2023年12月21日木曜日

【小説】まとめ屋~vol.352~

ある日の深夜、あるチャットスペースで会話が始まった。

X:お疲れ
Z:お疲れ
X:Yは来ていないのか
Z:さっきまでいたわよ
X:あのバカ、俺を避けてんな
Z:聞いて聞いて
X:なんだなんだ
Z:押収されてたPCが返ってきたの
X:よかったじゃねえか
Z:でね、返してもらうときに取り調べがあったの
X:そりゃタダでは返さないだろ
Z:そのとき、PCの中のデータを消去させられたの
X:なんだ、それ
Z:相手から消去させるよう依頼があったらしいわ
X:まさか、PCのデータが全てだと思ってたのか
Z:そうみたいよw
X:警察も消去しても意味がないこと、わかってたろ
Z:たぶんねw
X:これからどうなるんだ
Z:検察の取り調べがあるんだって
X:また取り調べされるのか
Z:検察が取り調べして、起訴するか決めるみたい
X:起訴されたらどうなるんだ
Z:裁判になるみたい
X:裁判になったら見学にいくわ
Z:来たら、Xに指示されたっていってやるw
X:おいおい
Z:wwwwwwwwww
X:さてとそろそろ寝るわ、おやすみ
Z:私も寝るわ、おやすみ~見てただけのB

彼らのネット歴は長く、法に抵触しない範囲で遊んでいた。
彼らは遊んでいたが、その遊びはいつも誰かのためだった。
そんな彼らが愛読しているのは「予告犯」というタイトルのマンガだった。
チャット画面を閉じた彼らは、ネタ探しのため、ネットサーフィンを始めた。

彼らのネット歴は長かったが、そんな彼らにも知らないことがあった。
彼らは、関わった一部の人から、「まとめ屋」と呼ばれていた。

同時刻、警視庁サイバー犯罪対策課
「交替の時間ですよ」、1人の男がPCを観ている男の背後から声をかけた。
「もう、そんな時間か」、声をかけられた男が振り返っていう。
「また、まとめ屋のサイト見てたんですか」、声をかけた男がいう。
「たまに参考になる情報があるからな」、声をかけられた男がいう。
「Zの相手から、問い合わせがあったそうです」、声をかけた男がいう。
「何の問い合わせだったんだ」、声をかけられた男がいう。
「PCのデータが消えたのか、確認だったそうです」、声をかけた男がいう。
「そんなデータ消しても意味ないだろ」、声をかけられた男がいう。
「ネットの情報は消せると思っているんでしょうね」、声をかけた男がいう。
「消したい気持ちはわかるがな」、声をかけられた男がいう。
「デジタルタトゥーを知らないのかもしれませんね」、声をかけた男がいう。
「かもな、あとはよろしく」、声をかけられた男がいう。
「了解」、声をかけた男はいうと、席を立った男と入れ替わりに席に座った。

インターネット上で公開された書き込みや個人情報などが一度拡散してしまうと、完全に削除するのが不可能であることから、「入れ墨(タトゥー)を完全に消すことが不可能」であることに例えて「デジタルタトゥー」という。
当事者が、電子掲示板・ブログ・SNSなどに書き込んだコメントや、掲出した画像はしばしば当人の意図に反して繰り返し複製され、インターネット上で急速に流布・拡散することがあり、後から削除しようとしても、結果的に「半永久的に残り続けること」になる。さらに、日常的な行動の結果として記録される、位置情報、顔認識、検索履歴、閲覧・視聴履歴、その他のデジタルデータも、恒久的に蓄積されていくものであり、デジタルタトゥーの一種とされる。
日本では、2013年に、後に「バイトテロ」や「バカッター」と称される一連の事件が注目を集めた際に、関与したものたちの個人情報や、消去された画像などが別の形で流布するといった事態が関心を集め、デジタルタトゥーという表現も普及が進んだ。2017年には同名の小説も発売されている。
(参考:「デジタルタトゥー」wikipedia)
「予告犯」筒井哲也氏より
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ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ネットの誹謗中傷をなくすにはどうしたらよいかをテーマに書いています。
誹謗中傷された場合の法的手続きですが、費用対効果は決してよいとはいえません。
また、相手から虚偽告訴罪で訴えられる可能性もあります。
誹謗中傷されたら、やり返さずに弁護士に相談されることをオススメします。
相談すれば、どのような罪に問えるかなど、アドバイスしてもらえることが多いです。
「まとめ屋」の方法はリーガルチェックを受けていないため、行わないでくださいw

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