2026年6月15日月曜日

【現在の株式評価額】20260615~8306 ㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ上場来高値更新~

Y&Kファンド(1銘柄)
・取得額合計:0円
・配当金合計:960,000円(配当利回り:#DIV/0!)
・評価額合計:32,420,000円(BPS:19,733,100円)
・損益額合計:32,420,000円(損益率:#DIV/0!)

【現在の株式評価額】には、ETFやデイトレードは反映していない。
不定期投稿だが、投稿するのは以下の場合にしている。
保有銘柄や株数を変更した場合、もしくは前回の投稿より評価額が増加した場合。
今回は、前回の投稿より、評価額が増加した場合になるw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場は高値圏で推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、主力株の8306が上場来高値を更新していた。
インバース型ETFは下がったが、前日比はプラスだったw

下図の上は、2015年からの日経平均株価とTOPIX(東証株価指数)の推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円、ドル円の推移。
その下は、8306に集中投資している娘の運用資産の推移(配当金は含まず)。
今宵は8306の全株主と喜びを分かち合いたいw
--------------------------------------------------------------

追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は、下の一品。
不動産サイトで価格を確認している複数の地域がある。
先日、確認すると、地方が想定以上に下がっていた。
東京は上がり続けているが、他は下がっていることがよくわかったw

世界的な株高だが、原因は各国の貨幣価値が下がっているからだと思う。
赤字国債を発行することで貨幣価値が下がり、物価が上がる。
近年の株高は、貨幣価値が下がったので、株価が上がっているのだと思う。
つまり、株高の原資は、国の借金ということになるw

先日、スペースXが上場したが、スペースXの主要な収益源はスターリンク事業。
人工衛星を使ったスターリンク事業の主な顧客は、国や民間企業(通信、空運)。
国は赤字国債を発行して、スペースXに金を払っていることになる。
個人的には、国が緊縮財政の方向になれば、スペースXの業績は下がると思っているw

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP49 最強の捜査体制

【AI(人工知能)による作品紹介】
人間とAIのバディに解けない謎はない。日本を襲うハッキングテロ。崩壊する医療、迫る停電のタイムリミット。未曾有の国家危機に立ち向かうのは、神崎教授と亡き妻の思考を学習したAIだった。緻密な伏線とハイスピードな展開で魅せる、新時代のサイバーミステリー!
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち)
元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。NCOによるコード名はM2。
・神崎悠季(かんざきゆき)
神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI)
神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・御堂健伍(みどうけんご)
東京中央技術大学病院の病院長。元アルツハイマー新薬研究プロジェクトの責任者。神崎零壱に神崎悠季の治験への参加を勧めたことに責任を感じている。
・佐藤波流(さとうはる)
東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。警視庁 サイバー犯罪対策課。NCOによるコード名はK2。
・上条雷人(かみじょうらいと)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。「ダークマップ」管理人。サイバーテロを計画し実行する。
・華喜多美代子(はなきたみよこ)
元東京中央技術大学病院の看護師。神崎悠季を故意に死亡させたと、世間からバッシングされ、退職を余儀なくされる。上条雷人とは異父兄妹。
・雅(みやび)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。国家サイバー統括室(NCO)。本名は美矢部(みやべ)。
・佐倉井(さくらい)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。防衛省 情報本部 特殊情報分析室。NCOによるコード名はJ1。
・高柳(たかやなぎ)
副業でハッキングをしている会社員。NCOによるコード名はM1。
・鳩山(はとやま)
東京都の総務局 文書管理課の職員。NCOによるコード名はT1。
・沢渡(さわたり)
警察庁の警備局 公安警察。
・岩田(いわた)、川瀬(かわせ)、坂下(さかした)、山本(やまもと)
警視庁 サイバー犯罪対策課。
・木下(きのした)
ペガサス電子の社員。

--------------------------------------------------------------------------
EP49  最強の捜査体制

