2024年4月9日火曜日

【小説】まとめ屋~vol.367~

ある日の深夜、あるチャットスペースで会話が始まった。

X:お疲れ
Z:お疲れ
X:Yはいねえのか
Z:さっきまでいたわよ
X:あのバカ、俺を監視してんじゃねえだろな
Z:?
X:俺が来そうになったら落ちる
Z:wwwwwwwwww
X:何の話してたんだ
Z:例の件が終わったらしいわ
X:例のって、個人相手のやつか
Z:じゃなくて、過去最高のやつw
X:Bとやってたやつか
Z:そそw
X:ってことは国が動いたのか
Z:らしいわw
X:あのバカ、やるときはやるな
Z:今ごろ、Bと祝杯あげてるかもw
X:あれって、助かる人多いやつだろ
Z:Bの試算だと、ほぼ全国民だってw
X:これからバカと呼べねえな
Z:なんて呼ぶの?
X:バカ様
Z:wwwwwwwwww
X:個人の方はどうなってんだ
Z:個人の方も順調みたいよ
X:相手の資料見たけど、若い頃、苦労したやつだろ
Z:ドーナツ屋とか日雇いの力仕事とかしてたらしいわ
X:あまり追い込まなくてもと思うんだがな
Z:相手の住んでるとこにも行ったらしいわよ
X:何しにいったんだ
Z:近所の人に聞き込みとかしたんだってw
X:血も涙もねえバカ様だな
Z:wwwwwwwwww
X:つきあいきれねえな、さてとそろそろ寝るわ、おやすみ
Z:私も寝るわ、おやすみ~Bって、いないかw

彼らのネット歴は長く、法に抵触しない範囲で遊んでいた。
彼らは遊んでいたが、その遊びはいつも誰かのためだった。
そんな彼らが愛読しているのは「予告犯」というタイトルのマンガだった。
チャット画面を閉じた彼らは、ネタ探しのため、ネットサーフィンを始めた。

彼らのネット歴は長かったが、そんな彼らにも知らないことがあった。
彼らは、関わった一部の人から、「まとめ屋」と呼ばれていた。

同時刻、警視庁サイバー犯罪対策課
「交替の時間ですよ」、1人の男がPCを観ている男の背後から声をかけた。
「もう、そんな時間か」、声をかけられた男が振り返っていう。
「また、まとめ屋のサイト見てたんですか」、声をかけた男がいう。
「たまに参考になる情報があるからな」、声をかけられた男がいう。
「Yの大型案件が終わったらしいですね」、声をかけた男がいう。
「らしいな」、声をかけられた男がいう。
「このことを知っているのは、私たちだけかもしれませんね」、声をかけた男がいう。
「おそらくな」、声をかけられた男がいう。
「ネットが法整備されたのも、彼らのおかげかもしれませんね」、声をかけた男がいう。
「かもな、あとはよろしく」、声をかけられた男がいう。
「了解」、声をかけた男はいうと、席を立った男と入れ替わりに席に座った。

インターネット上を様々な情報が流通する中で、他人の権利を侵害する情報の流通への対策として、情報の流通に関与するインターネットサービスプロバイダによる適切な対応を促進するため、2001年11月に「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(平成13年法律第137号。以下「プロバイダ責任制限法」)が制定され、送信防止措置に関する責任の明確化及び発信者情報の開示請求の制度整備が図られた。その後、関係団体等により、プロバイダ責任制限法を踏まえたガイドラインや、その他の違法・有害情報対策のガイドラインが策定されるなどの取組も進んできている。 
(総務省 プロバイダ責任制限法検証WG「プロバイダ責任制限法検証WG提言」)
「予告犯」筒井哲也氏より
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ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ネットの誹謗中傷をなくすにはどうしたらよいかをテーマに書いています。
誹謗中傷された場合の法的手続きですが、費用対効果は決してよいとはいえません。
また、相手から虚偽告訴罪で訴えられる可能性もあります。
誹謗中傷されたら、やり返さずに弁護士に相談されることをオススメします。
相談すれば、どのような罪に問えるかなど、アドバイスしてもらえることが多いです。
「まとめ屋」の方法はリーガルチェックを受けていないため、行わないでくださいw

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