2020年4月14日火曜日

銘柄を明かさない理由R320 Dead or Alive(後編)

銘柄を明かさない理由R320 Dead or Alive(後編)

アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ。
ハイウェイには、多くの警察車両や警官の姿があった。
個人投資家の男が、暴落相場で損失を出し、証券会社に乗り込み、立て篭もった。
シカゴ市警からの要請を受けた連邦捜査局(FBI)の特殊部隊"SWAT"が出動。

チーム"アルファ"の女性隊員、サンドラが女性警官に扮し人質となった。
男は証券会社の社員を撃つと、人質の女性警官を乗せた車で逃走した。
あらかじめ、綿密に打合せしていたチーム"アルファ"は、犯人の車を銃撃した。
銃撃戦の最中、サンドラは犯人の意識を失わせることに成功した。

チーム"アルファ"の3人が見守る中、犯人の男が連行されていた。
「たわいもねえ、ヤロウだ」、大柄な隊員のエディがいう。
「おいおい、今回の功労者はサンドラだろ」、チームリーダーのアランがいう。
そのとき、3人のスピーカーに指揮官であるコスナーの声が聞こえた。

「こちら、コスナー、市内の銀行で篭城事件が発生。
至急、現地へ向かえ、作戦は追って指示する」
「ウソだろ、今、事件を片付けたばかりだぜ」、エディがいう。
「確かに、こんなに立て続けに事件が起こるのは初めてだな」、アランがいう。

「ニューヨークのウォール街は、厳戒態勢だって聞いたぜ。
なんでも、今のような事件が頻発してるってよ。
株とかで損した奴が、自棄(やけ)になってるって聞いたぜ」、エディがいう。
「指示を」、女性警官に扮したままのサンドラが無表情にいう。

「行くぞ」、アランはいうと、ヘリが駐機する方向へ向かって駆け出した。
駆け出した先には、アランとエディを運んできたMD 530ヘリがあった。
アラン、サンドラ、エディの3人は、MD 530ヘリ「リトル・バード」に乗り込んだ。
3人が乗り込むと、「リトル・バード」は離陸、次の目的地への飛行を始めた。

飛行するヘリの中、アラン、サンドラ、エディに、コスナーの指示が告げられる。
やがて、シカゴで最も高く、アメリカで2番目に高い超高層ビルを通り過ぎた。
超高層ビルの名称は、ウィリス・タワー(Willis Tower)。
2年前、チーム"アルファ"とチーム"ベータ"が、AI"ベイビー"と戦った場所だった。

AI"ベイビー"は世界恐慌を起こそうとしており、破壊することがミッションだった。
エディやアンディたちが重傷を負う中、"ベイビー"の破壊に成功した。
だが、ニューヨーク市場は暴落、"ブラックフライデー(暗黒の金曜日)"が起こった。
今回の暴落も"ベイビー"の仕業なのかもしれないな、アランは思った。

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