2015年10月6日火曜日

銘柄を明かさない理由41

登場人物紹介
・先輩:Yの取引口座があるA証券の長期運用部門を担当する天才女性トレーダー
・後輩:先輩の後輩
・A:A証券に取引口座を持つ、若くして頭脳派の無敗の個人投資家
・J:A証券に取引口座を持つが、自身の口座では取引きしない無敗の個人投資家
・先生:「売り」「買い」のどちらもとれる大物相場師
・Y:運用額は小額ながら、無敗の個人投資家、当ブログの管理人

Aは学生時代に家族全員を失い、天涯孤独の身になった。
家族の保険金を受け取り、家や土地を相続すると、Aを取り巻く環境は一変した。
会ったこともない見知らぬ男や女たちが遠い親戚だといって、金を借りに来た。
しつこく金をせびる連中に、何度、ぶち切れたかわからない。

当時のAには、高校時代からつき合っていた彼女がいた。
ある日、しつこく金をせびる連中の話を、彼女に面白おかしく話したときのことだった。
思いつめた表情の彼女から、困っているので、金を貸して欲しいといわれた。
翌日、口座から金を引き出すと、手切れ金として、いわれた通りの金を彼女に渡した。

金は、人の心をいとも簡単に変えてしまう。
所詮、綺麗ごとをいっても、人生は金だ、ならば金を極めて、人生の勝ち組になってやる。
Aは家族の思い出が詰まった家を売り払い、通っていた大学も中退した。
都内のワンルームマンションに引っ越したAは、株式投資により億単位の資産を築いた。

Aは最近、あるブログを読むのが習慣になっていた。
株式投資による資産運用ブログだが、Aには理解不能のブログだった。
そのブログの管理人は、投資手法を無償で公開していた。
挙句の果てには、購入予定の銘柄を発表、その後、予定通りに銘柄を購入した。

無償で情報発信しても、管理人にとって何も得るものはない。
この管理人がバカなのか、そうでないのか、Aはしばらく観察することに決めた。