2016年1月1日金曜日

新春小話「金は天下の回り物」

2016年明けましておめでとうございます。
今年も国内相場師の皆様にとって、よき1年になりますように。
さて、新年最初の投稿は、マネーにまつわる小話をお届けする。
タイトルは「金は天下の回り物」で、もちろん自身のオリジナルであるw

ある町にしっかり者の男と遊び人の男がおりました。
しっかり者の名を徳助、遊び人の名は遊助と申します。
徳助は真面目を絵に描いたような男で、趣味はお金を貯めること。
一方の遊助は酒は呑むわ、米相場に手を出すわと、金を使うことが大好きな男。

ある日のこと、徳助が遊助の元をたずねてきた。
「おう、徳助じゃねえか、なに思いつめた顔してるんだよ」
「実は困ったことがあって、遊助さんに相談があってきたんだ」
「なんだよ、できることなら、力になってやるぜ、何でもいってみな」

「ありがとう、実はいいにくいのだけど、お金の使い方がわからないんだ」
「はあ、真剣にいっているのかい」
「ああ、お金を貯めたはいいが、使い方がわからなくて困っているんだ」
「お前さん、欲しいものとか、食べたいものとかはないのかい」

「あるさ、でも店の前までいくと、使うのがもったいないと思ってしまうんだよ」
「お前さんには欲がねえんだな、なら人の役に立つように使うというのはどうだい」
「人の役に立つようにって、どう使うんだい」
「表に金に困っていそうな年寄りがいたろ、ああいう人たちに金を恵むんだよ」

「なるほど、その手があったか、さっそくお金を恵んであげることにしよう」
いそいそと家に金を取りに行く徳助をみながら、遊助は思った。
目的もなく金を貯めるから、使い方がわからねえんだな。
何が楽しくて生きているんだろう、ああいう生き方だけはしたくねえや。

月日がたち、正月早々、徳助は病に倒れ、寝込んでおりました。
お金を貯めては恵まれない人に与え続けたため、生活は楽ではありませんでした。
徳助が病に倒れても、お金を恵んだ人たちは誰一人、見舞いにきません。
ああ、このまま一人であの世いきか、思えば短い人生だった。

そこへ医者を連れた遊助が飛び込んできました。
「おい、なんで俺のところへ連絡よこさねえんだ、先生、早いとこ治してやってくんな」
「ああ、遊助さん、せっかくだけど医者に払うお金もないんだよ」
「金のことなら心配するな、とっくにお前さんから頂いているよ」

「どういうことだい」
「お前さんが金を恵んだ連中、やつらは欲につられて、米相場に手を出しやがった」
「ええ、恵んだお金を米相場に使ったのかい」
「ところが素人が勝てるほど相場は甘くない、やつらは俺たち玄人のカモになった」

遊助が持ってきた風呂敷を広げると、そこには徳助が見たこともない大金があった。
「金を恵むように話した俺こそ悪かった、お前さんが恵んできた金はお前さんのものだ」
「いや、一度、他人様に恵んだお金なんだ、受け取れないよ」
「増えた金がお前さんのところがいいと戻ってきたんだよ、お帰りといってやんな」