2023年7月16日日曜日

銘柄を明かさない理由R020 敗者のゲーム(中編)

第020話 敗者のゲーム(中編)

バリュー投資の入門書を書いた個人投資家は、会社員だった。
ベンジャミン・グレアムやウォーレン・バフェットのバリュー投資を実践。
3年間で400万円を8,800万円まで増やし、専業投資家になっていた。
入門書には、バリュー投資について、わかりやすく書かれていた。

投資経験のないジョウシマにも理解できる内容だった。
内容におかしな点はなく、矛盾点なども見当たらなかった。
投資はギャンブルだと思っていたが、バリュー投資ならギャンブルにはならない。
ジョウシマは、PCを起動すると、証券会社の口座開設申し込みをした。

数日後、必要書類の案内が届いたので、書類を用意し、送った。
送ってから数日後、口座開設完了のお知らせが届いた。
口座に、貯蓄していた全額となる300万円を入金した。
入金後、株価がBPS(1株当たり純資産)より安い銘柄をピックアップした。

翌朝、出勤前にPCを起動すると、取引画面を開いた。
ピックアップした3銘柄に、ほぼ全額を投じる買い注文を出すためだった。
発注ボタンをクリックする際に、少しだけ迷いが生じたが、クリックした。
帰宅してPCを起動すると、3銘柄は全て買えていた。

翌日から、帰宅すると、真っ先にPCを起動、株価を確認するようになった。
1日で数万円増えることもあれば、減ることもあった。
何もしていないのに、増減することが不思議に思えた。
株価は増減しながら、徐々に上がっていった。

ジョウシマは、日経平均株価などは見ず、株価とIRニュースしか見なかった。
チャートも買う前に見ただけで、普段は見なかった。
相場が上昇トレンドだったため、買えば誰でも儲かる相場だった。
株って、こんなに簡単だったのか、ジョウシマは金が貯まるたびに入金し、株を買った。

やがて、保有株の1つがTOB(株式公開買い付け)され、上場廃止されることになった。
すぐに、株価が買い付け価格まで上がったので、売って利益を確定した。
売った資金で、一部昇格の噂がある東証二部の銘柄を買った。
しばらくしてから、一部昇格となり、その銘柄の含み益は100万円を超えた。

この株はまだ上がるはずなので、利益確定しないでおこう。
ジョウシマは、他にも同じように一部昇格する銘柄がないか探した。
探した結果、東証二部の小売業の銘柄が見つかった。
他の含み益だった株を売ると、売った資金で、小売業の株を買った。

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