2020年3月16日月曜日

銘柄を明かさない理由R312 RED & BLACK(前編)

本ブログには、自身が初めて書いた小説「銘柄を明かさない理由R」がある。
5人の無敗の相場師、ロイヤルストレートフラッシュの物語である。
主要登場人物は、無敗の天然(10)こと、テンマ リナ。
無敗のジャック(J)こと、ジョウシマ ユウイチ。

無敗のクイーン(Q)こと、クジョウ レイコ。
無敗の大物相場師キング(K)こと、ジツオウジ コウゾウ。
通称"天使の笑顔をもつ男"、無敗の若き相場師エース(A)こと、アマネ オトヤ。
無敗の若き相場師エースこと、アマネ オトヤはイケメンの設定である。

イケメンではない自身は、イケメンの思考がわからない。
したがって、世間のイケメンとは異なる思考かもしれない。
だが、世間のイケメンと異なるイケメンがいても、自身はアリだと思っている。
それでは、「銘柄を明かさない理由R クーロンズ・アイ編」をお届けするw

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第312話 RED & BLACK(前編)

米国のカリスマトレーダー、ニック・ライアン。
ニックの全面売りにより、NYダウは暴落、各国の株式市場も暴落した。
暴落後、各国の株式市場は大幅な下落と小幅の上昇を繰り返しながら、下げ続けていた。
ブラックマンデー以来の暴落相場、終わりが始まっていた。

ジョウシマ ユウイチは、無敗の個人投資家だった。
取引口座のある証券会社では、"無敗のジャック"と呼ばれている男だった。
ある日のこと、仕事帰りのジョウシマは、日本橋にある定食屋に向かっていた。
ジョウシマは定食屋ののれんをくぐり、引き戸を引いて中に入った。

「いらっしゃいませ」、厨房から女性店主の声が聞こえた。
暴落相場が始まっていたが、定食屋の客の入りは、いつもと変らなかった。
ジョウシマは空いているテーブルのイスに座り、テレビを見ていた。
やがて、女性店主が注文を取りに来た。

「誰かと思えば、久しぶりじゃない」、女性店主が笑いながらいう。
「久しぶり、"いつものやつ"を頼むよ」、ジョウシマも笑いながらいう。
やがて、女性店主が、ジョウシマの"いつものやつ"を運んできた。
"いつものやつ"は、焼酎のロックと小鉢料理数品の"晩酌セット"だった。

「ありがとう」、ジョウシマは女性店主にいうと、静かに飲み始めた。
この暴落相場は、リーマン・ショック以上の暴落相場だ。
幸いなことに、リーマン・ショックのときより備えはできており、負けることはない。
だが、どうすれば最も効率よく勝てるかだ、ジョウシマは考えをめぐらせた。

やがて、店内も落ち着いたのか、女性店主がジョウシマのテーブルにやってきた。
女性店主はジョウシマの向かいのイスに座ると、話しかけてきた。
「難しい顔して考え事して~、株が下がって困っているんでしょう。
いったい、どれくらい下がっているの」、女性店主が笑いながらいう。

「そうだな、この店の売上げ分くらい下がっているかな」、ジョウシマがいう。
「この店の売上げ分くらいなら、たいしたことないじゃない。
この店の1日の売上げは数万円、月の売上げでも数十万よ」、女性店主がいう。
「この店の数年分の売上げくらい下がっているよ」、ジョウシマが笑いながらいう。

「そんなに・・・、あの子の株も下がっているのかしら」、女性店主がいう。
「あの子って」、ジョウシマがいう。
「あなたがよく連れてきてた、天使のような笑顔のイケメンよ」、女性店主がいう。
「ああ、上海にいるアマネ オトヤか、彼はどうだろうな」、ジョウシマがいう。

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