2024年6月7日金曜日

【小説】まとめ屋~vol.373~

ある日の深夜、あるチャットスペースで会話が始まった。

X:お疲れ
Z:お疲れ
B:おつかれ
X:Yはいねえのか
Z:さっきまでいたわよ
X:あのバカ、俺から逃げてんな
B:最近、海外からのアクセスが多くて困ってるらしいよ
X:海外のエロサイトでも観たんじゃねえのか
Z:wwwwwwwwww
B:w
X:あのバカ、相手の家族のSNS見つけたっていってたろ
Z:?
X:家族って、誰のSNS見つけたんだ
Z:子どものSNSで、本名や勤務先も特定してるらしいわよ
X:拡散したりしてんじゃねえだろうな
Z:してないんじゃないの
B:特定されますよっていう注意喚起はしたらしいよ
X:どうやって注意喚起したんだ
B:注意喚起の書面を勤務先へ郵送したらしいよ
Z:たしか勤務先って海外じゃなかった?
B:どこに送ったかは聞いてない
X:で、注意喚起できたのか
B:すでに一般公開から限定公開に変えてるらしいよ
X:あのバカ、たまにはいいことすんだな
Z:たまにだけどねw
X:相手とはどうなってんだ
B:そろそろ次のフェーズに移るみたいだよ
X:何だ、次のフェーズって
B:次の局面ってことだよ
X:誰も和訳聞いてねえだろ
Z:wwwwwwwwww
B:いつものやつだよw
X:つきあいきれねえな、さてとそろそろ寝るわ、おやすみ
Z:わたしも寝るわ、おやすみ
B:おやすみ

彼らのネット歴は長く、法に抵触しない範囲で遊んでいた。
彼らは遊んでいたが、その遊びはいつも誰かのためだった。
そんな彼らが愛読しているのは「予告犯」というタイトルのマンガだった。
チャット画面を閉じた彼らは、ネタ探しのため、ネットサーフィンを始めた。

彼らのネット歴は長かったが、そんな彼らにも知らないことがあった。
彼らは、関わった一部の人から、「まとめ屋」と呼ばれていた。

同時刻、警視庁サイバー犯罪対策課
「交替の時間ですよ」、1人の男がPCを観ている男の背後から声をかけた。
「もう、そんな時間か」、声をかけられた男が振り返っていう。
「また、まとめ屋のサイト見てたんですか」、声をかけた男がいう。
「彼らには気づかされることがある」、声をかけられた男がいう。
「何をですか」、声をかけた男がいう。
「個人でもその気になれば身元特定できるってことさ」、声をかけられた男がいう。
「ネットは痕跡が残りますからね」、声をかけた男がいう。
「匿名なら身バレしないと思っている奴は多いからな」、声をかけられた男がいう。
「そういえば、検察はZを不起訴にしたそうです」、声をかけた男がいう。
「相手は納得しないだろうな」、声をかけられた男がいう。
「検察審査会に申し立てするかもしれませんね」、声をかけた男がいう。
「かもな、あとはよろしく」、声をかけられた男がいう。
「了解」、声をかけた男はいうと、席を立った男と入れ替わりに席に座った。

インターネットの起源は、米国の国防総省の資金提供により、1967年に研究を開始したパケット通信のネットワーク、ARPAnet(Advanced Research Projects Agency NETwork)とされている。ARPAnetは1969年に米国内の4つの大学・研究機関を接続する形で運用が開始された。主に大学・研究機関の間を接続するネットワークの構築が進み、その後、商用化が始まることになる。
1995年のWindows95の発売以降、我が国でもインターネットが急速に普及し、その後、データ流通・利活用は幾つかのステージを経て進化しており、普及する初期の1990年代半ば~2000年代半ばは「Web1.0」と称され、ホームページの閲覧、電子メールでのメッセージの送信等、片方向の情報・データの流通が中心だった。
2005年前後のSNS、動画投稿サイトなどの登場、その後のスマートフォンの急速な普及により、利用者も自らが情報発信の役目を担うように変化。この不特定多数の利用者の間で情報が相互に行き交う双方向の情報の流れが進んだ時期は、「Web2.0」と称されている。
(参考:「情報通信白書」総務省)
「予告犯」筒井哲也氏より
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ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ネットの誹謗中傷をなくすにはどうしたらよいかをテーマに書いています。
誹謗中傷された場合の法的手続きですが、費用対効果は決してよいとはいえません。
また、相手から虚偽告訴罪で訴えられる可能性もあります。
誹謗中傷されたら、やり返さずに弁護士に相談されることをオススメします。
相談すれば、どのような罪に問えるかなど、アドバイスしてもらえることが多いです。
「まとめ屋」の方法はリーガルチェックを受けていないため、行わないでくださいw

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