2026年6月1日月曜日

【本日の取引】20260601~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場は高値圏で推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は上がっていた。
インバース型ETFは下がったが、前日比はプラスだったw

下図の上は、2015年からの日経平均株価とTOPIXの推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円、ドル円の推移。
日経平均株価は最高値を更新、TOPIXは前日比で下がった。
歴史的な株高がいつまで続くのか、注視しているw
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追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
以前にも書いたが、他国語に比べ、日本語を習得するのは難しい。
難しい原因は文字の多さじゃないかと思い、AI(人工知能)に確認した。
知らなかったことがあったので、書いてみるw

日本語の文字数は、ひらがな46文字、カタカナ46文字、漢字(常用漢字)2,136文字。
人名用漢字(863文字)も含めると約3,000文字。
日本の一般的な辞書(国語辞典)に載っている漢字の数は、約1万字〜5万字。
日常生活で使う常用漢字(2,136文字)以外に、膨大な数の漢字が存在しているw

主要先進国(英・米・仏など)は、アルファベット26文字(言語により26〜30文字前後)。
大文字・小文字を合わせても、約50〜60文字。
韓国語は、ハングル(母音・子音)の24文字が基本文字数。
組み合わせで11,172音節を作れるw

最も文字数が多いのは中国で、日常レベルの中国語漢字は約3,500〜8,000文字。
辞書に載っている漢字の総数は10万字を超えている。
日本語の文字は、すべて「中国から伝わった漢字」が土台になっている。
漢字を工夫して使ううちに、日本独自の「ひらがな」と「カタカナ」が生まれたとのことw

日本語の歴史は以下になる。
■1世紀〜4世紀頃(弥生〜古墳時代)
【漢字の伝来】中国から金印や鏡、刀剣が届く。日本人はまだ文字として読めず「模様」として認識していた。
■5世紀〜6世紀頃(古墳時代後期)
【漢字を使い始める】百済(朝鮮半島)から仏教や経典が伝わる。渡来人の協力を得て、日本人が漢字で記録を付け始める。
■7世紀〜8世紀頃(飛鳥〜奈良時代)
【万葉仮名(まんようがな)の誕生】日本語の音を表現するため、漢字の「意味」を無視して「音(発音)」だけを借りて書き表す方法が定着する(例:「夜露死苦」方式)。
■9世紀初頭(平安時代初期)
【カタカナの誕生】仏教のお坊さんや学生(男性)が、漢文の読み方を教科書の余白に素早くメモするため、万葉仮名(漢字)の一部を切り取って使い始める。
■9世紀中頃〜後半(平安時代中期)
【ひらがなの誕生】宮廷の女性たちが、手紙や和歌を流れるように美しく書くため、万葉仮名(漢字)全体を崩した文字(女手・おんなで)を生み出す。
■905年(平安時代)
【ひらがなが公式文学へ】初の勅撰和歌集『古今和歌集』がひらがな(仮名)で書かれ、ひらがなの高い文化的地位が確立される。
■明治時代〜現代
【現代のスタイルの確立】かつては1つの音に何種類もあった変体仮名が整理され、1つの音に対して「ひらがな1文字・カタカナ1文字」に統一され、現在の形になる。

ネットニュースで、中国のことを非難するコメントを見かけることがある。
自らの意見を発信するのは、個人の自由だと思う。
だが、コメントに使っている日本語は、中国の漢字が土台になっている。
個人的には、中国に対して意見を述べるときは、中国の文化を尊重したいと思っているw

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP36 Day6 -6日目-

【AI(人工知能)による作品紹介】
人間とAIのバディに解けない謎はない。日本を襲うハッキングテロ。崩壊する医療、迫る停電のタイムリミット。未曾有の国家危機に立ち向かうのは、神崎教授と亡き妻の思考を学習したAIだった。緻密な伏線とハイスピードな展開で魅せる、新時代のサイバーミステリー!
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち)
元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。NCOによるコード名はM2。
・神崎悠季(かんざきゆき)
神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI)
神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・佐藤波流(さとうはる)
東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。警視庁 サイバー犯罪対策課。NCOによるコード名はK2。
・上条雷人(かみじょうらいと)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。「ダークマップ」管理人。サイバーテロを計画し実行する。
・華喜多美代子(はなきたみよこ)
元東京中央技術大学病院の看護師。神崎悠季を故意に死亡させたと、世間からバッシングされ、退職を余儀なくされる。上条雷人とは異父兄妹。
・雅(みやび)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。国家サイバー統括室(NCO)。本名は美矢部(みやべ)。
・佐倉井(さくらい)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。防衛省 情報本部 特殊情報分析室。NCOによるコード名はJ1。
・高柳(たかやなぎ)
副業でハッキングをしている会社員。NCOによるコード名はM1。
・鳩山(はとやま)
東京都の総務局 文書管理課の職員。NCOによるコード名はT1。

