2024年6月13日木曜日

【小説】まとめ屋~vol.375~

ある日の深夜、あるチャットスペースで会話が始まった。

X:お疲れ
B:おつかれ
X:YもZもいねえのか
B:二人ともさっきまでいたよ
X:あいつら俺を避けてんな
B:それはないと思うw
X:あいつらの相手は大変だよな
B:特定スキルが高いからね
X:Yの相手なんて、かなり前から身元特定されてたんだろ
B:相手が実名でSNSをしているからね
X:早く教えてやりゃいいのに、相手に同情するわ
B:でも、Zの相手の方が大変だと思うよ
X:どう大変なんだ
B:Zの相手は動画も特定されているからね
X:運営会社に削除依頼すりゃすむ話だろ
B:テレビ局の動画だから、削除は難しいと思うよ
X:どうやって動画を見つけたんだ
B:相手があるイベントに参加した記事を書いていた
B:そのイベントの様子を報じる動画に映っていたらしい
B:相手の顔はわかっていたので、すぐに見つけたらしいよw
X:相手はそのこと知ってんのか
B:動画があることは知ってるんじゃないかな
X:そのことを知っているやつは多いのか
B:関係者のほとんどは知ってると思うよ
X:俺も気をつけねえとな、さてとそろそろ寝るわ、おやすみ
B:おやすみ

彼らのネット歴は長く、法に抵触しない範囲で遊んでいた。
彼らは遊んでいたが、その遊びはいつも誰かのためだった。
そんな彼らが愛読しているのは「予告犯」というタイトルのマンガだった。
チャット画面を閉じた彼らは、ネタ探しのため、ネットサーフィンを始めた。

彼らのネット歴は長かったが、そんな彼らにも知らないことがあった。
彼らは、関わった一部の人から、「まとめ屋」と呼ばれていた。

同時刻、警視庁サイバー犯罪対策課
「交替の時間ですよ」、1人の男がPCを観ている男の背後から声をかけた。
「もう、そんな時間か」、声をかけられた男が振り返っていう。
「また、まとめ屋のサイト見てたんですか」、声をかけた男がいう。
「たまに参考になる情報があるからな」、声をかけられた男がいう。
「彼らは何のために情報発信してるんでしょうね」、声をかけた男がいう。
「ユーザーへの注意喚起かもしれないな」、声をかけられた男がいう。
「彼らの注意喚起で助かった人もいるかもしれませんね」、声をかけた男がいう。
「いるかもな」、声をかけられた男がいう。
「危ないと思っても、注意しようとは思いませんからね」、声をかけた男がいう。
「大半はスルーだからな」、声をかけられた男がいう。
「彼らのサイトを見ている人は意外と多いかもしれませんね」、声をかけた男がいう。
「かもな、あとはよろしく」、声をかけられた男がいう。
「了解」、声をかけた男はいうと、席を立った男と入れ替わりに席に座った。

コンテンツが削除の対象として考慮されるためには、そのコンテンツによって個人をはっきりと特定できる必要があります。さらに、その当事者もしくは法定代理人から提出された申し立てにおいて、顔写真、音声、フルネーム、政府発行の個人番号、銀行口座番号、連絡先情報(例:自宅の住所、メールアドレス)、その他の個人を特定できる情報の組み合わせによって、個人を一意に特定している必要があります。YouTubeは、コンテンツをプライバシー侵害によって削除すべきかを判断する際に、公共の利益、ニュース価値、同意の有無を考慮します。また、コンテンツ内の情報が他の場所でも公開されており一般的に入手可能であるかどうかも考慮します。YouTubeは、プライバシー·ガイドラインの違反が発生したかどうかの最終決定を行う権利を有します。
一意に特定できるとは、他人が個人を特定するのに十分な情報が動画に含まれていることを意味します。単に動画に写っている個人が確認できるだけでは、一意に特定できるとは見なされませんので注意してください。たとえば、下の名前だけで他の情報が含まれない場合や、チラッと映っているだけでは、一意に特定できるとは言えません。
(「YouTube プライバシー ガイドライン」)
「予告犯」筒井哲也氏より
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ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ネットの誹謗中傷をなくすにはどうしたらよいかをテーマに書いています。
誹謗中傷された場合の法的手続きですが、費用対効果は決してよいとはいえません。
また、相手から虚偽告訴罪で訴えられる可能性もあります。
誹謗中傷されたら、やり返さずに弁護士に相談されることをオススメします。
相談すれば、どのような罪に問えるかなど、アドバイスしてもらえることが多いです。
「まとめ屋」の方法はリーガルチェックを受けていないため、行わないでくださいw

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