2018年10月6日土曜日

銘柄を明かさない理由R221 4年後の再会(後編)

第221話 4年後の再会(後編)

ランチタイムの日本橋のカフェで2人の男が談笑していた。
1人はある証券会社の情報システム責任者の男。
もう1人は、21世紀少年と呼ばれている大学生だった。
2人は4年前に一緒に戦った仲間で、4年ぶりの再会だった。

ローストビーフサンドを食べながら、男がいろいろ話していた。
だが、21世紀少年は男の後方のテーブルにいる2人の女性が気になっていた。
2人の女性は店員を呼び止め、長い時間をかけてオーダーした。
やがて、大量の料理が運ばれきて、テーブルの上には所狭しと料理が置かれた。

2人の女性は、猛然と食べ始めた。
女性2人に、あれだけの量の料理を食べきれるわけがない。
周囲の客も、2人の女性がオーダーした料理を驚きながら見ていた。
ただ1人、情報システム責任者の男だけは、後方の様子に気づいていなかった。

しばらくすると、2人の女性はナイフとフォークを置いた。
やはり、あの量を食べきることはできなかったな、21世紀少年は思った。
テーブルの上には、手つかずの料理がたくさん残っていた。
しばらくすると、驚くことに店員が大量のデザートを運んできた。

店員は2人の女性が食べ終わった食器を片付けると、厨房へ戻っていった。
2人の女性は、デザートを食べ始めたが、しばらくすると、スプーンを置いた。
テーブルの上には、大量の手つかずの料理とデザートが残った。
やがて、店員が伝票とケータリング用の容器を持ってきた。

店員は伝票を置くと、残った料理やデザートをケータリング用の容器に詰め始めた。
2人の女性が店員に名刺を渡していた、おそらく届け先だろう、21世紀少年は思った。
2人の女性は席を立つと、男と21世紀少年のテーブルへ向かってきた。
2人の女性の内、美人のお姉さんがテーブルに伝票を叩きつけ、21世紀少年にいった。

「初めまして、いい歳なのに独身の無敗のクイーンだ、よろしく」
もう1人のキュートなお姉さんが、21世紀少年にいった。
「初めまして、いい歳なのに独身の無敗のテンで~す、よろしくね」
「あら」、キュートなお姉さんが、男のスーツの襟から小さな物を取り上げた。

「リーダーがさっき無いっていってた集音マイク、こんなところにありました~」
「そんなところにあったのか、さあ、帰るぞ」、2人の女性は立ち去った。
情報システム責任者の男は、叩きつけられた伝票の金額を見て、絶句していた。
21世紀少年は、こみ上げてくる笑いをこらえるのに必死だった。

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