2024年11月30日土曜日

【小説】銘柄を明かさない理由R054 アルカディアの戦術(後編)

第054話 アルカディアの戦術(後編)

8時00分になると、アルカディアで朝礼が始まった。
クジョウと楢崎は、モニターが埋め込まれた壁を背にして立っていた。
クジョウと楢崎の前には、各自の端末の前に立っているアルカディアメンバー7人がいた。
最初に、地震で亡くなった方に対して、一分間の黙禱が行われた。

「本日からの相場は、売り圧力が強い相場になる可能性が高い。
今回の基本スタンスは買いだが、買うだけでは芸がない。
よって、買って少しでも上がれば売るトレードを繰り返すことにする。
そのための改修を行ったので、情報システムから説明してもらう」、クジョウがいう。

「情報システムの楢崎だ、皆が使っているアレスの改修内容について説明する。
これまでのアレスは各端末が独立しており、端末の数だけ取引できた。
取引の基本操作は、注文の入力、入力内容の確認、発注だった。
今回の改修では、入力内容の確認をなくし、注文の入力と発注だけにした。

この場合、誤った入力内容を発注してしまう、いわゆる誤発注が生じる可能性がある。
そこで端末を2台ずつ連携させ、2人がペアになって操作できるようにした。
担当Aが注文を入力、担当Bが入力内容を確認してから発注するという流れだ。
これにより、操作性が向上、誤発注もなくせると考えている。

質問がある人がいたら、挙手して欲しい」、楢崎がいう。
神崎がおそるおそる挙手したので、楢崎が「どうぞ」といい、質問を促した。
「前から疑問だったんですが、アレスの意味を教えていただけますか」、神崎がいう。
「そ、そこか、ギリシャ神話の戦いの神、軍神アレスだよ」、楢崎が答える。

しばらく待ったが、他に挙手する者がいないので、クジョウが口を開いた。
「アレスを起動すると、連携している端末がわかるレイアウトが表示される。
連携している端末を確認したら、ペアになった相手と打合せして欲しい。
では、アレスを起動してもらう」

楢崎がタブレットに、アレスを起動させるコードを入力した。
「アレス起動まで残り120秒」、天井のスピーカーから電子音声が流れた。
「アレス起動まで残り60秒」、「アレス起動まで残り30秒」、「アレス起動完了」
全ての端末画面に、連携している端末がわかるレイアウトが表示された。

「本日からの相場は、売り圧力が強い相場になる可能性が高い。
アルカディアは、買って少しでも上がれば売るトレードを繰り返す。
自分たちが社内、業界、いや世界で一番、偉いと思え、以上」
クジョウがいうと、ペアになった相手との打合せが始まった。

【小説】銘柄を明かさない理由R053 アルカディアの戦術(中編)

第053話 アルカディアの戦術(中編)

2011(平成23)年3月12日土曜日、朝の東京駅。
大勢の人で混雑する構内に、地下のホームから上がってきたクジョウレイコがいた。
サングラスにビジネススーツ姿のクジョウは、新幹線の切符売り場に目をやった。
切符売り場には、切符を買い求める長蛇の列ができていた。

あれだけの行列だと、買うまで3時間ってところか。
ふと、改札の外にある自動券売機は空いているのではと思った。
クジョウが改札に行くと、改札は出入り自由で、外にある自動券売機は空いていた。
やはり、クジョウは改札の外に出ると、新幹線の乗車券と特急券を買った。

2時間後、名古屋駅の新幹線ホームに降り立ったクジョウは改札へ向かった。
改札を出たクジョウは、市内の商業施設などを見て回った。
夕方、クジョウは名古屋駅から東京行の新幹線に乗車した。
思った通りだった、クジョウは座席のシートを倒すと目を閉じた。

メディアは、東北の被災地のことしか報じていない。
都内では情報が不足しており、食料品や生活必需品の買い溜めが起きている。
だが、名古屋では買い溜めは起きていなかった。
クジョウは、このことが週明けの相場に与える影響について考え始めた。

2011(平成23)年3月14日月曜日、東京都中央区日本橋の愛誠証券。
早朝出勤したクジョウがアルカディアのドアを開けると、打合せコーナーに楢崎がいた。
並べた椅子の上で寝ていた楢崎は起き上がると、大きく背伸びした。
「家からだと間に合わないと思ったんで、昨夜から泊ってた」、楢崎がいう。

「頼んでいたことは間に合ったか」、クジョウがいう。
「休日出勤して何とか間に合わせた」、楢崎がいう。
「さすがだな、感謝する」、クジョウがいう。
「礼は仕上がりを確認してからいってくれ」、楢崎がいう。

自席のクジョウが、楢崎から改修内容の説明を受けていると、内線が鳴った。
内線を取ったクジョウは、報告を聞いた後に「わかった」といい通話を終えた。
「誰からだい」、楢崎が聞くと、クジョウが答えた。
「姫宮からだ、アルカディアメンバーがホテルを出たので、20分ほどで来るらしい」

「えーっ、みんな前泊してたのか」、楢崎がいう。
「金曜に姫宮に手配してもらっていた」、クジョウがいう。
「何だよ、それ、俺の分も手配しといてくれよ」、楢崎がいう。
「女性専用ルームしか空きがなかったらしい」、クジョウがいった。

2024年11月29日金曜日

【小説】銘柄を明かさない理由R052 アルカディアの戦術(前編)

第052話 アルカディアの戦術(前編)

2011(平成23)年3月11日金曜日、東京都中央区日本橋の愛誠証券。
社内には、自社の資産運用部署「アルカディア」があった。
部屋の内装は白で統一され、一面の壁には多くのモニターが埋め込まれていた。
内装が白である点を除けば、軍の司令部を思わせる空間になっていた。

「アルカディア」は、責任者のクジョウレイコが率いる女性社員7名のチーム。
過去の大規模な「空売り」を仕掛けたりする局面では、7名全員が招集された。
通常はその日の担当1名が、クジョウの指示でトレードを行っていた。
この日の担当は経理部の神崎で、大引け前にトレードを終えていた。

クジョウと神崎は、打合せコーナーでトレードの振り返りをしていた。
14時46分、何の前触れもなく、部屋が揺れ始めた。
次第に揺れは大きくなり、テーブルの上の紙コップが倒れて、床に落ちた。
「テーブルの下に入れ」、クジョウにいわれた神崎はテーブルの下に入った。

神崎が入ったのを見届けたクジョウも自分の席へ行き、机の下に入った。
部屋が大きく揺れる中、机の上のファイルや筆記具が床に落ちる音がした。
天井や壁からはギシギシという音がし、キャスター付きの椅子が床の上を動いていた。
しばらくすると、ようやく揺れが収まった。

「怖かった、死ぬかと思いました」、テーブルの下から出てきた神崎がいう。
「大きかったな」、床に落ちたファイルや筆記具を拾いながら、クジョウがいう。
「震源はどこかしら」、自分の席へ戻った神崎は携帯で情報を確認し始めた。
「被害状況を確認中です、エレベーターは使わないでください」、館内放送が流れた。

14時46分、宮城県牡鹿半島の東南東沖を震源とする東北地方太平洋沖地震が発生。
東京証券取引所の大引けまで残り14分での地震発生だった。
発生直後から売り注文が殺到、10,350円前後で推移していた日経平均株価は急落。
取引終値は10,254円43銭で、前日比180円安となった。

地震の規模はモーメントマグニチュード (Mw)9.0。
発生時点で、日本周辺における観測史上最大の地震だった。
15時14分、政府は史上初の「緊急災害対策本部」を設置した。
16時20分、気象庁は「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」と命名した。

18時50分、クジョウは自席の端末で、各地の被害状況を確認していた。
アルカディアのドアがノックされ、情報システムの楢崎が入ってきた。
「待たせたな、聞かせてもらおうか、来週からの戦術を」、楢崎がいう。
アルカディアのレイアウト図を手にしたクジョウは、楢崎と打合せコーナーへ向かった。

【エッセイ】11月の株式投資年間目標と達成状況

今年のY&Kファンドの年間目標は、譲渡益200万円と配当金200万円の計400万円。
現在の譲渡益、配当金、達成率は以下になる。
・譲渡益:+9,631円(達成率:+0%)
・配当金:+205,000円(達成率:±10.2%)w

11月の譲渡益と配当金はなし。
下図は、2022年からのY&Kファンドの推移(配当金除く)。
保有株とインバース型ETFともに上がったので、先月末より上がった。
インバース型ETFは、予定買値に届かなかったので買い増しできなかったw

3ファンドの今年の増減額と騰落率は以下になる(配当金除く)。
・Y&Kファンド(1銘柄):-2,068,292円(-5.6%)※追加資金0円
・Rファンド(1銘柄):+5,805,000円(+43.4%)※追加資金0円
・Sファンド(0銘柄):-566,780円(-36.7%)※追加資金0円w

3ファンドの主力株は、8306 ㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ。
下図は、8306に集中投資しているRファンドの推移(配当金除く)。
3ファンドの中で、唯一、昨年末比プラスになっている。
8306が上がったので、先月末より上がったw

