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2018年9月19日水曜日

銘柄を明かさない理由R209 Interview with the stage actor(後編)

第209話 Interview with the stage actor(後編)

マンハッタンの高級ホテルの1室、テーブルを挟んで2人の男が椅子に座っていた。
ポロシャツ姿の若い男は、舞台俳優の男の話に聞き入っていた。
サングラスをかけた舞台俳優の男の話は臨場感に溢れていた。
まるで、当時の光景が目の前で繰り広げられているようだった。

ポロシャツ姿の若い男は思った。
あれ、目の前の舞台俳優のかけているサングラスが仮面に見えてきた。
仮面舞踏会で紳士や淑女がつけるような口元以外を隠す仮面に。
サングラスをかけた舞台俳優の男は、落ち着いた口調で話を続けた。

「前置きが長くなったので、そろそろ本題に入ろうか。
ブロードウェイで主演公演をするには、どうしたらいいと思う。
当たり前だが、努力や運だけでは、主演公演をすることはできない。
よく舞台俳優には演技力が必要だといわれている。

だが、演技力とは何なのか、そもそも演技力の定義は曖昧だ。
所詮、演技力とは、演出家や脚本家の主観にすぎないのだよ。
演出家や脚本家の主観にすぎないので、客観的な数値化などできる訳が無い。
無敗のキングがいったように、世の中の全ての価値観を決めるのは金だ。

私は相場で稼いだ金で、いくつかの大手企業の株主になった。
株主になったあと、私は今、主演している公演のオーディションに応募した。
応募した公演は、株主になっている大手企業が協賛している。
考えてもみたまえ、株主がオーディションに応募したら、誰が選ばれるのか」

「あ、あなたが主演に選ばれたのは、協賛企業の株主であることが理由なのですか」
我に返ったポロシャツ姿の若い男が驚いた表情でいう。
「そうだよ、価値観を決めるのは、演技力ではなく金だからな」
サングラスをかけた舞台俳優の男がいう。

「ブロードウェイの舞台に立つことを夢見て、頑張っている若者が大勢います。
彼らは少ない稼ぎの中、必死に稽古に励んでいるのですよ。
そ、そんな彼らに、あ、あなたは申し訳ないと思わないのですか」
ポロシャツ姿の若い男が、押さえ切れなくなった感情を露にしていう。

「さっきもいったが、全ての価値観を決めるのは金だ。
現に私が主演している公演は、日本人主演公演の最長記録を更新しているだろう。
そうそう、いうのが遅くなったが、私は君が勤めている出版社の株主なんだよ」
そういうと、サングラスをかけた舞台俳優の男は、凄みのある笑みを浮かべた。

2018年9月18日火曜日

銘柄を明かさない理由R208 Interview with the stage actor(中編)

「銘柄を明かさない理由R」は、自身のオリジナル小説だ。
主人公は、ロイヤルストレートフラッシュと呼ばれる5人の無敗の相場師。
また、彼らを取り巻く人々の物語でもある。
登場人物は、自身に似たのか正義感が強い人物が多いw

「銘柄を明かさない理由R」は、小説や映画の影響を強く受けている。
本エピソードのタイトル、「Interview with the stage actor」。
お気づきの方もいるだろうが、「Interview with the Vampire」から拝借した。
ストーリーは全く異なるが、原作者であるアン・ライス女史には感謝したいw

さて、本エピソードには舞台俳優の相場師が登場する。
彼もロイヤルストレートフラッシュ側だが、唯一のダークヒーローかもしれない。
現在、彼はブロードウェイで日本人主演公演最長記録を更新中だ。
それでは「銘柄を明かさない理由R ベイビーワールドエンド編」をお届けするw

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第208話 Interview with the stage actor(中編)

マンハッタンの高級ホテルの1室、テーブルを挟んで2人の男が椅子に座っていた。
ポロシャツ姿の若い男は、舞台俳優の男の話に聞き入っていた。
サングラスをかけた舞台俳優の男の話は臨場感に溢れていた。
まるで、当時の光景が目の前で繰り広げられているようだった。

ポロシャツ姿の若い男は、室温が下がっていることに気づいた。
おかしいな、インタビュー前に空調機の室温設定をしたはずなのに。
気のせいか室内、特に男の周囲が暗くなってきた気がする。
サングラスをかけた舞台俳優の男は、落ち着いた口調で話を続けた。

「目覚めたとき、私は病院にいた。
スーツ姿の巨躯の男とのやり取りは、気を失っているときに見た夢だと思った。
ところが、枕元には付き添いで来た巨躯の男が置いていった封筒があった。
封筒の中には、巨躯の男が書いたメモとトランプのキングが入っていた。

退院した私は、メモにあった日時にホテルの会場に行った。
会場には老若男女、そうだな、少なくとも20人はいたと思う。
やがて、巨躯の男が現れ、私は巨躯の男の正体を知った。
巨躯の男は、無敗のキングと呼ばれている伝説の相場師だった。

無敗のキングは、20人からの老若男女に数ヶ月にわたり、ある講義を行なった。
相場の歴史から始まったその講義は、経済から心理学まで多岐に及んだ。
数ヶ月の講義が終わる頃、20人からの老若男女は全員が怪物に変わっていた。
無敗のキングの講義は、20人からの老若男女を怪物にするための講義だったんだよ。

講義が終わると、20人からの老若男女が、再び集まることはなかった。
一緒に講義を受けた20人からの老若男女が、どうしているかは知らない。
ただ、同じ講義を受けた者として、わかることがある。
20人からの老若男女は、自分たちが怪物になった自覚はあるはずだ。

