2018年7月5日木曜日

銘柄を明かさない理由R175 ある株式投資セミナーにて(後編)

「銘柄を明かさない理由R」の連載を再開して、3日目になる。
よく、作家が書き出すと、登場人物が勝手に動き出すという。
最初に、その話を聞いたときは、ウソだろうと思った。
だが、今は身をもって、そのことを感じているw

自身は、皆さんにお届けしている数話先の話を書いている。
不思議なことに、書き始めると勝手にストーリーが出てくる。
自身は理系出身だが、もし文系出身なら作家になろうとしていたかもしれない。
仮に文系出身で作家になれたとしても、兼業で相場師だったとは思うw

賢明なる読者の方はお気づきだろうが、今は毎年恒例の下落相場の真っ只中だ。
最大の買い場である8月が来るまで、売り買いしてはならないのでヒマなはずだ。
この「銘柄を明かさない理由R」が、ヒマつぶしの1つになれば嬉しく思う。
それでは「銘柄を明かさない理由R ベイビーワールドエンド編」をお届けするw

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第175話 ある株式投資セミナーにて(後編)

「有料会員になったので、送られてきた銘柄情報どおりに買ってみました。
ところが騰がった銘柄は半分、下がった銘柄は半分でした。
下がった銘柄を更に買うことでプラスにしましたが、単に買うだけじゃ儲かりませんよ」
大学生になった21世紀少年、メガネを外した顔でにっこりと微笑んだ。

「何を仰っているのですか」
スーツ姿の女性を見かねたのか、主催者らしきスーツ姿の男性がいう。
「買うだけじゃ儲からないので、更に買うことでプラスにできた訳ですよね。
つまり、当セミナーの銘柄情報で儲けて頂いたんですよね」

会場の参加者を見回したスーツ姿の男性が満面の笑みでいう。
「先ほどの講師の説明には、言葉が足りなかったようで申し訳ございません。
ご指摘のように、銘柄情報どおりに買うだけでは儲かりません。
儲けるためには、先ほどの方のように当セミナーの投資手法を用いることが必要です」

スーツ姿の男性は、満面の笑みのままいった。
「銘柄情報でご提供する銘柄が全て騰がるとは限りません。
銘柄が下がったときに、いつ更に買えばいいかの情報もご提供させていただいています。
つまり、皆様は有料会員になるだけで、無敗の個人投資家になれるのです」

「質問があるのですが、よろしいでしょうか」
再び、メガネをかけた若い男性、21世紀少年が再び挙手をした。
「いいですよ、ご質問を仰ってください」
スーツ姿の男性は、満面に笑みを浮かべたままいった。

メガネをかけた若い男性、21世紀少年がいった。
「銘柄が下がったとき、いつ更に買えばいいかの情報は一度も来なかったのですが」
一瞬、会場内に張り詰めた空気が流れた。
張り詰めた空気を破り、スーツ姿の男性がいう。

「それはおかしいですね。事務局の手違いがあったのかもしれません。
お客様の手を煩わせることになり、誠に申し訳ございませんでした。
今後はそのようなことがなきよう、再発防止に努めさせていただきます」
スーツ姿の男性が、メガネをかけた若い男性、21世紀少年に深々と頭を下げた。

「つまり、今は再発防止が必要なセミナーってことですね。
早く再発防止の必要がないセミナーにしてくださいね。
このセミナーの将来に期待していますよ」
メガネをかけた若い男性、21世紀少年はいうと、席を立った。