下図は、Sファンドの推移(配当金除く)。
現在、インバース型ETFのみ保有している。
相場の上昇により、インバース型ETFが急落、運用額が減っている。
投資経験の浅い方や日中取引ができない方には、インバース型ETFはオススメしないw

【本日の取引】20241129~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場はさえない値動きで推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は上がっていた。
インバース型ETFも上がったので、前日比はプラスだったw

下図の上は、2020、2021、2022、2023、2024年のTOPIX(東証株価指数)の推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円の推移。
東京都区部のCPI(消費者物価指数)が生鮮食品を除くコアベースで市場予想を上回った。
主な原因が円安であることは明らかなので、速やかに円高にして欲しいと思うw
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追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
オーストラリア議会が、世界初となる16歳未満のSNS利用を禁止する法案を可決した。
子どもが接続できないようにする対応を怠った企業には罰金が科されるらしい。
個人的には、SNS利用の年齢制限には賛同するw

今でこそ、ネットを利用する子どもは多いが、2000年頃は極めて少なかった。
ネットのコミュニケーションには、メリットもあれば、デメリットもある。
また、利用にあたっては、利用規約を守らなくてはならない。
オトナでも利用規約を守らない人がいるので、登録免許制にしてもよいかもしれないw

例えば、ネットを利用する場合、通信事業者との契約が必要になる。
契約の際、氏名や住所などが明らかになるので、これらの個人情報を管轄省庁と共有する。
利用規約を守らなかった場合、管轄省庁がアカウントの利用停止などの警告を行う。
そうすることで、ネットを使った詐欺や誹謗中傷なども、少なくなるかもしれないw

2024年11月28日木曜日

【小説】銘柄を明かさない理由R051 災厄を司る神(後編)

第051話 災厄を司る神(後編)

スサノオと神兵により、禍津日神が復活させた八岐大蛇は鎮められた。
切り落とされた八つの頭は、再び、全国各地に封印された。
姿を消した禍津日神は、黄泉へ帰ったものと思われた。
甚大な被害を受けた東北では、復興への取り組みが始まっていた。

精神世界にある高天原の神殿。
円卓には、羽衣をまとった最高神であるアマテラス。
アマテラスの弟神で夜を統べるツクヨミ。
同じくアマテラスの弟神で武具を装着したスサノオの三貴神がいた。

「此度はご苦労であった、次の災厄に備えて休まれよ」、アマテラスがいう。
「一つよろしいか、姉上」、スサノオがいう。
「申してみよ」、アマテラスがいう。
「我々の力をもってすれば、禍津日神を黄泉に閉じ込められるのでは」、スサノオがいう。

「ツクヨミはどう思う」、アマテラスがいう。
「スサノオのいうことに一理あるかと思います」、ツクヨミがいう。
「禍津日神を黄泉に閉じ込めてはならん」
アマテラスはいうと、天岩戸に閉じ籠ったときに見た夢の話を始めた。

乱暴狼藉をはたらいていたスサノオに怒ったアマテラスは天岩戸に閉じ籠った。
その後、他の神々によって、天岩戸から引きずり出された。
だが、夢の中のアマテラスは、スサノオを黄泉に送り、黄泉から他へ通ずる門を閉じた。
そのため、黄泉にいた禍津日神も出られなくなった。

人間世界では、禍津日神による災厄が起こらなくなった。
資源の採掘が進み、科学技術は発展、人々の暮らしは豊かになった。
だが、さらなる豊かさを求める人間の欲望は大きくなり続けた。
やがて、争いに強力な科学兵器が使用され、人間世界は無の世界となった。

話を聞いたツクヨミとスサノオは黙り込んでしまった。
「禍津日神は、人間世界に災厄という恐怖を与えておる。
恐怖が与えられなければ、人間の欲望は大きくなり続け、無の世界となる。
禍津日神を黄泉に閉じ込めてはならん」、アマテラスはいった。

ツクヨミとスサノオがいなくなった円卓で、アマテラスは夢の続きを思い返していた。
人間世界が無の世界になったあと、神々の権力争いが起こった。
神々は次々に消滅していき、精神世界も無の世界となった。
恐怖と欲望により世界の均衡は保たれている、アマテラスは席を立つと自室へ向かった。

【小説】銘柄を明かさない理由R050 災厄を司る神(中編)

第050話 災厄を司る神(中編)

中部地方に現れた禍津日神は、八岐大蛇の頭を集めるべく南下した。
九州南端に到達すると反転、封印されていた頭を集めながら北上した。
東北の地で頭が揃うと、復活の儀を執り行い、八岐大蛇を復活させた。
前回の復活から、実に千年ぶりとなる復活だった。

精神世界にある高天原の神殿。
羽衣をまとった最高神であるアマテラスが姿を現した。
円卓には、アマテラスの弟神で夜を統べるツクヨミがいた。
「現在の状況を報告せよ」、席に着いたアマテラスがいう。

「本日正午過ぎ、東北三陸沖で八岐大蛇の復活を確認。
スサノオが神兵を率いて、現地に向かいました。
八岐大蛇の包囲が完了すると同時に地殻変動が発生。
現在、八岐大蛇を鎮めるべく、交戦中とのこと」、ツクヨミがいう。

「禍津日神の現在位置はどうなっておる」、アマテラスがいう。
「確認できておりません、すでに東北を離れた可能性があります」、ツクヨミがいう。
「引き続き、探索を続けよ」、アマテラスがいう。
「承知いたしました」、ツクヨミがいう。

同時刻、東北三陸沖の地下空間。
暴れまわる八岐大蛇は、スサノオが率いる神剣や神槍を持つ神兵に取り囲まれていた。
八岐大蛇の近くには、戦闘で負傷した多くの神兵が倒れていた。
「次こそ決めるぞ、皆の者、用意はいいか」、神剣を掲げたスサノオが叫ぶ。

「動きは見切ったので、お任せいただこう」、取り囲む神兵の中から声がした。
日本刀のような神剣を持った四人の神兵が前に出てきた。
スサノオや他の神兵が見守る中、四人はゆっくりと八岐大蛇を取り囲んだ。
神剣を八相に構えた四人が間合いを詰め始めると、それぞれに二つの頭が襲い掛かった。

誰もが避けられないと思った瞬間、四人は神速の動きで神剣を振るった。
頭を引いた八岐大蛇の動きが止まると、次々と頭が落ち始めた。
最後の頭が落ちると、八岐大蛇の胴体は地響きをたてて崩れ落ちた。
見守っていた神兵たちから歓喜の声が上がった。

八岐大蛇を倒した四人の神兵は、生前に剣の道を究めた剣術家たちだった。
四人の名は「剣聖」と称えられた上泉信綱、信綱から奥義を授かった柳生宗厳。
秘技「一之太刀」の使い手である塚原卜伝、二天一流兵法の開祖である宮本武蔵。
四人の剣術家は、歓喜の声を上げる神兵たちを見ると、満足げな笑みを浮かべた。

【本日の取引】20241128~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場はさえない値動きで推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は上がっていた。
インバース型ETFが下がったので、前日比はマイナスだったw

下図の上は、2020、2021、2022、2023、2024年のTOPIX(東証株価指数)の推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円の推移。
その下は投資主体別売買状況と日経平均株価の推移だが、目立った売買はなかった。
日銀が利上げする可能性が高まっているが、織り込まれていないように思うw
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追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
あるPR会社のコラムが、公職選挙法違反の疑いがある内容だとして話題になっている。
承認欲求が強かった、守秘義務を守らなかったことなどが原因といわれている。
個人的には、ネットの利用規約を守らなかったことが原因だと思うw

ネットの利用規約では、法令遵守が定められている。
利用規約を守っていれば、違法が疑われるようなコラムは投稿しないはず。
他者を批判するコメントも同じで、利用規約を守っていれば、批判できないはず。
利用規約を読んだことがある人は、利用者の1割もいないのではと思っているw

2024年11月27日水曜日

【小説】銘柄を明かさない理由R049 災厄を司る神(前編)

第049話 災厄を司る神(前編)

精神世界にある高天原の神殿では、三貴神による御前会議が行われていた。
円卓には、羽衣をまとった最高神である天照大神(アマテラス)。
天照大神の弟神で夜を統べる月読命(ツクヨミ)。
同じく天照大神の弟神で武具を装着した建速須佐之男命(スサノオ)がいた。

「禍津日神(マガツカヒノカミ)が現れたらしいな」、アマテラスがいう。
「昨夜、中部地方で目撃したとの報告が上がっております」、ツクヨミがいう。
「厄介なところに現れおったな」、スサノオがいう。
「ツクヨミの予測を述べよ」、アマテラスがいう。

「禍津日神は、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の復活を図るはずです。
八岐大蛇は、八つの頭を切断し、全国各地に封印しております。
復活させるため、各地にある頭を集めて回るでしょう。
頭が揃った地で、復活の儀を執り行うものと思われます」、ツクヨミがいう。

