出されたレアな検索結果は、100件近くあった。
100件近い検索結果を、21世紀少年は慎重に確認し始めた。
同名映画の脚本家が起こした些細な交通違反の顛末。
香港のカフェで提供されているデザート「クーロンアイス」などなど。

しばらくして、21世紀少年はある検索結果に目を止めた。
その検索結果は、意外にも国内のある場所の情報だった。
国内のある場所が、クーロンズ・アイに関係しているという検索結果だった。
21世紀少年は場所を控えると、その場所のことを調べた。

その場所は、世界有数の歓楽街である新宿歌舞伎町のある店だった。
"ペーガサス"は、この店がクーロンズ・アイに関係していることを見つけた。
ホームページもない店には、クーロンズ・アイに関係する情報は見当たらなかった。
"ペーガサス"は、いったい、この店の何を見つけたんだ。

これ以上、考えていても時間のムダかもしれない。
考えるより、"ペーガサス"を信じて、行動した方が早いかもしれない。
21世紀少年はその店へ行くことを決めた。
その店は、店名が女性名のスナックだった。

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