2024年7月19日金曜日

【小説】まとめ屋~vol.386~

ある日の深夜、あるチャットスペースで会話が始まった。

X:お疲れ
Z:お疲れ
B:おつかれ
X:Yのバカはいねえのか
Z:ちょっと~聞いてよ~
X:なんだなんだ
Z:わたしの相手が、ある人のプライバシー侵害したのよ
X:競売にかけられたやつか
Z:でね、Yに侵害された人の住所と名前を調べてって頼んだの
X:裁判所で調べられるらしいな
Z:そしたら、今、忙しいからって断られたの
X:ニュースになったネットストーカーのことで忙しいのか
B:その件は聞き込みも終わって、一段落してるらしい
B:支援している人の裁判の件で忙しいらしい
B:その人の弁護士から協力依頼があったらしいよ
X:いよいよ証人として参加すんのか
B:証人じゃなく、資料の提出依頼らしいよ
X:何の資料なんだ
B:過去記事とかで、反論の材料にするんじゃないかなっていってた
X:あのバカ、用意できんのか
B:手元にない資料はウェブアーカイブで探してるみたいだよ
X:なら大丈夫だな
B:ただ、相手が複数のアカウント持ってるから、時間がかかるみたいだよ
X:何で高齢者は複数のアカウントを作りたがるんだ
B:アカウントを変えれば、別人になれると思ってるんじゃないかな
X:IPアドレス変えても、別人になれると思ってんじゃねえだろうな
B:残念だけど、そう思い込んでるんじゃないかな
X:そんなだから、人に迷惑かけたりできんだろうな
Z:ちょっと~
X:どした
Z:なんで別の話になってんのよ
X:わりいわりい、で、Zが調べることにしたのか
Z:しかたないから、知り合いに頼もうと思ってるわ
X:なら、よかったじゃねえか
Z:よくないわよ、知り合いに頼んだら、お礼がいるでしょ
B:Yならお礼はいらないからねw
X:あのバカには遊びだからな、さてとそろそろ寝るわ、おやすみ
Z:わたしも寝るわ、おやすみ
B:おやすみ

彼らのネット歴は長く、法に抵触しない範囲で遊んでいた。
彼らは遊んでいたが、その遊びはいつも誰かのためだった。
そんな彼らが愛読しているのは「予告犯」というタイトルのマンガだった。
チャット画面を閉じた彼らは、ネタ探しのため、ネットサーフィンを始めた。

彼らのネット歴は長かったが、そんな彼らにも知らないことがあった。
彼らは、関わった一部の人から、「まとめ屋」と呼ばれていた。

同時刻、警視庁サイバー犯罪対策課
「交替の時間ですよ」、1人の男がPCを観ている男の背後から声をかけた。
「もう、そんな時間か」、声をかけられた男が振り返っていう。
「また、まとめ屋のサイト見てたんですか」、声をかけた男がいう。
「ウェブアーカイブって何だ?」、声をかけられた男がいう。
「過去のサイトを保存した図書館みたいなもんですよ」、声をかけた男がいう。
「誰でも利用できるのか」、声をかけられた男がいう。
「基本的には誰でも利用できるはずですよ」、声をかけた男がいう。
「著作権とかの問題はないのか」、声をかけられた男がいう。
「ないようですが、たまに攻撃されることもあるようです」、声をかけた男がいう。
「どんな攻撃されるんだ」、声をかけられた男がいう。
「先日もありましたが、大量アクセスのサイバー攻撃ですね」、声をかけた男がいう。
「なるほどな、あとはよろしく」、声をかけられた男がいう。
「了解」、声をかけた男はいうと、席を立った男と入れ替わりに席に座った。

ウェブアーカイブ (web archive)は、WWW全体もしくはその一部を収集し、そのコレクションを後世の研究者、歴史家、一般大衆のために保存して、アーカイブとしたもの。
ウェブのサイズは膨大であるため、ウェブアーカイブではクローラを使って自動収集を行う。最大規模のウェブアーカイブ機関は、ウェブ全体のアーカイブ作成を自動・手動の両面で行っているアメリカの非営利団体「インターネットアーカイブ」(Internet Archive)である。
各国の国立図書館もまた文化的に重要なウェブコンテンツを保存しようとしており、フランスでは2001年にウェブページのウェブアーカイブ化を義務化する法律が成立した。2003年7月には、世界各国の国立図書館等が連携してウェブアーカイブの技術開発を行うための国際コンソーシアムとして、国際インターネット保存コンソーシアム (IIPC)が設立されている。
2004年には、日本でもこの方面のアーカイブを検討するという方向が小泉内閣で打ち出され、国立国会図書館による事業、「国立国会図書館インターネット資料収集保存事業」(WARP)が始まった。
(「ウェブアーカイブ」wikipedia)
「予告犯」筒井哲也氏より
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ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ネットの誹謗中傷をなくすにはどうしたらよいかをテーマに書いています。
誹謗中傷された場合の法的手続きですが、費用対効果は決してよいとはいえません。
また、相手から虚偽告訴罪で訴えられる可能性もあります。
誹謗中傷されたら、やり返さずに弁護士に相談されることをオススメします。
相談すれば、どのような罪に問えるかなど、アドバイスしてもらえることが多いです。
「まとめ屋」の方法はリーガルチェックを受けていないため、行わないでくださいw

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