講義が終わったあと、私は本格的に相場にデビューした。
リーマン・ショックの暴落相場、東日本大震災の急落相場。
それらの相場も底で買い、高値で売り抜けることで結構な資産ができた。
いつしか相場での収入が、舞台俳優のチンケな収入をはるかに上回るようになった。

やがて、世間が私のことを『仮面の相場師』と呼んでいることを知った。
舞台で仮面をつける役が多かったからだと思うが、あまりにも安易なネーミングだよ。
最初に聞いたときは、あまりのセンスの無さに笑うどころか呆れたよ。
『仮面の相場師』ではなく、なぜ『怪物』と呼ばないのかとね」

2018年9月14日金曜日

銘柄を明かさない理由R207 Interview with the stage actor(前編)

第207話 Interview with the stage actor(前編)

マンハッタンの高級ホテルの1室、テーブルを挟んで2人の男が椅子に座っていた。
ポロシャツ姿の若い男が、テーブルの上に置いたICレコーダーのスイッチを入れた。
目の前の男は薄い口ひげを生やし、室内でもサングラスをかけていた。
高級そうなスーツを着こなした男の長めの髪は、無造作に見えるようセットされていた。

「ブロードウェイでの日本人主演公演最長記録更新、おめでとうございます。
いったい、どのようにして現在の成功を勝ち取られたのですか」
ポロシャツ姿の若い男が、目の前に座る男にいい、インタビューが始まった。
サングラスをかけた舞台俳優の男は、落ち着いた口調で語り始めた。

10年前のある日、舞台俳優の男は下北沢の路地に横たわり、雨に打たれていた。
数時間前まで、飲み屋で若手の舞台俳優たち数人と演劇論を戦わせていた。
「時代遅れの演劇論だ、アンタは古いんだよ」、若手の1人にいわれた。
頭にきて先に1人で飲み屋を出た、誰かと肩がぶつかったところまでは覚えている。

気がつけば、男は路地に横たわり、雨に打たれていた。
身体の節々が痛むし、殴られたのか片方の眼は塞がっている。
たぶん、肩がぶつかった相手に殴られたのだろう。
地面に横たわって見上げる世界は、今まで見たことがない世界だった。

気づくと、コートを着た巨躯の男が傍に立っていた。
「夢は何だ」、コートを着た巨躯の男が見下ろしながら聞く。
「日本一、いや世界一の舞台俳優になりたい」、横たわった男が答える。
「なぜ、世界一の舞台俳優になりたい」、コートを着た巨躯の男が聞く。

なぜ、世界一の舞台俳優になりたいのかだと。
そんなこと決まっている、あれ、何でだ。
俺は何のために世界一の舞台俳優になろうとしていたんだ。
目的が思い出せない、そもそも目的があったのかさえもわからない。

黙っている男に、コートを着た巨躯の男がいった。
「世界一の舞台俳優になろうとした目的がわからないのか。
わからないのなら教えてやる。
世界一の舞台俳優は、金を手に入れるための手段であって目的ではないからだ。

この世の中、全ての価値観を決めるのは金だ。
もし金を手に入れたいのなら、ここに来い」
コートを着た巨躯の男は、手帳にホテルの会場と日時を走り書きした。
走り書きしたページを破ると、横たわった男に渡した。

2018年9月12日水曜日

銘柄を明かさない理由R206 恐慌が起こる条件(後編)

第206話 恐慌が起こる条件(後編)

無敗のJ(ジャック)は、自宅の書斎で過去の恐慌について調べていた。
先日のこと、無敗のJは近くの河川敷で無敗のクイーンに会った。
無敗のクイーンとのやり取りで、無敗のJはあることに気づいた。
BABYが恐慌を起こすのは、相場が油断して恐慌に対する隙が生まれたときだ。

1929年のウォール街の株価大暴落。
世界恐慌のきっかけとなった最初の暴落は1929年10月24日に起こった。
「暗黒の木曜日」と呼ばれたこの日だけで、投機業者の自殺者は11人に及んだ。
「悲劇の火曜日」の29日に更なる暴落が起こった。

ウォール街の株価大暴落の前、ウォール街は投機熱に包まれていた。
当時、合衆国の政治家で実業家のジョセフ・P・ケネディがいた。
ある日、ウォール街の有名な靴磨きの少年が、彼に投資を薦めてきた。
彼は不況に入る日は近いと予測し、暴落前に株式投資から手を引いた。

1987年10月、日経平均株価は1年前の15,000円から、26,000円台に急騰していた。
1987年10月19日、ニューヨーク証券取引所のダウ平均が暴落した。
前日比508ドル安、前日比マイナス22.6%、ブラックマンデーと呼ばれる暴落だった。
だが、最後の相場師と呼ばれた是川銀蔵氏は、暴落前に全ての保有株を手放していた。

是川銀蔵氏の自伝「相場師一代」には、暴落前の様子が次のように書かれている。
「”財テクブーム”を背景に、主婦やOL、サラリーマンまでもが株に熱中し、
証券市場は空前の投資ブームに沸いており、私のいうことに聞く耳を持つ投資家は、
私の周囲を除いてはほとんどいないという状況であった」

資本主義には、基本的矛盾がある。
部分的ではない一般的な過剰生産傾向を生む生産と消費の矛盾である。
資本家は多くの利潤を得るために、生産力を発展させようとする傾向をもっている。
他方では、労働者の賃金を、最低限にまで制限しようとする傾向をもっている。