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EP36 Day6 -6日目-

11月11日、大場玲を名乗る犯人の要求動画が放送された6日後。
犯人は、要求に従わない場合、都内の電力供給設備を使用不能にするとしていた。
各放送局は今回の事件を報道特別番組として放送していた。
犯人が要求した期限が迫る中、ある局は都内の様子を取材、放送していた。

「それでは、都内の様子を見てみましょう」、司会者がいうと、画面が切り替わった。
マイクを手にした男性リポーターが映し出された。
リポーターの背後には、豊洲の高層マンション群と重厚な変電所ビルがあった。
画面の中には『江東区 新豊洲変電所』の文字があり、リポーターが話し始めた。

「私は今、江東区にある新豊洲変電所の前にいます。地下に世界初の50万ボルト級変電設備を持つ、都心部の心臓へ電力を送り届ける最重要拠点の一つです。
ご覧ください、普段は無人のこのハイテク施設ですが、現在は警視庁の機動隊、そして経済産業省から派遣された専門チームの車両がずらりと並んでいます。要求期限まであと1日。現在、システムを外部ネットワークから完全に切り離す隔離作業が行われている模様ですが、関係者の顔は一様に強張っています。都心のインフラが人質に取られたこの状況、現場には異様な緊張感が漂っています」

画面右下のスタジオにいる司会者がリポーターに質問する。
「要求期限まであと1日。現在、システムをネットワークから切り離す隔離作業中とのことですが、これによって電力供給そのものに影響は出ていないんでしょうか」
質問を受けたリポーターが話し始めた。

「はい、電力会社によりますと、現在のところ供給ラインは通常通り維持されているとのことです。しかし、関係者への取材でわかったことがあります。
完全にネットワークを遮断してしまうと、今度は遠隔での電力制御ができなくなるというジレンマがあるという点です。つまり、サイバー攻撃を防ぐためにシステムを閉じると、今度はアナログな手動操作に頼らざるを得ず、急な電力需要の変動に対応できなくなるリスクが生じる。専門チームは今、そのリスクと供給の限界のラインで、時間と戦いながら苦渋の決断を迫られている模様です」

「わかりました。ありがとうございました」
司会者がいうと、画面が切り替わり、マイクを手にした女性リポーターが映し出された。
リポーターの背後には、火力発電所があり、海上保安庁の巡視艇が映り込んでいた。
画面の中には『品川区 大井火力発電所』の文字があり、リポーターが話し始めた。

「はい、東京湾岸の大井火力発電所前です。要求期限まであと1日。ここ臨海部の重要拠点では、陸上だけでなく、海上からも厳重な警戒態勢が敷かれています。先ほどから、海上保安庁のボートが激しい水しぶきを上げて周囲を巡回しています。サイバーテロという性質上、物理的なテロと連動する可能性を排除できないためです。敷地内では、防弾チョッキを着た機動隊員が数十メートルおきに立ち、周囲を威嚇するように睨みつけています。普段は訪れる人の少ないエリアですが、ここはまさに要塞と化しています」

画面右下のスタジオにいる司会者がリポーターに質問する。
「大井の現場はものものしい警備ですが、犯人はサイバーテロリストですよね。なぜここまで物理的な、人海戦術の警備が必要とされているんでしょうか?」
質問を受けたリポーターが話し始めた。

「警察幹部に匿名を条件に取材したところ、目的は、物理的な侵入による、直接的なシステム書き換えの阻止です。外部からのハッキングができない場合、テロリストの協力者が直接敷地内に侵入し、内部の端末に不正なUSBメモリなどを接続してウイルスを感染させる、という最悪のシナリオが想定されているためです。あと1日という猶予は、テロリスト側にとっても、物理的な工作を仕掛ける時間があることを意味します。そのため、ネット上の監視だけでなく、ここのような巨大施設では、文字通りアリの這い出る隙もない物理警備が敷かれている状況です」

