2020年2月25日火曜日

銘柄を明かさない理由R304 魔都の秘密結社(中編)

第304話 魔都の秘密結社(中編)

上海市(Shanghai)は、中華人民共和国の直轄市である。
有数の世界都市であり、同国の商業・金融・工業・交通などの中心地。
香港・北京と並ぶ中国最大の都市の一つである。
アメリカのシンクタンクの総合的な世界都市ランキングで、世界9位と評価された。

2012年6月時点での常住人口は、2,400万人を超えている。
市内総生産は、2兆3,560億元(約45兆円)である。
いずれも首都の北京市を凌ぎ中国最大である。
中華人民共和国国務院により、国家中心都市の一つに指定されている。

上海市浦東新区には、上海ワールドフィナンシャルセンター(SWFC)がある。
所在地は、上海市浦東新区世紀大道100で、高さは492m。
2013年9月現在、世界第5位(中華人民共和国で第1位の高さ)の超高層ビルである。
「最高フロア高さ」と「軒高」では、ブルジュ・ハリーファに次いで世界第2位である。

但し、展望台の高さ(地上474m)はブルジュ・ハリーファ竣工後も世界一を誇る。
7階から77階は、オフィスフロアとなっている。
金融機関を中心に、日本・ドイツなど外資企業が入っており、約1万人が働く。
28、29階には上海の金融情報の発信拠点となるメディアセンターがある。
(Wikipediaより)

上海ワールドフィナンシャルセンターのオフィスフロアの1室。
中国の武器である青龍刀のような雰囲気を持つ男が、分厚い報告書を読んでいた。
40代後半のオールバックでスーツ姿の男は、報告書を読み終えて思った。
やはり、AI(人工知能)の"ベイビー"による攻撃は、奴らの仕業か。

報告書は、世界的規模の暴落を引き起こした犯人が、"ベイビー"であること。
"ベイビー"が、某国のサイバー兵器であることを示唆していた。
確かに、"ベイビー"の攻撃により、我が国の経済成長は鈍化した。
だが、香港、北京、上海など、主要都市の"ベイビー"は、デリート(消去)済みだ。

男は机の上の内線を取り上げると、番号をプッシュした。
すぐに出た通話相手に、男は短く告げた。
「"クーロンズ・アイ(九龍の眼)"を始動しろ」
通話相手が即座に承諾すると、短い通話は終わった。

男は机の引き出しから、古びた1枚の写真を取り出した。
男は、椅子から立ち上がると、写真を片手に持ったまま、ブラインドを開けた。
写真には、貧相な身なりをしているが、笑顔の幼い妹が写っていた。
「春鈴(シュンリン)、元気にしているか」、優しげな眼差しで男はつぶやいた。

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