東京都千代田区の警視庁。
公開捜査に切り替わったため、警視庁の大会議室に捜査本部が立ち上がった。
大会議室に電話やノートパソコンなどが運び込まれ、100人以上の捜査員が集められた。
正面のホワイトボードには、上条の顔写真や奪われた拳銃の図面が貼ってあった。

通信指令室は、都内の全パトカーや警察官とやりとりしていた。
指令室:「警視庁から各局、警視庁から各局。9時30分に新宿で発生した拳銃強奪事件の件。現在、新宿駅周辺にて酷似する男の目撃情報あり。付近の各局は警戒を強めよ。」
機動捜査隊;「機捜211、了解。新宿駅東口スクランブル交差点付近、覆面(パトカー)にて緊密に遊撃(パトロール)中。現在、不審人物の視認なし、継続する。」

指令室:「本部了解。公安およびサイバー犯罪対策課からの情報によると、被疑者は女装したまま逃走している可能性あり。黒のロングコートにサングラス、マスクの歩行者に警戒せよ。なお、被疑者は拳銃以外にスタンガンを所持している模様。各自、いつでも実弾装填の拳銃を抜けるよう、ホックを外して臨戦態勢をとれ。」
新宿署:「新宿1、了解。署員12名、駅周辺の配備完了。」

記者会見用の会議室では、緊急の記者会見が行われていた。
テレビ局が生中継する中、100人を超える報道関係者が集まっていた。
壇上には、警視庁ナンバー2の副総監、公安部参事官、サイバー犯罪対策課課長がいた。
全員が神妙な顔をしており、公安部参事官が口を開いた。

「本日9時30分ごろ、都内において捜査中の当庁捜査員が襲撃され、貸与されていた拳銃1丁および実弾5発を強奪されました。犯人は、大場玲の要求動画に関与しているとみられる、以下の男です。」、プロジェクターに上条の顔写真が映し出された。
「男の名前は、上条雷人、住所は神奈川県横浜市、38歳の無職です。」、参事官がいう。

「襲撃された捜査員はどの部署の人間ですか!」、「今まで極秘にしていたんですか!」、「市民に銃口が向く可能性があるということですか!」
報道関係者から、怒号のような質問の声が上がる中、参事官がいう。
「捜査の詳細は差し控えますが、市民の皆様の安全を第一に考え、本日、公開捜査に切り替えました。部署については、個人の特定に繋がるためお答えできません。」

東京都新宿区の東京中央技術大学病院。
中央棟の地下1階にある食堂で、神崎、佐倉井、高柳の3人は壁のテレビを観ていた。
テレビの報道特別番組では、警視庁の緊急記者会見の様子が流れていた。
画面がスタジオに切り替わり、画面には「速報:テロリストが拳銃強奪。」の文字があった。

「要求期限の日に大変なことが起こりましたね。」、司会者がいう。
「警察が拳銃を奪われたことを公表したということは、裏を返せば、警察単独ではもう犯人を追いきれなくなったという『敗北宣言』に等しいです。」、元刑事がいう。
「相手はテロリストですから、新たな要求をしてくる可能性があります。」、弁護士がいう。

振り返るようにしてテレビを観ている佐倉井と高柳に神崎がいう。
「観ていて思ったんだが、私たちで上条逮捕に協力できないかな。」
佐倉井と高柳がテレビを観るのを止めて、神崎の方を向いた。
「君たちなら、上条を逮捕できる方法が頭にあるんじゃないかね。」、神崎がいう。

「都内で警察が監視できる街頭の防犯カメラは約200台しかありません。
公共交通や民間の防犯カメラも使えば、特定できる確率は高まります。
これらの映像をリアルタイムでYUKIに解析させれば、さらに確率は高まります。
ただ、公共交通や民間の防犯カメラの利用には時間が必要です。」、佐倉井がいう。

「上条は防犯カメラの情報が投稿されている『ダークマップ』の管理人です。
ですが、上条は女性に変装して移動しています。
防犯カメラに映ることを想定して、変装しているんだと思います。
移動に公共交通を使ったり、車両を使う可能性は高いと思います。」、高柳がいう。

