ある日の深夜、あるチャットスペースで会話が始まった。
X:お疲れ
Z:お疲れ
X:Yは来ていないのか
Z:さっきまでいたわよ
X:あのバカ、俺が来るから逃げたな
Z:ちょっと~聞いてよ
X:なんだなんだ
Z:前にYに頼まれてサイト作ったじゃない
X:検索されても表示されないとかいってたやつか
Z:そそ、さっき聞いたら使ってないんだって
X:なんで使ってないんだ
Z:検索しても表示されないから人が来ないらしいわ
X:なんだ、そりゃ
Z:作るのにどれだけ時間かけたと思ってんのよ
X:Yは何に使おうとしてたんだ
Z:前からの相手のまとめサイトにするつもりだったみたい
X:相手って、会社じゃなく個人のやつか
Z:そそ
X:個人相手のやつ、まだやってんのか
Z:wwwwwwwwww
X:で、サイトを作り直してくれっていわれたのか
Z:それが誰かが作ってくれたので、いいって
X:そりゃ俺でも怒るわ
Z:でしょ、ホントに何考えてるのかしら
X:何も考えてないんだろな、Yは
Z:wwwwwwwwww
X:しかし、個人相手のやつも長いな、どうすんだろ
B:おつかれ
X:いたのかB
B:裁判に向けて、準備しているみたいだよ
X:Yは当事者じゃねえんだろ、何を準備してんだ
B:裁判が始まれば参加するみたいだよ
B:証人で参加するか、補助参加するかは決まってないらしい
B:こないだも弁護士と打ち合わせしたっていってた
X:あのバカ、裁判が趣味みたいなもんだからな
Z:wwwwwwwwww
X:相手に同情するわ
Z:wwwwwwwwww
B:w
X:さてとそろそろ寝るわ、おやすみ
Z:私も寝るわ、おやすみ
B:おやすみ
彼らのネット歴は長く、法に抵触しない範囲で遊んでいた。
彼らは遊んでいたが、その遊びはいつも誰かのためだった。
そんな彼らが愛読しているのは「予告犯」というタイトルのマンガだった。
チャット画面を閉じた彼らは、ネタ探しのため、ネットサーフィンを始めた。
彼らのネット歴は長かったが、そんな彼らにも知らないことがあった。
彼らは、関わった一部の人から、「まとめ屋」と呼ばれていた。
同時刻、警視庁サイバー犯罪対策課
「交替の時間ですよ」、1人の男がPCを観ている男の背後から声をかけた。
「もう、そんな時間か」、声をかけられた男が振り返っていう。
「また、まとめ屋のサイト見てたんですか」、声をかけた男がいう。
「たまに参考になる情報があるからな」、声をかけられた男がいう。
「Yの3年越しの案件ですが、かなり影響が出てますね」、声をかけた男がいう。
「こないだも報道されてたな」、声をかけられた男がいう。
「先日、相手からお偉いさんに相談があったらしいですよ」、声をかけた男がいう。
「相手にしなかったんだろ」、声をかけられた男がいう。
「かなり、しつこかったようです」、声をかけた男がいう。
「おそらく不安なんだろうな、あとはよろしく」、声をかけられた男がいう。
「了解」、声をかけた男はいうと、席を立った男と入れ替わりに席に座った。
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