2019年10月15日火曜日

銘柄を明かさない理由R276 ベイビーの伝言(後編)

第276話 ベイビーの伝言(後編)

歌舞伎町は東京都新宿区の飲食店・遊技施設・映画館が集中する歓楽街である。
町の中にはキャバクラ、ホストクラブ、ラブホテル、パチンコ店などが立ち並んでいる。
「眠らない街」と呼ばれ、深夜になってもネオンで明るく人通りも多い。
歌舞伎町には独特の雰囲気があり、「東洋一の歓楽街」とも呼ばれている。

現在では様相はさらに変容し、3,000軒を数えるバー、キャバレー、ラブホテルなどが密集し、「欲望の迷宮都市」「外国人労働者の新租界」等とも評されている。
歌舞伎町は世界でも有数の夜の盛り場に数えられていて、近年では、中国や韓国からの観光ツアー客も多く、昼間はよくツアーコンダクターが導く姿が見かけられる。(Wikipediaより)

平日の昼下がり、21世紀少年は歌舞伎町の目的の店に向かっていた。
目的の女性名を店名にしたスナックは、歌舞伎町の裏通りに入口があった。
ここか、店の看板を見つけると、21世紀少年は立ち止まった。
看板は設置されてから年数が経過しているのか、ところどころ塗料が剥げていた。

「うちの店に何か御用かしら」、看板を見ていると、背後から声をかけられた。
振り返ると、買い物かごを手に持った母親と同い年くらいの女性がいた。
「中はどんな雰囲気の店なのかなと思って、看板を見ていました」
メガネをかけた21世紀少年は、答えるとにっこりと微笑んだ。

「うちの店は、そんなたいした店じゃないのよ。
古くからの常連さんがいるから、何とかやっていけてるだけの店よ。
今から開店準備があるので、失礼するわね」
いうと、母親と同い年くらいの女性は店の中に入っていった。

しかたない、出直すか、21世紀少年は店を後にした。
だが、昼の女性の顔をネット配信できたのは、ラッキーだった。
女性の顔は、メイクによって、驚くほど変る。
さっきの女性のメイクは、さほど濃くなかった。

21世紀少年のメガネは、ハイテク仕様の特注品だった。
女性の顔をネット配信、それに関する情報を受信することができた。
メガネには、21世紀少年が見た女性に関する情報が映し出され始めていた。
出直してくる頃には、いくつかの有益な情報が得られているだろう。

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