2020年7月30日木曜日

銘柄を明かさない理由R344 Nobody rings a bell(前編)

本ブログには、自身が初めて書いた小説「銘柄を明かさない理由R」がある。
5人の無敗の相場師、ロイヤルストレートフラッシュの物語である。
もちろん、素人が書いた小説なので、プロの方が書いた小説の足元にも及ばない。
5人の無敗の相場師は、無敗の天然(10)こと、テンマ リナ。

無敗のジャック(J)こと、ジョウシマ ユウイチ。
無敗のクイーン(Q)こと、クジョウ レイコ。
無敗のキング(K)こと、ジツオウジ コウゾウ。
無敗のエース(A)こと、アマネ オトヤである。

この「銘柄を明かさない理由R」だが、できるだけ実相場にリンクさせたいと考えている。
実相場は新型ウイルスにより相場が暴落、2番底が迫りつつある。
「銘柄を明かさない理由R」も相場が暴落、2番底が迫りつつある。
それでは、「銘柄を明かさない理由R クーロンズ・アイ編」をお届けするw

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第344話 Nobody rings a bell(前編)

東京都中央区の日本橋近くの証券会社、日本一の株屋の本社通用口。
早朝に出社した代表執行役社長グループCEO、大川はある男を見かけた。
「おはよう、相変わらず早いな」、大川がいう。
「おはようございます、大川CEO」、チーフトレーダーである内海がいう。

「で、いつ頃、反撃する予定だ」、大川が通用口を通りながら聞く。
「しばし、お待ちを」、大川に続く内海がいう。
2人は守衛室の前を通り過ぎると、エレベーターホールへ向かった。
「あまり、待たせるなよ」、大川はいうと役員専用エレベーターに乗り込んだ。

役員専用エレベーターを見送った内海は、社員用エレベーターに乗り込んだ。
乗り込んだ内海は、職場であるトレーディングルームがあるフロアのボタンを押した。
エレベーターがフロアに到着すると、内海はトレーディングルームへ向かった。
内海は専用のカードキーを取り出すと、トレーディングルームに入室した。

24時間体制で稼動しているトレーディングルームには、十数名の社員がいた。
内海が手近のデスクに座ると、1人の男性社員、塚原が近づいてきた。
「ご不在の間の報告書です」、塚原はデスクに報告書を置くと、立ち去った。
24時間体制で稼動しているトレーディングルームは、必要最小限の会話しかなされない。

内海は、塚原が置いていった報告書を手に取ると、目を通した。
やはりな、内海は報告書に目を通し終えると、思った。
劉宋明が引き起こしたリーマン・ショック以来の暴落相場。
おそらく、奴は暴落前に空売りを行い、底で買い戻したはずだ。

だが、相場が底打ちしてから、"クーロンズ・アイ"関係先から大きな売りは出ていない。
おそらく、奴にとっても想定外の大きさの暴落だったのだろう。
そのとき、内海の頭にウォール街のある相場格言が浮かんだ。
"Nobody rings a bell at the market bottom"

株価が底をつけたときに、ベルを鳴らしてくれる人など誰もいない、という相場格言。
奴は、株価が再び、底をつけたときのベルを待ちわびているのかもしれない。
だが、底をつけたとき、ベルを鳴らしてくれる人など誰もいない。
己の私利私欲のために、相場操縦をした奴は1人残らず、哀れな最後を迎えることになる。

日本の証券界を見くびるなよ、劉宋明。
貴様が再びベルが鳴ったと思ったとき、そのときが貴様の終わりの始まりだ。
日本一の株屋のチーフトレーダーである内海には、もう一つの顔があった。
内海のもう1つの顔は、財務省直属の日本証券界の守護者(ガーディアン)だった。

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