「スサノオの予測を述べよ」、アマテラスがいう。
「中部地方に現れたのであれば、北上してから南下するルート。
あるいは、南下してから北上するルートが考えられまする。
復活の地は、前者の場合は九州、後者の場合は東北になろうかと」、スサノオがいう。

「ツクヨミよ、被害の予測を述べよ」、アマテラスがいう。
「復活の地が九州であった場合、人的被害は三万人ほどになると思われます。
東北であった場合も、同じく三万人ほどになると思われます。
これらは最速で鎮めた場合で、更に増える可能性があります」、ツクヨミがいう。

「八岐大蛇が復活するまで、そんなに時は残されておらん。
ツクヨミは各地の神柱とともに、引き続き禍津日神の情報収集に当たれ。
スサノオはいつでも出動できるよう、神兵とともに待機せよ」、アマテラスがいう。
「承知いたしました」、ツクヨミとスサノオがいい、御前会議は終わった。

禍津日神は、日本神話に登場する神。
禍は「災厄」、津は「の」、日は「神霊」で、「災厄の神霊」という意味になる。
アマテラス、ツクヨミ、スサノオ等の父神である伊邪那岐命(イザナギ)。
黄泉から帰ったイザナギが、禊を行って黄泉の穢れを祓った時に生まれた神とされている。

禍津日神のように黄泉の穢れから生まれた神は、災厄を司る神とされている。
だが、祀ることで災厄から逃れられるとし、厄除けの守護神としても信仰されている。
復古神道においても異なる見解があり、本居宣長は禍津日神を悪神だと考えた。
一方、平田篤胤は禍津日神を善神だとしている。

【本日の取引】20241127~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場はさえない値動きで推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は下がっていた。
インバース型ETFは上がったが、前日比はマイナスだったw

下図の上は、2020、2021、2022、2023、2024年のTOPIX(東証株価指数)の推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円の推移。
その下は信用評価損益率と買い残と売り残金額の推移。
日銀が利上げする可能性が高まっているが、利上げすれば影響大だろうなと思うw
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追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
新米が流通すれば下がるといわれていた米の価格が下がらない。
高く買う中間業者がいることが原因で、いつ下がるかわからないらしい。
仕方ないので、米だった朝食を、パンに切り替えることにしたw

過去に、中間業者が米を買い占め、米不足になったことがあった。
当時とは異なり、今は情報社会。
今回、高く買っている中間業者は信用を失うだろう。
高値で買ってもらった米農家も信用を失うかもしれないw

2024年11月26日火曜日

【小説】銘柄を明かさない理由R048 バリュー投資同好会(後編)

第048話 バリュー投資同好会(後編)

2009(平成21)年4月、東京都内にあるワンルームマンション。
帰宅したアマネオトヤは、室内着に着替えると、椅子に座った。
机の引き出しを開けると、家計管理用のノートを取り出した、
帰りにATMで記帳した通帳を開くと、入金額と引き落とし額をノートに写し始めた。

入金は、不動産会社から入金されたコインパーキングの収益だった。
引き落としは、マンションの家賃、電気や水道などの光熱費、土地の税金だった。
卒業までの学費は、祖父が支払ってくれることになっていた。
卒業までに必要な生活費を計算すると、600万円ほどが必要だと思った。

オトヤの資産は、コインパーキングにしている土地と通帳にある現金だった。
土地には住宅ローンによる抵当権があったが、保険金で完済したことで抹消されていた。
現金は、父親の生命保険や自宅の火災保険で支払われた保険金の残金。
あと、今までのコインパーキングからの収益で、1,000万円超あった。

現金が1,000万円超なので、投資に使えるのは400万円になる。
成人して証券会社に取引口座を開設したら、400万円入金することにした。
それまでに、バリュー投資同好会で投資のことを学ばせてもらおう。
入会したいと伝えることを決めたオトヤはノートを閉じた。

バリュー投資同好会の魚沼と青柳は、千葉県出身で同じ中学に通っていた。
魚沼は、地主の祖父に、幼少期から生前贈与してもらっていた。
青柳は、上場企業に勤める父親に、高校入学時から生前贈与してもらっていた。
大学で再会した二人は、生前贈与された資産をどうするか話し合った。

何日もかけて話し合った結果、株式投資で運用することを決めた。
二人は多くの株に関する書籍を読み、最適解はバリュー投資だと結論づけた。
だが、成人にならないと、証券会社に口座を開設することができない。
二人は成人になるまで、バリュー投資同好会を立ち上げ、研究を続けていた。

翌日、オトヤは魚沼と青柳に入会したいと伝え、快諾された。
幹事に任命されたオトヤは、投資について教わった。
その年に成人した魚沼と青柳は、証券会社に口座を開設し運用を始めた。
翌年、成人したオトヤも、証券会社に口座を開設し運用を始めた。

2010(平成22)年12月、大学の最寄り駅近くにある居酒屋。
「今年はお疲れ様でした!乾杯!」、バリュー投資同好会の打ち上げが行われた。
評価損益がプラスになった魚沼、青柳、オトヤの3人は、楽しいひと時を過ごした。
だが、彼らの評価損益がプラスになったのは、ビギナーズラックに過ぎなかった。
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次章予告

精神世界にある高天原の神殿では、三貴神による会議が行われていた。
円卓には、羽衣をまとった最高神である天照大神(アマテラスオオミカミ)。
天照大神の弟神で夜を統べる月読命(ツクヨミ)。
同じく天照大神の弟神で武具を装着した建速須佐之男命(スサノオ)がいた。

「禍津日神(マガツカヒノカミ)が現れたらしいな」、アマテラスがいう。
「昨夜、中部地方で目撃したとの報告が上がっております」、ツクヨミがいう。
「厄介なところに現れおったな」、スサノオがいう。
「ツクヨミの予測を述べよ」、アマテラスがいう。

「禍津日神は、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の復活を図るはずです。
八岐大蛇は、八つの頭を分けて、全国各地に封印しております。
復活させるため、分かれている頭を集めて回るでしょう。
頭が揃った地で、復活の儀を執り行うものと思われます」、ツクヨミがいう。

「スサノオの予測を述べよ」、アマテラスがいう。
「中部地方に現れたのであれば、北上してから南下するルート。
あるいは、南下してから北上するルートが考えられます。
復活の地は前者の場合は九州、後者の場合は東北になろうかと」、スサノオがいう。

【本日の取引】20241126~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場は高値圏で推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は下がっていた。
インバース型ETFは上がったが、前日比はマイナスだったw

下図の上は、2020、2021、2022、2023、2024年のTOPIX(東証株価指数)の推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円の推移。
米国次期大統領の他国への関税発言により、荒い値動きになった。
就任前の発言でも影響があるので、就任後の発言の影響は大きいだろうなと思うw
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追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
小売業を始めて、一代で上場企業にした経営者のインタビュー記事を読んだ。
子どもには経営を引き継かず、株主を引き継ぐ考えらしい。
個人的には、反論の余地はなく、さすがだなと感心させられたw

2024年11月25日月曜日

【小説】銘柄を明かさない理由R047 バリュー投資同好会(中編)

第047話 バリュー投資同好会(中編)

ウォーレンこと魚沼会長によるバリュー投資同好会の説明は以下だった。
・昨年、魚沼会長と青柳副会長が発足させた大学非公認の同好会で、会員はいない。
・目的は、バリュー投資という割安株投資の研究ならびに実践。
・年会費はなく、毎週火曜と水曜にハンバーガーショップに集まっている。

「毎週火曜と水曜になってるけど、来れないときは事前に連絡してくれればOK。
事前に連絡できないときは、連絡くれなくてもOKだから」、ウォーレンがいう。
いくら入会して欲しいからって、さすがにユルすぎでしょ、チャーリーは思った。
「アマネ君から何か聞きたいことはありますか」、ウォーレンがいう。

「お二人の呼び名のウォーレンとチャーリーの由来を知りたいです。
魚沼さんがウォーレンと呼ばれるのは、なんとなくわかります。
青柳さんがチャーリーと呼ばれる理由がわからなくて」、オトヤがいう。
「いい質問だね、バリュー投資で有名な投資家の名前が由来だよ。

ウォーレンは、今世紀最高の投資家といわれているウォーレン・バフェット氏。
チャーリーは、バフェット氏の盟友であるチャーリー・マンガー氏。
2人の偉大なる投資家の名前を借りてるってわけさ」、ウォーレンがいう。
僕は一字も合ってないからね、チャーリーは思った。

「あと、場所がハンバーガーショップなのは理由があるんですか」、オトヤがいう。
「バフェット氏の好物がハンバーガーなんだよ」、ウォーレンがいう。
「なるほど、そういう理由なんですね」、オトヤがいう。
本当の理由は安いからなんだけどね、チャーリーは思った。

「アマネ君はウチ以外の説明会に参加したりしたの」、ウォーレンが聞く。
「ここが初めてなので、これから参加しようかなと思っています」、オトヤがいう。
「わるいことはいわないから、止めといた方がいい。
ウチ以外は不純異性交遊が目的の同好会ばかりだ。