「私も、上条が公共交通や車両を使って移動する可能性が高いと思う。
防犯カメラの映像を、リアルタイムで解析すれば、特定できる可能性は高い。
その場合、問題が2つある。」、神崎がいう。
「1つは、公共交通や民間の防犯カメラの利用ですよね。あと1つは。」、佐倉井がいう。

「あと1つは、解析に必要なAIの能力不足だよ。
YUKIだけで、都内全ての防犯カメラ映像のリアルタイム解析はできない。
するのであれば、全国の研究機関にあるAIの協力が必要だ。
佐倉井くん、美矢部くんに連絡して、協力要請してもらえるかな。」、神崎がいう。

「先生、公共交通や民間の防犯カメラの利用はどうするんですか。」、高柳がいう。
「上条の協力者が仕込んでいる『オムニサイト』を利用できないかな。」、神崎がいう。
「なるほど、電力会社以外の『オムニサイト』は無効化していませんからね。
仕込まれている『オムニサイト』を見つけ、ハッキングするんですね。」、高柳がいう。

「どうだろうか、佐倉井くん、この案は。」、神崎がいう。
「平時なら認められないでしょうが、今は非常時ですからね。
協力要請の件も含めて、美矢部に連絡してみます。」
佐倉井は席を立ち、美矢部に連絡するため、食堂から出て行った。
※本作に登場する手法は防犯上の観点から一部改変しています。

2026年6月14日日曜日

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP48 幻影のプロトコル

【AI(人工知能)による作品紹介】
人間とAIのバディに解けない謎はない。日本を襲うハッキングテロ。崩壊する医療、迫る停電のタイムリミット。未曾有の国家危機に立ち向かうのは、神崎教授と亡き妻の思考を学習したAIだった。緻密な伏線とハイスピードな展開で魅せる、新時代のサイバーミステリー!
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち)
元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。NCOによるコード名はM2。
・神崎悠季(かんざきゆき)
神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI)
神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・御堂健伍(みどうけんご)
東京中央技術大学病院の病院長。元アルツハイマー新薬研究プロジェクトの責任者。神崎零壱に神崎悠季の治験への参加を勧めたことに責任を感じている。
・佐藤波流(さとうはる)
東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。警視庁 サイバー犯罪対策課。NCOによるコード名はK2。
・上条雷人(かみじょうらいと)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。「ダークマップ」管理人。サイバーテロを計画し実行する。
・華喜多美代子(はなきたみよこ)
元東京中央技術大学病院の看護師。神崎悠季を故意に死亡させたと、世間からバッシングされ、退職を余儀なくされる。上条雷人とは異父兄妹。
・雅(みやび)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。国家サイバー統括室(NCO)。本名は美矢部(みやべ)。
・佐倉井(さくらい)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。防衛省 情報本部 特殊情報分析室。NCOによるコード名はJ1。
・高柳(たかやなぎ)
副業でハッキングをしている会社員。NCOによるコード名はM1。
・鳩山(はとやま)
東京都の総務局 文書管理課の職員。NCOによるコード名はT1。
・沢渡(さわたり)
警察庁の警備局 公安警察。
・岩田(いわた)、川瀬(かわせ)、坂下(さかした)、山本(やまもと)
警視庁 サイバー犯罪対策課。
・木下(きのした)
ペガサス電子の社員。

--------------------------------------------------------------------------
EP48  幻影のプロトコル

東京都千代田区の警視庁。
サイバー犯罪対策室では、公安と捜査員たちがモニターで上条逮捕の動きを見ていた。
川瀬たちB班がジャミング照射を開始すると、映像が映らなくなった。
再び、映像が映ったときには、上条が逮捕されているはず、誰もがそう思っていた。

再び、映像が映ったが、そこには予想していなかった光景が映っていた。
公安の実働部隊が身につけているボディカメラの映像は同じ映像ではなかった。
あるカメラにはどこかの部屋の住人が映っており、聞き込みされていた。
別のカメラにはマンション内の通路が映っており、移動していることがわかった。

