2024年7月16日火曜日

【建築コソコソ噂話】タダでも欲しくない土地の話

「負動産」という言葉がある。
「売るに売れない」、「維持管理費が高い」などの負債となる不動産のこと。
当然ながら、これら負動産が欲しいという人は少ない。
自身にとっての負動産、タダでも欲しくない土地について書いてみる。

2021年、静岡県熱海市で大規模な土砂災害が発生、尊い人命が失われた。
計画より高い盛土をしていたことが、原因だといわれている。
個人的には、斜面に盛土をする計画に、問題があったと思っている。
下図は計画の概要だが、斜面に土を置くだけなので、流れ落ちて当たり前のように思う。

下図の左にあるように、本州を赤線で切った断面が、右の図になる。
はるか昔は、山だけだったが、風雨によって山が削られた。
削られた土砂が流れてきて、現在の地形ができていることになる。
自然にできた地形を変えても、いずれは元の地形に戻ることになる。

日本は平野部が少ないこともあり、自然にできた地形を変えてきている。
最も多いのが、下図のような斜面での造成工事だと思っている。
土が流れないように、コンクリートの壁(擁壁)を作っているケースになる。
この場合、擁壁には元の地形に戻ろうとする力が働き続けることになる。

擁壁が低い方へ傾いたとき、低い方の土地へ越境することになる。
当然ながら、低い土地の所有者は、越境した分の買取を求めてくるだろう。
中には、買取じゃなく、擁壁の傾きを直せといってくる人もいるかもしれない。
傾きを直すことは不可能ではないが、住宅の建築費より高額になる可能性がある。

このような斜面での造成は、バブル期に多く行われている。
バブルが崩壊してから、人口が流出、価格も下がっているところが多い。
だが、お買い得だと思って買うと、想定外の出費が発生する可能性がある。
自身にとっては、タダどころか、カネを貰っても欲しくない土地になる。

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