奴らは会費を集めては、山だ、海だといって、女の子と遊んでばかりいる。
ある同好会なんて、クリスマスに女の子を集めて、朝までパーティーしてたんだぞ。
羨ましいを通り越して、潰れてしまえと思っている」、ウォーレンがいう。
隣の女子高生が肩震わせて笑うの我慢してるし、チャーリーは思った。

「確かによくないですね、他は参加しないことにします」、オトヤがいう。
「アマネ君はウチに入会するべきだ、いい返事を期待しているよ」、ウォーレンがいう。
「前向きに検討させてもらいます、本日はありがとうございました」、オトヤがいう。
えっ、えっ、まさかの展開、隣の女子高生も固まってるし、チャーリーは思った。

【小説】銘柄を明かさない理由R046 バリュー投資同好会(前編)

第046話 バリュー投資同好会(前編)

2009(平成21)年4月、東京。
アマネオトヤは、大学の近くにあるハンバーガーショップに向かっていた。
"バリュー投資同好会"の入会説明会に参加するためだった。
昨日、大学構内で手渡されたチラシには"誰でも歓迎"、"投資経験不問"の文字があった。

ハンバーガーショップに着くと、開催場所と書かれていた2階へ上がった。
飲食スペースの2階には、学校帰りの女子高生が多くいた。
店内を見渡すと、壁際のテーブル席にチラシを配っていた2人組の男子学生がいた。
白の長袖シャツと紺のベストを着た2人は向い合せに座り、話し込んでいるようだった。

オトヤは2人のテーブル席に行くと、「お待たせしてすいません」といった。
会話を止めた2人は、オトヤを見上げると固まった。
2人のテーブルには、飲みかけのドリンクがあった。
「私もドリンク買ってきますね」、オトヤはいい、階段へ向かった。

「チャーリー、席を空けるんだ」、壁際の席の眼鏡をかけた学生がいった。
「わかった、ウォーレン」、チャーリーと呼ばれた学生が、壁際の席に移動した。
「入会希望者だよな」、ウォーレンと呼ばれた学生がいう。
「チラシを見て来たんだと思う」、チャーリーと呼ばれた学生がいう。

「緊張するな」、ウォーレンと呼ばれた学生がいう。
「僕も」、チャーリーと呼ばれた学生がいう。
ドリンクを買ったオトヤが2階に上がると、2人が壁際の席に座っているのが見えた。
背筋を伸ばした2人は両手を膝において、オトヤを見ていた。

オトヤがテーブル席まで来ると、2人は同時に立ち上がった。
「入会説明会へようこそ、お座りください」、ウォーレンと呼ばれた学生がいう。
「よろしくお願いします」、オトヤは軽く一礼し、2人の向かいの席に座った。
オトヤが座ると、2人も座った。

誰も何もいわないので、気まずい雰囲気になった。
「ウォーレン」、チャーリーと呼ばれた学生が小声でいう。
「バリュー投資同好会の会長、魚沼卓也(うおぬまたくや)です。
経済学部の2回生です、ウォーレンと呼んでください。

横にいるのは副会長の青柳正(あおやぎただし)君です。
彼も経済学部の2回生です、チャーリーと呼んでください。
早速ですが、お名前と学部を教えていただけますか」、ウォーレンがいう。
「アマネオトヤです、経済学部の1回生です」、オトヤが答えた。

【本日の取引】20241125~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場は高値圏で推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は上がっていた。
インバース型ETFが下がったので、前日比はマイナスだったw

下図の上は、2020、2021、2022、2023、2024年のTOPIX(東証株価指数)の推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円の推移。
TOPIXは堅調だが、監視銘柄は二極化が進んでいる。
年初来高値となった銘柄があるが、年初来安値になった銘柄があったりするw
---------------------------------------------------------------

追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
ある企業には、祖父母が孫を育てるための育児休暇「孫育休暇」があるらしい。
孫が小学3年生になるまで、年間5日の有給休暇がとれるらしい。
少ないという声もあるが、自身が父母の立場なら気を遣うので多いと思うかもしれないw

2024年11月24日日曜日

【小説】銘柄を明かさない理由R045 神の血族(後編)

第045話 神の血族(後編)

オトヤは天津日子根命に聞きたいことがあった。
聞きたいことは、自宅に火を放った犯人の動機だった。
「動機は、犯人が供述した通りじゃ。
夢に出てくる男の家を見つけたので火を放ったじゃ。

火を放った男は、当時、連日のように報道されていた連続強盗事件の犯人だった。
俊彦は持ち前の能力を使い、犯人の氏名や住所を特定した。
だが、警察へ知らせようにも、証拠がないので信じてもらえない。
犯人が見る夢に現れては、悔い改めて自首するよう、諭しておったんじゃ。

ある日、犯人の男は、写真屋に飾ってある家族写真に俊彦がいるのを見つけた。
写真屋の主人に、俊彦のことを教えてもらい、自宅を特定した。
ガソリンを入れた携行缶を用意した男は、寝静まった頃を見計らって家を出た。
俊彦の自宅に着くと、ガソリンをまき、火を放ったんじゃ」、天津日子根命がいう。

そんな理由で火を放ったのか、オトヤは思った。
「家族は肉体が失われただけで、魂は消滅しとらん。
前世の記憶はなくなるが、いずれ転生するはずじゃ。
家族も前向きに生きて欲しいと思っとるはずじゃ」、天津日子根命がいう。

いいたいことはわかる、だが割り切れない、オトヤは思った。
しばらくの間、黙っていた天津日子根命が口を開いた。
「前向きに生きてもらうため、本題の話をするとしよう。
俊彦の代わりに、桑名宗社に寄付してくれんか」

今、ある貯金を寄付するのか、オトヤは思った。
「今、ある金を寄付しろとはいわん。
これから稼ぐ金の一部を寄付して欲しいんじゃ」、天津日子根命がいう。
バイトして稼ぐ金の一部か、それならできるかもしれない、オトヤは思った。

「バイトではなく、株への投資で稼ぐんじゃ」、天津日子根命がいう。
株なんてやったことがない、オトヤは思った。
「気づいていないようだが、オトヤには、あらゆるものを引き寄せられる能力がある。
その能力があれば、株への投資で稼げるはずじゃ」、天津日子根命がいった。

髪を乾かし終わったオトヤは電気を消し、ベッドに入った。
明日から通う大学には、投資同好会や投資サークルがある。
話を聞いて、よさそうなところがあれば、入れてもらおう。
後に証券会社から"無敗のエース"と呼ばれることになるアマネオトヤは思った。

【小説】銘柄を明かさない理由R044 神の血族(中編)

第044話 神の血族(中編)

神が先祖?神の子どもは神だろ、オトヤは思った。
「人間には生まれながらにして、様々な能力が備わっている。
ほとんどの人間はその能力に気づくことなく、生涯を終える。
その能力に気づいた者が神と呼ばれ、あがめられてきた」、長髪の男がいう。

マンガやアニメにありそうな話だな、オトヤは思った。
「自らが持つ能力に気づいた俊彦は、祖先が天津日子根命であることを知った。
それ以来、天津日子根命を祀る桑名宗社に寄付を行ってきた。
信じられないなら、桑名宗社へ行って、寄付の記録を確認するがよい」、長髪の男がいう。

今週の土曜にでも行ってみるか、オトヤは思った。
「行くときに賽銭を忘れるな、お守りや御朱印帳も買えよ」、長髪の男がいった。
目が覚めたオトヤは、やけに具体的な夢だったなと思った。
その日、登校したオトヤは、図書室で天津日子根命について調べた。

天津日子根命は、日本神話に登場する神。
「古事記」では天津日子根命、「日本書紀」では天津彦根命と表記されている。
天津日子は「天の太陽の子」の意で、根は接尾辞とされている。
川内国造・茨木国造・筑波国造・師長国造など、多くの氏族の祖とされている。

日本神話における最高神が天照大神(アマテラス)。
天照大神の弟が建速須佐之男命(スサノオ)だった。
姉弟である天照大神と建速須佐之男命が誓約を行った。
その際、天照大神の玉から男柱5柱が生まれたが、1柱が天津日子根命だった。

天津日子根命は、下記の神社などで祭神として祀られていた。
・三重県桑名市:多度大社、桑名宗社(春日大社)、額田神社。
・滋賀県東近江市:竹田神社。
・京都府亀岡市:出雲大神宮。

その週の土曜日、オトヤは桑名市にある桑名宗社を訪れた。
参拝した後、父親の俊彦が寄付を行っていたか、確認してもらった。
俊彦は20年前から亡くなるまでの間、毎年、多額の寄付を行っていた。
寄付が事実だったことを確認したオトヤは、お守りと御朱印帳を買って帰った。

その日の夜、オトヤは寝るためにベッドに入った。
目の前の霧が晴れてくると、神社が現れた。
目をこらすと、賽銭箱に腰掛け、腕組みをしている天津日子根命がいた。
「いった通りだろう」、ドヤ顔の天津日子根命がいった。