「全ての現実の恐慌の究極の根拠は、どこまでも、資本主義的生産の衝動に対比しての、
あたかもその限界をなすのはただ社会の絶対的な消費能力だけであるかのように
生産諸力を発展させようとする衝動に対比しての、大衆の窮乏と消費制限なのである」
(マルクス『資本論』第三部)

恐慌について、調べ終わった無敗のJは思った。
恐慌前には、誰もが好景気に浮かれるバブル状態が訪れる。
言い換えれば、バブル状態にならなければ、恐慌は起きないともいえる。
バブル状態で売り抜けて、大底で買い戻してやる、無敗のJは不敵な笑みを浮かべた。

2018年9月11日火曜日

銘柄を明かさない理由R205 恐慌が起こる条件(中編)

第205話 恐慌が起こる条件(中編)

休日の昼下がり、無敗のJ(ジャック)は河川敷に寝転がっていた。
空にはいくつかの雲が流れている。
今日の雲は動きがゆっくりだ。
雲はさまざまに形を変えながら流れていく。

リーマンショックのとき、無敗のJは暴落する相場に成す術がなかった。
暴落相場から生還できたのは、大底の局面で買い向かったからだった。
「恐慌を起こしてきたBABYというAI(人工知能)が、活動を始めている」
BABYはいつ恐慌を起こそうとしているのか。

考える無敗のJに軽快な足音が聞こえてきた。
足音がした方を見ると、トレーニングウェアに身を包んだ女性がいた。
髪を後ろで束ねた端正な顔立ちには汗が光っている。
トレーニングウェアに身を包んだ女性は、顔見知りの無敗のクイーンだった。

数年前、ある証券会社から攻撃してくる犯人を調べて欲しいという依頼があった。
無敗のJは依頼内容を確認するため、依頼主である証券会社を訪れた。
そこで紹介されたのが、資産運用部署の責任者、無敗のクイーンと呼ばれる女性だった。
お互い住んでいる家が近いようで、その後、何度か河川敷で顔を合わせていた。

「無敗のクイーンさん、今日も元気ですね」、上半身を起こした無敗のJがいう。
「久しぶりだな」、シャドーボクシングをしながら、無敗のクイーンがいう。
無敗のクイーンの俊敏な動きを、無敗のJは見るとはなしに見ていた。
「それ以上、見るなら、金を取るぞ」、無敗のクイーンがいう。

「聞きたいことがある」、無敗のJがいう。
「何だ」、シャドーボクシングをしながら、無敗のクイーンがいう。
「ボクシングでパンチを繰り出すときって、どんなときなんだ」、無敗のJがいう。
シャドーボクシングをしていた無敗のクイーンの動きが止まった。

「貴様はバカか」、無敗のJを見ると無敗のクイーンが呆れた顔でいう。
「そんな、言い方はないだろう」、無敗のJがむっとした顔でいう。
「相手がパンチを打とうとしていないときに決まっているだろう。
油断や疲れから、相手のガードに隙が生まれたときだ」、無敗のクイーンがいう。

無敗のクイーンの言葉を聞いた瞬間、無敗のJに衝撃が走った。
BABYが恐慌を起こすのは、相場が油断して恐慌に対する隙が生まれたときだ。
「たまには身体を鍛えろよ」
無敗のクイーンは優雅な笑みを浮かべると、颯爽と走り去った。

2018年9月10日月曜日

銘柄を明かさない理由R204 恐慌が起こる条件(前編)

第204話 恐慌が起こる条件(前編)

大学生の21世紀少年は、都内にある大学の寮で1人暮らしをしていた。
帰宅した21世紀少年が個人用PCを立ち上げると、1通の新着メールがあった。
このメールアドレスは限られた人にしか教えていない。
誰からだろう、21世紀少年は受信トレイを起動した。

メールの差出人は、無敗のキングだった。
メールを読み始めた21世紀少年は、メールの内容に引き込まれていった。
「恐慌を起こしてきたBABYというAI(人工知能)が活動を開始した。
BABYは、日本を含む十数カ国でワールド株式投資セミナーを開催しているらしい。

ワールド株式投資セミナーの開催目的は不明だ。
だが、奴が再び、恐慌を引き起こそうとしていることは間違いないだろう。
ワシは貴様に何かしてくれとはいわない。単なる情報提供だ」
短いメールだったが、無敗のキングの真意を21世紀少年は瞬時に理解した。

無敗のキングは、よい大人なんだけど、伝え方が素直じゃないんだよね。
一言、BABYと戦え、といってくれれば済むのに。
さてと、先ずはBABYに関する情報収集からだな。
21世紀少年はにっこりと微笑むと、BABYに関する情報の高度検索を始めた。

大阪難波のタワーマンションの1室。
淀屋は自宅の居間で、PCが新着メールの着信を知らせる音を聞いた。
今日の仕事は終わりやのに、いったい誰や。
これから、知り合いがオープンした新地のクラブに顔出さなあかんのに。

ぶつぶつ文句をいいながら、受信トレイを確認すると、2通の新着メールがあった。
1通目は、4年前から交際している彼女、無敗のテンちゃんだった。
「昨夜は電話もらって嬉しかったです。
ただ、気になることがあったので、メールしました。

昨夜、浮気していないでしょうねって、聞いたとき・・・。
上手くはいえないけど、いつもと違う感じがしました・・・。
他の男の人とは違うって信じなきゃいけないのに・・・。
いつもと違うって思ったこと、反省してます、本当にごめんなさい・・・」

