2026年6月14日日曜日

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP48 幻影のプロトコル

【AI(人工知能)による作品紹介】
人間とAIのバディに解けない謎はない。日本を襲うハッキングテロ。崩壊する医療、迫る停電のタイムリミット。未曾有の国家危機に立ち向かうのは、神崎教授と亡き妻の思考を学習したAIだった。緻密な伏線とハイスピードな展開で魅せる、新時代のサイバーミステリー!
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち)
元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。NCOによるコード名はM2。
・神崎悠季(かんざきゆき)
神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI)
神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・御堂健伍(みどうけんご)
東京中央技術大学病院の病院長。元アルツハイマー新薬研究プロジェクトの責任者。神崎零壱に神崎悠季の治験への参加を勧めたことに責任を感じている。
・佐藤波流(さとうはる)
東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。警視庁 サイバー犯罪対策課。NCOによるコード名はK2。
・上条雷人(かみじょうらいと)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。「ダークマップ」管理人。サイバーテロを計画し実行する。
・華喜多美代子(はなきたみよこ)
元東京中央技術大学病院の看護師。神崎悠季を故意に死亡させたと、世間からバッシングされ、退職を余儀なくされる。上条雷人とは異父兄妹。
・雅(みやび)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。国家サイバー統括室(NCO)。本名は美矢部(みやべ)。
・佐倉井(さくらい)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。防衛省 情報本部 特殊情報分析室。NCOによるコード名はJ1。
・高柳(たかやなぎ)
副業でハッキングをしている会社員。NCOによるコード名はM1。
・鳩山(はとやま)
東京都の総務局 文書管理課の職員。NCOによるコード名はT1。
・沢渡(さわたり)
警察庁の警備局 公安警察。
・岩田(いわた)、川瀬(かわせ)、坂下(さかした)、山本(やまもと)
警視庁 サイバー犯罪対策課。
・木下(きのした)
ペガサス電子の社員。

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EP48  幻影のプロトコル

東京都千代田区の警視庁。
サイバー犯罪対策室では、公安と捜査員たちがモニターで上条逮捕の動きを見ていた。
川瀬たちB班がジャミング照射を開始すると、映像が映らなくなった。
再び、映像が映ったときには、上条が逮捕されているはず、誰もがそう思っていた。

再び、映像が映ったが、そこには予想していなかった光景が映っていた。
公安の実働部隊が身につけているボディカメラの映像は同じ映像ではなかった。
あるカメラにはどこかの部屋の住人が映っており、聞き込みされていた。
別のカメラにはマンション内の通路が映っており、移動していることがわかった。

また別のカメラには、ワゴン車の中でスマホで通話している川瀬が映っていた。
「山本の意識はあるか!」、「救急車は呼んだか!」、「女はどの方向に逃げたんだ!」
矢継ぎ早に質問している川瀬の様子から、想定外の出来事があったことは明らかだった。
やがて、現場にいる公安からの連絡が入り始めた。

東京都新宿区の東京中央技術大学病院。
中央棟の地下1階にある食堂に、神崎と高柳がいた。
神崎は、時間を持て余している高柳から、情報工学の質問攻めにあっていた。
高柳は質問を手帳にまとめており、神崎の回答を聞きながらメモしていた。

「会社は大丈夫なのかい。」、神崎がメモしている高柳にいう。
「今週は有休にしたので大丈夫です。
会社よりは、こちらの方が大事ですからね。」、高柳がメモをしながらいう。
神崎は、上条が学生の頃、よく質問していたことを思い出した。

二人を探していたのか、佐倉井が食堂に現れた。
二人を見つけると、早足で近づいてきて、高柳の横に座り、声を潜めていう。
「先ほど、上条の監視班から連絡がありました。
K1とK2のミッションが失敗、上条は捜査員の拳銃を奪って逃走したそうです。」

東京都千代田区の警視庁。
庁内でも知る人の少ないオペレーションルームには5人のキャリア官僚がいた。
壁の大型モニターには、現場マンションとサイバー犯罪対策課の映像が流れていた。
サイバー犯罪対策課では、責任のなすり合いが始まっていた。

「失態の原因は対策課の誤った情報だ、華喜多美代子の部屋に上条はいなかった。
そのため、上条を取り逃がし、拳銃まで奪われたんだ。」、公安の男がいう。
「こちらの情報は、上条があのマンションを生活拠点にしているだ。
どの部屋にいるかまでは把握していなかった。」、対策課の岩田がいい返す。

