2020年3月17日火曜日

銘柄を明かさない理由R313 RED & BLACK(中編)

第313話 RED & BLACK(中編)

南京路は、中華人民共和国上海市を通る道路で、沿線は繁華街として知られる。
現在の南京路は、南京東路と南京西路に分けられている。
東部に当たる南京東路は、黄浦区を外灘から上海人民公園まで走っている。
また、西部に当たる南京西路は、人民公園から静安区へ続いている。

南京東路は特に商業の発達した地域になっている。
東端はバンドの中心から始まっており、平和ホテルが有名である。
更に西には、南京路歩行者天国が広がっている。
歩行者天国と南京東路は、上海競馬場があった上海人民中央公園で終わっている。

公園を越えて西には、上海で最も古いホテル群が並び、パークホテルもこの中にある。
南京西路はここから始まり、高級商店やオフィスビルが立ち並んでいる。
過去には大きな邸宅や団地があったが、現在これらは政府により取り壊されている。
南京路は世界最長のショッピングモールであり、一日100万人もの人が訪れるという。

南京路の沿線にある高級ホテルの最上階にあるラウンジ。
最上階のラウンジは会員制で、限られた法人や個人しか利用することができなかった。
陽が落ちてから、ラウンジのドアが開き、劉宋明(りゅうそうめい)が姿を見せた。
「いらっしゃいませ、劉様」、黒服のボーイがうやうやしく頭を下げた。

劉は着ていたコートを、黒服のボーイに預けると、VIPルームへ向かった。
劉はVIPルームのドアを開けて、指定席になっているソファに座った。
ソファに座った途端、数名の艶やかな女性たちが現れた。
「いらっしゃいませ、劉様」、女性たちは劉の周りに座り、接待を始めた。

「ミレイはどうした」、不機嫌そうに劉がいう。
「ミレイさんは他のお客様を接客中です、すぐに来ますから。
劉様は、本当にミレイさんがお気に入りなんですね、嫉妬しちゃうわ」
接待していた女性の1人、リンが笑いながらいう。

しばらくすると、ノックの音がし、VIPルームのドアが開いた。
開いたドアの向こうには、黒服のボーイにエスコートされた1人の女性がいた。
「いらっしゃいませ、劉様、今日はお早いお越しだったんですね」
黒服のボーイにエスコートされた女性、ミレイが笑みを浮かべていった。

2時間後、劉は上機嫌で支払いを終えると、ラウンジを出た。
「娘の家庭教師の件、くれぐれも頼んだぞ」、見送りに出たミレイに、劉がいった。
「お嬢様の家庭教師をご紹介する件、かしこまりました」
無敗の相場師である"ウィッグの女"こと、キサラギ ミレイは妖艶な笑みを浮かべた。

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