【小説】銘柄を明かさない理由R043 神の血族(前編)

第043話 神の血族(前編)

2009(平成21)年4月、東京都内にあるワンルームマンション。
帰宅したアマネオトヤは、貸金庫から持って帰った封筒から預金通帳を取り出した。
口座残高を確認すると、思っていた通り、1,000万円を超えていた。
預金通帳を封筒に戻すと、机の引き出しにしまった。

封筒をしまうと、買ってきたハンバーガーセットを食べた。
食べ終わると、午前中に参加した大学の入学説明会でもらった書類に目を通した。
明日の講義に必要なテキストとノートをカバンに入れた。
用意が終わると、浴室へ行き、シャワーを浴びた。

ドライヤーを使って髪を乾かしていると、机の上に出したままのお守りが目に入った。
しまっておかないと、そう思い開けた引き出しには御朱印帳が入っていた。
御朱印帳の上にお守りを置くと、引き出しを閉じた。
髪を乾かしながら、お守りや御朱印帳を買うきっかけとなった出来事を思い出していた。

2008(平成20)年6月、三重県にある祖父母の家。
高校3年のオトヤは、東京の大学に進学するため、受験勉強をしていた。
先日の模擬試験の結果は合格ラインを上回っていたが、油断大敵と考えていた。
その日のノルマが終わると、電気を消してベッドに入った。

目の前の霧が晴れてくると、神社が現れた。
目をこらすと、覆いかぶさるようにして賽銭箱を覗いている長髪の男がいた。
長髪の男は、日本史の教科書に出てくる弥生人のような恰好をしていた。
賽銭泥棒かと思い見ていると、視線を感じたのか、男が顔を上げてオトヤを見た。

「ち、ちがう、いくら入っておるか、確認してたんじゃ」、長髪の男がいう。
盗む気だから、いくら入っているか確認してたんだろ、オトヤは思った。
「だから、ちがうっていっておろうが、確認じゃ、確認」、長髪の男がいう。
オトヤは長髪の男が、自分が思ったことを読み取っていることに気づいた。

どうして自分が思ったことがわかるんだ、オトヤは思った。
「神にとっては当たり前のこと」、長髪の男がいう。
神?神が賽銭泥棒してるのか、オトヤは思った。
「だ~か~ら~ちがうっていっておろうが」、長髪の男がいう。

神なら賽銭を確認する必要はないだろう、オトヤは思った。
「景気がよくないのか、参拝する人が少なくなってのう」、長髪の男がいう。
参拝する人が少ないってことは貧乏神なのか、オトヤは思った。
「誰が貧乏神じゃ、ご先祖様の天津日子根命(アマツヒコネ)じゃ」、長髪の男がいう。

2024年11月23日土曜日

【小説】銘柄を明かさない理由R042 天使の笑顔を持つ男(後編)

第042話 天使の笑顔を持つ男(後編)

2009(平成21)年4月、関東近郊の地方都市にある地方銀行の支店。
アマネという若い男性が貸金庫室を利用した日。
勤務が終わった沢渡美里は、女子更衣室にいた。
沢渡が着替えていると、隣で着替えていた先輩の小西と大田が話し始めた。

「アマネさんの息子が来てたわね」、小西がいう。
「来てた、来てた、3年ぶりくらいじゃないの」、大田がいう。
「お父さんに似て、イケメンになったわね」、小西がいう。
「イケメンは遺伝するってことね」、大田がいう。

「アマネさんって、有名な方なんですか」、沢渡が二人に聞く。
「この街では、ちょー有名よ」、小西がいう。
「沢ちゃんがこの街に来たのは2年前だから知らないか」、大田がいう。
小西と大田が教えてくれた内容は以下だった。

商店街を抜けた先の住宅街に、アマネ家族が住む一戸建てがあった。
父親の俊彦は進学高校の教師で、わかりやすい授業は生徒から人気があった。
母親の幸恵も公立小学校の教師をしており、親しみやすさで生徒から人気があった。
子どもは長男のオトヤ、長女の由香で、近所から羨ましがられる4人家族だった。

4年前の深夜、アマネ家の玄関前にガソリンがまかれ、火をつけられた。
玄関ドアの下から室内にガソリンが入っていたため、瞬く間に戸建ては炎に包まれた。
翌朝、焼け跡からは、俊彦と幸恵、由香の遺体が見つかった。
中学校の修学旅行で不在だったオトヤは難を逃れた。

2日後、隣町に住む40代の無職の男が、現住建造物放火ならびに殺人の容疑で逮捕された。
男の供述が支離滅裂だったため、精神鑑定が行われたが、責任能力はあると判断された。
裁判で検察は死刑を求刑したが、判決は無期懲役だった。
マスコミは動機なき放火殺人事件として報道していたが、やがて報道しなくなった。

生き残ったオトヤは、三重県にある父方の祖父母の家で暮らすことになった。
3年前、跡地にコインパーキングができると、オトヤと祖父が銀行にやってきた。
オトヤと祖父は、アマネオトヤ名義の口座を開設、貸金庫を契約した。
このときに手続きしたのが、小西と大田だった。

銀行からの帰り道、沢渡は思った。
天使のような笑顔を持っているが、アマネオトヤの過去は重すぎる。
ふと、学生時代に友人がカラオケで歌っていた曲が頭に浮かんだ。
友人が歌っていた曲のタイトルは"残酷な天使のテーゼ"だった。

【エッセイ】親族が増えて思うこと

先日、娘夫婦に男の子が生まれた。
旦那が画像と動画を送ってくれたので、おめでとうと伝えた。
還暦はまだ先なのに、孫ができるとは思わなかった。
平均寿命まで生きたら、ひ孫ができるかもしれないw

親族が増えて思うことについて書いてみる。
結婚事情の指標に生涯未婚率(45~49歳と50~54歳未婚率の平均値)がある。
1950年は男性が1.5%、女性は1.4%だった。
2020年は男性が28.3%、女性は17.8%で増加傾向にあるw

未婚率が増えている理由は、経済的な要因が大きいといわれている。
奨学金を返さなくてはいけない、子育てに伴う教育費の負担が大きすぎるなど。
自身の娘は私立高校から私立大学へ進んだが、結構な学費だった。
奨学金を借りることはなかったが、用意できていなければ借りていたかもしれないw

娘は大学生のとき、バイトで小遣いを稼いでいた。
学生の本分は勉強なので、本来は親が小遣いを渡さなくてはならない。
そう思い、毎年、小遣い相当分(100万円)で娘名義の株を買い続けた。
その結果、娘の金融資産は2,000万円を超え、年間の配当金は60万円になったw

娘が小学生のとき、都道府県民共済に加入させた。
今回の出産前に、切迫早産の可能性があり、長期入院した。
入院費用は保険適用だったが、結構な金額だったらしい。
だが、都道府県民共済からの支払いがあったので、持ち出しはなかったらしいw

今のところ、娘夫婦が経済的に困窮することは考えにくい。
だが、子どもが育つにつれ、学校でのトラブルなどの問題が生じるかもしれない。
親の職場での人間関係など、仕事を続けていく中でも、問題が生じるかもしれない。
学校や職場のことで相談があれば、自身の経験を踏まえ、アドバイスしたいと考えているw

2024年11月22日金曜日

【小説】銘柄を明かさない理由R041 天使の笑顔を持つ男(中編)

第041話 天使の笑顔を持つ男(中編)

2009(平成21)年4月、関東近郊の地方銀行の店内。
アマネオトヤは貸金庫室の前で立ち止まると、ドアの横のカードリーダーに目をやった。
3年前と同じであることを確認すると、ジーンズのポケットから財布を取り出した。
財布を開いて、カードを取り出すと、ドアの横にあるカードリーダーに通した。

ドアロックが解除される音がしたので、ドアを開いて貸金庫室に入室した。
ドアの傍には机と椅子があり、正面と左右の壁一面に貸金庫があった。
ドアが閉まると、室内にあるカードリーダーにカードを通した。
カードを通した後、下のテンキー画面に、妹の由香の誕生日を入力した。

入力すると、左の壁にある貸金庫の緑色のライトが点灯した。
ライトが点灯した貸金庫に近づくと、ポケットから鍵を取り出した。
鍵穴に鍵を入れて回すと、扉を開いた。
A4のファイルより一回り大きな鉄製の箱を取り出すと、机に向かった。

机に箱を置き、椅子を引いて座ると、箱の蓋を開けて中の物を取り出し始めた。
最初に取り出したのは、自宅のあった土地の権利証が入った封筒だった。
父親の俊彦の名義だった土地は、今はオトヤの名義になっていた。
次に取り出したのは、その土地の管理を委託した不動産会社との契約書だった。

契約者はオトヤだが、未成年だったため、親権者として祖父の名前があった。
不動産会社のアドバイスもあり、土地はコインパーキングにしていた。
管理費を除いた収益が、不動産会社からオトヤの口座に振り込まれるようにしていた。
次に取り出したのは、アマネオトヤ名義の預金通帳と印鑑が入った封筒だった。