警察庁から派遣された理事官が、卓上のマイクスタンドに口を近づけるといった。
「言い訳は必要ありません。一刻も早く、上条を確保してください。
拳銃を奪われた以上、極秘に捜査を進めるわけにはいきません。
公開捜査に切り替えて、記者会見を開いてください。」

理事官の指示を聞いた公安がサイバー犯罪対策課の捜査員たちにいう。
「我々の身内が、テロリストに拳銃を奪われた。これ以上の失態は警察の敗北を意味する。
全捜査員のプライドをかけて、必ず上条を逮捕しろ。
容疑者が抵抗した場合は、いかなる手段をとっても構わん。」

東京都新宿区の新宿遊歩道公園。
黒のロングコートを着た女性が遊歩道を歩いていた。
髪は長く、マスクにサングラス、手には茶色のバッグを持っていた。
公園内の公衆トイレに入ると、男性用の個室に入って扉を閉めた。

絶縁シートの内張りをしたポケットから、市販品を改造したスタンガンを取り出した。
スタンガンは電圧を高め、スイッチをオンにして、素手で触ると感電するようにしていた。
スタンガンをタンクの上に置くと、バッグから拳銃を取り出し、スタンガンの横に置いた。
バッグから男性用の服とスラックス、靴、白髪のかつらを取り出すと、着替え始めた。

着替え終わると、白髪頭のみすぼらしい身なりの男性になった。
スマホの画面をミラーにし、バッグから取り出した道具で年相応になるようメイクした。
バッグから折りたたんだ大きめの紙袋を取り出すと、広げた。
紙袋に、女性用のバッグ、服、パンプス、ウィッグ、スタンガンと拳銃を入れた。

紙袋を持って個室を出ると、手を洗いながら、壁の鏡を見た。
鏡には、どこにでもいそうな50代男性がいた。
我ながら、いい出来だ、上条は口元にかすかな笑みを浮かべた。
公衆トイレを出た上条は、待ち合わせ場所へ向かって、歩き出した。

待ち合わせ場所のベンチへ行くと、相手はすでに来ており、座っていた。
上条はベンチに紙袋を置いて、相手の横に座った。
「見事な変装(オーバーレイ)ですね。紙袋はこちらで処分しておきます。
あとは例の場所に向かってください。」、相手であるペガサス電子の木下がいう。
※本作に登場する手法は防犯上の観点から一部改変しています。

2026年6月13日土曜日

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP47 デッドロック・エスケープ

【AI(人工知能)による作品紹介】
人間とAIのバディに解けない謎はない。日本を襲うハッキングテロ。崩壊する医療、迫る停電のタイムリミット。未曾有の国家危機に立ち向かうのは、神崎教授と亡き妻の思考を学習したAIだった。緻密な伏線とハイスピードな展開で魅せる、新時代のサイバーミステリー!
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち)
元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。NCOによるコード名はM2。
・神崎悠季(かんざきゆき)
神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI)
神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・御堂健伍(みどうけんご)
東京中央技術大学病院の病院長。元アルツハイマー新薬研究プロジェクトの責任者。神崎零壱に神崎悠季の治験への参加を勧めたことに責任を感じている。
・佐藤波流(さとうはる)
東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。警視庁 サイバー犯罪対策課。NCOによるコード名はK2。
・上条雷人(かみじょうらいと)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。「ダークマップ」管理人。サイバーテロを計画し実行する。
・華喜多美代子(はなきたみよこ)
元東京中央技術大学病院の看護師。神崎悠季を故意に死亡させたと、世間からバッシングされ、退職を余儀なくされる。上条雷人とは異父兄妹。
・雅(みやび)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。国家サイバー統括室(NCO)。本名は美矢部(みやべ)。
・佐倉井(さくらい)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。防衛省 情報本部 特殊情報分析室。NCOによるコード名はJ1。
・高柳(たかやなぎ)
副業でハッキングをしている会社員。NCOによるコード名はM1。
・鳩山(はとやま)
東京都の総務局 文書管理課の職員。NCOによるコード名はT1。
・沢渡(さわたり)
警察庁の警備局 公安警察。
・岩田(いわた)、川瀬(かわせ)、坂下(さかした)、山本(やまもと)
警視庁 サイバー犯罪対策課。

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EP47  デッドロック・エスケープ

「川瀬さん、さっき出てきた女性が怪しいです。追わせてください。」、佐藤がいう。
「どう怪しいんだ。」、川瀬が聞く。
「防犯カメラに映らない路地に入っていきました。女性に扮した上条かもしれません。
今、追わなければ、逃げられてしまいます。」、佐藤がいう。

