2019年10月24日木曜日

銘柄を明かさない理由R283 名のない組織(前編)

本ブログには、自身が初めて書いた小説「銘柄を明かさない理由R」がある。
5人の無敗の相場師、ロイヤルストレートフラッシュの物語である。
そして彼らを取り巻く人々の物語でもある。
もちろん、素人が書いた小説なので、プロの方が書いた小説の足元にも及ばないw

「銘柄を明かさない理由R」には、ある組織が登場する。
日本を守る、その目的に賛同した者たちが集まった組織である。
もちろん、自身の空想の組織であり、おそらく実在しないだろう。
だが、もし実在していたら、自身はその組織への協力を惜しまないだろうw

自身は、日本という国が好きで、日本人でよかったと思っている。
四季折々の美しい風景、伝統ある文化、世界から賞賛されるマナーなどなど。
「銘柄を明かさない理由R」には、日本への賛辞という要素もあるのかもしれない。
それでは、「銘柄を明かさない理由R クーロンズ・アイ編」をお届けするw

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第283話 名のない組織(前編)

今から約100年前、日本を守る組織が誕生した。
その組織は、青島の戦いを指揮した軍人が創設した組織だった。
創設時、その組織はある危機感を持っていた。
ある危機感とは、欧米列強による日本を含む東南アジア各国の植民地化だった。

このままでは、日本も欧米列強に包囲され、やがて植民地となる。
組織が出した結論は、植民地となっている東南アジア各国の独立だった。
最終的に日本は敗れるだろう、だが東南アジア各国を独立させることはできる。
組織は自国を含む東南アジア各国のために、欧米列強に自由の戦いを挑んだ。

敗戦国にはなったが、組織は東南アジア各国を独立させることに成功した。
次は経済発展による国力の増強だ、敗戦下の日本で組織は活動を続けた。
戦後の高度成長は、その組織によるものだったといっても過言ではなかった。
彼らは有望な人材に目をつけると、次々と組織の一員とした。

官公庁や大手企業に自営業の店など、あらゆるところに組織の人間がいた。
この国に進出してきた外資系企業であっても、例外ではなかった。
組織はどこからも資金提供を受けておらず、活動資金は各々が負担していた。
日本を守る、その目的に賛同した者たちが集まった組織に名はなかった。

夜の品川コンテナ埠頭。
停車したワゴン車の横で、2人の男が出港していく貨物船を見ていた。
1人はガタイのいいスーツ姿の男、1人は黒マスクをした男だった。
2人は新宿歌舞伎町で、国内に潜入した非合法組織の男女4名を回収した。

2人は回収した男女4名を、国外への移送を担当する組織の者に引き渡した。
2人が見送っている貨物船の中には、担当者と回収した男女4名が乗船していた。
ガタイのいいスーツ姿の男は、胸ポケットからタバコを取り出すと火を点けた。
ようやく、終わったな、男は美味そうにタバコをくゆらせた。

「1本、もらえますか」、黒マスクをしていた男が、マスクを外していう。
「なんだ、喫煙者だったのか」、ガタイのいいスーツ姿の男はタバコを差し出した。
「いただきます」、黒マスクをしていた男はタバコを1本、抜き取ると口にくわえた。
「ほらよ」、ガタイのいいスーツ姿の男は、タバコに火を点けてやった。

「止めてたんですが、横で美味そうに吸われるので」、マスクを外した男がいう。
ガタイのいいスーツ姿の男は、内ポケットから、数枚の紙幣を取り出すと差し出した。
受け取ろうとしないマスクを外した男に、ガタイのいいスーツ姿の男がいった。
「組織の金じゃねえよ、最寄りの駅まで送ってもらうタクシー代で、俺の自腹だ」

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