通帳には、俊彦が加入していた生命保険の保険金が入金されていた。
コインパーキングの収益も振り込まれるようにしていた。
口座残高は1,000万円を超えているはずだった。
最後に取り出したのは、額に入った家族写真だった。

写真には、父親の俊彦と母親の幸恵との間に、5歳のオトヤと3歳の由香がいた。
七五三の記念に、街の写真屋のスタジオで撮ってもらった写真だった。
4年前の火事で自宅が全焼したため、思い出の品は全て焼けてしまっていた。
写真は、写真屋のショーウインドウに見本として飾られていたものだった。

写真を見ていると、家族との楽しかった出来事が思い出された。
しばらく、写真を見た後、預金通帳と印鑑の入った封筒以外は箱に戻した。
蓋を閉じた箱を貸金庫に入れると、扉を施錠した。
机に置いていた封筒を手にすると、今は亡き家族の写真がある貸金庫室を後にした。

【本日の取引】20241122~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場は高値圏で推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は上がっていた。
インバース型ETFが下がったので、前日比はマイナスだったw

下図の上は、2020、2021、2022、2023、2024年のTOPIX(東証株価指数)の推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円の推移。
先日、米国の大統領が、ウクライナのロシアに対する長距離兵器使用を認めた。
ウクライナ支援に消極的な次期大統領就任までに、支援しておこうという考えらしいw
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追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
メガバンクの行員が、貸金庫から客の資産を窃取していたらしい。
本人への聞き取りの結果、被害総額は時価十数億円程度。
自身も貸金庫を利用しているが、貸金庫の安全性が大きく損なわれる事件だと思うw

今年になってから、金融業界の不祥事の発覚が続いている。
保険会社の価格調整、証券会社の相場操縦や社員による顧客の現金窃盗。
東京証券取引所職員の情報漏洩疑惑などなど。
バブル期も不祥事の発覚が多かったが、そろそろ令和のバブルも終わりかもしれないw

2024年11月21日木曜日

【小説】銘柄を明かさない理由R040 天使の笑顔を持つ男(前編)

第040話 天使の笑顔を持つ男(前編)

2009(平成21)年4月、関東近郊の地方都市。
駅前にある地方銀行の支店では、入行3年目の沢渡美里が窓口業務を行っていた。
店内の椅子には、10人ほどの客が受付番号が印刷された紙を持って、座っていた。
カウンターに置かれた発券機が、次の受付番号を表示した。

高齢男性が椅子から立ち上がると、沢渡の窓口にやってきた。
「お待たせしました、本日はどのようなご用件でしょうか」、沢渡がいう。
「大至急、ここに通帳にある200万円を振り込んでくれ」
高齢男性はいうと、振込先が書かれたメモ、通帳と印鑑をカウンターに置いた。

おかしいと思った沢渡は、いくつか質問することにした。
「この振込先は、どういう関係の方ですか」、沢渡が聞く。
「よく知らんが、振り込まないといけないんじゃ」、高齢男性がいう。
「この人から振り込んでくれといわれたのですか」、沢渡が聞く。

「孫から振り込んでくれといわれたんじゃ」、高齢男性がいう。
ますますおかしいと思った沢渡は質問を続けた。
「お孫さんは、この人から何かを買ったんですか」、沢渡が聞く。
「それはいうなといわれとる」、高齢男性がいう。

オレオレ詐欺の可能性が高いと思った沢渡はいった。
「最近、息子や孫になりすまして、お金を振り込ませる詐欺が増えてます。
お孫さんに電話して、本人だったか確認されてはいかかですか」、沢渡がいう。
「孫が困っとるんじゃ、振り込んでくれ」、高齢男性が大きな声でいう。

「振込してしまうと、返金してもらうのは大変ですよ。
もし、騙されてて、そのことをお孫さんが知ったら、悲しむと思います。
お孫さんのためにも、ここは冷静になられた方がいいと思います」、沢渡がいう。
「わ、わかった」、高齢男性はメモと通帳、印鑑をズボンのポケットに入れた。

うなだれて出ていく高齢男性と入れ違いに、若い男性が入ってきた。
白のカジュアルシャツとジーンズが似合う男性は、沢渡の前まで歩いてきた。
「受付番号の紙をとって、お待ちいただけますか」、沢渡がいう。
「アマネといいます、貸金庫室は空いてますか」、男性が沢渡を見つめながらいう。

「は、はい、空いてます」、予想してなかった質問に沢渡が答えた。
「そっか、空いててよかった、入りますね」
天使のような笑顔になったアマネはいうと、奥にある貸金庫室に向かった。
沢渡には交際中の彼氏がいたが、天使のような笑顔を持つアマネに心を奪われていた。

【本日の取引】20241121~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場は高値圏で推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は下がっていた。
インバース型ETFが上がったので、前日比はプラスだったw

下図の上は、2020、2021、2022、2023、2024年のTOPIX(東証株価指数)の推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円の推移。
その下は投資主体別売買状況と日経平均株価の推移だが、目立った売買はなかった。
国内外の選挙も終わったので、しばらくは様子見相場になるかもしれないw
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追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
昨日、米国政府が、ロシアがウクライナに大規模攻撃を行う可能性があると警告していた。
本日、ロシアがウクライナにICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射したらしい。
以前から書いているが、早期に平和的な解決をして欲しいと思うw

総菜パンが食べたくなり、久々にコンビニに行くと、大幅に値上がりしていた。
結局、コンビニでは買わず、スーパーで買った。
ロシアとウクライナの争いが激化すれば、パンなどの値段がさらに上がる可能性がある。
新米価格も高騰しているので、食料の買い溜めをする人が出てくるかもしれないw

2024年11月20日水曜日

【小説】銘柄を明かさない理由R039 最後の相場師(後編)

第039話 最後の相場師(後編)

是川とコウゾウが南海セメント本社を訪れた3週間後。
南海セメントは新株発行による増資を行うと発表した。
この発表により、半年前から上昇していた株価は急落した。
だが、是川とコウゾウは保有していた南海セメント株を全て売り抜けていた。

是川とコウゾウは、その後も多くの仕手戦に関わった。
1976(昭和51)年の日本セメント、1979(昭和54)年の同和鉱業。
1982(昭和57)年の不二家、1983(昭和58)年の丸善石油、平和不動産など。
中でも、1981年から1982年の住友金属鉱山の仕手戦は、彼らの名を一躍、有名にした。

是川の生活は質素で、大阪市に多額の寄付を行うなど社会福祉事業にも力を入れていた。
1979(昭和54)年には、私財14億円を拠出し、是川奨学財団を設立した。
バブル崩壊後の1992(平成4)年、老衰により95歳で亡くなった。
遺産は、奥さんと暮らしていた2LDKのマンションだけだった。

1992(平成4)年の秋。
「ちょっと待ちいな」、是川の葬儀に参列した帰り道、コウゾウは声をかけられた。
コウゾウが振り向くと、喪服姿のヨドヤタエが追いかけてきていた。
「久しぶりに会うたんや、近くで茶でも飲まへんか」、タエがいった。

コウゾウとタエは、近くの喫茶店に入った。
注文した飲み物が運ばれると、タエが話し始めた。
「ホンマ、久しぶりやな、2年ぶりくらいになるんかな。
アンタはずっと是銀と一緒やったんかいな」、タエがいう。

「一緒だった、最後も看取った」、コウゾウがいう。
「そうかいな、是銀も嬉しかったやろな、愛弟子に看取ってもろうて。
紙袋に入ってんのは、是銀の家にあった額やろ」、タエが紙袋の額を見ながらいう。
「奥さんから渡された」、コウゾウは"誠と愛"と書かれた額を取り出した。

「アンタに持っといて欲しかったんやろな」、タエがいう。
「さあ、どうかな」、紙袋に額を戻しながら、コウゾウがいう。
「アンタはこれからどないするんや」、タエがいう。
「とりあえず、東京へ戻ろうかと考えている」、コウゾウがいう。

「寂しなるけどしゃあないな、大阪来たら、いつでも寄ってや」、タエがいう。
是川に株を教えてもらったタエは、是川との思い出話を始めた。
その後、東京へ戻った"無敗のキング"ことジツオウジコウゾウは証券会社を立ち上げた。
証券会社の社名は、是川の人生訓である"誠と愛"からとった愛誠証券だった。

【本日の取引】20241120~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場はさえない値動きで推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は下がっていた。
インバース型ETFも下がったので、前日比はマイナスだったw

下図の上は、2020、2021、2022、2023、2024年のTOPIX(東証株価指数)の推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円の推移。
米国政府によると、ロシアがウクライナに大規模攻撃を行う可能性があるらしい。
戦火が拡大しても軍需産業が儲かるだけなので、早期に平和的な解決をして欲しいw
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追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
不動産経済研究所が10月の首都圏(1都3県)新築分譲マンション市場動向を発表した。
上記によると、1戸当たりの平均価格は前年比40.7%上昇の9,239万円だった。
建築資材価格や人件費が上がっていても、前年比40.7%上昇はぼったくりだと思うw

