2021年12月10日金曜日

銘柄を明かさない理由R417 浪花の相場師(中編)

第417話 浪花の相場師(中編)

淀屋初代本家のヨドヤ コウヘイ。
彼は淀屋初代本家の跡取りとして、この世に生を受けた。
先代の12代目は、自分の亡き後、後継者争いが起こることを危惧した。
先代は、誰にも知られないところで、跡取りを育てることにした。

コウヘイは、淀屋とは縁のないスタジャンの男と茶髪の女によって育てられた。
コウヘイの大学入学が決まると、育ての親のスタジャンの男と茶髪の女は姿を消した。
スタジャンの男と茶髪の女が姿を消すと、ジツオウジという男が現れた。
コウヘイは、ジツオウジから自分の出生の秘密について聞かされた。

さらに、先代が亡くなった後、淀屋一族では後継者争いが起こっていること。
淀屋二代目本家の「難波の女帝」、ヨドヤ タエが後継者の有力候補だと聞かされた。
コウヘイは、淀屋初代本家13代目となることを決意した。
だが、ジツオウジは、コウヘイに株式取引で資産を増やすように命じた。

コウヘイは大学に入学すると、GCファンドを立ち上げた。
GCファンドは、合コンの預り金を株式投資で増やすことが目的だった。
GCファンドで資産を増やしたコウヘイは、卒業後に資産運用会社を起業することにした。
資産運用会社の名は「YLコンサルタント」だった。

YLコンサルタント」の起業に際し、コウヘイは金融のプロを募集した。
地方銀行で中小企業への融資審査を行っていた定年間近の男性、佐々木が応募した。
コウヘイの採用試験は、GCファンド損益計算書の問題点を見つけろだった。
即座に問題点を見抜いた佐々木はYLコンサルタント」の取締役社長として採用された。

コウヘイには、大学在学中に知り合った高級住宅地の芦屋のお嬢様である理沙がいた。
コウヘイは、冷静な洞察力を持つ理沙にも、経営に加わるように誘った。
誘われた理沙は興味を示したが、首を縦に振らなかった。
理沙は出資者としてYLコンサルタント」の株主になることを選択した。

業績好調な「YLコンサルタント」は、中小企業への融資なども行っていた。
しばらくして、ヨドヤ タエが売り方として、ある仕手戦を仕掛けた。
コウヘイは静観していたが、その間に全国の淀屋分家への根回しを図っていた。
ある仕手戦では「無敗のキング」であるジツオウジ コウゾウたちが買い方に回った。

熾烈な激戦の末、仕手戦は「無敗のキング」たち買い方の勝利に終わった。
「難波の女帝」と呼ばれるヨドヤ タエが仕手戦で敗北した日。
これからは初代本家の時代や、二代目本家の時代は終わりや。
淀屋初代本家13代目の「浪花の相場師」、ヨドヤ コウヘイは不敵な笑みを浮かべた。

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