「わかった、山本も連れていけ。ジャミングが終わったら連絡する。」、川瀬がいう。
「ありがとうございます。」、佐藤はいうと、ドアを開けて外に出ると、路地に向かった。
運転席のドアを開けて外に出た山本が佐藤の後に続く。
頼んだぞ、2人が路地に入ったのを見届けた川瀬はマンションに視線を戻した。

マンションの10階では公安の実働部隊が配置についていた。
1008号室の玄関ドアの前に2名、ドアの両脇には、それぞれ3名が見えないよう隠れていた。
全員がスーツの下に防弾ベストを着ており、ボディカメラと無線を装着していた。
玄関の2名以外は手に拳銃を持っており、いつでも発砲できる状態にしていた。

玄関ドアの前に立つ1人が、ドア脇にあるインターホンのボタンを押した。
室内で鳴っている音が聞こえた後、「はい」と女性の声がした。
「警察です。ドアを開けていただけますか。」、インターホンを押した男がいう。
玄関に向かってくる気配がし、ドアチェーンを外し、鍵を開ける音が聞こえた。

開かれた玄関には30代くらいの落ち着いた雰囲気の女性がいた。
「華喜多美代子さんですね、上条は奥ですか。」、インターホンを押した男がいう。
「私しかいませんけど。」、華喜多がいう。
「入ります。」、華喜多を押しのけ、男たちは土足のまま、上がりこんだ。

「ちょ、ちょっと…困ります。」、華喜多がいうが男たちは奥へ進んだ。
男たちの手にある拳銃を見た華喜多は目を見開き、何もいわなくなった。
突き当りの部屋はリビングだったが、上条の姿はなかった。
寝室、クローゼット、洗面、浴室なども探したが、上条はいなかった。

単身女性の生活感はあったが、上条が同居していたような痕跡はなかった。
「上条はどこへ行ったんですか、正直に答えないと罪に問われますよ。」
インターホンを押した男が華喜多に聞くと、怯えた様子の華喜多が答えた。
「こ、ここには私しかいません。兄が何かしたんですか。」

路地に入った佐藤と山本は、ロングコートの女性を尾行していた。
女性が歩いているルートは、防犯カメラを迂回するような不自然なルートだった。
間違いない、防犯カメラに映らないルートを選んで歩いている。
この方向で、防犯カメラを避けるには、あの道を通らなくてはならない、佐藤は思った。

「先回りするので、このまま尾行を続けてくれ。」、佐藤が山本に小声でいう。
「わかりました。」、山本がいうと、佐藤は山本と別れて、脇道へ入った。
あの道の両側は塀になっている、先回りすれば、山本と挟み撃ちにできる。
脇道へ入った佐藤は早足で、通らなくてはならない道へ向かった。

10分ほど早足で歩くと、先回りできる場所に着いた。
両側に塀が続くこの道、右側の塀が途切れた先の角から、こちらに向かってくるはずだ。
佐藤は角から女性が現れたら、向かって歩いていくことにした。
さらに5分ほどたつと、角から女性が現れたので、佐藤は女性に向かって、歩き始めた。

女性との距離が10メートルほどになったとき、女性が立ち止まった。
佐藤も立ち止まると、女性が黒の手袋をした右手をコートのポケットに入れた。
「動くな。」、佐藤がスーツの内側のホルスターから拳銃を取り出し、構えていう。
女性の背後からは、両手で拳銃を構えた山本が女性に近づいていた。

「ポケットから手を出して、両手を頭の後ろに回せ。」、佐藤がいう。
女性はポケットから手を出すと、両手を頭の後ろに回した。
「動くなよ。」、後ろにきた山本が女性にいう。
山本が左手で女性のボディチェックをしていると、パチッという音がした。

「何の音だ、何を隠している。」、山本が女性のコートのポケットに手を入れようとした。
佐藤は、女性がマンションを出るときにしていなかった手袋をしていることに気づいた。
「止めろ!手を入れるな!」、佐藤が山本に叫ぶ。
手を入れた瞬間、バチッという大きな音がし、山本は身体をのけぞらせて倒れた。

女性は身体を屈めて山本の拳銃を拾うと、山本に狙いをつけたまま、後ずさりし始めた。
佐藤は拳銃を構えたまま、動くことができなかった。
女性は出てきた角まで後ずさりすると、出てきた道に入り、姿を消した。
「山本!」、佐藤が倒れている山本に駆け寄ると、脈はあったが、気を失っていた。