先日、高齢者を狙った不動産詐欺の記事を読んだ。
山奥にある1万円でも売れない土地を、数百万円で買わせている業者がいるらしい。
高齢者が認知症とかでなければ、罪に問うことは難しいらしい。
個人的には、不動産詐欺による被害を防ぐための法整備が必要だと思うw

2024年11月19日火曜日

【小説】銘柄を明かさない理由R038 最後の相場師(中編)

第038話 最後の相場師(中編)

南海セメント株式会社は、明治時代に創業した土木資材の卸会社。
子会社には、公共工事を手掛ける株式会社間宮道路、関西臨海土木株式会社があった。
南海セメント株は過去に仕手株化しており、相場師の来須が手掛けることで知られていた。
昨年から来須が買い進めていることを知った是川とコウゾウも、密かに買い進めていた。

1973(昭和48)年の夏、大阪市北区。
スーツ姿の是川とコウゾウは、南海セメント本社ビルの前にいた。
「いよいよですね」、コウゾウがいう。
「さてと仕上げに行こうか」、是川はいうと玄関へ向かった。

受付の女性社員に、名前と約束していることを伝えると、応接室に案内された。
お茶を運んできた女性社員と入れ替わりに、恰幅のいい男性が入ってきた。
「本来ならこちらがお伺いさせていただくところ、ご足労いただき申し訳ありません。
はじめまして、南海セメントで常務をしている権田と申します」

権田の名刺を受け取った是川とコウゾウは、自己紹介した。
自己紹介が終わり、3人がソファに座ると、権田が話し始めた。
「先日、電話させていただいたのは、お願いがあったからです。
お二方は当社の株を一定数以上、保有されている株主様です。

当社は株主様の期待に応えるべく、これからも関西地区の発展に貢献してまいります。
つきましては、末永く当社の株を保有していただきたいのです」
是川は茶を手に取り、一口啜るといった。
「うまい茶ですな、株を保有して欲しい本当の理由をお聞かせ願えませんか」

愛想笑いを浮かべていた権田の表情が固まった。
「半年前まで100円台だった貴社の株価は600円を超え、今も上がり続けている。
どこぞの得体のしれない奴が貴社の株を買い占め、株価を吊り上げているとしか思えん」
是川はいうと、茶を受け皿に置いた。

「この先、乗っ取られたくなければ、株を買い取れといってくるやもしれん。
そのようにいわれたのなら、増資して株数を増やしてやればよい」、是川がいう。
「増資をすれば一株価値が下がり、株主様に迷惑をかけることになります」、権田がいう。
「得体のしれない奴が得をするより、増資した金で設備投資した方がよい」、是川がいう。

南海セメント本社からの帰りの電車。
「さすがに増資をするとはいいませんでしたね」、コウゾウがいう。
「常務だからな、これから役員会での審議に1週間、株主への根回しに1週間。
早ければ、2週間後に増資が発表される、それまでに全て売り抜ける」、是川がいった。

【現在の株式評価額】20241119~8306 ㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ高値更新~

Y&Kファンド(1銘柄)
・取得額合計:0円
・配当金合計:600,000円(配当利回り:#DIV/0!)
・評価額合計:18,435,000円(BPS:16,704,500円)
・損益額合計:18,435,000円(損益率:#DIV/0!)

Rファンド(1銘柄)
・取得額合計:0円
・配当金合計:600,000円(配当利回り:#DIV/0!)
・評価額合計:18,435,000円(BPS:16,704,500円)
・損益額合計:18,435,000円(損益率:#DIV/0!)

Sファンド(0銘柄)
・取得額合計:0円
・配当金合計:0円(配当利回り:#DIV/0!)
・評価額合計:0円(BPS:0円)
・損益額合計:0円(損益率:#DIV/0!)

【現在の株式評価額】には、ETFやデイトレードは反映していない。
不定期投稿だが、投稿するのは以下の場合にしている。
保有銘柄や株数を変更した場合、もしくは前回の投稿より評価額が増加した場合。
今回は、前回の投稿より評価額が増加した場合になるw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場は高値圏で推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は上がっていた。
インバース型ETFは下がったが、前日比はプラスだったw

下図の上は、2020、2021、2022、2023、2024年のTOPIX(東証株価指数)の推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円の推移。
2022年11月24日、ロシアがウクライナへ侵攻した。
侵攻開始から1,000日になるらしいが、早期に平和的な解決をして欲しいと思うw
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追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
欧州市場、米国市場先物、日経平均先物、ドル円などが急落している。
確認したが、原因となるような報道は見当たらなかった。
もしかすると、国内の新米価格が例年の1.5倍に値上がりしたことかもしれないw

追記
前述の急落の原因は、下記報道により地政学的リスクが高まったためらしい。
"ロシアのプーチン大統領は19日、核ドクトリンの改定を承認し、核兵器の使用基準を緩和した。この数日前、ロシア領内への長距離ミサイル攻撃について米国はウクライナに限定的ながら許可していた。
プーチン氏はドローンを含む通常兵器による大規模攻撃を受けた場合の対応として、核による報復を可能にする大統領令に署名した。非核保有国が核保有国の支援を得てロシアやその同盟国に攻撃を仕掛ける場合、ロシアは共同攻撃だと見なすと、オンラインに掲載された大統領令は説明している。"
(2024年11月19日 Bloomberg News)
繰り返しになるが、早期に平和的な解決をして欲しいと思うw

2024年11月18日月曜日

【小説】銘柄を明かさない理由R037 最後の相場師(前編)

第037話 最後の相場師(前編)

是川銀蔵は1897(明治30)年、兵庫県生まれの相場師。
高等小学校(現在の中学1学年と2学年)卒業後、神戸の貿易商の元で奉公。
数々の職業を経たのち、大阪の北浜で株の世界に入った。
幾多もの仕手戦で名を馳せ、"最後の相場師"と称せられた。

1973(昭和48)年の夏、大阪の住宅街にあるアパートの一室。
コウゾウは朝刊の気になる経済記事を切り抜いて、ノートに貼り付けていた。
貼り付けが終わると、立ち上がって、本棚にノートを戻した。
本棚の上の棚には、会社四季報と経済記事を貼り付けたノートがびっしりと並んでいた。

コウゾウは下の棚にあるスケッチブックの一冊を手に取ると、再び座卓の前に座った。
座ると、方眼紙が貼り付けてある最初のページを開いた。
朝刊の株価欄を見ながら、株価チャートの続きを描き始めた。
描き終わり、次のページを開いたとき、下駄箱の上にある黒の電話機が鳴った。

玄関へ行き、受話器を取ると、ジツオウジ名義の口座がある証券会社からだった。
「おはようございます、佐藤です、ジツオウジさんでしょうか」
「ジツオウジです、おはようございます」
「本日の執行条件はいかがいたしましょうか」

「間宮道路は1,100円を超えたら、1,000株売り。
南海セメントは600円を切ったら、2,000株買い増しでお願いします」
「承知しました、ここだけの話、とっておきの情報があるのですが」
佐藤が他の銘柄を勧めてきたが、検討してみますといって電話を切った。

電話機の後ろの壁には、是川に書いてもらった「カメ三則」が貼ってあった。
①銘柄は水面下にある優良なものを選んでじっと待つこと
②経済、相場の動きから常に目を離さず自分で勉強する
③過大な思惑はせず、手持ち資金の中で行動する

コウゾウは「カメ三則」をつぶやくと、再び株価チャートの続きを描き始めた。
株価チャートからは、短期の値動きだけでなく、長期の値動きもわかる。
株価チャートを描いていると、時間が経つのが早かった。
以前、是川からいわれた、片手間でできることじゃないなと、あらためて思った。

株価チャートを描き終え、壁掛け時計を見ると、是川と約束した時間が迫っていた。
いけね、コウゾウは慌ててスーツに着替えると、部屋を出た。
部屋を出たコウゾウは、自転車で最寄り駅へ向かった。
最寄り駅に着くと、スーツにネクタイ姿の是川が待っていた。

【本日の取引】20241118~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場はさえない値動きで推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は下がっていた。
インバース型ETFが上がったので、前日比はプラスだったw

下図の上は、2020、2021、2022、2023、2024年のTOPIX(東証株価指数)の推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円の推移。
米国がウクライナに対して、ロシアへの長距離兵器使用を許可したらしい。
次期大統領の意向なのかはわからないが、いずれにしてもリスキーな判断だと思うw
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追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
下記の県知事の失職に伴い行われた選挙で、失職した前県知事の〇〇氏が当選した。
"県民局長の男性職員が3月、〇〇氏の疑惑を指摘した告発文書を匿名で報道機関などに送付。県は公益通報として扱わず、男性職員を告発者と特定し、県民局長から解任した。5月には、「(文書は)核心的な部分が事実ではない」とし、男性職員を停職3か月の懲戒処分とした。男性職員は7月に死亡。自殺とみられる。
県議会は6月、真相究明に向けて百条委員会を設置し、〇〇氏や県幹部らへの証人尋問を実施。9月19日、「県政は停滞と混乱を極めている」として不信任を全会一致で決議した。〇〇氏は10日以内に議会を解散しなかったため、地方自治法に基づき同30日に自動失職した。"
(読売新聞10月31日配信)

