2021年5月4日火曜日

【エッセイ】共同住宅の階段崩落事故に思うこと

先日、築8年の共同住宅の階段が崩落、尊い人命が失われた。
本来であれば、人命を守る建物が、人命を奪う痛ましい事故。
設計では鉄製の階段の踊り場が、木製に変更されており、腐ったことが原因らしい。
設計者は、変更されたことを知らなかったといっているらしい。

だが、完成した建物を見れば、踊り場が木製であることは容易にわかる。
つまり、設計者は自分が設計したにも関わらず、完成した建物を見ていないことになる。
自身は一級建築士で設計経験があるが、木製の外部階段はあり得ない。
もし、木製の外部階段ができていたら、居ても立っても居られなかったはずだ。

建物の施工において、階段の納まりは、他の部位より高いスキルが必要になる。
おそらく、現場で上手く納めることができなかったので、木製に変更したのだろう。
建築現場の質は、昔と比べて著しく低下している。
昔は腕の立つ職人気質の人が多かったが、今は外国人が増え、職人気質の人は少ない。

かって、日本の施工技術のレベルは高く、海外の建築家からも賞賛されるほどだった。
ところが、今はマンションを傾かせたりするなど、施工技術は低下している。
かってのように、海外の建築家から賞賛される時代は来ないだろう。
したがって、自身は建築業の株を手がける気にはなれないのである。

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