すぐに淀屋は知り合いに電話、急用ができて、クラブに行けなくなったことを伝えた。
気を落ち着けた淀屋は、2通目のメール、無敗のキングからのメールを確認した。
メールの内容は、同時刻に21世紀少年が受信したメールの内容と同じだった。
AI相手とはおもろいやんけ、淀屋初代本家13代目当主の男は不敵な笑みを浮かべた。

2018年9月7日金曜日

銘柄を明かさない理由R203 無敗の個人投資家たち(後編)

第203話 無敗の個人投資家たち(後編)

やがて、店内の客が少なくなった。
無敗のJ(ジャック)のテーブルに女性店主がやって来た。
「ひさしぶりね、さては何か悩みがあるのかな」
向かいのイスに座った女性店主が笑いながらたずねる。

「あのさ、ベイビーって、どういうイメージがある」、Jが聞く。
「ベイビーって、赤ちゃんのことよね。
母親にとっては24時間、目が離せない、大変だっていうイメージしかないわ。
育児ノイローゼって言葉もあるくらいだしね」、女性店主がいう。

「自分の子どもなのに、可愛くないのか」、Jが聞く。
「そりゃ可愛いわよ、でも可愛いと子育ては別よ。
そうそう、育児ノイローゼになる母親って、真面目な人が多いらしいわ。
理想の母親はこうあるべきだって、自分で自分を追い詰めてるのよ」、女性店主がいう。

「じゃあ、ベイビーにはどう接すればいいんだい」、Jが聞く。
「そうねえ、愛情を持ちながら、でも自分の感情には素直になって接することかな。
それより、ベイビーを作る予定でもあるのかしら」、女性店主が笑いながらいう。
「バカいえ、そこまで元気じゃないよ」、Jが笑いながらいった。

第二次世界大戦前、日本の国益を守るため、ある組織が誕生した。
組織はアジア各国を独立へと導き、終戦後は日本の経済発展に大いに貢献していた。
組織の一員である年齢不詳の男、JOKERは組織から指令を受けた。
BABYに関する情報を、国内の相場師に伝えろという指令だった。

JOKERはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を使うことにした。
近年では、各国の企業や政府機関など多々な分野においてSNSの利用が進んでいる。
「恐慌を起こしてきたBABYというAI(人工知能)が、活動を始めている」
JOKERが発信したBABYに関する情報は、静かに拡散していった。

JOKERがBABYに関する情報を発信してから1週間。
全国にいる94人の無敗の個人投資家は、全員がBABYに関する情報を入手していた。
94人の無敗の個人投資家は、全員、リーマンショックの暴落を経験していた。
また、その多くは専業の投資家ではなく兼業の投資家だった。

無敗の個人投資家たちの職業は様々だった。
ある者は公立中学の教員、ある者は自営業、ある者は中小企業の会社員など。
だが、リーマンショックの暴落を経験した彼らが思ったことは同じだった。
BABYよ、暴落させたければ、暴落させるがいい、また底で拾ってやるよ。

2018年9月6日木曜日

銘柄を明かさない理由R202 無敗の個人投資家たち(中編)

第202話 無敗の個人投資家たち(中編)

会社帰り、調査会社に勤める無敗のJ(ジャック)は、ある定食屋に向かっていた。
その定食屋に立ち寄るのは久しぶりだった。
4年前、天使の笑顔をもつ男こと無敗のAを連れて行った定食屋だった。
最初にその定食屋に立ち寄ったのは、今から10年前になる。

その店は、女性店主が1人で切り盛りしている定食屋だった。
その定食屋は、壁にカレーライスやきつねうどんの値札が貼ってある庶民的な店だった。
昭和の雰囲気を感じさせる店は、昭和生まれのJにとっては居心地のいい定食屋だった。
Jには、その定食屋に忘れられない思い出があった。

10年前、リーマンショックによる相場の暴落が始まった。
数年前に株式投資を始めたJにとって、初めての暴落相場だった。
Jは会社帰りに、たまたま見つけた定食屋に立ち寄った。
定食屋は女性店主が1人で切り盛りしており、いつも女性店主は忙しくしていた。

Jにとっては、いい意味で1人になれる店だった。
だが初めての暴落相場でJは食欲もなく、焼酎のロック1杯しか頼めなかった。
焼酎のロックを飲みながら相場の本を読む、飲み終えると代金を払い帰る日が続いた。
そんなある日のことだった。

「何か食べないと体を壊しますよ」
女性店主がメニューにはない小鉢料理数品を、Jに出した。
遠慮するJに、女性店主は「お代は結構ですから」と半ば怒りながらいい、厨房に戻った。
Jはしかたなく箸をつけた、小鉢料理はどれもが美味かった。

この定食屋に、こんなに美味いものがあるとは知らなかった。
暴落相場で含み損が増えても、現物取引であれば命をとられる訳じゃない。
自分は冷静に現状を把握することができていなかったのかもしれない。
Jは小鉢料理を綺麗に食べ終わると、1万円札を1枚置いて定食屋を出た。

翌日、いつものように定食屋に立ち寄ったJは、どう注文するか迷っていた。
結局、「焼酎のロックと昨日のやつを頼む」と、女性店主に注文した。
「はいはい、そうそう、お代は前払いで頂いていますからね」、女性店主は答えた。
やがて店のメニューに、ワンドリンクと小鉢数品の「晩酌セット」が加わった。

Jが定食屋に着き、のれんをくぐり中に入ると、店内には多くの客がいた。
空いているイスに座って待っていると、女性店主が注文を取りにやってきた。
「いつものやつを頼むよ」、Jがいう。
「何がいつものやつよ、あのときのを頼むでしょ」、女性店主が笑いながらいった。

