2024年4月23日火曜日

【小説】まとめ屋~vol.369~

ある日の深夜、あるチャットスペースで会話が始まった。

X:お疲れ
Z:お疲れ
B:おつかれ
X:Yはいねえのか
Z:さっきまでいたわよ
X:あのバカ様、ぜってえ俺を避けてんだろ
Z:今日は出張らしいわよ
X:何の出張だ
Z:明日、弁護士と会うので前泊してるらしいわ
X:支援しているやつの弁護士か
Z:じゃなくて、相手の弁護士だって
X:会ってどうすんだ
B:相手の情報を提供するらしいよ
B:裁判資料の住所が住んでいる住所と違ってた
B:弁護士に正しい情報を伝えていない可能性があるからねw
X:そんなことできんのか
B:刑事じゃなく民事だからね
B:法廷以外での交渉はよくあるらしいよw
X:相手はそのこと知ってんのか
B:弁護士によるだろうね
B:委任契約を交わせば、弁護士が交渉の窓口になる
B:教えた方がよいと思えば、教えるだろうねw
Z:そういえば前にいってたわね
X:何をいってたんだ
Z:都合のよくないことを伝えない依頼人は多いって
X:なるほどな、バカ様はどこに泊まってんだ
B:ネットカフェじゃないかなw
Z:wwwwwwwwww
X:つきあいきれねえな、さてとそろそろ寝るわ、おやすみ
Z:おやすみ
B:おやすみ

彼らのネット歴は長く、法に抵触しない範囲で遊んでいた。
彼らは遊んでいたが、その遊びはいつも誰かのためだった。
そんな彼らが愛読しているのは「予告犯」というタイトルのマンガだった。
チャット画面を閉じた彼らは、ネタ探しのため、ネットサーフィンを始めた。

彼らのネット歴は長かったが、そんな彼らにも知らないことがあった。
彼らは、関わった一部の人から、「まとめ屋」と呼ばれていた。

同時刻、警視庁サイバー犯罪対策課
「交替の時間ですよ」、1人の男がPCを観ている男の背後から声をかけた。
「もう、そんな時間か」、声をかけられた男が振り返っていう。
「また、まとめ屋のサイト見てたんですか」、声をかけた男がいう。
「裁判で嘘の住所を書いたケースがあったよな」、声をかけられた男がいう。
「相手に書類が届かないようにしたケースですね」、声をかけた男がいう。
「なぜ、嘘の住所を書けば、届かないと知っていたんだ」、声をかけられた男がいう。
「普通に考えれば、届かないと思いますよ」、声をかけた男がいう。
「過去の裁判で書類が届いて、困ったからじゃないのか」、声をかけられた男がいう。
「確かに可能性はありますね」、声をかけた男がいう。
「裁判所に問い合わせすれば、確認できるな」、声をかけられた男がいう。
「明日、確認しておきます」、声をかけた男がいう。
「頼む、あとはよろしく」、声をかけられた男がいう。
「了解」、声をかけた男はいうと、席を立った男と入れ替わりに席に座った。

訴訟記録の閲覧等については、民事訴訟法に定められている。
第九十一条 何人も、裁判所書記官に対し、訴訟記録の閲覧を請求することができる。
2 公開を禁止した口頭弁論に係る訴訟記録については、当事者及び利害関係を疎明した第三者に限り、前項の規定による請求をすることができる。
3 当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、訴訟記録の謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は訴訟に関する事項の証明書の交付を請求することができる。
4 前項の規定は、訴訟記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。この場合において、これらの物について当事者又は利害関係を疎明した第三者の請求があるときは、裁判所書記官は、その複製を許さなければならない。
5 訴訟記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、訴訟記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。
「予告犯」筒井哲也氏より
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ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ネットの誹謗中傷をなくすにはどうしたらよいかをテーマに書いています。
誹謗中傷された場合の法的手続きですが、費用対効果は決してよいとはいえません。
また、相手から虚偽告訴罪で訴えられる可能性もあります。
誹謗中傷されたら、やり返さずに弁護士に相談されることをオススメします。
相談すれば、どのような罪に問えるかなど、アドバイスしてもらえることが多いです。
「まとめ屋」の方法はリーガルチェックを受けていないため、行わないでくださいw

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