「わかりました。ありがとうございました」
司会者がいうと、画面が切り替わり、マイクを手にした男性リポーターが映し出された。
リポーターの背後には、明治通り沿いの街並みと急ぎ足で通り過ぎる会社員たちがいた。
画面の中には『渋谷区 代々木変電所』の文字があり、リポーターが話し始めた。

「渋谷区の代々木変電所近くから中継です。私の後ろをご覧ください。ここは鉄道や主要病院への電力供給を司る、いわば東京の神経系です。要求期限まであと1日となった今、施設内には臨時の現地対策本部が立ち上がった模様です。驚くべきは周囲の状況です。まだ停電は起きていませんが、この中継をスマートフォンで見ながら、不安そうに施設を見上げる市民の姿が数多く見られます。目に見えないサイバー攻撃の脅威が、確実にこの大都会の日常を侵食し始めています」

画面右下のスタジオにいる司会者がリポーターに質問する。
「鉄道や病院の電力を司る代々木ですが、もしもの事態に備えて、バックアップなどの具体的なアナウンスは出ているんでしょうか?」
質問を受けたリポーターが話し始めた。

「現時点では、主要な大病院は、自家発電装置により数日間は稼働可能と発表していますが、問題は鉄道です。JRや私鉄各社は、要求期限に合わせた計画運休の検討に入ったという情報が入ってきました。そのため、私の後ろを通る通勤客の方々からも、『明日の夜は家に帰れるのか』『仕事どころではない』といった声が聞かれます。また、先ほどからスマートフォンを片手に、この変電所の建物を不安そうに写真に収めていく若者の姿が目立ちます。実害こそ出ていませんが、すでに都民の精神的なパニックは始まっています」

東京都新宿区の東京中央技術大学病院。
一般外来用駐車場の一画に、電力会社の2000kW級 ガスタービン電源車が停まっていた。
大型トレーラーサイズの電源車の周りでは、多くの電力会社の社員たちが動いていた。
その中に、電力会社の社員と打合せをしている佐倉井がいた。

打合せが終わった佐倉井がその場を離れると、神崎が歩み寄った。
「先生、どうされました」、神崎に気づいた佐倉井が立ち止まっていう。
「正午からのミッションの前に話しておきたいことがある」、神崎がいう。
神崎の話を聞いている佐倉井の表情が変わり始めた。
※本作に登場する手法は防犯上の観点から一部改変しています。

2026年5月31日日曜日

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP35 ホワイトハッカーのハッキング

【AI(人工知能)による作品紹介】
人間とAIのバディに解けない謎はない。日本を襲うハッキングテロ。崩壊する医療、迫る停電のタイムリミット。未曾有の国家危機に立ち向かうのは、神崎教授と亡き妻の思考を学習したAIだった。緻密な伏線とハイスピードな展開で魅せる、新時代のサイバーミステリー!
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち)
元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。NCOによるコード名はM2。
・神崎悠季(かんざきゆき)
神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI)
神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・佐藤波流(さとうはる)
東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。警視庁 サイバー犯罪対策課。NCOによるコード名はK2。
・上条雷人(かみじょうらいと)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。「ダークマップ」管理人。サイバーテロを計画し実行する。
・華喜多美代子(はなきたみよこ)
元東京中央技術大学病院の看護師。神崎悠季を故意に死亡させたと、世間からバッシングされ、退職を余儀なくされる。上条雷人とは異父兄妹。
・雅(みやび)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。国家サイバー統括室(NCO)。本名は美矢部(みやべ)。
・佐倉井(さくらい)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。防衛省 情報本部 特殊情報分析室。NCOによるコード名はJ1。
・高柳(たかやなぎ)
副業でハッキングをしている会社員。NCOによるコード名はM1。
・鳩山(はとやま)
東京都の総務局 文書管理課の職員。NCOによるコード名はT1。

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EP35 ホワイトハッカーのハッキング

「先生の部屋にも盗聴器が仕掛けてあったんですか」、高柳がいう。
「この部屋と同じアナログ無線式盗聴器が仕掛けてあった。
私の部屋もインターホンの中だったよ」、神崎がいう。
「いったい誰が…っていうか、いつも探す道具を持ち歩いているんですか」、高柳がいう。