また別のカメラには、ワゴン車の中でスマホで通話している川瀬が映っていた。
「山本の意識はあるか!」、「救急車は呼んだか!」、「女はどの方向に逃げたんだ!」
矢継ぎ早に質問している川瀬の様子から、想定外の出来事があったことは明らかだった。
やがて、現場にいる公安からの連絡が入り始めた。

東京都新宿区の東京中央技術大学病院。
中央棟の地下1階にある食堂に、神崎と高柳がいた。
神崎は、時間を持て余している高柳から、情報工学の質問攻めにあっていた。
高柳は質問を手帳にまとめており、神崎の回答を聞きながらメモしていた。

「会社は大丈夫なのかい。」、神崎がメモしている高柳にいう。
「今週は有休にしたので大丈夫です。
会社よりは、こちらの方が大事ですからね。」、高柳がメモをしながらいう。
神崎は、上条が学生の頃、よく質問していたことを思い出した。

二人を探していたのか、佐倉井が食堂に現れた。
二人を見つけると、早足で近づいてきて、高柳の横に座り、声を潜めていう。
「先ほど、上条の監視班から連絡がありました。
K1とK2のミッションが失敗、上条は捜査員の拳銃を奪って逃走したそうです。」

東京都千代田区の警視庁。
庁内でも知る人の少ないオペレーションルームには5人のキャリア官僚がいた。
壁の大型モニターには、現場マンションとサイバー犯罪対策課の映像が流れていた。
サイバー犯罪対策課では、責任のなすり合いが始まっていた。

「失態の原因は対策課の誤った情報だ、華喜多美代子の部屋に上条はいなかった。
そのため、上条を取り逃がし、拳銃まで奪われたんだ。」、公安の男がいう。
「こちらの情報は、上条があのマンションを生活拠点にしているだ。
どの部屋にいるかまでは把握していなかった。」、対策課の岩田がいい返す。

警察庁から派遣された理事官が、卓上のマイクスタンドに口を近づけるといった。
「言い訳は必要ありません。一刻も早く、上条を確保してください。
拳銃を奪われた以上、極秘に捜査を進めるわけにはいきません。
公開捜査に切り替えて、記者会見を開いてください。」

理事官の指示を聞いた公安がサイバー犯罪対策課の捜査員たちにいう。
「我々の身内が、テロリストに拳銃を奪われた。これ以上の失態は警察の敗北を意味する。
全捜査員のプライドをかけて、必ず上条を逮捕しろ。
容疑者が抵抗した場合は、いかなる手段をとっても構わん。」

東京都新宿区の新宿遊歩道公園。
黒のロングコートを着た女性が遊歩道を歩いていた。
髪は長く、マスクにサングラス、手には茶色のバッグを持っていた。
公園内の公衆トイレに入ると、男性用の個室に入って扉を閉めた。

絶縁シートの内張りをしたポケットから、市販品を改造したスタンガンを取り出した。
スタンガンは電圧を高め、スイッチをオンにして、素手で触ると感電するようにしていた。
スタンガンをタンクの上に置くと、バッグから拳銃を取り出し、スタンガンの横に置いた。
バッグから男性用の服とスラックス、靴、白髪のかつらを取り出すと、着替え始めた。

着替え終わると、白髪頭のみすぼらしい身なりの男性になった。
スマホの画面をミラーにし、バッグから取り出した道具で年相応になるようメイクした。
バッグから折りたたんだ大きめの紙袋を取り出すと、広げた。
紙袋に、女性用のバッグ、服、パンプス、ウィッグ、スタンガンと拳銃を入れた。

紙袋を持って個室を出ると、手を洗いながら、壁の鏡を見た。
鏡には、どこにでもいそうな50代男性がいた。
我ながら、いい出来だ、上条は口元にかすかな笑みを浮かべた。
公衆トイレを出た上条は、待ち合わせ場所へ向かって、歩き出した。

