2018年7月11日水曜日

銘柄を明かさない理由R180 JOKERという男

「銘柄を明かさない理由R」の連載を再開してから、毎日が楽しい。
小説を書いたことがある方は、おわかりだろう。
小説の登場人物たちが、勝手に動き出すようになる。
「次は俺のことを書け」、「次は私のことを書いてよ」などなどw

やがて、登場人物たちが出番を待って並ぶようになる。
書き手である自身は、全体の流れで必要であれば、出番を入れ替えたりする。
当たり前だが、先送りされた登場人物は文句をいわない。
だが、後に回された登場人物はおとなしく待つことができず、勝手に動き回るw

こうして次から次へと話が生まれ、書き続けることができる。
自身の定年はまだ先で、今は会社員兼相場師だ。
定年後は、作家兼相場師になるのもいいかもしれないと思い始めている。
それでは「銘柄を明かさない理由R ベイビーワールドエンド編」をお届けするw

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第180話 JOKERという男

トランプにおけるJOKER(ジョーカー)。
カードに道化師の絵が描かれていることから、ジョーカーと呼ばれる。
ジョーカーは、トランプのデッキに1〜2枚加えられることがある。
一部のゲームでは最強のカードとして扱われ、「切り札」という意味でも使われる。

第二次世界大戦で、この国は敗戦国になったといわれている。
だが、一部の男たちにとっては勝利だった。
開戦前の彼らはある危機感を持っていた。
欧米列強による東南アジアとこの国の植民地化だった。

このままでは、この国は欧米列強に包囲され、やがて植民地となる。
彼らの出した結論は、植民地となっている東南アジア各国の独立だった。
最終的にこの国は敗れる、だが包囲網を崩すことはできる。
彼らはこの国のために、欧米列強に自由の戦いを挑んだ。

敗戦国にはなったが、彼らの当初の目標は達成された。
東南アジア各国は独立、包囲網はなくなった。
次は経済発展による国力の増強だ、彼らはある組織を作ることにした。
戦後の高度成長は、その組織によるものだったといっても過言ではない。

彼らは、有望な人材に目をつけると、次々と組織の一員とした。
国内における組織のネットワークは完璧だった。
ありとあらゆる官公庁や大手企業に、彼らの組織の人間がいた。
この国に進出してくる外資系企業も例外ではなかった。

大手の外資系証券会社、赤い竜の会社に勤める年齢不詳の男も組織の一員だった。
男は赤い竜の会社に新卒で入社した。
男がその組織の一員になったのは、入社数年後のことだった。
組織は数年間、男の行動を観察した上で採用を決定したのである。

赤い竜の会社の動向を報告することが、男の主要なミッションだった。
ある日、男に組織から指令がもたらされた。
「ベイビーと呼ばれる男が、我が国の相場に多大な影響を与えようとしている。
ベイビーに関する情報を収集して知らせろ」だった。

ベイビーについては、聞いたことがある。
米国の相場に多大なる影響力を持ちながら、決して表舞台には出てこない謎の男。
ベイビーに関する情報を収集しろとは、面白い。
自宅の居間で、年齢不詳の男、ジョーカーは不敵な笑みを浮かべた。