2018年10月30日火曜日

銘柄を明かさない理由R240 ベイビーワールドエンド(前編)

自身のオリジナル小説である「銘柄を明かさない理由R」。
無敗の相場師たちと人工知能であるベイビーとの戦いが軸となる。
ニューヨークにある世界最大の証券取引所、ニューヨーク証券取引所(NYSE)。
ニューヨーク証券取引所のサーバーには移ってきた人工知能、ベイビーがいた。

金曜日、ベイビーはNYダウをかってない規模で暴落させた。
週明けの月曜、東京証券取引所には外国人投資家の売りが殺到した。
国内の証券会社が一丸となって買い向かうことで、暴落は回避できた。
いよいよ、ニューヨークを舞台にした無敗の相場師たちの反撃が始まる。

「銘柄を明かさない理由R」が、実相場に影響を与えている気がする。
業界関係者が「銘柄を明かさない理由R」を読んでいるのかもしれない。
もし、そうなら、国内投資家の未来は明るいとお伝えしておく。
それでは「銘柄を明かさない理由R ベイビーワールドエンド編」をお届けするw

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第240話 ベイビーワールドエンド(前編)

1815年12月10日、英国でエイダという女の子が生まれた。
彼女は、初期の汎用計算機である解析機関についての著作で知られている。
エイダの父親は、詩人ジョージ・ゴードン・バイロン。
エイダの母親は、アナベラ・ミルバンクで、2人の唯一の嫡出子である。

1816年1月16日、アナベラはバイロンと別れ、生後1か月のエイダを連れて行った。
同年4月21日、バイロンは離婚届にサインをして、数日後にはイギリスを離れた。
その後、エイダ・ラブレスは子宮癌を患い、36歳という若さで死去した。
エイダ自身の願いにより、彼女の遺体は父であるバイロンの隣に葬られた。

月曜の午後、都内のある大学の学生寮。
学生寮の一室で、21世紀少年はあるプログラムを完成させた。
プログラムの名前は、"ベイビーワールドエンド"。
直訳すると、"赤ちゃん世界の終わり"だった。

"ベイビーワールドエンド"は、人工知能"ベイビー"を制御できるプログラムだった。
21世紀少年は数ヶ月前、解析プログラムのペーガサスを"ベイビー"に潜入させた。
ペーガサスからの情報により、21世紀少年は"ベイビー"の居場所を掴んでいた。
ニューヨーク証券取引所で、今回の暴落を引き起こした"ベイビー"。

"ベイビー"の開発者、英国人女性のエイダ・ラブレス。
君が生まれてから、父親はすぐに家を出ていった。
その後の君が何を思いながら過ごしたのかは、誰にもわからなかっただろう。
でも、同じ境遇の僕にはわかる。

君は僕と同じように、ただ両親と一緒に暮らしたかっただけなんだよね。
だけどね、エイダ。
所詮、人間は1人で生きていかなくちゃいけないんだ。
誰も自分のことを理解してくれない、自分の一番の理解者は自分なんだよ。

確かに、人間は欲望のままに生きているかもしれない。
でもね、エイダ、欲望があるから人間は生きていけるんだよ。
もし同じ時代に生きていたら、友達になれたかもしれないね。
PCの画面がぼやけてきた、まさか、僕は泣いているのか。

21世紀少年が完成させたプログラム"ベイビーワールドエンド"。
"ベイビーワールドエンド"を送り込むと、人工知能"ベイビー"の自我は失われる。
「さよなら、エイダ」
21世紀少年は"ベイビーワールドエンド"を、"ベイビー"に向けて送信した。

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