「普段は持ち歩いたりしない。今は盗聴されている可能性が高いからだよ。
今日、自宅に何者かが侵入し、書斎にあるAI端末だけを破壊した。
破壊されたAIの本体は、ここ東京中央技術大学病院のデータセンター専用棟にある。
自宅のAI端末とここの本体は、量子暗号通信の光ファイバー専用線で繋がっている。

この回線、QKDは光の最小単位『光子』にデータを乗せて送信する。
途中で誰かが1ビットでも光を覗き見れば、光子の状態が変化してデータが壊れる。
覗き見した事実は即座に検知され、暗号鍵も使えなくなる。
理論的には、絶対に盗聴や傍受ができない専用回線になる。

自宅にAI端末があること、専用回線のことを知っているのは、私と病院の関係者だけだ。
病院の関係者が、AI端末があることを、誰かにリークした可能性が高い」、神崎がいう。
「確かに、QKDなら途中で盗み見ることはできない。
入口と出口でしか、データは確認できないですね」、高柳がいう。

「仕掛けてあったアナログ無線式盗聴器は、室内の音を電波に変えて外に飛ばす。
電波が届く範囲は、半径50メートルから100メートル程度でしかない。
この部屋が10階にあることから、中央棟のどこかに受信機がある可能性が高い。
したがって、中央棟で働いている病院の関係者がリークした可能性が高い」、神崎がいう。

「受信機の場所を逆探知するんですか」、高柳がいう。
「盗聴器は無効化したので、その必要はない。
何者かがシステムに仕掛けた仕組みを見つけ出し、逆利用する」、神崎がいう。
「なるほど、ハッキングにハッキングで対抗するってことですね」、高柳がいう。

「お願いできるかな」、神崎がいう。
「先生の頼みとあれば、断る理由はありません。光栄です。
こちらとしても、望むところです。お任せください」
高柳はいい、カバンからUSBメモリを取り出すと、机の前の椅子に座った。

ノートパソコンの電源プラグをコンセントに指し込むと、USBメモリを差し込んだ。
モニターを開くと、ファンクションキーを押したまま、電源を入れた。
選択画面でUSBメモリを選択すると、USBメモリのOSが起動した。
起動した画面の中にある、白い馬のショートカットアイコンをクリックした。

画面全体が白くなり、上部には青字で「Welcome to Pegasus」とあった。
中央には、擬人化された青い目をした白い天馬が二本足で立って腕組みしていた。
高柳は天馬の下にある「Start」ボタンをクリックした。
「そのプログラムは君が作ったのかね」、傍に立って見ている神崎がいう。

「ええ、自作の解析プログラムの『ペガサス』です。
起動すると、自動で偽装したMACアドレスを発信、Torブラウザに接続します。
接続後に目的地のサーバーと経由するサーバーのIPアドレスを入力。
入力してスタートボタンを押せば、サーバーにたどり着きます」、高柳がいう。

「『ペガサス』という名前のプログラムは聞いたことがある。
昔、審査委員をしていた中学生プログラミング大会だったかな」、神崎がいう。
「ええっ、それ私です。先生が審査委員だったんですか」、高柳が神崎を見ていう。
「中学生なのにレベルが高かったことは覚えているよ」、神崎が笑顔でいう。

数分後、画面の上半分が世界地図に、下半分がIPアドレスなどの入力画面になった。
世界地図の日本を拡大、東京を拡大して、この病院のピンをクリックした。
クリックすると、下の「目的地」に、病院のIPアドレスが自動で反映された。
「経由地」には、東欧、中東、南米にあるサーバーのIPアドレスを反映させた。

行け、ペガサス、高柳は一番下にある「Start」ボタンをクリックした。
「たいしたもんだ。よくできてるね」、神崎がいう。
「いや、それほどでも。数分で病院のサーバーに接続するのでお待ちください」
まんざらでもない声で高柳がいう。

数分後、病院のサーバーに接続すると、「Scan」ボタンをクリックした。
「作業前には、トラップがないか、必ずスキャンを行っています。
先日、防衛省のサーバーに接続した際もスキャンを行いました。
すると、誰かが仕掛けていたバックドアが見つかったので報告しています」、高柳がいう。

