2018年10月27日土曜日

銘柄を明かさない理由R236 世界恐慌、終わりの始まり(後編)

第236話 世界恐慌、終わりの始まり(後編)

アメリカ合衆国ニューヨーク州を南北に走るブロードウェイ (Broadway) 。
中でも、ニューヨーク市マンハッタンを走る区間が特に有名である。
タイムズスクエア付近ではその周辺に劇場街が広がっている。
そのため、「ブロードウェイ」は「ミュージカル」の代名詞ともなっている。

金曜日の夜、その内の1つの劇場で公演があった。
主演を演じるのは、日本人舞台俳優だった。
日本人舞台俳優の前作は、日本人主演として過去最高のロングランを記録していた。
その公演は、日本人舞台俳優の2作目の主演公演だった。

2作目の主演となる公演名は「Wall Street(ウォール街)」だった。
出世を夢見る証券会社に勤める若い営業マンがいた。
ある日、若い営業マンは、強欲な投資家のオフィスを訪れる。
父親の勤務先の内部情報を話すことで、強欲な投資家から注文を取ることに成功する。

強欲な投資家は若い営業マンに、インサイダー情報の収集を指示する。
若い営業マンは、インサイダー情報の収集に成功、報酬を得てリッチな生活を送る。
若い営業マンは、強欲な投資家に父親の勤務先の買収を持ちかける。
強欲な投資家は買収に乗り出すが、若い営業マンの父親の反対で買収は叶わなかった。

やがて、若い営業マンは、強欲な投資家の正体を知ることになる。
自分の利益のためなら何でもする投資家に、若い営業マンは対抗することを決意する。
若い営業マンは、強欲な投資家のライバルの投資家を訪れ、協力を要請する。
強欲な投資家のライバルの投資家は、若い営業マンの要請に応じた。

決戦の日、若い営業マンは、強欲な投資家に仕手戦を仕掛ける。
仕手戦の結果、強欲な投資家のライバルの投資家は最安値で株を手に入れる。
一方、強欲な投資家は最安値で株を売却することになり、大損をする。
翌日、仕手戦の結果を知った強欲な投資家は激怒する。

若い営業マンは、出社するとインサイダー取引容疑で逮捕された。
後日、若い営業マンは強欲な投資家と2人きりで面会する。
裏切りに激怒する強欲な投資家は、若い営業マンを殴る。
殴られた後、若い営業マンは証券取引委員会に、密かに録音していたテープを渡した。

公演が終わったが、観客の拍手はまばらだった。
いつもは満員の観客席が、今日は空席が目立った。
昼間にあれだけ暴落すれば、「ウォール街」なんて観に来る気になれないだろう。
強欲な投資家を演じた日本人舞台俳優、仮面の相場師は凄みのある笑みを浮かべた。

0 件のコメント:

コメントを投稿