2019年12月5日木曜日

銘柄を明かさない理由R289 無敗の個人投資家たち~テンマ リナの場合~(前編)

本ブログには、自身が初めて書いた小説「銘柄を明かさない理由R」がある。
5人の無敗の相場師、ロイヤルストレートフラッシュの物語である。
そして彼らを取り巻く人々の物語でもある。
もちろん、素人が書いた小説なので、プロの方が書いた小説の足元にも及ばないw

主要登場人物は、無敗の天然こと10(テン)、無敗の相場師J、無敗のクイーンことQ。
無敗の大物相場師キングことK、無敗の若き相場師エースことAである。
それぞれの登場人物には名前があったが、今まで名前を明かしてはこなかった。
理由は、読み手が名前と行動に違和感を感じるかもしれないと思ったからだw

だが、自身が趣味で書いている小説だ。
名前と行動に違和感を感じられても、自身が楽しければいいことに気づいた。
今後、自身が違和感を感じたら、いきなり名前を変更することもあるかもしれない。
それでは、「銘柄を明かさない理由R クーロンズ・アイ編」をお届けするw

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第289話 無敗の個人投資家たち~テンマ リナの場合~(前編)

平日の正午過ぎ、都内のある証券会社。
総務課の女性は、怒りを抑えながら、ある女性社員の下へ向かっていた。
あの、クソ天然のテンマ、何度いったら、わかるのよ。
テンがつく苗字だけあって、正真正銘の天然なのかしら。

総務課の女性がたどりついたのは、自社の資産運用を手がけている部署。
社内で通称"アルカディア(理想郷)"と呼ばれている部署だった。
普段の"アルカディア"は2人だけで、状況に応じて他部署のメンバーを招集していた。
2人のうち1人は、"アルカディア"の創設者であり責任者でもあるクジョウ レイコ。

クジョウ レイコは、容姿端麗で近寄りがたい雰囲気がある女性社員。
連戦連勝で無敗のクジョウ レイコは、"無敗のクイーン"と呼ばれている。
"アルカディア"を率いる彼女には、社内の誰もが一目を置いていた。
もちろん、クジョウ レイコに関しては、問題行動は報告されていない。

だが、もう1人の女性社員の行動は問題だらけだった。
もう1人の女性社員の名はテンマ リナ、"無敗のテン"と呼ばれている。
テンマは入社以来、部署を転々としていた、いや、させられていた。
長くても半年、最も短いときは数週間で異動になったと聞いたことがある。

テンマが本社の受付をしていた頃、新入社員だったテンマは上司から注意された。
「騒々しいから社内では走るな、社会人なんだから落ち着いて行動しろ」と。
ある日のこと、来客に案内先を間違えて伝えたと、テンマは先輩社員に報告した。
先輩社員はすぐにお客様を追いかけなさいと指示したが、テンマは決して走らなかった。

テンマが地方の支店で営業のアシストをしていた頃、営業から年賀状の発送を頼まれた。
テンマはスピードが大事だと、その日の内に年賀状を準備し、ポストへ投函した。
翌日、支店では顧客からの電話が鳴り止まない状態になった。
「年も明けていないのに、年賀状を送ってくるとはどういうことだ」という苦情だった。

テンマが本社に戻されて総務部にいた頃、上司の出張手配を頼まれた。
一泊数十万円の高級スイートルームを手配したテンマは、上司に厳しく怒られた。
上司に怒られてから、テンマは暇を見つけては全国の宿泊先を調べていたらしい。
次の上司の出張で、テンマは外国人バックパッカーに人気の格安風呂なし宿を手配した。

その後、テンマはクジョウ レイコが責任者を務める"アルカディア"に異動になった。
本当かどうか知らないが、クジョウ レイコがテンマ リナを指名したらしい。
来てやったわよ、クソ天然のテンマ。
総務課の女性は、"アルカディア"のドアを開けた。

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