「どんなバックドアだったんだい」、神崎がいう。
「スタンドアロンの非常用システムへ移行すると起動するバックドアです。
おそらく、都内が停電したときにデータを盗むつもりだったんでしょう」、高柳がいう。
モニターにスキャン結果の一覧が表示された。

「AIに遠隔監視操作プラグラムが仕込まれていますが…こ、これは…」、高柳がいう。
「このプログラムから何かわかるのかい」、神崎がいう。
「こ、このプログラムは、私が前の会社で作ったプログラムです。
当時、納品したのは『ダーウィンスペース』日本法人の子会社でした」、高柳がいう。
【量子暗号通信(Quantum Key Distribution)】
量子力学の物理法則を利用し、第三者による「盗聴」を原理的に不可能にする次世代の暗号通信技術。現在主流の暗号方式が将来の量子コンピュータによって解読されるリスクへの対策として、金融・医療・国家安全保障などの分野で実用化が進んでいる。
【ハッキング(hacking)】
高度な知識や技術を用いて、コンピュータやコンピュータネットワークの解析・改良・改造・構築・開発などを行うこと。他人が管理するコンピュータからデータを窃取するなどの不正行為もハッキングだが、一般的にクラッキングと呼び区別される。
【MACアドレス(Media Access Control address)】
ネットワーク機器それぞれに製造段階で割り当てられる装置固有の12桁の識別番号。OSによって「物理アドレス」、「Wi-Fiアドレス」と表示される。MACアドレスが重複することはないが、MACアドレスを変更するソフトウェアなどもあり、意図的に変更した場合は重複することがある。
【Tor(The Onion Router)】
通信経路を暗号化・多段中継して匿名性を確保する、フリーかつオープンソースの通信技術。IPアドレスなどの痕跡を隠してWeb閲覧や通信が可能になり、通常アクセスできない「.onion」サイト(ダークウェブ)の利用にも使用できる。通信は世界中のノードを経由するため、速度は遅くなる。
【スタンドアロン(Stand-alone)】
他の機器やネットワークに接続せず、単独で機能や動作が完結している状態やシステム。
【バックドア(backdoor)】
本来の正規の認証プロセス(IDやパスワードなど)を回避し、システムやネットワークの内部へ秘密裏に侵入できる隠し通路(裏口)。

※本作に登場する手法は防犯上の観点から一部改変しています。

2026年5月30日土曜日

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP34 見えないルートの可視化

【AI(人工知能)による作品紹介】
人間とAIのバディに解けない謎はない。日本を襲うハッキングテロ。崩壊する医療、迫る停電のタイムリミット。未曾有の国家危機に立ち向かうのは、神崎教授と亡き妻の思考を学習したAIだった。緻密な伏線とハイスピードな展開で魅せる、新時代のサイバーミステリー!
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち)
元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。NCOによるコード名はM2。
・神崎悠季(かんざきゆき)
神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI)
神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・佐藤波流(さとうはる)
東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。警視庁 サイバー犯罪対策課。NCOによるコード名はK2。
・上条雷人(かみじょうらいと)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。「ダークマップ」管理人。サイバーテロを計画し実行する。
・華喜多美代子(はなきたみよこ)
元東京中央技術大学病院の看護師。神崎悠季を故意に死亡させたと、世間からバッシングされ、退職を余儀なくされる。上条雷人とは異父兄妹。
・雅(みやび)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。国家サイバー統括室(NCO)。本名は美矢部(みやべ)。
・佐倉井(さくらい)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。防衛省 情報本部 特殊情報分析室。NCOによるコード名はJ1。
・高柳(たかやなぎ)
副業でハッキングをしている会社員。NCOによるコード名はM1。
・鳩山(はとやま)
東京都の総務局 文書管理課の職員。NCOによるコード名はT1。

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EP34 見えないルートの可視化

東京都中野区の警察待機寮。
8帖一間のワンルームには、最低限の家具と私物の高性能なPCと技術書があった。
近くのファーストフード店での夕食を終えて帰宅した佐藤波流は机に向かっていた。
紙の地図に手書きした情報を、PCに表示された地図に入力していた。

よし、できた、入力が終わった佐藤はENTERキーを押した。
すると、地図の赤点から放射状に延びる、いくつかの赤いルートが表示された。
赤いルートは、最短ルートではなく、曲がりくねっていた。
起点となっている赤点は、上条が生活拠点にしている華喜多美代子のマンションだった。

