2026年5月25日月曜日

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP29 Day5 -5日目-

【AI(人工知能)による作品紹介】
人間とAIのバディに解けない謎はない。日本を襲うハッキングテロ。崩壊する医療、迫る停電のタイムリミット。未曾有の国家危機に立ち向かうのは、神崎教授と亡き妻の思考を学習したAIだった。緻密な伏線とハイスピードな展開で魅せる、新時代のサイバーミステリー!
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち)
元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。NCOによるコード名はM2。
・神崎悠季(かんざきゆき)
神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI)
神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・華喜多美代子(はなきたみよこ)
元東京中央技術大学病院の看護師。神崎悠季を故意に死亡させたと、世間からバッシングされ、退職を余儀なくされる。
・久理田咲(くりたさき)
東京中央技術大学病院の看護師。
・佐藤波流(さとうはる)
東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。警視庁 サイバー犯罪対策課。NCOによるコード名はK2。
・上条雷人(かみじょうらいと)
東京中央技術大学 情報工学科 2010年卒の神崎教授の教え子。元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。「ダークマップ」管理人。サイバーテロを計画し実行する。
・雅(みやび)
国家サイバー統括室(NCO)。
・高柳(たかやなぎ)
副業でハッキングをしている会社員。NCOによるコード名はM1。
・鳩山(はとやま)
東京都の総務局 文書管理課の職員。NCOによるコード名はT1。

--------------------------------------------------------------------------
EP29 Day5 -5日目-

東京都品川区のビジネスホテル。
コード名がM1の高柳は、11月8日の夜から職場近くのビジネスホテルにいた。
8日にミッションを終えたが、自衛隊のコード名J1の勧めもあり、宿泊していた。
高柳は、23時頃にシングルベッドに入り、就寝していた。

枕元のデジタル時計の日付が10日になり、それから2時間が過ぎた。
客室ドアのオートロックが解錠される小さな音がし、ドアが静かに開き始めた。
人が入れるだけ開くと、2人連れのスーツ姿の男が入ってきた。
後ろの男が後ろ手でドアを閉めると、オートロックが施錠される小さな音がした。

高柳に近づいた前の男が、ポケットから濡れたハンカチの入ったビニール袋を取り出した。
前の男はビニール袋から取り出した濡れたハンカチを高柳の顔にかぶせた。
かぶせると同時に、後ろの男が高柳の身体を押さえつけた。
目覚めた高柳は身体を動かそうとしたが、しばらくすると動かなくなった。

1時間後、高柳は顔を叩かれて、目覚めた。
客室の鏡を見ると、椅子にガムテープで拘束され、口にもガムテープが貼られていた。
目の前には、知らないスーツ姿の男が2人立っていた。
高柳は、自分が置かれた状況を理解した。

「8日に防衛省のサーバーにアクセスしたのが君だということはわかっている。
何の目的でアクセスしたのか、教えてくれるかな。
これから質問をするので、Yesならうなずく、Noなら首を横に振る。
何も反応しない場合は、わかってるね」、目の前の男がいう。

高柳がうなずくと、「よし、いい子だ」と男はいい、質問を始めた。
「サーバーのログを調べたところ、目的があったことは明らかだった。
今回のアクセスは君一人で計画したのか」、男がいう。
高柳は首を横に振った。

「君は指示されて、アクセスしたのか」、男がいう。
高柳はうなずいた。
「君に指示した人の連絡先がわかるものはあるか」、男がいう。
高柳はうなずいて、壁にかけてあるスーツに目をやった。

「スーツにあるんだね」、男がいう。
高柳はうなずいた。
後ろに立っている男がスーツに近づき、ポケットを探り、ペンと手帳を取り出した。
「手帳に連絡先が書いてあるのか」、男がいう。

高柳は首を横に振った。
「手帳以外のものに連絡先が書いてあるのか」、男がいう。
高柳はうなずいた。
ペンと手帳を手にした男が手帳を開いて、挟んであったカードカレンダーを取り出した。

取り出した男は、カードカレンダーを質問している男に手渡した。
「印のついた日付を繋げた数字が、連絡先の電話番号なのか」、男がいう。
高柳は大きくうなずいた。
後ろの男がベッドの枕元にある高柳のスマホを持ってきて、質問している男に手渡した。

質問している男は高柳からロック解除の番号を聞き出すと、連絡先へ電話をかけた。
何度かコール音かしたが、誰も出なかった。
「この時間だからな。明け方近くになったら、もう一度、電話しよう」、男がいう。
重苦しい雰囲気の中、時間だけが過ぎていった。

窓のカーテンの隙間が、明るくなり始めた。
突然、客室のドアが開き、拳銃を手にしたスーツ姿の男たちが入ってきた。
「動くな。両手を上げて、おとなしくしろ」、先頭の拳銃を手にした男がいう。
客室に侵入した2人の男は手錠をかけられ、部屋から連れ出された。

何時間も拘束されていた高柳は、拘束を解かれた。
「品川警察署です。監禁されていると通報があったので、駆け付けました。
現場検証が終わったら、署で詳しい話をお聞かせいただけますか」
拘束を解いてくれた刑事がいい、高柳は「はい」と答えた。

高柳はミッションの結果を報告し終わったときに指示されていた。
「これから、この番号に電話するとき、1コールで切ること。
1コールで切れたら、こちらから折り返す。
1コールで切れなければ、何らかのアクシデントがあったと判断する」

侵入してきた男は、電話したが、1コールで切らなかった。
1コールで切れなかったので、アクシデントがあったと判断してくれたんだな。
ミッションが終わったので、アクシデントは起きないと思ってた。
全て終わるまで安心できないってことだな、高柳は思った。
※本作に登場する手法は防犯上の観点から一部改変しています。

0 件のコメント:

コメントを投稿