2020年3月3日火曜日

銘柄を明かさない理由R306 クーロンズ・アイ始動(前編)

本ブログには、自身が初めて書いた小説「銘柄を明かさない理由R」がある。
5人の無敗の相場師、ロイヤルストレートフラッシュの物語である。
主要登場人物は、無敗の天然(10)こと、テンマ リナ。
無敗のジャック(J)こと、ジョウシマ ユウイチ。

無敗のクイーン(Q)こと、クジョウ レイコ。
無敗の大物相場師キング(K)こと、ジツオウジ コウゾウ。
通称"天使の笑顔をもつ男"、無敗の若き相場師エース(A)こと、アマネ オトヤ。
いよいよ、サブタイトルでもある"クーロンズ・アイ"の正体が明らかになる。

「銘柄を明かさない理由R」は、実相場にリンクさせたいと思っている。
実相場では暴落相場が始まっているが、すぐに実相場に追いつくだろう。
なぜなら、暴落相場は始まったばかりだからだ。
それでは、「銘柄を明かさない理由R クーロンズ・アイ編」をお届けするw

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第306話 クーロンズ・アイ始動(前編)

上海ワールドフィナンシャルセンターのオフィスフロアの1室。
40代後半のオールバックでスーツ姿の男、劉宋明がいた。
劉は内線を取り上げると、番号をプッシュし、通話相手に短く告げた。
「"クーロンズ・アイ(九龍の眼)"を始動しろ」

その後、世界各地へ向けて、"クーロンズ・アイ始動"の指令が発信された。
米国の大手企業に勤務する会社員は、オフィスのPCで指令を受信した。
英国に駐在する外交官は、大使館のPCで指令を受信した。
日本の官公庁に勤務する非正規職員は、官公庁のPCで指令を受信した。

ウォール街は、ニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタンの南端部に位置する。
ブロードウェイから東へイースト・リバーに下る場所にある。
現在では周辺の区域も含めて、世界の金融センター「ウォール街」として定着している。
ニューヨーク証券取引所をはじめ、米国の金融史とゆかりのある地区である。

ウォール街の大手証券会社には、カリスマトレーダーのニックがいた。
ある日の朝、ニックが出社すると、デスクの上に1通の封筒が置いてあった。
宛名はニックだが、差出人の名前はなかった。
誰が置いていったんだ、ニックはペーパーナイフで封を開くと、中身を確認した。

封筒の中には、1枚のカードが入っており、一言「Sell(売れ)」と書かれていた。
何だ、このカード、ニックがカードを裏返すと、裏には9匹のドラゴンが描かれていた。
黒一色で描かれているドラゴンたちの眼を、ニックはしばらく見つめていた。
「おはようございます」、ニックが顔を上げると、若い女性秘書のミランダがいた。

ニックはドラゴンのカードを胸ポケットに入れると、「おはよう」といった。
「今日は月に一度の定例会議の日ですよ」、ミランダが笑顔でいった。
午後になって、月に一度の定例会議が始まった。
虚ろな目をしたニックに、何人かのトレーダーは違和感を感じた。

定例会議が終わったニックは、胸ポケットに1枚のカードがあることに気づいた。
取り出すと、表裏とも真っ白な見覚えのないカードだった。
何だ、このカード、ニックは女性秘書のミランダにカードを廃棄するよう命じた。
ミランダは、ニックからカードを受け取ると、シュレッダーへ向かった。

カードのドラゴンや文字は、時間が経てば消える特殊なインクで描かれていた。
9匹のドラゴンの眼は、深層心理に「Sell」を刷り込むように配置されていた。
次に同じドラゴンを目にしたとき、彼は「Sell」を実行することになるわ。
劉宋明からの指令を受信していたミランダは、カードをシュレッダーにかけた。

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