2024年6月23日日曜日

【小説】まとめ屋~vol.377~

ある日の深夜、あるチャットスペースで会話が始まった。

X:お疲れ
Z:お疲れ
B:おつかれ
X:Yのバカはいねえのか
Z:さっきまでいたわよ
X:例の裁判資料は閲覧したのか
Z:したらしいわよ
X:どうだったんだ
B:お互いの主張に対する反論を行っているらしいよ
X:あのバカは証人として呼ばれんのか
B:もしかしたら呼ばれないかもっていってた
X:何で呼ばれねえんだ
B:近いうちに和解するんじゃないかなっていってた
X:何でそう思ったんだ
B:お互いの言い分がよくわかる資料だかららしいよ
Z:弁護士がうまくまとめたんでしょうね
B:まとめることについてはプロだからね
X:あのバカはどうすんだ
B:裁判が終わった頃に、資料を閲覧するっていってたよ
B:そのあと、関係者に閲覧に必要な情報を連絡するんじゃないかな
B:連絡したら、このフェーズは終了だろうね
X:裁判しても、資料を保管されて、関係者に閲覧されるだけか
Z:今頃、裁判したこと後悔してたりしてw
B:関係者に閲覧されるとは思っていなかっただろうからねw
X:つきあいきれねえな、さてとそろそろ寝るわ、おやすみ
Z:わたしも寝るわ、おやすみ
B:おやすみ

彼らのネット歴は長く、法に抵触しない範囲で遊んでいた。
彼らは遊んでいたが、その遊びはいつも誰かのためだった。
そんな彼らが愛読しているのは「予告犯」というタイトルのマンガだった。
チャット画面を閉じた彼らは、ネタ探しのため、ネットサーフィンを始めた。

彼らのネット歴は長かったが、そんな彼らにも知らないことがあった。
彼らは、関わった一部の人から、「まとめ屋」と呼ばれていた。

同時刻、警視庁サイバー犯罪対策課
「交替の時間ですよ」、1人の男がPCを観ている男の背後から声をかけた。
「もう、そんな時間か」、声をかけられた男が振り返っていう。
「また、まとめ屋のサイト見てたんですか」、声をかけた男がいう。
「気づかされることがあったりするからな」、声をかけられた男がいう。
「最近、ネットトラブルで刑事告訴する人が増えているそうです」、声をかけた男がいう。
「相変わらず詐欺が多いからな」、声をかけられた男がいう。
「個人間のトラブルでも刑事告訴する人が増えてるそうです」、声をかけた男がいう。
「被害の程度にもよるが、本来は民事で解決することだろ」、声をかけられた男がいう。
「弁護士なら、話し合いで解決しようとするでしょうね」、声をかけた男がいう。
「弁護士は裁判することのリスクをわかっているからな」、声をかけられた男がいう。
「裁判記録は誰でも閲覧できますからね」、声をかけた男がいう。
「和解しても残るしな、あとはよろしく」、声をかけられた男がいう。
「了解」、声をかけた男はいうと、席を立った男と入れ替わりに席に座った。

裁判所が、証拠調べを行った後、原告の請求が認められる、又は認められないと考えたときは、口頭弁論を終結して判断を下します。判断は、法廷において、原則として判決書に基づいて言い渡されます。判決書には、主文、当事者の主張、判断の理由等が記載され、言渡し後速やかに当事者双方に送達されます。ただし、被告が原告の主張した事実を争わない場合など、実質的に争いがない事件については、判決書の原本に基づかない簡易な言渡しが可能であり、この場合には、判決書の作成に代えて、裁判所書記官が主文等を記載した調書を作成することになります。
言い渡された判決は、仮に執行することができるという宣言が付けられた場合を除き、判決への不服申立期間が過ぎるまで(判決が確定するまで)強制執行の手続をとることはできません。
裁判手続は、訴えの取下げや裁判上の和解などによっても終了します。裁判上の和解は確定した判決と同一の効力を有することになります。
(「裁判手続 民事事件Q&A」裁判所ホームページ)
「予告犯」筒井哲也氏より
-------------------------------------------------------
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ネットの誹謗中傷をなくすにはどうしたらよいかをテーマに書いています。
誹謗中傷された場合の法的手続きですが、費用対効果は決してよいとはいえません。
また、相手から虚偽告訴罪で訴えられる可能性もあります。
誹謗中傷されたら、やり返さずに弁護士に相談されることをオススメします。
相談すれば、どのような罪に問えるかなど、アドバイスしてもらえることが多いです。
「まとめ屋」の方法はリーガルチェックを受けていないため、行わないでくださいw

0 件のコメント:

コメントを投稿