2024年6月9日日曜日

【小説】まとめ屋~vol.374~

ある日の深夜、あるチャットスペースで会話が始まった。

X:お疲れ
Z:お疲れ
B:おつかれ
X:Yのバカはいねえのか
Z:さっきまでいたわよ
X:あのバカ、やってくれたわ
Z:?
X:知らねえ奴から礼のメールがきたんだよ
Z:なんて書いてあったの?
X:SNSへのご指摘ありがとうございましたってな
Z:それって、もしかして
X:あのバカ、子どもに送った書面に俺のメアド書いてやがったんだ
Z:wwwwwwwwww
B:w
Z:遊び用のメアドでしょw
X:遊び用でも勝手に使ったのが許せねえ
Z:メル友になればw
X:なるわけねえだろ
Z:wwwwwwwwww
X:いきなり礼いわれても書面見てねえからな
B:限定公開にしないと特定されますよって指摘らしいよw
X:親は限定公開にしてんのか
B:まだ一般公開してるよ
X:マジか、実名で画像も加工してねえんだろ
B:特定されてることに気づいていないんじゃないかな
Z:まとめサイトも見つけられてないみたいだしねw
X:炎上していることにも気づいてねえのか
B:普通は誰かが教えてくれるんだけどね
X:あのバカのメアドで教えてやるかな
Z:wwwwwwwwww
B:w
X:そこまでヒマじゃねえよ、さてとそろそろ寝るわ、おやすみ
Z:わたしも寝るわ、おやすみ
B:おやすみ

彼らのネット歴は長く、法に抵触しない範囲で遊んでいた。
彼らは遊んでいたが、その遊びはいつも誰かのためだった。
そんな彼らが愛読しているのは「予告犯」というタイトルのマンガだった。
チャット画面を閉じた彼らは、ネタ探しのため、ネットサーフィンを始めた。

彼らのネット歴は長かったが、そんな彼らにも知らないことがあった。
彼らは、関わった一部の人から、「まとめ屋」と呼ばれていた。

同時刻、警視庁サイバー犯罪対策課
「交替の時間ですよ」、1人の男がPCを観ている男の背後から声をかけた。
「もう、そんな時間か」、声をかけられた男が振り返っていう。
「また、まとめ屋のサイト見てたんですか」、声をかけた男がいう。
「たまに参考になる情報があるからな」、声をかけられた男がいう。
「普通の人が見ても、内容がわからないでしょうね」、声をかけた男がいう。
「重要な情報は個人間でやりとりしているんだろうな」、声をかけられた男がいう。
「高齢者のSNSを情報源にした犯罪が増えているようです」、声をかけた男がいう。
「個人情報を公開している高齢者は多いからな」、声をかけられた男がいう。
「SNSは安全だと思い込んでいるのでしょうね」、声をかけた男がいう。
「社内イントラと同じだと思っているのかもな」、声をかけられた男がいう。
「だから運営会社に対策を求めるのかもしれませんね」、声をかけた男がいう。
「かもな、あとはよろしく」、声をかけられた男がいう。
「了解」、声をかけた男はいうと、席を立った男と入れ替わりに席に座った。

インターネット上の交流サイト(SNS)を通じて、人脈を広げるシニアが増えている。だが、不用意な発言をきっかけに爆発的に批判が集中する「炎上」も若者の世界に劣らず起きている。発生理由は「つい議論に熱くなって」などと、自分の主張を譲らないことが多いシニア特有の事情が浮かぶ。
(略)
総務省の通信利用動向調査によると、2012年の65~69歳のネット普及率は11年比1.8ポイント増の62.7%、70~79歳は同6.1ポイント増の48.7%。40歳代までの普及率が90%を超え飽和状態なのに対して、60歳以上はおおむね拡大しつつある。シニアはSNSの中でも、実名の利用を原則とするフェイスブックを使う傾向だという。自身のプロフィル情報や友人関係から自動的に知り合いを探してくれる機能を利用する人も多い。
(略)
写真であれ文章であれ、ネットに発信した情報は半永久的に残る。炎上のリスクがある半面、貴重な記録にもなる。「その時々の心情を長文でつづることが多いシニアのフェイスブックはいわば自分史。もしもの時、連れ合いや子どもに自分史を伝えたかったら、パスワードを遺族に分かるようにしておくとよい」と〇〇さんは話す。
不用意な発言を避ける、相手を中傷しないなど注意をしながら、SNSとうまく付き合いたい。
(『広がるSNS、シニア「炎上」どう防ぐ』日本経済新聞2014年10月21日)
「予告犯」筒井哲也氏より
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ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ネットの誹謗中傷をなくすにはどうしたらよいかをテーマに書いています。
誹謗中傷された場合の法的手続きですが、費用対効果は決してよいとはいえません。
また、相手から虚偽告訴罪で訴えられる可能性もあります。
誹謗中傷されたら、やり返さずに弁護士に相談されることをオススメします。
相談すれば、どのような罪に問えるかなど、アドバイスしてもらえることが多いです。
「まとめ屋」の方法はリーガルチェックを受けていないため、行わないでくださいw

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