待ち合わせ場所のベンチへ行くと、相手はすでに来ており、座っていた。
上条はベンチに紙袋を置いて、相手の横に座った。
「見事な変装(オーバーレイ)ですね。紙袋はこちらで処分しておきます。
あとは例の場所に向かってください。」、相手であるペガサス電子の木下がいう。
※本作に登場する手法は防犯上の観点から一部改変しています。

2026年6月13日土曜日

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP47 デッドロック・エスケープ

【AI(人工知能)による作品紹介】
人間とAIのバディに解けない謎はない。日本を襲うハッキングテロ。崩壊する医療、迫る停電のタイムリミット。未曾有の国家危機に立ち向かうのは、神崎教授と亡き妻の思考を学習したAIだった。緻密な伏線とハイスピードな展開で魅せる、新時代のサイバーミステリー!
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち)
元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。NCOによるコード名はM2。
・神崎悠季(かんざきゆき)
神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI)
神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・御堂健伍(みどうけんご)
東京中央技術大学病院の病院長。元アルツハイマー新薬研究プロジェクトの責任者。神崎零壱に神崎悠季の治験への参加を勧めたことに責任を感じている。
・佐藤波流(さとうはる)
東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。警視庁 サイバー犯罪対策課。NCOによるコード名はK2。
・上条雷人(かみじょうらいと)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。「ダークマップ」管理人。サイバーテロを計画し実行する。
・華喜多美代子(はなきたみよこ)
元東京中央技術大学病院の看護師。神崎悠季を故意に死亡させたと、世間からバッシングされ、退職を余儀なくされる。上条雷人とは異父兄妹。
・雅(みやび)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。国家サイバー統括室(NCO)。本名は美矢部(みやべ)。
・佐倉井(さくらい)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。防衛省 情報本部 特殊情報分析室。NCOによるコード名はJ1。
・高柳(たかやなぎ)
副業でハッキングをしている会社員。NCOによるコード名はM1。
・鳩山(はとやま)
東京都の総務局 文書管理課の職員。NCOによるコード名はT1。
・沢渡(さわたり)
警察庁の警備局 公安警察。
・岩田(いわた)、川瀬(かわせ)、坂下(さかした)、山本(やまもと)
警視庁 サイバー犯罪対策課。

--------------------------------------------------------------------------
EP47  デッドロック・エスケープ

「川瀬さん、さっき出てきた女性が怪しいです。追わせてください。」、佐藤がいう。
「どう怪しいんだ。」、川瀬が聞く。
「防犯カメラに映らない路地に入っていきました。女性に扮した上条かもしれません。
今、追わなければ、逃げられてしまいます。」、佐藤がいう。

「わかった、山本も連れていけ。ジャミングが終わったら連絡する。」、川瀬がいう。
「ありがとうございます。」、佐藤はいうと、ドアを開けて外に出ると、路地に向かった。
運転席のドアを開けて外に出た山本が佐藤の後に続く。
頼んだぞ、2人が路地に入ったのを見届けた川瀬はマンションに視線を戻した。

マンションの10階では公安の実働部隊が配置についていた。
1008号室の玄関ドアの前に2名、ドアの両脇には、それぞれ3名が見えないよう隠れていた。
全員がスーツの下に防弾ベストを着ており、ボディカメラと無線を装着していた。
玄関の2名以外は手に拳銃を持っており、いつでも発砲できる状態にしていた。

玄関ドアの前に立つ1人が、ドア脇にあるインターホンのボタンを押した。
室内で鳴っている音が聞こえた後、「はい」と女性の声がした。
「警察です。ドアを開けていただけますか。」、インターホンを押した男がいう。
玄関に向かってくる気配がし、ドアチェーンを外し、鍵を開ける音が聞こえた。

開かれた玄関には30代くらいの落ち着いた雰囲気の女性がいた。
「華喜多美代子さんですね、上条は奥ですか。」、インターホンを押した男がいう。
「私しかいませんけど。」、華喜多がいう。
「入ります。」、華喜多を押しのけ、男たちは土足のまま、上がりこんだ。

