第221話 4年後の再会(後編)
ランチタイムの日本橋のカフェで2人の男が談笑していた。
1人はある証券会社の情報システム責任者の男。
もう1人は、21世紀少年と呼ばれている大学生だった。
2人は4年前に一緒に戦った仲間で、4年ぶりの再会だった。
ローストビーフサンドを食べながら、男がいろいろ話していた。
だが、21世紀少年は男の後方のテーブルにいる2人の女性が気になっていた。
2人の女性は店員を呼び止め、長い時間をかけてオーダーした。
やがて、大量の料理が運ばれきて、テーブルの上には所狭しと料理が置かれた。
2人の女性は、猛然と食べ始めた。
女性2人に、あれだけの量の料理を食べきれるわけがない。
周囲の客も、2人の女性がオーダーした料理を驚きながら見ていた。
ただ1人、情報システム責任者の男だけは、後方の様子に気づいていなかった。
しばらくすると、2人の女性はナイフとフォークを置いた。
やはり、あの量を食べきることはできなかったな、21世紀少年は思った。
テーブルの上には、手つかずの料理がたくさん残っていた。
しばらくすると、驚くことに店員が大量のデザートを運んできた。
店員は2人の女性が食べ終わった食器を片付けると、厨房へ戻っていった。
2人の女性は、デザートを食べ始めたが、しばらくすると、スプーンを置いた。
テーブルの上には、大量の手つかずの料理とデザートが残った。
やがて、店員が伝票とケータリング用の容器を持ってきた。
店員は伝票を置くと、残った料理やデザートをケータリング用の容器に詰め始めた。
2人の女性が店員に名刺を渡していた、おそらく届け先だろう、21世紀少年は思った。
2人の女性は席を立つと、男と21世紀少年のテーブルへ向かってきた。
2人の女性の内、美人のお姉さんがテーブルに伝票を叩きつけ、21世紀少年にいった。
「初めまして、いい歳なのに独身の無敗のクイーンだ、よろしく」
もう1人のキュートなお姉さんが、21世紀少年にいった。
「初めまして、いい歳なのに独身の無敗のテンで~す、よろしくね」
「あら」、キュートなお姉さんが、男のスーツの襟から小さな物を取り上げた。
「リーダーがさっき無いっていってた集音マイク、こんなところにありました~」
「そんなところにあったのか、さあ、帰るぞ」、2人の女性は立ち去った。
情報システム責任者の男は、叩きつけられた伝票の金額を見て、絶句していた。
21世紀少年は、こみ上げてくる笑いをこらえるのに必死だった。
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