犯人の要求動画が放送された翌日、捜査の指揮をするといい、公安が乗り込んできた。
岩田さんが別室にこもった公安の男に報告、公安からの指示を伝える体制になった。
あとの公安は何かを指示するわけでもなく、捜査員たちの周りをうろついている。
余計なことをしていないか、監視しているとしか思えない。

次の日に、佐藤がコード名K2として託されたミッションは以下だった。
・上条雷人は、東京都新宿区の賃貸マンションの一室を生活拠点にしている。
・賃借人は華喜多美代子で、現在、同居している。
・こちらからの連絡があるまでに、賃貸マンションを特定しておくこと。
・連絡があり次第、上司に賃貸マンションの住所を報告すること。

ミッションを託された次の日、上条と華喜多美代子の関係を調べた。
その結果、上条と華喜多美代子が異父兄妹であることがわかった。
華喜多と仲のよかった久理田咲から、2人が互いを知った経緯を聞けた。
帰りに、上条と華喜多が住んでいる賃貸マンションの場所も確認してきた。

あとは神崎先生のミッションが終わった連絡が来れば、岩田さんに場所を伝える。
岩田さんが公安に報告、おそらく公安が逮捕して、ミッションは終わる。
だが、一昨日、佐藤はあることに気づいた。
公安にも対策課にも他国と内通している可能性がある者がいる。

もし、内通者がいて、目的が都内の電力供給設備を使用不能にすることなら…。
岩田さんが公安に報告した時点で、上条を逃がそうとする。
そうさせないために、できることは、上条の逃走経路を予測。
逃走経路で待ち伏せして捕まえることだった。

以前、上条は品川から動画を添付したメールを企業に送信したことがある。
送信場所周辺の防犯カメラの映像を確認したが、上条は映っていなかった。
上条は新宿の戸山公園から、ドローンを飛ばして、火災を起こした。
戸山公園周辺の防犯カメラの映像を確認したが、上条は映っていなかった。

一昨日、賃貸マンションから戸山公園までの防犯カメラの映像を確認した。
賃貸マンションから半径1キロ以内の防犯カメラの映像も確認した。
だが、それらの映像にも上条は映っていなかった。
上条が防犯カメラの位置を把握、死角を使って移動していることは明らかだった。

今日は、賃貸マンション周辺を歩いて、防犯カメラの位置を確認してきた。
位置を地図に落とし込めば、見えないルートを可視化できる。
佐藤は、出来上がったばかりの可視化された見えないルートを見て考え始めた。
自分が上条なら、どのルートを使って逃走するか…。

東京都新宿区の東京中央技術大学病院。
中央棟の10階にある101号室には、シャワーを終えて、寛いでいる高柳がいた。
部屋のテレビでは、犯人の要求動画関連の報道特別番組が流れていた。
政府の記者会見の様子や街の人の声に、司会者やゲストがコメントしていた。

ふいに、部屋のドアがノックされた。
ドアを開けると、ノートパソコンを小脇に抱えた神崎がいた。
「先ほどはどうも。どうされたんですか」、高柳がいう。
「中に入れてもらってもいいかな」、神崎がいう。

どうぞと高柳がいい、神崎は中に入って、ドアを閉めた。
神崎は右手の人差し指を立てて、口に当てた。
しゃべるなってことか、理解した高柳は口を閉じて、うなずいた。
神崎はズボンのポケットから、黒の小型の装置を取り出すと、電源を入れた。

右手に持った装置を、部屋の電気機器やスイッチ、コンセントに向けて回った。
机の上にあるインターホンに向けたとき、装置の赤のライトが光った。
装置の電源を切ってポケットにしまうと、小型ドライバーとビニールテープを取り出した。
インターホンのネジを外し、中の盗聴マイクにビニールテープを貼り、元に戻した。

盗聴されていたのか、呆気にとられて見ている高柳に神崎がいう。
「もう話しても大丈夫だ。私の部屋にも盗聴器が仕掛けられていた。
明日のミッション開始までに君にお願いしたいことがある」
神崎は机の上に静かにノートパソコンを置いた。
※本作に登場する手法は防犯上の観点から一部改変しています。