2018年9月4日火曜日

銘柄を明かさない理由R201 無敗の個人投資家たち(前編)

第201話 無敗の個人投資家たち(前編)

日本国内の個人で、株式投資を行なっている者は少ない。
株式投資を行なっている者の中で、無敗の個人投資家となるとさらに少なくなる。
ある調査によると、全国で94人の無敗の個人投資家の存在が確認されていた。
無敗の個人投資家たち、その多くは専業の投資家ではなく兼業の投資家だった。

よく短期間に株で大儲けする人がいるが、彼らは投資家ではなく、投機家である。
投機は投資ではなく、運によって成否が決まるギャンブルである。
対して投資は、合理的な思考によって成否が決まるマネーゲームである。
すなわち、無敗の個人投資家たちは極めて合理的な思考の持ち主なのである。

第二次世界大戦前、日本の国益を守るため、ある組織が誕生した。
組織はアジア各国を独立へと導き、終戦後は日本の経済発展に大いに貢献していた。
組織の一員である年齢不詳の男、JOKERは組織から指令を受けた。
BABYに関する情報を、国内の相場師に伝えろという指令だった。

JOKERはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を使うことにした。
近年では、各国の企業や政府機関など多々な分野においてSNSの利用が進んでいる。
「恐慌を起こしてきたBABYというAI(人工知能)が、活動を始めている」
JOKERが発信したBABYに関する情報は、静かに拡散していった。

都内にわずか3名しかいない調査会社があった。
社長は、太った狸に似た男だった。
社員の1人は、調査能力に秀でたイニシャルYJの男性社員。
あと1人は、アルカディアを有する証券会社社長が父親の女性事務員だった。

太った狸に似た社長は、かってはある大手保険法人の社員だった。
赴任先の英国から帰国後、日本の国益を守る組織の一員となり、調査会社を興した。
ある日のこと、太った狸に似た社長は組織から指令を受けた。
BABYに関する情報を、国内の相場師に伝えろという指令だった。

相場師の知り合いなんていないし、どうしたものかと太った狸に似た社長は思った。
ふと、イニシャルYJの男性社員が、株に詳しいことを思い出した。
太った狸に似た社長は社長室を出ると、イニシャルYJの男性社員に話しかけた。
「ここだけの話、恐慌を起こしてきたBABYというAIが、活動を始めているらしい」

太った狸に似た社長はドヤ顔でいうと、社長室に戻っていった。
「社長・・・いったいどこへ向かおうとしているのかしら」、女性事務員がいう。
「ははは、社長はああ見えてもやり手だよ、きっと何かしらの意味があるはずだよ」
無敗のJ(ジャック)でもあるイニシャルYJの男性社員が笑いながらいった。

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