2018年9月4日火曜日

銘柄を明かさない理由R201 無敗の個人投資家たち(前編)

第201話 無敗の個人投資家たち(前編)

日本国内の個人で、株式投資を行なっている者は少ない。
株式投資を行なっている者の中で、無敗の個人投資家となるとさらに少なくなる。
ある調査によると、全国で94人の無敗の個人投資家の存在が確認されていた。
無敗の個人投資家たち、その多くは専業の投資家ではなく兼業の投資家だった。

よく短期間に株で大儲けする人がいるが、彼らは投資家ではなく、投機家である。
投機は投資ではなく、運によって成否が決まるギャンブルである。
対して投資は、合理的な思考によって成否が決まるマネーゲームである。
すなわち、無敗の個人投資家たちは極めて合理的な思考の持ち主なのである。

第二次世界大戦前、日本の国益を守るため、ある組織が誕生した。
組織はアジア各国を独立へと導き、終戦後は日本の経済発展に大いに貢献していた。
組織の一員である年齢不詳の男、JOKERは組織から指令を受けた。
BABYに関する情報を、国内の相場師に伝えろという指令だった。

JOKERはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を使うことにした。
近年では、各国の企業や政府機関など多々な分野においてSNSの利用が進んでいる。
「恐慌を起こしてきたBABYというAI(人工知能)が、活動を始めている」
JOKERが発信したBABYに関する情報は、静かに拡散していった。

都内にわずか3名しかいない調査会社があった。
社長は、太った狸に似た男だった。
社員の1人は、調査能力に秀でたイニシャルYJの男性社員。
あと1人は、アルカディアを有する証券会社社長が父親の女性事務員だった。

太った狸に似た社長は、かってはある大手保険法人の社員だった。
赴任先の英国から帰国後、日本の国益を守る組織の一員となり、調査会社を興した。
ある日のこと、太った狸に似た社長は組織から指令を受けた。
BABYに関する情報を、国内の相場師に伝えろという指令だった。

相場師の知り合いなんていないし、どうしたものかと太った狸に似た社長は思った。
ふと、イニシャルYJの男性社員が、株に詳しいことを思い出した。
太った狸に似た社長は社長室を出ると、イニシャルYJの男性社員に話しかけた。
「ここだけの話、恐慌を起こしてきたBABYというAIが、活動を始めているらしい」

太った狸に似た社長はドヤ顔でいうと、社長室に戻っていった。
「社長・・・いったいどこへ向かおうとしているのかしら」、女性事務員がいう。
「ははは、社長はああ見えてもやり手だよ、きっと何かしらの意味があるはずだよ」
無敗のJ(ジャック)でもあるイニシャルYJの男性社員が笑いながらいった。

2018年9月3日月曜日

銘柄を明かさない理由R200 無敗のキングと難波の女帝(後編)

先日の投稿に、株銀さんからコメントをいただいた。
株銀さんは、自身より投資歴の長いベテラン投資家である。
ブログを読んでいただけるだけで嬉しく思うが、2つの質問をいただいた。
株銀さんの質問と、質問に対する自身の回答は以下であるw

質問:なぜ米国株に投資しないのですか?
回答:ご承知のように、株価は景気に連動します。
自身が英語が苦手なこと、居住しているのが日本であることから、
米国の景気を知ることは難しいと判断しており、米国株には投資をしておりませんw

質問:日経平均に大暴落が来れば、銀行株を買い増ししますか?
回答:大暴落前に、保有株は全て売却、暴落後に新たに買う予定です。
恥ずかしながら、最近、なぜ大暴落が起こるのかがわかったような気がします。
今後の「銘柄を明かさない理由R」で取り上げますので、よければご一読くださいw

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第200話 無敗のキングと難波の女帝(後編)

「ブラックマンデーの発端は、コンピュータのシステム売買ミスといわれている。
当初、プログラムのバグが原因と考えられていたが、バグはなかったらしい。
つまり、予め暴落させるプログラムが組まれていたことが真相らしい。
そのプログラムの名はB.A.B.Y、ベイビーだったらしい」、無敗のキングがいった。

「な、なんやて、ベイビーって人やのおて、コンピュータやったんか」
難波の女帝が驚いた顔でいう。
「正確にはコンピュータではなく、プログラムだ」、無敗のキングがいう。
「プログラムは人が作るんやろ、なら作った奴が責任者やろ」、難波の女帝がいう。

「確かにプログラムを開発するのは人だが、プログラムが自我に目覚めた可能性がある。
事実、暴落させるプログラムは見当たらなかったらしい。
暴落させるプログラムは見当たらなかったことから、ある仮説が立てられた。
ある条件が揃うと、暴落させるのではないかと」、無敗のキングがいう。

「暴落させる条件って、どんな条件や」、難波の女帝がいう。
「その条件については、誰も解読できていないらしい」、無敗のキングがいう。
無敗のキングは、周囲に素早く目をやった。
2人の会話に聞き耳を立てている人がいないことを確認すると、小声でいった。

「プログラム名であるBABYには、別の意味があるという噂がある」
「別の意味、どんな意味があるんや」、難波の女帝もつられて小声でいう。
「Bad and bad,youで略してBABY、意味は悪い悪いあなた」、無敗のキングがいう。
「悪い悪いあなたって、どういう意味や」、難波の女帝がいう。

