2022年1月13日木曜日

銘柄を明かさない理由R428 素行調査(前編)

「銘柄を明かさない理由R」は、5人の無敗の相場師と彼らを取り巻く人々の物語である。
5人の無敗の相場師は、無敗のテン(10)ことテンマリナ。
無敗のジャック(J)ことジョウシマユウイチ、無敗のクイーン(Q)ことクジョウレイコ。
無敗のキング(K)ことジツオウジコウゾウ、無敗のエース(A)ことアマネオトヤ。

現在、新シリーズの「出羽の天狗編」を執筆中である。
「出羽の天狗編」では、東の本間と西の淀屋の戦いが物語の軸となる。
両家の争いに、5人の無敗の相場師がどう関わるのか、自身も楽しみである。
では、「出羽の天狗編 第32章 Three monkeys」をお届けするw
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第428話 素行調査(前編)

宗矩の盟友である丑田晃一は、大学卒業後、東京でコンサル会社を起業していた。
法人にはしているが、晃一以外の社員はいない個人経営の会社だった
宗矩が晃一へ追加調査依頼メールを送った翌朝。
出社した晃一は、宗矩からの追加調査依頼メールを確認した。

宗やんにとって、ヨドヤタエって、よほど大事な相手なんやな。
ヨドヤタエは金には困っていないので、弱みを調べてくれか。
前回の調査は地元のツレに調べてもろうたけど、今回の調査は難儀やな。
人の弱みなんて、そない簡単に調べられへんし、どないしたもんやろ。

そういや、前に取引先の人が、都内に凄腕の調査会社があるっていうてたな。
少人数やけど、大手の保険会社とも取引のある調査会社。
名前聞いたけど、忘れてしもたな、その会社へ頼んでみよか。
晃一は凄腕の調査会社を教えて貰うべく、取引先の担当者へ電話をかけ始めた。

晃一が取引先の担当者へ電話をかけた1時間後。
都内の雑居ビルに、大手外資系保険会社の社員だった社長が起業した調査会社があった。
社員は、ジョウシマユウイチと事務員の女性の2人だけだった。
ジョウシマは、証券会社から「無敗のジャック」と呼ばれている無敗の相場師でもあった。

朝一で役所に立ち寄っていたジョウシマが出社した。
「おはよう」、事務所に入って来たジョウシマがいう。
「おはようございます、社長がお待ちですよ」、事務員の女性がいう。
「新しい仕事かな、荷物を置いたら、すぐ行くよ」、ジョウシマがいう。

自分の机にカバンを置いたジョウシマは、社長室へ向かった。
3人しかいないのに社長室はムダだよな、ジョウシマは社長室のドアをノックした。
「入りたまえ」、社長室の中から声がした。
「失礼します」、ジョウシマは社長室のドアを開けると、中へ入った。

「かけたまえ」、社長室の応接セットに座った恰幅のいい狸に似た社長がいう。
「ご用件は何でしょうか」、ソファに座ったジョウシマがいう。
「お得意様の取引先が、ウチに調査を依頼したいらしい」、社長がいう。
「それはありがたい話ですね、どのような調査なんでしょうか」、ジョウシマがいう。

「詳しい調査内容は、直接、会ってから話したいとのことだ。
早速だが、先方へ出向いてくれるかな」、住所が書かれたメモを渡しながら、社長がいう。
「承知しました、内容によってはお断りするのもアリでしょうか」、ジョウシマがいう。
「お客様は神様だ、ウチに断るという選択肢はない」、社長が笑いながらいった。

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