2024年4月17日水曜日

【小説】まとめ屋~vol.368~

ある日の深夜、あるチャットスペースで会話が始まった。

X:お疲れ
Z:お疲れ
X:Yはいねえのか
Z:さっきまでいたわよ
X:あのバカ様、俺を避けてんだろ
Z:wwwwwwwwww
X:バカ様に聞きてえことがあったんだけどな
Z:?
X:相手の住んでいるとこにいったっていってたろ
Z:近所の人に聞き込みしたってやつね
X:何を聞いたんだって思ってな
Z:相手がどういう人か聞いたんじゃないの
B:おつかれ
X:いたのか
B:裁判資料の住所に住んでいるのか確認したらしいよ
X:何だそれ
B:特定している住所と違ってたらしいよ
X:なんで違ってたんだ
B:住んでいるところを知られたくなかったんじゃないかな
X:特定されてんなら、隠す必要ねえだろ
B:裁判資料は第三者も閲覧できるからじゃないかな
X:それって問題とかねえのか
B:正当な理由があれば、問題ないと思う
B:なければ、問題になることもあると思うよ
X:住所の書き間違いなんか、よくあんだろ
B:書き間違いなら、問題ないと思うw
Z:聞き込みの結果はどうだったの?
B:聞いてないw
Z:wwwwwwwwww
X:つきあいきれねえな、さてとそろそろ寝るわ、おやすみ
Z:実は聞いてるんでしょ?
B:ナイショw
Z:だと思ったわ、おやすみw
B:おやすみw

彼らのネット歴は長く、法に抵触しない範囲で遊んでいた。
彼らは遊んでいたが、その遊びはいつも誰かのためだった。
そんな彼らが愛読しているのは「予告犯」というタイトルのマンガだった。
チャット画面を閉じた彼らは、ネタ探しのため、ネットサーフィンを始めた。

彼らのネット歴は長かったが、そんな彼らにも知らないことがあった。
彼らは、関わった一部の人から、「まとめ屋」と呼ばれていた。

同時刻、警視庁サイバー犯罪対策課
「交替の時間ですよ」、1人の男がPCを観ている男の背後から声をかけた。
「もう、そんな時間か」、声をかけられた男が振り返っていう。
「また、まとめ屋のサイト見てたんですか」、声をかけた男がいう。
「裁判の住所が違う場合、どういうことが考えられる?」、声をかけられた男がいう。
「DVの被害者が住所を知られたくないケースですね」、声をかけた男がいう。
「その場合は、秘匿制度を利用するだろ」、声をかけられた男がいう。
「前の住所を書いたりするケースもあるらしいですよ」、声をかけた男がいう。
「問題にならないのか」、声をかけられた男がいう。
「裁判所は住んでる住所かなんて調べたりしませんからね」、声をかけた男がいう。
「他には、どんなことが考えられる?」、声をかけられた男がいう。
「書類が届かないよう嘘の住所を書いたケースがありましたね」、声をかけた男がいう。
「そういえばあったな、あとはよろしく」、声をかけられた男がいう。
「了解」、声をかけた男はいうと、席を立った男と入れ替わりに席に座った。

私文書偽造等罪には、下記の種類がある。
・有印私文書偽造罪(刑法159条1項)
行使の目的で、他人の印章もしくは署名、または偽造した他人の印章もしくは署名を使用して、権利・義務・事実証明に関する文書・図画を有形偽造した者に成立する。法定刑は「3カ月以上5年以下の懲役」となる。
・有印私文書変造罪(同条2項)
行使の目的で、他人が押印または署名した権利・義務・事実証明に関する文書・図画を変造した者に成立する。法定刑は「3カ月以上5年以下の懲役」となる。
・無印私文書偽造・変造罪(同条3項)
行使の目的で、上記に該当するもの以外の権利・義務・事実証明に関する文書・図画を有形偽造または変造した者に成立する。法定刑は「1年以下の懲役または10万円以下の罰金」となる。
「予告犯」筒井哲也氏より
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ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ネットの誹謗中傷をなくすにはどうしたらよいかをテーマに書いています。
誹謗中傷された場合の法的手続きですが、費用対効果は決してよいとはいえません。
また、相手から虚偽告訴罪で訴えられる可能性もあります。
誹謗中傷されたら、やり返さずに弁護士に相談されることをオススメします。
相談すれば、どのような罪に問えるかなど、アドバイスしてもらえることが多いです。
「まとめ屋」の方法はリーガルチェックを受けていないため、行わないでくださいw

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