2024年5月8日水曜日

【小説】まとめ屋~vol.370~

ある日の深夜、あるチャットスペースで会話が始まった。

X:お疲れ
Z:お疲れ
B:おつかれ
X:Yはいねえのか
Z:さっきまでいたわよ
X:あのバカ様、ぜってえ俺を避けてんな
Z:最近、忙しいみたいよ
X:例の相手で忙しいのか
Z:それ以外にもいろいろあるみたいよ
B:さっきもネットカフェからだったしねw
X:今どきネットカフェ使ってんの、バカ様くらいだろ
Z:たしかに数が減ったしね
B:いい店が見つかったらしいよ
X:どこの店だ
B:支援する人の相手が住んでる街
X:バカ様のとこから遠いだろ
B:利用するときはナイトパックらしいよ
X:わざわざ泊まりにいってんのか
B:Yには使い勝手がいいみたい
X:どうせ、ろくなことに使ってねえんだろ
Z:wwwwwwwwww
B:交通トラブルの動画が拡散されて炎上している件
B:さっき調べたけど、身元特定できてないみたい
B:身元の情報はあるけど、根拠がなかったw
X:マジか
Z:てっきり特定されてると思ってたわ
B:周囲の人はわかってるだろうけどねw
X:バカ様が身元特定してたりしてな
Z:wwwwwwwwww
B:それはないと思うw
X:つきあいきれねえな、さてとそろそろ寝るわ、おやすみ
Z:わたしも寝るわ、おやすみ
B:おやすみ

彼らのネット歴は長く、法に抵触しない範囲で遊んでいた。
彼らは遊んでいたが、その遊びはいつも誰かのためだった。
そんな彼らが愛読しているのは「予告犯」というタイトルのマンガだった。
チャット画面を閉じた彼らは、ネタ探しのため、ネットサーフィンを始めた。

彼らのネット歴は長かったが、そんな彼らにも知らないことがあった。
彼らは、関わった一部の人から、「まとめ屋」と呼ばれていた。

同時刻、警視庁サイバー犯罪対策課
「交替の時間ですよ」、1人の男がPCを観ている男の背後から声をかけた。
「もう、そんな時間か」、声をかけられた男が振り返っていう。
「また、まとめ屋のサイト見てたんですか」、声をかけた男がいう。
「たまに参考になる情報があるからな」、声をかけられた男がいう。
「嘘の住所を書いた裁判ですが、新しいことがわかりました」、声をかけた男がいう。
「何がわかったんだ」、声をかけられた男がいう。
「嘘の住所を書くきっかけとなった過去の裁判」、声をかけた男がいう。
「書類を受け取らないので、裁判所が付郵便送達したやつか」、声をかけられた男がいう。
「不起訴にした検察審査会に興味深い意見がありました」、声をかけた男がいう。
「どんな意見だ」、声をかけられた男がいう。
「他にも多数の不適切投稿を行なっていた可能性があるそうです」、声をかけた男がいう。
「その理由は」、声をかけられた男がいう。
「使っていた多くのアカウントが閉鎖されているそうです」、声をかけた男がいう。
「なるほどな、あとはよろしく」、声をかけられた男がいう。
「了解」、声をかけた男はいうと、席を立った男と入れ替わりに席に座った。

送達は、「当事者その他訴訟関係人に対して、訴訟上の書類の内容を了知させるために、法定の方式に従って書類を交付し、または交付を受ける機会を与える裁判所の訴訟行為」のことで、裁判所が正式な形で当事者あてに通知書類を送り届けることをいう。
通常、送達は裁判所から相手側の住所に郵便で送られるが、相手が受け取らず、就業先も不明な場合には、原告側は「付郵便送達」という方法を利用することができる。付郵便送達は、「書留送達」とも呼ばれ、普通郵便を書留郵便に付する形で発送することで、相手方に送達されたとみなされる。実際に被告側が書類を受け取ったかどうかに関わらず、原告側は裁判の準備を開始できるようになる(民事訴訟法第107条)。
裁判所に付郵便送達を認めてもらうには、現地調査を行って、以下のことを証明しなくてはならない。
・付郵便送達先である住所地に確実に居住していること
・就業場所が不明であること
「予告犯」筒井哲也氏より
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ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ネットの誹謗中傷をなくすにはどうしたらよいかをテーマに書いています。
誹謗中傷された場合の法的手続きですが、費用対効果は決してよいとはいえません。
また、相手から虚偽告訴罪で訴えられる可能性もあります。
誹謗中傷されたら、やり返さずに弁護士に相談されることをオススメします。
相談すれば、どのような罪に問えるかなど、アドバイスしてもらえることが多いです。
「まとめ屋」の方法はリーガルチェックを受けていないため、行わないでくださいw

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