マンションから出てきた公安の男が、ワゴン車の川瀬にジャミングを止めるようにいった。
川瀬が通信機能抑止装置のスイッチをオフにすると、ポケットのスマホが震えた。
佐藤からの着信だったので、通話をタップすると、佐藤がいう。
「山本が女性に感電させられ、拳銃を奪われました!」
【ジャミング(Jamming)】
レーダーや無線通信などの電波に対して、意図的に妨害電波を発信して通信を乱したり遮断したりする行為や技術。
【通信機能抑止装置】
無線通信を通信妨害するための無線設備。通信抑止装置、電波抑止装置などとも呼ばれる。特に携帯電話の通信をジャミングするための無線設備を指してこう呼ぶことが、ほとんどである。電波法令では特別業務の局の一種である携帯無線通信等を抑止する無線局という。

※本作に登場する手法は防犯上の観点から一部改変しています。

2026年6月12日金曜日

【本日の取引】20260612~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場は高値圏で推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は上がっていた。
インバース型ETFは下がったが、前日比はプラスだったw

下図の上は、2015年からの日経平均株価とTOPIXの推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円、ドル円の推移。
米国がイランと数日中に合意する報道により、市場は大きく上がった。
イランはいかなる承認も行っていないらしいが、早く終結して欲しいw
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追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
「終末のワルキューレ」の最新刊を買った。
連載が始まったのは2018年1月なので、今年は8年目。
ネットでストーリーはわかっているが、最新刊が出れば買ってしまうw

舞台化やアニメ化されており。現在は第3期のアニメが地上波で放送されている。
ただ、時間帯が深夜なので、アニメは観ていない。
神と人間との13番勝負がテーマだが、現在は12回戦。
完結まで、あと1,2年かなと思っているw

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP46 Day7 -7日目-

【AI(人工知能)による作品紹介】
人間とAIのバディに解けない謎はない。日本を襲うハッキングテロ。崩壊する医療、迫る停電のタイムリミット。未曾有の国家危機に立ち向かうのは、神崎教授と亡き妻の思考を学習したAIだった。緻密な伏線とハイスピードな展開で魅せる、新時代のサイバーミステリー!
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち)
元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。NCOによるコード名はM2。
・神崎悠季(かんざきゆき)
神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI)
神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・御堂健伍(みどうけんご)
東京中央技術大学病院の病院長。元アルツハイマー新薬研究プロジェクトの責任者。神崎零壱に神崎悠季の治験への参加を勧めたことに責任を感じている。
・佐藤波流(さとうはる)
東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。警視庁 サイバー犯罪対策課。NCOによるコード名はK2。
・上条雷人(かみじょうらいと)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。「ダークマップ」管理人。サイバーテロを計画し実行する。
・華喜多美代子(はなきたみよこ)
元東京中央技術大学病院の看護師。神崎悠季を故意に死亡させたと、世間からバッシングされ、退職を余儀なくされる。上条雷人とは異父兄妹。
・雅(みやび)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。国家サイバー統括室(NCO)。本名は美矢部(みやべ)。
・佐倉井(さくらい)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。防衛省 情報本部 特殊情報分析室。NCOによるコード名はJ1。
・高柳(たかやなぎ)
副業でハッキングをしている会社員。NCOによるコード名はM1。
・鳩山(はとやま)
東京都の総務局 文書管理課の職員。NCOによるコード名はT1。
・沢渡(さわたり)
警察庁の警備局 公安警察。
・岩田(いわた)、川瀬(かわせ)、坂下(さかした)、山本(やまもと)
警視庁 サイバー犯罪対策課。

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EP46  Day7 -7日目-

11月12日、大場玲を名乗る犯人の要求動画が放送された7日後。
犯人の要求は、1週間以内に全ての公的機関のトップを40歳以下にすること。
従わない場合、都内の電力供給設備を使用不能にするとしていた。
東京は期限となる7日目の朝を迎えていた。

東京都新宿区。
コインパーキングの駐車場には、白のワゴン車が停まっていた。
一見すると、どこにもありそうな車種だが、後部の窓にはスモークが貼られていた。
後部には、複数のノートパソコン、無線機、広帯域電波妨害装置などの機材があった。

ワゴン車には、サイバー犯罪対策課の川瀬、坂下、佐藤、山本が乗っていた。
4名は上条を逮捕する公安の支援について、何度もシミュレーションをしていた。
公安から連絡があり次第、100メートルほど先にあるマンション前に移動する。
電力会社の作業員に扮した坂下と山本が、マンションの管理人室へ行く。