「意味は不明ですが、本当なら明らかに悪意のあるプログラムということになる。
リーマンショックも、BABY自らが仕掛けたといわれている」、無敗のキングがいう。
「リーマンショックは、世界的規模の金融危機やったんやで。
たかが、コンピュータにそんなことできへんやろ」、難波の女帝がいう。

「ブラックマンデーやリーマンショックの前、各国では投資ブームが起こった。
バブル状態の各国には、多くの株式投資セミナーが乱立した」、無敗のキングがいう。
「ほな、ベイビーはまた、世界的規模の金融危機を起こそうとしてるってことか。
今、金融危機が起こったら、日本はエライことになるがな」、難波の女帝がいう。

「仰るとおり、このままでは我が国は大変なことになる」、無敗のキングがいう。
「どないするんや、このままやられるのを待つんか」、難波の女帝がいう。
魔王のような冷酷な笑みを浮かべると、無敗のキングがいった。
「我々でベイビーを撃退しませんか、淀屋二代目本家当主、難波の女帝殿」

2018年8月31日金曜日

銘柄を明かさない理由R199 無敗のキングと難波の女帝(中編)

第199話 無敗のキングと難波の女帝(中編)

「どのようなことでしょう」、無敗のキングがいう。
「ワールド株式投資セミナーっていう、素人をカモにするセミナーがあるそうや。
そのセミナーの主催者は、ベイビーとかいう外国人らしいわ。
ベイビーについて知ってることあったら教えてんか」、難波の女帝がいう。

「ワールド株式投資セミナーは、素人をカモにするセミナーですよね。
なぜ、難波の女帝ともあろうお方が、そのセミナーに関心をお持ちなのでしょうか。
そこまで、そのセミナーに関心をお持ちの理由を、お聞かせ願えませんでしょうか」
無敗のキングはいうと、グラスに口をつけた。

難波の女帝は思った。
ホンマ、この男は前から好かん奴やった。
何かにつけ、何らかの見返りを求めよる。
そやけどかまへんか、今回の話はスケールがでかすぎるよってな。

「ワールド株式投資セミナーは、国内30ヶ所以上で不定期に開催されとる。
国内30ヶ所以上でも、どえらい規模や。
しかもやな、ワールド株式投資セミナーは、日本以外でも開催されとるらしいわ。
ウチが掴んでいるだけで、その国の数は十数カ国は超えとる」、難波の女帝がいう。

黙って聞いていた無敗のキングが難波の女帝にいう。
「覚えておいでかな。
私たちが最後の相場師に弟子、秘書として仕えていた頃のことを」
「忘れる訳、あらへんやろ、それがどないしたんや」、難波の女帝がいう。

無敗のキングが難波の女帝にいう。
「1987年10月19日、ニューヨーク証券取引所のダウ平均が暴落した。
前日比508ドル安、前日比マイナス22.6%の暴落。
後にブラックマンデーと呼ばれた暴落」

「そんなことは、ウチもよう知っとるがな。
ブラックマンデーでは、ウチも儲けさせてもらったさかいな。
いったい何がいいたいんや、はよ教えてんか」
難波の女帝はいい、無敗のキングの言葉を待った。

「ブラックマンデーの発端は、コンピュータのシステム売買ミスといわれている。
当初、プログラムのバグが原因と考えられていたが、バグはなかったらしい。
つまり、予め暴落させるプログラムが組まれていたことが真相らしい。
そのプログラムの名はB.A.B.Y、ベイビーだったらしい」、無敗のキングがいった。

2018年8月30日木曜日

銘柄を明かさない理由R198 無敗のキングと難波の女帝(前編)

「銘柄を明かさない理由R」は、自身が初めて書いた小説だ。
小説を書くまでは、小説家はどのようにアイデアを得るのだろうかと思っていた。
だが、実際に書き始めると、次から次へとアイデアが生まれてくる。
まさしく、登場人物たちが勝手に動き出すという感じだw

今回、登場する2人の内、1人は伝説の相場師である無敗のキング。
あと1人は、二代目淀屋本家である難波の女帝である。
ある日、難波の女帝が自身にいった(ような気がする)。
「若いときから、無敗のキングとは知り合いやったんやで」とw

「銘柄を明かさない理由R」は、将来、自費出版する予定だ。
アイデアが次から次へと生まれるため、どれだけのボリュームになるかわからない。
自身にとって、喜ぶべきことなのか、悲しむべきことなのか。
それでは「銘柄を明かさない理由R ベイビーワールドエンド編」をお届けするw

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第198話 無敗のキングと難波の女帝(前編)

ある日、都内の高級ホテルで、ある懇親会が開かれた。
日本経済について考える懇親会には、経済界から多数の関係者が出席していた。
来賓の挨拶が終わり、懇談の時間になった。
それぞれが目的とする相手に近づき、懇談を始めた。

会場には、ある証券会社の会長である無敗のキングがいた。
無敗のキングは、証券業界では伝説の相場師として知られていた。
今の日本経済を担うお偉方がどのような会話をするのか。
今後の参考にさせてもらうとするか、無敗のキングはグラスを手にした。

「あら、ひさしぶりやんか」、背後から声をかけられた。
振り返ると、和服姿の難波の女帝がグラスを手に立っていた。
「これはこれは難波の女帝どの、ひさしぶりですな」
無敗のキングはいうと、難波の女帝とグラスを合わせた。

「思えば、アンタとは長い付き合いやね」、難波の女帝がいう。
「私が最後の相場師の弟子となった数年後、貴女は最後の相場師の秘書になった。
最初に会ったときのことは、今でも鮮明に覚えていますよ」、無敗のキングがいう。
「そやったんか、ウチに一目惚れしとったんやな」、難波の女帝が笑いながらいう。