当初の報道では、〇〇氏に問題があるとされていた。
自身も、問題のある知事だなと思っていた。
だが、疑惑を指摘した県民局長が亡くなったときに違和感があった。
なぜなら、自らの死をもって抗議する内容ではないように思ったからになる。

その後、巨額の負債がある県の財政や〇〇氏の実績を知った。
今回の選挙では、SNSの利用者が多い若い世代ほど、〇〇氏を支持する割合が多かった。
ネットには、マスコミの偏った報道が問題だという意見が多い。
だが、県政を停滞し混乱させたのは、亡くなった県民局長ではないかと思っている。

2024年11月17日日曜日

【これから株を始める君へ】どうして一番なんですか

株式投資を教えて欲しいといわれたとき、すぐには教えないようにしている。
教えて欲しいなら、相場師が書いた本を1冊読むようにいっている。
読んで欲しい本は何冊かあるが、読むのは1冊でよいと伝えている。
なぜなら、いずれの本も基本は「安く買って、高く売る」だからであるw

本を読んだ人には、株の基本を教えた後、メガバンク株を買うよう勧めてきた。
ちなみにメガバンク株とは、8306 ㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ。
8316 ㈱三井住友フィナンシャルグループ。
8411 ㈱みずほフィナンシャルグループになるw

自身の主力株は8306だが、これには理由がある。
理由は、8306がメガバンクで一番だからになる。
今まで、8316や8411も買ったことがある。
だが、長期的な視点で見ると、8306が最も優れていると思っているw

下図は、メガバンク株の長期チャートで、上から8306、8316、8411。
過去の最高値に最も近づいているのは、8306になる。
なぜ、8306が最も優れていると思ったのか。
言葉遊びみたいになるが、理由はメガバンクで一番だからになるw

東京証券取引所での取引の半分以上は、海外投資家が行っている。
海外投資家がメガバンクに投資するなら、一番のメガバンクに投資しようと思うだろう。
日本で一番高い山が富士山だと知っている人は多い。
だが、二番目に高い山を知っている人が少ないことと同じ理屈になるw

この考え方は、他の業界でも応用できると考えている。
買うなら、これから成長しそうな業界を見つける。
成長しそうな業界を見つけたら、業界の中で一番の会社を買う。
もちろん、今は歴史的な高値圏なので、一番の会社でも買ってはいけないw

2024年11月16日土曜日

【小説】銘柄を明かさない理由R036 相場の魔王(後編)

第036話 相場の魔王(後編)

1972(昭和47)年の夏、大阪の住宅街。
ムラタコウゾウは自転車に乗って、夕刊の配達をしていた。
是川の自宅が見える道に出ると、玄関前の道路に黒塗りの車が停まっているのが見えた。
お客さんでも来てるのか、コウゾウは配達をしながら、自宅へ近づいて行った。

近づくと、車の運転席にはサングラスをかけたスーツ姿の男がいた。
サングラスをかけるような男を住宅街で見かけることはない。
是川さんが付き合っている相手にも、このような男はいないはず。
新聞は門の脇にある郵便受けに入れるが、自転車を停め、夕刊を手に玄関へ向かった。

玄関へ向かう途中、応接間を見ると、是川は誰かの話を聞いているようだった。
玄関の呼び鈴を鳴らすと、奥さんが出てきたので、夕刊を差し出しながらいった。
「夕刊です、何か変わったことはありませんか」
「玄関までご苦労様、変わったことはないわ」、奥さんが笑顔でいった。

次の配達先へ向かうまで、サングラスをかけた男の視線を背中に感じていた。
いったい、誰が来てるんだ、コウゾウは確かめたかったが、配達を続けた。
夕刊の配達を終えたコウゾウはアパートに帰らず、是川の自宅へ向かった。
すでに車はなく、突然の訪問にも関わらず、快く応接間に招き入れてくれた。

「珍しいな、こんな時間に訪ねてくるとは」、是川がいう。
「黒塗りの車が停まっていたのが気になって」、コウゾウがいう。
「ああ、あれは来須の使いの者だ、心配して来てくれたのか」、是川がいう。
「何しに来たんですか」、コウゾウが聞く。

「儲け話にのらないかといってきたので断っておいた」、是川がいう。
「相手は納得して帰りましたか」、コウゾウが聞く。
「納得はしていないだろうな、後悔するぞと捨て台詞を残したからな」、是川がいう。
コウゾウはしばらく沈黙した後、前から考えていたことを口にした。

「これからはムラタではなく、ジツオウジと呼んでください。
私の本名を知る人は、是川さん含め、限られた人だけです。
ジツオウジであれば、何かあっても、私の身内にたどり着くことはできません。
ジツオウジさんの身内と思わせることで、警戒するかもしれません」、コウゾウがいう。

是川は真剣な面持ちになると、しばらく沈黙してから、いった。
「ムラタではなく、ジツオウジとして相場に挑むか。
いいだろう、戦前の相場で"魔王"と呼ばれたジツオウジの家系だと名乗るがいい」
後に"無敗のキング"と呼ばれるジツオウジコウゾウが誕生した瞬間だった。

2024年11月15日金曜日

【小説】銘柄を明かさない理由R035 相場の魔王(中編)

第035話 相場の魔王(中編)

1972(昭和47)年の春、大阪の住宅街にある是川家。
ムラタコウゾウは是川銀蔵に、日本経済の見通しについて話していた。
「ワシの見立てと同じだな、かなり勉強したようだな」、是川がいう。
「それほどでも、夕刊の配達時間なので行ってきます」、コウゾウはいい、是川家を出た。

昨年の秋、是川に新聞の経済記事を理解しろといわれたコウゾウは新聞配達を始めた。
深夜2時に販売店へ行き朝刊の仕分けをし、5時までに自転車での配達を終える。
アパートに帰ったら、貰って来た新聞を読み、わからないところは図書館で調べる。
15時からは夕刊を配達、アパートに帰ったら、早めに寝る生活を送っていた。

コウゾウが夕刊の配達に出ていくと、是川は証券会社に電話を掛けた。
「是川だ、支店長を頼む」
「近いうちに、ウチの若いのを連れて行くので、口座を作ってやってくれ」
「22歳の若造だが、なかなか見どころがある奴だ」、是川は通話を終えた。

翌週の月曜日、大阪市北区中之島にある証券会社。
高価そうな調度品が飾ってある応接室には、是川とコウゾウがいた。
ドアがノックされると、高級そうなスーツ姿の男性が入ってきた。
支店長だという男性に、是川がコウゾウを紹介した。

小一時間後、コウゾウの口座開設が終わり、支店長と是川は世間話をしていた。
「噂ですが、Kが動き出したようです」、支店長がいう。
「またか、おとなしくしておけばよいものを」、是川がいう。
「誘ってきたりするかもしれませんが、お気をつけください」、支店長がいった。

是川とコウゾウが証券会社を出ると、昼になろうとしていた。
「何かうまいもんでも食って帰るか」、是川はいうと路地に入った。
路地の奥には、是川の行きつけだという小料理屋があった。
是川は手慣れた様子でのれんをくぐると、引き戸を開けた。

店に入った是川は、厨房の板前に「いつものを頼む」というと、2階に上がった。
2階の座敷で待っていると、2人分の海鮮定食が運ばれてきた。
「ここの海鮮はうまいぞ」、是川は割りばしを割ると、食べ始めた。
コウゾウも食べ始めたが、気になっていたことを聞くことにした。

「さっき、支店長がいってたKって、誰のことですか」、コウゾウが聞く。
「よからぬことばかりする来須(くるす)という相場師のことだ。
奴はジツオウジが全財産を失った仕手株の絵を描いた。
自分だけが儲かればよいという、ワシが最も嫌いなタイプの人間だ」、是川がいった。

【本日の取引】20241115~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場は高値圏で推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は上がっていた。
インバース型ETFは下がったが、前日比はプラスだったw

下図の上は、2020、2021、2022、2023、2024年のTOPIX(東証株価指数)の推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円の推移。
米国のFRB(米連邦準備制度理事会)議長が、利下げを急がない的な発言をした。
利下げしないなら、日米の金利差が縮小しないため、日銀が利上げするしかないなと思うw
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追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
話題になっている年収の壁には、103万、106万、130万、201万の壁があるらしい。
個人的には、201万まで所得税、住民税、年金保険料、健康保険料はなしでよいと思う。
年収201万までは、税金や保険料の負担がなしとすれば、わかりやすいw

財源が不足するというなら、行政のコストを削減すれば捻出できるような気がする。
コスト削減の方法としては、行政の詳細なコストをオープンにすること。
オープンにすれば、民間の有識者が問題点を見つけることができる。
発注単価などを下げることができれば、行政にとってもメリットがあると思うw