自身のオリジナル小説である「銘柄を明かさない理由R」。
無敗の相場師たちと人工知能であるベイビーとの戦いが軸となる。
ニューヨークにある世界最大の証券取引所、ニューヨーク証券取引所(NYSE)。
ニューヨーク証券取引所のサーバーには移ってきた人工知能、ベイビーがいた。
金曜日、ベイビーはNYダウをかってない規模で暴落させた。
週明け、各国の市場には開始から売りが殺到する状況にあった。
果たして、ベイビーの狙い通りに世界恐慌は起こるのか。
それとも、無敗の相場師たちは世界恐慌を防ぐことができるのか。
タイトルのみ決めて書き始めた「ベイビーワールドエンド編」。
ここまでスケールが大きくなるとは、自身の想定外だった。
ようやく訪れるラストに向けて、物語は加速する。
それでは「銘柄を明かさない理由R ベイビーワールドエンド編」をお届けするw
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第237話 起死回生のクロスカウンター(前編)
休日の昼下がり、無敗のJ(ジャック)は河川敷に寝転がっていた。
空にはいくつかの雲が流れている。
今日の雲は動きがゆっくりだ。
雲はさまざまに形を変えながら流れていく。
リーマンショックのとき、無敗のJは暴落する相場に成す術がなかった。
暴落相場から生還できたのは、大底の局面で買い向かったからだった。
金曜日、NYダウがかってない下げ幅で暴落した。
おそらく、週明け、世界市場は暴落するだろう。
軽快な足音が聞こえてきた。
足音がした方を見ると、トレーニングウェアに身を包んだ女性がいた。
髪を後ろで束ねた端正な顔立ちには汗が光っている。
トレーニングウェアに身を包んだ女性は、顔見知りの無敗のクイーンだった。
「今日も昼寝か」、シャドーボクシングをしながら、無敗のクイーンがいう。
「そうだよ」、無敗のJは寝転がったまま答えた。
「聞きたいことがある」、シャドーボクシングをやめた無敗のクイーンがいう。
「何だ」、無敗のJが寝転がったままいう。
「金曜日のNYダウの暴落は知っているな」、無敗のクイーンが横に座りながらいう。
「知っているよ、凄い暴落だったよな」、無敗のJがいう。
「これから、貴様はどうするつもりだ」、無敗のクイーンがいう。
「今、どうしたらいいのか、考えている」無敗のJがいう。
「あっ、そうか」、無敗のJは上半身を起こした。
「どうした」、無敗のクイーンが驚きながら聞く。
「前に質問したことを覚えているか」、無敗のJがいう。
「どんな質問だ」、無敗のクイーンが聞く。
「ボクシングでパンチを繰り出すときって、どんなときだ」、無敗のJがいう。
「前にもいったが、相手がパンチを打とうとしていないときだ。
油断や疲れから、相手のガードに隙が生まれたときだ」
相手のガードに隙が生まれたときが、最大のチャンスだ」、無敗のクイーンがいう。
「暴落したのは、日経平均や上海総合指数でもないNYダウだ。
NYダウが暴落した今、NYダウはノーガードだ」、無敗のJがいう。
「どういうことだ」、無敗のクイーンがいう。
「ノーガードのNYダウに、クロスカウンターを浴びせるんだよ」、無敗のJがいう。
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