電気設備室の鍵を預かり、マンションのインターネット回線の電源をオフにする。
山本はワゴン車が駐車禁止違反にならないよう先に戻り、電源オフを伝える。
川瀬と佐藤が、ワゴン車内からジャミングを照射、公安に合図する。
マンション内で待機していた公安の実働部隊が、上条を逮捕する計画だった。

「通勤や通学で歩いている人も減ってきたな。」、運転席の坂下が窓の外を見ながらいう。
「そろそろ連絡がきそうですね。」、助手席の山本がいう。
坂下がダッシュボードに置いていたスマホが震えた。
坂下がスマホを取ってタップし「はい」といい、内容を聞くと通話を終えていう。

「マンションの管理人が出勤したそうです、今からマンション前に移動します。」
坂下はエンジンを始動すると、マンション前に向かった。
マンション前で停車すると、坂下と道具箱を持った山本が管理人室へ向かった。
エントランスに面した管理人室のシャッターを開けている高齢の管理人が見えた。

「おはようございます。東都電力です。定期点検に伺いました。」、坂下がいう。
「今日だったかな。」、シャッターを開けた管理人が振り返っていう。
「ええ、昨日、管理会社へは確認の連絡をさせてもらってます。」、坂下がいう。
「そうだったんだ、どこの点検をするんだね。」、管理人がいう。

「今日は電気設備室のブレーカーなどを点検します。」、坂下がいう。
「待ってて、鍵を持ってくるから。」、管理人がいい、管理人室へ入った。
鍵を持って出てきた管理人が坂下に鍵を手渡しながらいう。
「忙しいので立ち会えないけど、終わったら返しに来て。」

わかりましたと坂下がいい、山本と地下の電気設備室へ向かった。
昨夜のうちに管理会社からマンション内部の図面を入手、部屋の配置は記憶していた。
エントランス奥の非常階段から地下2階へ降りると、廊下に面して鉄扉が並んでいた。
一番奥の「電気設備室」の鉄扉の鍵を開けて、中に入った。

部屋の壁には、マンション全体の電気制御をする配電盤が並んでいた。
「共用部」の配電盤の中に「インターネット」と書かれたスイッチを見つけた。
スイッチをオフにした坂下が、先に戻るよう、山本にいう。
山本は、はいといい、道具箱を置いて、ワゴン車に向かった。

川瀬と佐藤は、ワゴン車の窓越しにエントランスを見ていた。
エントランスを出た山本がワゴン車に向かって歩いてきた。
ドアを開いて運転席に座った山本が小声でいう。
「インターネットの電源をオフにしました。」

「ジャミング照射開始。」、後部座席の川瀬が佐藤にいう。
「了解。」、佐藤がいい、黒の箱型の通信機能抑止装置のスイッチをオンにした。
スマホが圏外になったことを確認した山本はハザートランプのボタンを押した。
ジャミング照射中であることを知らせるハザードランプの点滅が始まった。

マンション内で待機している公安の実働部隊はワゴン車を見ている。
ジャミング開始と同時にハザードランプを点滅させることで打合せ済だった。
点滅と同時に1008号室へ向かい、上条を逮捕することになっていた。
もう部屋に向かっているんだろうな、佐藤は窓越しにマンションを見ながら思った。

エントランスから黒のロングコートを着た女性が出てきた。
髪は長く、マスクにサングラス、手には茶色のバッグを持っていた。
今から出勤なのか、と思いながら、佐藤は見ていた。
女性はワゴン車の横を通り、最寄り駅の方向へ歩き始めた。

佐藤が女性が歩いていく姿を見ていると、右側の細い路地に入るのが見えた。
あそこの路地の両側は住宅しかなく、通り抜けするだけの路地だったはず…。
そのとき、佐藤の頭の中に、上条の見えないルートを可視化した地図が浮かんだ。
あの路地を通れば、防犯カメラに映ることなく移動できる…まさか…上条…。
【ジャミング(Jamming)】
レーダーや無線通信などの電波に対して、意図的に妨害電波を発信して通信を乱したり遮断したりする行為や技術。
【通信機能抑止装置】
無線通信を通信妨害するための無線設備。通信抑止装置、電波抑止装置などとも呼ばれる。特に携帯電話の通信をジャミングするための無線設備を指してこう呼ぶことが、ほとんどである。電波法令では特別業務の局の一種である携帯無線通信等を抑止する無線局という。

※本作に登場する手法は防犯上の観点から一部改変しています。