2020年3月9日月曜日

銘柄を明かさない理由R309 暴落のクーロンズ・アイ(前編)

本ブログには、自身が初めて書いた小説「銘柄を明かさない理由R」がある。
5人の無敗の相場師、ロイヤルストレートフラッシュの物語である。
主要登場人物は、無敗の天然(10)こと、テンマ リナ。
無敗のジャック(J)こと、ジョウシマ ユウイチ。

無敗のクイーン(Q)こと、クジョウ レイコ。
無敗の大物相場師キング(K)こと、ジツオウジ コウゾウ。
通称"天使の笑顔をもつ男"、無敗の若き相場師エース(A)こと、アマネ オトヤ。
自身は、「銘柄を明かさない理由R」を、実相場にリンクさせたいと思っていた。

ようやく、「銘柄を明かさない理由R」が、実相場に追いついたようである。
数少ない読者の中には、初めて暴落相場を経験する方もいるかもしれない。
無敗の相場師たちの暴落相場での行動が、読者の方たちの参考になれば嬉しく思う。
それでは、「銘柄を明かさない理由R クーロンズ・アイ編」をお届けするw

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第309話 暴落のクーロンズ・アイ(前編)

都内のある証券会社には、自社の資産運用を手がけている部署があった。
社内で通称"アルカディア(理想郷)"と呼ばれている部署だった。
2人のうち1人は、"アルカディア"の創設者であり責任者でもあるクジョウ レイコ。
クジョウ レイコは、容姿端麗で近寄りがたい雰囲気がある女性社員だった。

連戦連勝で無敗のクジョウ レイコは、"無敗のクイーン"と呼ばれていた。
"アルカディア"には、クジョウ レイコの部下である小柄な女性社員がいた。
小柄な女性社員の名はテンマ リナといい、"無敗のテン"と呼ばれていた。
普段の"アルカディア"は2人だけで、状況に応じて他部署のメンバーを招集していた。

平日の早朝、"アルカディア"には"無敗のクイーン"こと、クジョウ レイコがいた。
日本時間の深夜に始まったNYダウの暴落を、クジョウ レイコは調べていた。
リーマン・ショック以来の暴落かもしれない。
クジョウ レイコは内線を取り上げると、社長室秘書に依頼した。

「私だ、"アルカディア"メンバーを招集しろ」
「かしこまりました」、社長室秘書が即答し、通話は終わった。
出勤途上の"アルカディア"メンバーに、社長室秘書から召集メールが発信された。
「出社後、"アルカディア"にお集まりください」

2時間後、東京証券取引所の取引開始時間が迫っていた。
"アルカディア"では、取引開始前のミーティングが行われていた。
ミーティングには、総勢10名の女性社員からなるメンバーが揃っていた。
"アルカディア"の創設者であり責任者でもあるクジョウ レイコがいう。

「昨夜のNYダウの暴落は、リーマン・ショック以来の暴落である可能性が高い。
本来なら、少しでも損失を少なくするべく、売り逃げするところだ。
だが、私の指示があるまで、一切の売買を禁止する。
今回の暴落が、リーマン・ショック級の暴落なのか見極める」

やがて、東京証券取引所の取引開始時間になった。
昨夜のNYダウの暴落を受け、売り注文が殺到しており、全面安のスタートだった。
この相場は、リーマン・ショック級の暴落相場なのか。
クジョウ レイコとメンバーは、モニターの株価を注視していた。

テンマ リナが、"アルカディア"に異動したのは、リーマン・ショック後だった。
モニターの株価を注視しているクジョウの横顔を見ながら、テンマは思った。
あんなに険しい表情をしたリーダーを見たのは初めてだわ。
ホントに、リーマン・ショック級の暴落相場が来たのかもしれない。

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