2018年9月28日金曜日

銘柄を明かさない理由R215 日本人相場師の心意気(後編)

第215話 日本人相場師の心意気(後編)

東京都中央区の日本橋のすぐ近くに、日本一の株屋の本社があった。
淀屋と会った数日後、大阪支店支店長の村野は本社を訪れた。
代表執行役社長グループCEOと会うことが目的だった。
秘書に案内され、村野は社長室へ向かった。

秘書が社長室のドアをノック、許可を得た秘書がドアを開き、村野の来訪を伝えた。
社長室の中から、「入れ」と声がした。
秘書に中へ入るよう促され、村野は社長室に入った。
秘書がドアを閉め、社長室の中は社長と村野の2人だけになった。

村野は、いきなり応接用のソファに腰掛けるとデスクの社長にいった。
「どや、儲かっとるか」
デスクの社長は立ち上がると、村野の方にやってきてソファに腰掛けていった。
「今年度も過去最高益を更新できそうな見通しです」

本来であれば、社長と支店長では社長の方が格上である。
ところが支店長の村野は、親子ほど歳の離れた格上の社長と対等に話していた。
「今日は、オペレーションBの進捗を聞きに来た。
今の状況を教えてんか」、支店長の村野がいう。

「ようやく、ベイビー本体の所在地が判明しました」、社長がいう。
「ベイビーはどこにおったんや」、支店長の村野がいう。
「アメリカのシカゴにウィリス・タワーという高層ビルがあります。
ベイビーがウィリス・タワーの地下にいることが判明しました」、社長がいう。

「ホンマか、間違いないんか」、支店長の村野がいう。
「世界各国でベイビー主催のセミナーが開催されています。
指示はウィリス・タワーから、複数のサーバーを経由して発信されているそうです。
米国駐在の調査班によると、99%の確率でベイビーはシカゴにいるそうです。

現在、24時間体制で世界各国のセミナーの開催状況を監視しています。
ベイビーに変わった動きがあれば、瞬時にわかる体制が整っています」、社長がいう。
「国内の同業他社に、ベイビーに関する全情報を提供するんや」、支店長の村野がいう。
「そんなことをすれば、我が社の優位性が失われます」、社長が驚いていう。

「かまへん、ワテの正体を見破った男のアドバイスに従うことにしたんや」
ワテが野村やと、よう見破ったな、浪花の相場師こと淀屋。
そやけど、ワテが日本一の株屋を動かしとることまでは見抜けんかったようやな。
野村財閥二代目、野村徳七の血を受け継ぐ男は不敵な笑みを浮かべた。

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