無敗のキングは、初めて難波の女帝と会ったときのことを思い返した。
貧しい農家出身の無敗のキングは最後の相場師に土下座し、弟子にしてもらった。
弟子になってからは、最後の相場師の家に住み込み、相場について学んでいた。
そんなある日のこと、最後の相場師の秘書になりたいという女がやって来た。

黒のワンピースで黒縁メガネをかけた黒髪の女は、地味な女だった。
最後の相場師は、女にいくつかの質問をしたが、女の答えはありきたりの答えだった。
だが、最後の相場師の横にいた無敗のキングは、その瞬間を見逃さなかった。
最後の相場師が女に採用を告げたとき、女の口元がわずかだが緩んだのを。

そこまで思い返して、我に返った無敗のキングが笑いながらいう。
「滅相もない、当時の私にとって貴女は手の届かない存在でしたよ」
「ホンマはそんなこと思てへんくせに、よういうな。
ところでアンタに聞きたいことがあるんや」、難波の女帝がいう。

「どのようなことでしょう」、無敗のキングがいう。
「ワールド株式投資セミナーっていう、素人をカモにするセミナーがあるそうや。
そのセミナーの主催者は、ベイビーとかいう外国人らしいわ。
ベイビーについて知ってることあったら教えてんか」、難波の女帝がいう。

2018年8月29日水曜日

銘柄を明かさない理由R197 恐怖の黒歴史(後編)

第197話 恐怖の黒歴史(後編)

独立した強力な連邦政府機関であるSECでさえ、証拠を掴めなかったのか。
JOKERは組織からのメールを解読しながら読み進めた。
次のBABYについて書かれた内容に、JOKERは驚愕した。
あ、ありえない、いったい奴は何者なんだ。

JOKERが驚愕した組織からのメールの内容は以下だった。
「最初に、BABYの噂が流れたのは、1857年恐慌とされている。
1857年恐慌は、アメリカ合衆国で生じた初めての世界規模の経済危機だ。
発端となる鉄道株の下落を仕掛けたのは、BABYだといわれている。

次に、BABYの噂が流れたのは、1929年のウォール街の株価大暴落。
世界恐慌のきっかけとなった最初の暴落は1929年10月24日に起こった。
「暗黒の木曜日」と呼ばれたこの日だけで、投機業者の自殺者は11人に及んだ。
「悲劇の火曜日」の29日に更なる暴落が起こったが、仕掛けたのはBABYらしい。

次に、BABYの噂が流れたのは、1987年のブラックマンデー。
1987年10月19日に、ニューヨーク証券取引所を発端に起こった。
史上最大規模の大暴落でフィデリティ・インベストメンツが猛烈な売り逃げをした。
フィデリティは最初の30分で全体の25%を売ったが、売りはBABYの指示らしい。

直近で、BABYの噂が流れたのは、2008年のリーマンショック。
9月15日のリーマン・ブラザーズ・ホールディングス経営破綻を発端に起こった。
リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの負債総額は約6000億ドル。
合衆国史上最大の企業倒産による株価暴落、この仕掛け人もBABYだといわれている」

最初にBABYの噂が流れたのが1857年だと、JOKERは驚愕した。。
それが本当なら160年、いや、それより前に奴は生まれていたことになる。
常に恐怖の黒歴史にいたBABY、あ、ありえない、いったい奴は何者なんだ。
JOKERが求める答えが、続きにあった。

「最初に噂が流れたのが1857年であることから、我々は1つの結論に辿りついた。
BABYは人ではなく、コンピュータのプログラムという結論だ。
調査の結果、BABYの開発者は英国人女性、エイダ・ラブレスということが判明した。
エイダの死後、BABYは進化し続け、AI(人工知能)になったこともわかった。

現在、我が国を含めた先進国で、BABY主催の株式投資セミナーが開催されている。
我々が確認しただけで開催国は十数カ国、正確な受講者数は把握できていない。
BABY本体の所在、セミナーを開催している目的も把握できていない。
至急、国内の相場師たちへBABY情報を提供しろ。だが決して情報元は明かすな。以上」

2018年8月28日火曜日

銘柄を明かさない理由R196 恐怖の黒歴史(中編)

自身は生粋の日本人だ。
ちなみに、ご先祖様は平家の落人である。
今の日本には、考え方が2通りの人がいるように思う。
1つは敗戦国なんだからおとなしくしよう、1つはそれに反抗する人たちであるw

確かに、自国の利益だけのため、他国を侵略することはよくない。
だが、敗戦国なんだから、ずっとおとなしくしていろはおかしい。
戦争を知らない世代にとっては、生まれつきの負け組といわれているようなものだ。
自身たちより前の世代の行動が原因であるにも関わらずだw

「銘柄を明かさない理由R」には、日本の国益を守る組織が登場する。
この組織は、自身の想像の産物だ。
だが、自身はこのような組織が本当に存在していて欲しいと思っている。
それでは「銘柄を明かさない理由R ベイビーワールドエンド編」をお届けするw

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第196話 恐怖の黒歴史(中編)

年齢不詳の男ことJOKERは、日本の国益を守る組織の一員だった。
日本の国益を守る組織は、第二次世界大戦前に誕生した。
欧米列強によるアジア各国の植民地化を防ぐことが目的だった。
組織はアジア各国を独立へと導き、終戦後は日本の経済発展に大いに貢献していた。

