2018年10月4日木曜日

銘柄を明かさない理由R219 4年後の再会(前編)

第219話 4年後の再会(前編)

21世紀少年がワールド株式投資セミナー事務局からの案内を受け取った数日後。
21世紀少年は日本橋駅の改札を抜けると、地上への階段を上り始めた。
地上へ出ると、平日のランチタイムなので、通りには会社員やOLが多くいた。
21世紀少年は、会社員やOLの間を抜け、男との待合せ場所であるカフェへ向かった。

待合せ場所のカフェで、1人の男が21世紀少年が現れるのを待っていた。
すっかり大きくなっているんだろうな。
数日前、21世紀少年から話がしたいとメールが来たので、この店で会うことにした。
男は、久々の21世紀少年との再会を楽しみにしていた。

「お久しぶりです」、声がした。
男が顔をあげると、メガネをかけた1人の青年がいた。
21世紀少年か、すっかり見違えたな、声をかけられないとわからないな。
だが、メガネをかけた顔には当時の面影が残っていた。

「すっかり見違えたな。座ってくれ。
この店はローストビーフサンドが美味いんだ。
ローストビーフサンドセットでいいかい」、男が21世紀少年に聞く。
「はい」、21世紀少年はにっこりとした笑顔で答えると、向かいの席に座った。

男は店員を呼ぶと、2人前のローストビーフサンドセットをオーダーした。
「今はどうしているんだい」、男が21世紀少年に聞く。
「今は都内の大学の寮で1人暮らしをしています」、21世紀少年が答える。
「えっ、もう、大学生になったのか」、男がいう。

「初めてお会いしたのが中3のときですよ。
あれから4年、浪人していなければ、大学生になっていますよ」、21世紀少年が笑う。
「そうか、初めて会ってから4年が経つんだな。
今でも初めて会ったときのことは鮮明に覚えているよ」、男がいう。

「僕も初めて会ったときのことは、鮮明に覚えています。
学校からの帰り道、前の父に路地に連れ込まれ、金を要求された。
突然、現れたあなたは殴られそうになった僕を助けてくれた。
今でも、あのときのことは感謝しています」、21世紀少年がいう。

「前の父って、どういう意味なんだい」、男が21世紀少年に聞く。
「あれから、しばらくして母は父と別れて、実家に戻ってきました。
今、母は祖母と2人で暮らしています」、21世紀少年がいう。
「そうか、いろいろあったんだな」、男がいう。

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