2023年5月27日土曜日

【小説】暴走している株ブログに思うこと~vol.149~

ある日の深夜、あるチャットスペースで会話が始まった。

X:お疲れ
Z:お疲れ
B:お疲れ
X:Yは来てないのか
Z:さっきまでいたわよ
X:俺が来るから逃げたな
Z:wwwwwwwwww
X:Yって何で裁判とかに詳しいんだ
Z:ナゾよねw
B:訴訟経験はあるみたいだよ
X:訴えられたのか
Z:wwwwwwwwww
B:しかも経験数が1つじゃないみたい
Z:まさかの弁護士さん?
X:あんなバカが弁護士になれるわけないだろ
Z:wwwwwwwwww
B:あと負けたことがないらしいよ
X:俺は裁判したことないから負けたことない
Z:wwwwwwwwww
Z:どうして経験数が多いのかしら
B:会社の法務部門とかにいたんじゃないかな
X:法務部門でもそんなに経験しないだろ
B:たしかにそうだけど
X:さてとそろそろ寝るわ、おやすみ
Z:私も寝るわ、おやすみ
B:おやすみ

彼らのネット歴は長く、法に抵触しない範囲で遊んでいた。
彼らは遊んでいたが、その遊びはいつも誰かのためだった。
そんな彼らが愛読しているのは「予告犯」というタイトルのマンガだった。
チャット画面を閉じた彼らは、ネタ探しのため、ネットサーフィンを始めた。

彼らのネット歴は長かったが、そんな彼らにも知らないことがあった。
彼らは、関わった一部の人から、「まとめ屋」と呼ばれていた。

同時刻、警視庁サイバー犯罪対策課
「交替の時間ですよ」、1人の男がPCを観ている男の背後から声をかけた。
「ああ」、声をかけられた男がPCの画面から目を離さずにいう。
「また、まとめ屋のサイト観てたんですか」、声をかけた男が聞く。
「YがWSI訴訟に関わっていたっていったよな」、声をかけられた男がいう。
「ええ、確かな筋からの情報ですよ」、声をかけた男がいう。
「確かな筋ってどこだ」、声をかけられた男がいう。
「原告だった知り合いです」、声をかけた男がいう。
「今度、その知り合いに会わせてもらえないか」、声をかけられた男がいう。
「聞いてはみますけど、どうしたんですか」、声をかけた男がいう。
「聞きたいことがある、あとはよろしく」、声をかけられた男がいう。
「了解」、声をかけた男はいうと、席を立った男と入れ替わりに席に座った。

「WSI訴訟」は、WSI(ワールド株式投資)による投資詐欺の民事訴訟。
「プロ向けファンド」は、主として、証券会社や銀行、投資会社などの「プロ投資家」(適格機関投資家)に売るために組成されたファンドをいい、広く一般消費者に向けて売られることは想定していなかった。そのため、これまで「プロ向けファンド」の運用・販売を行う事業者は、「登録」よりも条件や規制の緩い金融庁への「届出」で済み、不当行為に関する行政処分は定められてなかった。
WSIは「プロ向けファンド」を悪用。「当社は金融庁に届出をした業者です」「当社はプロ投資家を対象としたプロ向けファンドを運用している業者です」などと、主にインターネットで消費者を勧誘して、多くの被害をもたらした。
「WSI訴訟」以降、「プロ向けファンド」を悪用した投資詐欺を防ぐため、金融商品取引法(金商法)の見直しが行われ、この改正金商法は2015年5月27日に成立し、2016年3月1日に施行されている。
これにより、「プロ向けファンド」を一定の要件を満たさない一般の投資家には売ることが禁止され、届出業者に対する規制が厳しくなり、問題のある届出業者には業務停止命令を含む行政処分が行えるようになっている。
「予告犯」筒井哲也氏

0 件のコメント:

コメントを投稿