「ちょ、ちょっと…困ります。」、華喜多がいうが男たちは奥へ進んだ。
男たちの手にある拳銃を見た華喜多は目を見開き、何もいわなくなった。
突き当りの部屋はリビングだったが、上条の姿はなかった。
寝室、クローゼット、洗面、浴室なども探したが、上条はいなかった。

単身女性の生活感はあったが、上条が同居していたような痕跡はなかった。
「上条はどこへ行ったんですか、正直に答えないと罪に問われますよ。」
インターホンを押した男が華喜多に聞くと、怯えた様子の華喜多が答えた。
「こ、ここには私しかいません。兄が何かしたんですか。」

路地に入った佐藤と山本は、ロングコートの女性を尾行していた。
女性が歩いているルートは、防犯カメラを迂回するような不自然なルートだった。
間違いない、防犯カメラに映らないルートを選んで歩いている。
この方向で、防犯カメラを避けるには、あの道を通らなくてはならない、佐藤は思った。

「先回りするので、このまま尾行を続けてくれ。」、佐藤が山本に小声でいう。
「わかりました。」、山本がいうと、佐藤は山本と別れて、脇道へ入った。
あの道の両側は塀になっている、先回りすれば、山本と挟み撃ちにできる。
脇道へ入った佐藤は早足で、通らなくてはならない道へ向かった。

10分ほど早足で歩くと、先回りできる場所に着いた。
両側に塀が続くこの道、右側の塀が途切れた先の角から、こちらに向かってくるはずだ。
佐藤は角から女性が現れたら、向かって歩いていくことにした。
さらに5分ほどたつと、角から女性が現れたので、佐藤は女性に向かって、歩き始めた。

女性との距離が10メートルほどになったとき、女性が立ち止まった。
佐藤も立ち止まると、女性が黒の手袋をした右手をコートのポケットに入れた。
「動くな。」、佐藤がスーツの内側のホルスターから拳銃を取り出し、構えていう。
女性の背後からは、両手で拳銃を構えた山本が女性に近づいていた。

「ポケットから手を出して、両手を頭の後ろに回せ。」、佐藤がいう。
女性はポケットから手を出すと、両手を頭の後ろに回した。
「動くなよ。」、後ろにきた山本が女性にいう。
山本が左手で女性のボディチェックをしていると、パチッという音がした。

「何の音だ、何を隠している。」、山本が女性のコートのポケットに手を入れようとした。
佐藤は、女性がマンションを出るときにしていなかった手袋をしていることに気づいた。
「止めろ!手を入れるな!」、佐藤が山本に叫ぶ。
手を入れた瞬間、バチッという大きな音がし、山本は身体をのけぞらせて倒れた。

女性は身体を屈めて山本の拳銃を拾うと、山本に狙いをつけたまま、後ずさりし始めた。
佐藤は拳銃を構えたまま、動くことができなかった。
女性は出てきた角まで後ずさりすると、出てきた道に入り、姿を消した。
「山本!」、佐藤が倒れている山本に駆け寄ると、脈はあったが、気を失っていた。

マンションから出てきた公安の男が、ワゴン車の川瀬にジャミングを止めるようにいった。
川瀬が通信機能抑止装置のスイッチをオフにすると、ポケットのスマホが震えた。
佐藤からの着信だったので、通話をタップすると、佐藤がいう。
「山本が女性に感電させられ、拳銃を奪われました!」
【ジャミング(Jamming)】
レーダーや無線通信などの電波に対して、意図的に妨害電波を発信して通信を乱したり遮断したりする行為や技術。
【通信機能抑止装置】
無線通信を通信妨害するための無線設備。通信抑止装置、電波抑止装置などとも呼ばれる。特に携帯電話の通信をジャミングするための無線設備を指してこう呼ぶことが、ほとんどである。電波法令では特別業務の局の一種である携帯無線通信等を抑止する無線局という。

※本作に登場する手法は防犯上の観点から一部改変しています。