※AI(人工知能)と作った小説です。
【タイトル】神崎教授の事件簿
【内容】神崎教授が会話の中にあるヒントから事件を解決していくミステリー小説。
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち):元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。
・神崎悠季(かんざきゆき):神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI):神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・御堂健伍(みどうけんご):東京中央技術大学病院の病院長。元アルツハイマー新薬研究プロジェクトの責任者。神崎零壱に神崎悠季の治験への参加を勧めたことに責任を感じている。
・華喜多美代子(はなきたみよこ):元東京中央技術大学病院の看護師。神崎悠季を故意に死亡させたと、世間からバッシングされ、退職を余儀なくされる。
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神崎教授の事件簿:EP.4 機械に存在しない解 (A Solution Beyond the Machine)
2018年10月1日23時、東京中央技術大学病院の治験病棟には4名の被験者がいた。
看護師の華喜多は、遮光カバーに覆われた点滴バッグを新しいものに交換していた。
点滴バッグに入っているのは、研究中の新薬「ADND310」。
アルツハイマーの症状を改善する画期的な新薬になると期待されていた。
「ADND310」は、毎時2ミリリットルで、被験者の体内にゆっくりと送り込まれていた。
神崎悠季の点滴バッグを新しいものに交換した華喜多は、輸液ポンプのドアを閉めた。
ドアの表面にある「注入中」を示す緑のランプが灯った。
華喜多がベッドを見ると、神崎悠季は規則正しい寝息をしていた。
神崎悠季は、東京中央技術大学 情報工学科の神崎教授の奥さんだった。
看護師たちに、いつも気遣いの言葉をかけてくれる優しい女性だった。
華喜多は治験者たちの状態を測定している機器を確認、記録ノートに数値を書き込んだ。
数値を書き終えた華喜多が退室した後、神崎悠季の寝息が不規則になり始めた。
神崎悠季の輸液ポンプの内部では、経年劣化したプラスチックの爪がわずかにたわんでいた。
本来なら、チューブを噛んで流速を制御すべき部品が、わずかな隙間を作っていた。
検知センサーは故障しており、異常を知らせるアラームは鳴らなかった。
「ADND310」は、設定の100倍近い速度で、彼女の体内へ流れ込んでいた。
翌朝、神崎悠季は帰らぬ人となっていた。
治験は中止され、プロジェクトの責任者だった御堂教授はマスコミ対応に追われた。
多くのマスコミが、「看護師による故意の事故」という憶測を報道した。
華喜多は刑事罰こそ免れたものの、憶測や誹謗中傷に耐え兼ね、病院を辞めた。
現在の東京都北区の住宅街。
帰宅した神崎は郵便箱を開けると、届いていた白い封筒を取り出した。
裏の送り主を確認すると、封筒を手にしたまま、玄関ドアのカギを開け、中に入った。
書斎に入ると、人感センサーが検知し、机の上のモニターが明るくなった。
「お帰りなさい」、AI(人工知能)のYUKIがいう。
「何かかわったことはあったか」、椅子に座りながら神崎がいう。
「御堂さんから、メールが届いているわ」、YUKIがいう。
「メールの内容は」、神崎がいう。
「文面は、最新の論文を送ります。ドイツの脳科学者の論文が添付してあるわ。
論文を読んだけど、人間の記憶を再現する実験結果みたいよ。
お礼の返信をしておきましょうか」、YUKIがいう。
「いや、後で私がする」、神崎がペーパーナイフで封筒を開封しながらいう。
「あらそう、じゃあお願いね」、YUKIがいう。
神崎は、封筒から便箋を取り出すと、読み始めた。
便箋には、時間をかけて書いたと思われる、整った文字が並んでいた。
神崎は、毎年、悠季の命日に送られてくる華喜多美代子からの手紙を読み始めた。
「あの日、私は点滴バッグをマニュアル通りの手順で交換しました。
ドアの『注入中』を示す緑のランプが灯ったことを確認しました。
私が室内にいるときに、異常を知らせるアラームは鳴りませんでした。
奥様の状態を測定していた機器の数値にも異常はありませんでした」
書き出しは毎年、同じで、機械の異常に気づけなかったことを詫びる文面だった。
彼女が病院を辞めてから、一度も会っていない。
毎年、届く手紙にも、一度も返事を出したことはない。
なぜ、返事できないのか、神崎はこの問題に取り組むことにした。
第三者の調査委員会による調査報告書を読んだが、偶然が重なった事故だった。
流速を制御すべき部品の経年劣化、検知センサーの故障。
どちらかが正常に機能していれば、事故が起きなかった可能性はある。
だが、当時と同じ状況を再現できないため、因果関係を立証できない。
したがって、亡くなった原因は、悠季が治験に参加したこと。
御堂が、私に悠季の治験への参加を勧めてくれた。
私が悠季に治験への参加を勧めた。
治験へ参加する前、私は同意書にサインした。
御堂や私に責任があったとしても、華喜多美代子には何の責任もない。
なら、なぜ返事しなかった。
そうか、返事することで、華喜多美代子を楽にしたくなかったのか。
神崎は、YUKIに華喜多美代子への返事を入力し始めた。
返事の入力が終わると、YUKIがいった。
「あなたの責任じゃないし、御堂さんの責任でもない。
私が治験へ参加すると決めたんだから、私の責任よ。
みんな、楽になっていいわよ」
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