第199話 無敗のキングと難波の女帝(中編)
「どのようなことでしょう」、無敗のキングがいう。
「ワールド株式投資セミナーっていう、素人をカモにするセミナーがあるそうや。
そのセミナーの主催者は、ベイビーとかいう外国人らしいわ。
ベイビーについて知ってることあったら教えてんか」、難波の女帝がいう。
「ワールド株式投資セミナーは、素人をカモにするセミナーですよね。
なぜ、難波の女帝ともあろうお方が、そのセミナーに関心をお持ちなのでしょうか。
そこまで、そのセミナーに関心をお持ちの理由を、お聞かせ願えませんでしょうか」
無敗のキングはいうと、グラスに口をつけた。
難波の女帝は思った。
ホンマ、この男は前から好かん奴やった。
何かにつけ、何らかの見返りを求めよる。
そやけどかまへんか、今回の話はスケールがでかすぎるよってな。
「ワールド株式投資セミナーは、国内30ヶ所以上で不定期に開催されとる。
国内30ヶ所以上でも、どえらい規模や。
しかもやな、ワールド株式投資セミナーは、日本以外でも開催されとるらしいわ。
ウチが掴んでいるだけで、その国の数は十数カ国は超えとる」、難波の女帝がいう。
黙って聞いていた無敗のキングが難波の女帝にいう。
「覚えておいでかな。
私たちが最後の相場師に弟子、秘書として仕えていた頃のことを」
「忘れる訳、あらへんやろ、それがどないしたんや」、難波の女帝がいう。
無敗のキングが難波の女帝にいう。
「1987年10月19日、ニューヨーク証券取引所のダウ平均が暴落した。
前日比508ドル安、前日比マイナス22.6%の暴落。
後にブラックマンデーと呼ばれた暴落」
「そんなことは、ウチもよう知っとるがな。
ブラックマンデーでは、ウチも儲けさせてもらったさかいな。
いったい何がいいたいんや、はよ教えてんか」
難波の女帝はいい、無敗のキングの言葉を待った。
「ブラックマンデーの発端は、コンピュータのシステム売買ミスといわれている。
当初、プログラムのバグが原因と考えられていたが、バグはなかったらしい。
つまり、予め暴落させるプログラムが組まれていたことが真相らしい。
そのプログラムの名はB.A.B.Y、ベイビーだったらしい」、無敗のキングがいった。
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