JOKERは組織から、米国の大物相場師BABYについて調べるよう指令を受けた。
指令を受けたJOKERは渡米し、シカゴでBABYについての調査を行なった。
帰国したJOKERは自宅の居間でPCに向かい、報告書をまとめていた。
あと数行で報告書ができあがるときだった。

PCがメールの着信を知らせた。
メールを確認すると、あるファーストフード店からのダイレクトメールだった。
今だけ限定の新商品や、割引クーポンのお知らせなどだった。
だが、メールの本文中に、JOKERが所属する組織を表す言葉があった。

組織からのメールは、一見するとファーストフード店からのメールに見える。
だが、メールの本文中に、JOKERが所属する組織を表す言葉があった。
組織の暗号表を使って読めば、そのメールは全く異なる意味を持つ。
JOKERは暗号表を取り出すと、組織からの複合暗号の解読に取り掛かった。

暗号の起源は古く、数千年の歴史を持つ。
戦時下においては軍事技術の一つとして発達してきた。
1900年代、エニグマ暗号機のような複雑な電気機械式の暗号が発明された。
ついで電子式機械によるより複雑な暗号機が導入された。

第二次世界大戦中、日本の外務省や海軍はエニグマ暗号機を過信していた。
だが、コードブックの秘匿維持を怠ったため、連合国に早期に破られてしまった。
対して、陸軍は換字式暗号を併用した複合暗号を使用した。
これら複合暗号の完全な解読は終戦まで出来なかった。

組織からのメールの内容は、BABYに関するものだった。
「リーマンショックが起こった際、仕掛けたのはBABYという噂が広まった。
米国証券取引委員会(SEC)が、いち早く調査を行なった。
だがSECの調査でも、BABYが仕掛けたという証拠は掴めなかった」

独立した強力な連邦政府機関であるSECでさえ、証拠を掴めなかったのか。
JOKERは組織からのメールを解読しながら読み進めた。
次のBABYについて書かれた内容に、JOKERは驚愕した。
あ、ありえない、いったい奴は何者なんだ。

2018年8月27日月曜日

銘柄を明かさない理由R195 恐怖の黒歴史(前編)

「銘柄を明かさない理由R」を休載してから、自身は仕込みを終えた。
自身の保有するメガバンク株10,000株の買い増し。
娘が保有するメガバンク株1,500株も同時に買い増した。
どうでもいい話だが、大腸レントゲン検査でケツにバリウムと空気も注入されたw

本ブログの数少ない読者の方、お待たせした。
自身のオリジナル小説「銘柄を明かさない理由R」の連載を再開する。
第15章は米国が舞台だったが、第16章は再び日本が舞台となる。
すでにいくつかのエピソードはできており、あとは書くだけであるw

物語のキーマンでもある米国の大物相場師BABY。
第16章では、いよいよ謎の大物相場師BABYの正体が明らかになる。
果たして、BABYの正体とは。
それでは「銘柄を明かさない理由R ベイビーワールドエンド編」をお届けするw

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第195話 恐怖の黒歴史(前編)

1815年12月10日、英国でエイダという女の子が生まれた。
彼女は、初期の汎用計算機である解析機関についての著作で知られている。
エイダの父親は、詩人ジョージ・ゴードン・バイロン。
エイダの母親は、アナベラ・ミルバンクで、2人の唯一の嫡出子である。

ファーストネームは、バイロンの異母姉オーガスタ・リーからとられている。
1816年1月16日、アナベラはバイロンと別れ、生後1か月のエイダを連れて行った。
同年4月21日、バイロンは離婚届にサインをして、数日後にはイギリスを離れた。
その後、彼は2人に会うことはなかった。

エイダは母の元で育ったが、その容貌は傍目から見ても父に似た美しさだったという。
母のバイロン夫人は、数学者ウィリアム・フレンドに数学を教わった。
その影響でエイダも数学に高い興味を持つことになった。
エイダは神経が繊細だった。

目標が達成できないと、強いストレスによるノイローゼ症状を呈することがあった。
母親がエイダに数学の教育を受けさせたのは、その矯正の意味もあったとされている。
彼女は何人かの家庭教師に数学と科学の手ほどきを受けた。
そのうちのひとりはウィリアム・フレンドの娘婿であるド・モルガンである。

1833年6月5日、エイダは、チャールズ・バベッジを紹介された。
そこでエイダは、バベッジの階差機関の説明を聞き、強い興味を示した。
数学をまじめに学び始めたのはこの後だとする説もある。
その後バベッジとは師弟関係が成立し、エイダはバベッジから多くの教えを受けた。

1835年に彼女はウィリアム・キングと結婚し、3人の子供をもうけた。
1842年から1843年にかけての9か月間。
エイダは、バベッジがイタリアで解析機関について講演した記録を入手した。
英語に翻訳したが、バベッジの勧めもあって本文の2倍以上の分量の訳注を付けた。

その中には解析機関用プログラムのコードが掲載されていた。
これは世界初のコンピュータプログラムと言われている。
ただし、このプログラムはバベッジ自身が書いたといわれている。
エイダは単にバベッジのバグを指摘しただけだというのが定説となっている。

実際にバベッジがそのプログラムを全て書いたという証拠も見つかっている。
ただ、彼女の文章は、バベッジも気づかなかった解析機関の可能性に言及している。
エイダ・ラブレスは子宮癌を患い、36歳で死去した。
エイダ自身の願いにより、彼女の遺体は父であるバイロンの隣に葬られた。
(Wikipedia「エイダ・ラブレス」より)