2022年6月10日金曜日

銘柄を明かさない理由R457 これからを担う者(後編)

自身はオリジナル小説「銘柄を明かさない理由R」を執筆している。
「銘柄を明かさない理由R」は、5人の無敗の相場師と取り巻く人々の物語である。
2021年の年初から執筆してきた「出羽の天狗編」。
東の本間と西の淀屋の確執を軸とした物語だったが、本話が最終話となるw

最終話のリリースが遅くなったのは、次回シリーズの伏線を入れたかったからである。
次回シリーズの構想を考えていたが、なかなかまとまらなかった。
今もまとまらないので、伏線なしで手仕舞いすることにした。
では、「銘柄を明かさない理由R 出羽の天狗編」の最終話をお届けするw
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第457話 これからを担う者(後編)

本間本家の"謁見の間"で、本間一族と淀屋一族が対峙した週末の夕方。
証券会社から「無敗のジャック」と呼ばれているジョウシマは会社を出た。
会社を出たジョウシマは、兜神社近くにある馴染みの定食屋に向かった。
定食屋の女性店主から、仕事帰りに寄って欲しいと連絡があったことが理由だった。

定食屋に着くと、のれんはかかっておらず、「貸切中」の札がかかっていた。
ジョウシマは手慣れた様子で引き戸を開けると、店の中に入った。
店内には「無敗のエース」と呼ばれている"天使の笑顔を持つ男"ことアマネオトヤがいた。
アマネの席には酒と料理が並び、派手なドレス姿の女性と眼鏡をかけた若い男性がいた。

「いらっしゃいませ、どうぞ、こちらへ」、アマネがジョウシマにいう。
「今日は何の集まりなんだ」、ジョウシマが座りながらアマネに聞く。
無敗のキングから、ミレイとキミシマ君に『天狗』の件は解決したと連絡がありました。
キミシマ君へのお礼も兼ねた飲み会ですよ」、天使のような笑顔でアマネがいう。

「『天狗』の件は何が問題だったんだ、どう解決したんだ」、ジョウシマが聞く。
「詳しく話すと長くなりますが、本間一族と淀屋一族の確執が問題だったようです。
関係者たちの尽力により、両者の確執は落ち着いたらしいです」、アマネがいう。
「話はいくらでもできるから、始めましょうよ」、厨房から出てきた女性店主がいう。

エプロンを外した女性店主が席に着くと、それぞれの簡単な自己紹介があった。
「銀座仕込みのおもてなしするけど、潰れないでね、BOY♡」、ミレイがいう。
「摂取する純アルコール量にさえ注意していれば、大丈夫ですよ」、キミシマがいう。
アマネが「乾杯」というと、男女5人のささやかな祝宴が始まった。

数時間後、静かに時間が流れる中、男女5人は2組に分かれていた。
1組は、酔い潰れて寝ているキミシマの横で、静かに会話をするアマネとミレイ。
1組は、離れたテーブルで静かに会話しているジョウシマと女性店主だった。
2組の会話は、昔を懐かしむ思い出話など、取り留めのない話が多かった。

「あの2人は美男美女でお似合いね」、女性店主がアマネとミレイを見ていう。
「しかも2人とも無敗の相場師だからな、羨ましいよ」、ジョウシマがいう。
「あなたも無敗なんでしょ、何が羨ましいの」、女性店主が聞く。
「これからを担う者だからかな」、ジョウシマが笑みを浮かべていう。

「あの2人、デキてるわね」、ミレイがジョウシマと女性店主を見ながら小声でいう。
「デキてるって、男女の仲ってことか、そうかな」、アマネも小声でいう。
「雰囲気でわかるわ、あの2人みたいになりたいわね」、ミレイが羨ましそうにいう。
2組の男女の会話が続く中、キミシマだけが夢の中だった。

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今まで、お読みいただき、ありがとうございました。
一旦、手仕舞いしますが、登場人物からの催促等があれば、連載を再開する予定です。
催促等があるまで、今までの執筆分に加筆修正したいと考えています。
個人的に、エンディングにふさわしいと思っている曲を貼っておきますw

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